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「それじゃあ今日も見回りに行くわよ!」
オラリオに来て2日目。私は観光することもなく既に労働…………奉仕活動を始めることになっている。
昨晩の話で、私はアリーゼさんと巡回することになった。
私は輝夜と巡回ものだとばかり思っていたが、違った。団長と回る方がオラリオに早く受け入れてもらえるだろう、という配慮と伝えられた。これは、輝夜が嫌われているとかではなく、ただ団長であるアリーゼさんが人気すぎるということらしい。本人曰く、完璧美少女である私には当然の評価ね! とのことだ。
それはともかく、私のことは新人ということで紹介するらしい。女性のみの【アストレア・ファミリア】に新しく入団した男となってしまうのだが、私は刺されないで済むのだろうか? 稀に権力争いの暗殺でもなんでもなく、痴情のもつれで刺されたなんて話を聞くことがあったので少し怖い。
私は別にそういう仲じゃないのでやめてください。
「巡回しつつ私を案内してくれるんでしたよね? 私は恩恵を授かってませんが、本当に参加してもいいんでしょうか?」
「大丈夫よ! 輝夜が言ってたわ、あなたならLv 2の人間くらい、どうにかなるって!」
「オラリオのLv 2が極東のLv 2と同等かどうかはわかりませんが……」
輝夜は仲間から、ずいぶんと信用されているようである。友達がいない残念な人とだけ思われている、なんてことはなかったのだ。
「輝夜に信頼されているんだから、しっかり頼むわよ! いざとなったら、この私がどうにかしてあげるわ!」
「それなら私だけじゃなく、市民の方々も安心ですね。私もできることをしっかりとさせてもらいます」
まあ、極東のLv 2とオラリオのLv2が同程度の硬さであれば、余裕を持って斬れる。
冒険者ですらない破落戸である
オラリオ側で最も高いのはLv 6ということなので、破落戸なのにかなり戦えることがわかる。冒険者でもLv 5は数えるほどしかいないらしいし。
タケミカヅチ様がおっしゃるには、私はLv 6と対等に斬り合うことができるとお墨付きをもらっている。
もし私がLv5と戦うとしたら、おそらく、斬り合いになっても普通に戦えるが……斬り殺すとなると、慣れるまで少しかかりそうだと言ったところだろうか。
なんの問題もなかった。
恩恵の壁に阻まれて、斬れないなら斬れるようになるまで愉しめる。斬れたとしても
幾ら斬っても咎められることのない戦いができると想像するだけで、オラリオに来た意味があるというものだ。
私はオラリオに来てから一度も見ていない闇派閥を、斬ることに思いを馳せながらアリーゼさんについていく。
まずはこの通りらしい。
破壊されたような跡は見られない。かなり多くの店が出ている。私が今まで見たことのないような野菜や、果物がたくさんある。
「この通りは、食料を売ってるお店が多いわよ! 夜切も買いに来ることがあるでしょうから、しっかり覚えてね!」
「わかりました。ちなみに普段は、どこのお店で買っているのでしょうか?」
「そうねぇ、ここからもう少し進んだところね!」
「余裕があれば、私も挨拶をしておきたいですね。アリーゼさんがいらっしゃれば、私だけで行くよりも覚えがいいと思いますので」
「任せてちょうだい! 私がいれば問題なしよ!」
「頼りにしてますね。団長」
そんなことを話しながら通りを歩いていく。
時々アリーゼさんが呼び止められて、私が名乗るまたは紹介してもらうというのを繰り返して、巡回を続けた。
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日が暮れてきた。
どうやらアリーゼさんが慕われているというのは本当だったようだ。今日一日でかなりの人に挨拶をした。
自分たちよりも強い人間が武装して巡回をしに来るなど、私は民衆にとって恐怖でしかないのではないかと思っていたが、今日のアリーゼさんとオラリオの人たちの関わりを見るに、そんなこともなかったらしい。闇派閥がいつ襲ってくるかわからないからというのも、理由としてはあるかもしれないが、それでもとてもいい関係ができている様に感じられた。
少なくとも極東では、武装した恩恵持ちが巡回なんぞに出てきたら皆離れていくこと間違いなしである。
「どう? 少しはこの都市のことを知れたかしら?」
今日の巡回───という名の私のお披露目会───を終え、ホームへと帰りながらアリーゼさんが話しかけてくる。
「そうですね。この都市の方々と【アストレア・ファミリア】の皆さんが、仲良くされていることがとてもよくわかりました」
「ふふん! まあこの私がいるんだから当然ね!」
「今日一日で、それがなんの間違いでもないのだろうと思わされましたよ…………」
いや、本当にすごかった。子供達が彼女のことを見つけると、突撃してくるのだ。信じられないことに、私が話した子どもたちは皆突撃してきた子達である。
何故こんなに慕われているのか聞いてみたところ、どうやら【アストレア・ファミリア】は、孤児院を支援しているらしい。それで子供達と遊んだことがあるとのこと。
加えて言えば、定期的に炊き出しも行なっているそうで、孤児院の子供達以外とも交流があるそうな。だからいろんな人から感謝されていたのかと、納得した。
すると、アリーゼさんは少し顔を伏せて言う。
「でも、せっかく初めてのオラリオなら、もっと活気がある時に来て欲しかったわ」
「そうなんですか? 私は初めてここに来たのでよく知らないのですが…………」
「ええ、もっと活気があって笑顔に溢れている。そんな都市だったのよ」
どんな顔をしているのか、私からは見えない。
「…………私は今のオラリオも、十分活気がある都市だと思いますよ」
アリーゼさんはこちらを振り返り、薄く微笑むだけで何も言わない。
何か言わなければと思って言葉を探すが、何も出てこない。
たとえ出てきたとて、私が何か言って励ますのは違うだろう。私はこの都市のことを知らないのだから。
というか、そう言うのは出会って二日の私に言うことじゃないでしょう? どう返事をすればいいのかとてつもなく困るので、もう少し仲を深めてから言ってほしい。
「よし! 今日はこのままホームに戻って明日に備えるわよ!」
「承知しました」
なんとも言えない感じになってしまった空気を変える様に、努めて明るくアリーゼさんが振る舞う。私もこの微妙な雰囲気でいたくなかったので、それに合わせる。
「今日の夕餉はなんでしょうかね? 今日もアリーゼさんが作ってくださるのですか?」
「今日は確か……ライラね! 夜切はまだ会ってなかったかしら?」
ライラさん。昨日少し名前が出てきた人だった気がする。小人族で何かの調査をしているとか。
「まだお会いしたことはありませんね。昨日の晩に、名前だけ皆さんに教えていただいたきりです」
「そうだったわね! じゃあ、帰ったら話すといいわ! きっと仲良くできるはずよ!」
「アリーゼさんがそう言うなら安心です。しっかりとご挨拶させてもらいます」
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「ツキサキ・夜切と申します。【アストレア・ファミリア】の皆さんには昨日からお世話になっています。どうぞよろしくお願いします」
「おう、アタシはライラ。
ホームに帰ってきた私は、早速先に帰っていたライラさんに挨拶をした。
桃色の髪をショートカットにしており、小さく可愛らしい容姿をしている。しかし、その顔からは想像がつかない男勝りなな口調であった。
それは輝夜も似た様なものか……。
…………【アストレア・ファミリア】の方々はどうやら、とても個性的な方が多いらしい。
「これで夜切も全員と顔を合わせたわね! どう? 仲良くやっていけそうう?」
「ええ、仲良くできそうです。私もこのファミリアの一員として尽くさせていただきます」
「頼んだわよ!」
ライラさんに挨拶をして、夕食までどうしようかと私が考えていると、アストレア様がリビングへといらっしゃって口を開いた。
「みんな、パトロールお疲れ様。帰ってきてすぐに申し訳ないのだけれど、魔石製品工場を
「「「?!」」」
アストレア様の言葉を聞いて全員が驚く。
字面から魔石製品を製造している工場だと言うことはわかるのだが、私はその工場がどこにあるのか全くわからない。が、それでも魔石製品は日常の至る所で使われているので、それを製造している工場の重要さは理解できる。
「これで……何度目ですか?」
リオンさんは表情を歪め呟いた。
どうやらかなりの回数襲撃されているらしい。
魔石製品の供給が止まったら困るのは
「【ロキ・ファミリア】から伝えられた情報だから、ほぼ間違いはないはずよ」
「わかりました、アストレア様。聞いたわね? 準備して! 早く現場に向かうわよ!」
アリーゼさんがそういうと、全員が素早く準備を始めた。
急に展開が動いたように感じる。
まぁいい。ところで私は何をすればいいんだろうか? 私も一緒に行ってもいいのだろうか?
「私は、ホームで待機ですか? それとも、皆さんについていってもいいんでしょうか?」
「そうね……どうしようかしら?」
私としては、
それに、ようやくタケミカヅチ様以外と斬り合えるようになったのだ。せっかくここまできたのだから、オラリオの恩恵持ちと戦ってみたい。
「彼のこともお連れすればよろしいかと」
アストレア様とアリーゼさんが悩んでいると、輝夜が答えた。
「
それを聞いて、アストレア様はふぅと息をついた。
こちらに顔を向けて告げる。
「それなら、夜切も行ってくれると嬉しいわ。けれど、あなたは
「承知しました。皆さんのお力になれるよう致します」
ありがとう輝夜。君のおかげで私も参加できるよ。君がいなかったら、一悶着あったかもしれない。
私が内心飛び跳ねて喜んでいると、輝夜が近づいて来た。
「? まだ何か?」
「少しこっちへ来い。アリーゼ、私と夜切は少し外で話してくる。作戦の内容は移動しながら教えてくれ」
それだけ言うと、輝夜は扉を開けて外へ出てしまった。
ふむ、わざわざ外で話すようなことはないと思うが何かあるのだろうか?
疑問に思いながらも、輝夜に続いて外へ出る。
日は暮れかけている。再びホームに帰ってくる頃には日が沈みきって、月が昇っている頃だろう。帰ってきたら反省会をして、食事風呂諸々を済ませて寝る。翌朝にはすぐに巡回をする。
なんて過密な予定だろうか。友達に会いに来て二日目の私がこなすような仕事ではない気がする。
「来たか」
「ええ、話ってなんですか? 今日の仕事は、闇派閥を斬ればいいだけですよね?」
だから、話すことなんて特にないと思うのだが……。
輝夜に会いに来たのに話せていないのは私も思うところであるが、時と場合というのを考えてもらって。
「そこだ。闇派閥を斬り殺すな」
「はい?」
何を言ってるんだろうか?
「この都市の重要な機関が襲撃されているというのに、殺さないのですか?」
「捕縛しろ」
「それは、敵の首領が出てきているからということでしょうか? 末端を捕らえたところで、大した情報が得られるとは思いませんが?」
だから私に斬らせて欲しい。
「私もそう思う。が、私たちは【
「…………わかりました。私はあくまでも客人。【アストレア・ファミリア】の方針に従いましょう」
「……お前が私の極東での過去を知ってるように、私もお前の過去を知っている」
「まあ、それなりに知っているつもりですし、知られているだろうこともわかっていますよ」
輝夜は、私と違って人の為に何かできる人間だと言うことを知っている。私はどこまでいっても、結局は自分が愉しみたいだけの人斬りだ。
輝夜は一度顔を伏せ、しかし、躊躇いながらもこちらを真っ直ぐに見つめて口を開く。
「だから…………お前、オラリオに来たのは私に会いに来たって理由だけじゃないだろう?」
驚いた。そんなに分かりやすかっただろうか? 私はここへ来てからずっと会いに来たと言い続けていたのに。いや、私と何年か過ごしたのだ。それくらいわかるか。
私も彼女の瞳を見返して答える。
「確かに、私がオラリオに来た理由は輝夜に会うためだけと言うのは違いますね。世界の中心とも言われるオラリオの方々に、私の力がどれだけ通用するのか試したいとも思っていました」
私の返事に対して、輝夜はため息をついて言う。
「そんな事だろうと思っていた。私に会うためだけに来る訳がないとな」
「…………誤解してほしくないのですが、輝夜に会う為にここへ来たと言うことに一切の嘘なんてありませんよ。…………そこは、なんと言いましょうか、勘違いしないでください。輝夜がいなければ、私はオラリオに来ることはおそらくなかったでしょうから」
だからちょっと悲しそうな顔をするなよ。なんだか私が悪いみたいじゃないか。こんなに君に会いに来たと言い続けてるのになぁ…………。
「そんなに私が人斬りが好きな外道に見えますか?」
冗談めかして私が言うと、輝夜は鼻で笑った。
え? 私の気遣いを鼻で笑うとか酷いかないかな?
「貴方様の今までの所業を知っている人間なら皆、そう見えるとおしゃるに間違いありません。剣戟に魅入った気狂いでいらっしゃらないのでしたら、タケミカヅチ様に一太刀入れるまで挑み続けるなんてこと、されないと思いますがぁ?」
わざわざ口調を変えてまで答えてくれた。
「そう言われると何も言い返せませんね」
「それはともあれだ。夜切、なるべくでいいから殺すなよ」
「わかりました。ですから、そんなに念を押さなくてもいいんですよ? お世話になっているファミリアに加えて友人の頼みですから、しっかり守りますよ」
別に私は殺しがしたい訳じゃない。だからそこまで念押しをする必要はないはずだ。そんなに信用がないのか? 逆にこいつは殺すっていう風な信用をされてるとも言うのか……。
そもそも、私が切り結んできたのは自らの技に自信のある武芸者くらいである。…………それなりの頻度で盗賊を狩っていたのは否定しないし、皆殺しにしたことも否定できないけれどね。
ともかく、誰彼構わず切り付けると思われていたことを心外に思ってしまったのは仕方がないことであろう。
「輝夜! 夜切! 準備できたから行くわよ! 急ぎましょう!」
アリーゼさん達が、武器と防具を身につけて外へ出て来た。
皆表情を引き締めており、緊張感が漂っている。
「承知しました。…………輝夜、これが終わったらまた話しましょう。せっかく貴方に会いに来たのに、なぜだか未だにあまり話せていませんからね」
私はアリーゼさんの声掛けに頷き、彼女達に加わった。輝夜も私を見てため息をつくと「わかりましたわ。団長様」と言って混ざってきた。
こんな感じで行くのか。こういうのに参加したことなんて今までなかったから、不謹慎だが少し楽しみである。私は極東では基本的に一人で動いてたからね…………。
「全員揃ったわね? 闇派閥は魔石製品工場を襲撃中よ! 私たちは周辺に被害が広がらないように抑え込めること! 行くわよ!」
一斉に目的地へと走り出す。
ふむ。【アストレア・ファミリア】の面々は、極東の一般恩恵持ちよりも身体能力が高そうだ。彼らよりも走る速度が速い。私は恩恵を授かっていないが、日々の訓練のおかげでついていくことができている。人間の限界はまだまだ先である。恩恵がなくても技術で、努力で超えるのだ。
「そろそろ工場に着くわよ! 各自しっかり役割を果たしなさい!」
私は自分の配置を知らないのですが。
「ネーゼさん、私は工場に着きましたら、どなたに着いていけばいいんでしょうか?」
「え? ああ、夜切は私らと工場の外で逃げ出した闇派閥の捕縛だぜ」
「承知しました。ネーゼさんも一緒に頑張りましょう」
討ち漏らしを私が捕らえればいいということか。
私が工場内に入ったところで、どこに何があるとかいうのはわからないので妥当な配置だろう。工場内に混ざったら逆に迷惑をかけてしまいそうだ。
私の配置からすると、戦いたい気持ちはあるが、私の仕事が少ないほうがいいのは間違いない。
ようやく工場が見えてきた。破壊音が聞こえる。ところどころ壊れている建物もある。かなり破壊が進んでいるようだ。これ以上壊されてしまうと、再び製造を開始するのに時間がかかりそうである。
「突入するわ! 全員配置について!」
アリーゼさんの指示で各々が自分の配置へと移動する。
私もネーゼさん達についていき、指示を待つ。もっと早くに話を聞いていれば良かった。
「マリュー、イスカ、セルティは向こう側を! 私と夜切はこっちをカバーするよ!」
「「「了解!」」」
「承知しました」
あれ? 私だけ息があってないな。これが関係の差か……。
「夜切、私は奥の方を警戒する。手前側、こっち側は頼んだ!」
「お任せください。何人たりともこちらを通らせないようにしましょう」
「ダメそうなら逃げるんだぞ! 夜切は【アストレア・ファミリア】の団員ってわけじゃないんだからな」
「ええ。わかっています。最善を尽くしましょう」
ネーゼさんはかなり私のことを気にかけてくれているようだ。心配してくれているところ悪いが、私は今、気分が高揚してたまらない。ネーゼさんとの会話中も、口元が緩んでしまいそうで仕方がなかった。
ははは、ようやく戦うことができる。ようやく斬ることができる。本当に楽しみだ。
私は戦闘音と怒声が響く戦場を見ながら思った。
次はようやくオリ主くんが戦ってくれます。
どこかのタイミングで他者視点もやりたいけど難しい。
輝夜視点はちょこちょこ入れてたけど、どうしようかなあ
アーディちゃんについて
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爆死
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生かす