変態のフリーレン   作:ゼーリエ様が1番可愛い

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フリーレン世界エッチな魔法とかエッチな薬多すぎ問題
だいたいアウラ様のせい


変態のフリーレン

 

 

「うわああああああああああんっ!!」

 

 その日、世界を救った勇者──ヒンメルが天寿を全うした。

 

「うっ、あっ……ひ、ヒンメルぅぅう……!」

 

 蒼月草の花で溢れた棺桶の中で、安らかな寝顔を浮かべているヒンメル。そんな彼に語り掛けるように──縋りつくようにして泣き叫ぶ少女がいた。

 彼女の名はフリーレン。ヒンメルと共に魔王を倒した勇者一行のうちの1人──エルフの魔法使いだ。

 

「うっ、ぐすっ……ひっぐ……」

 

 ボロボロと涙が零れ落ちる。

 彼女は長命種族のエルフ。1000年以上生きた魔法使い。

 誰かと別れるのは初めてのことではない。どころか、普通の人間の10倍以上は経験している。

 

 それでも、溢れ出る悲しみを止めることができないでいた。

 

「なんで、エルフじゃないんだよぉ……なんで、人間の寿命は、こんなに短いんだよぉ……!」

 

 なぜ、フリーレンはここまで感情をあらわにしているのか。

 

 10年一緒に旅をした仲間だから? 

 ──それもある。

 

 長年連れ添ったパートナーだから? 

 ──それもある。

 

 しかし最たる理由は、ヒンメルが今まで出会った中で1番の美形だったからだ。

 1000年以上生きた人生で、1番のイケメンだったのである。

 

「世界の損失だああああああっ!!!」

 

 見た目相応──幼子のように慟哭しながらヒンメルの傍を離れようとしない彼女のことを、同じく勇者パーティーのメンバーであるハイターとアイゼンは、困ったような顔で見つめていた。

 

 

 

 ****

 

 

 

「なぁ、フリーレン」

 

 それは、ヒンメルが亡くなる少し前。

 勇者パーティーの4人で半世紀(エーラ)彗星を見ている時のことだった。

 

「僕はもうすぐ死ぬ。いくら世界を救った勇者でも、その事実だけは変えられない」

 

 唐突なその言葉に、フリーレンはギョッと目を見開いた。

 ヒンメルの横顔を見ながら、『老いて禿げたヒンメルもやっぱりかっこいいな〜』と思っている最中だったので、まさに不意打ちだった。

 

「でも、君の人生は続いていく。これから100年か、1000年か、もっと長くか……ずっと、ずっと、続いていく……」

 

 そんなこと、フリーレンは言われるまでもなく分かっていた。

 ここにいる誰よりも。人間の誰よりも。そのどうしようもない事実をはっきりと理解している。

 

「僕は死んでまで、君を縛りつけたくはない。もう十分いい思いはさせてもらった。君と居られて幸せだった。だから……」

 

 流星を見上げながら、ヒンメルは言う。

 

「だから……僕のことは忘れて、幸せになってほしい」

 

 そのかっこつけたセリフに、フリーレンはぶふっと吹き出した。

 

「……笑わないでくれよ。僕は真剣な話をしているのに」

「いや、相変わらずのかっこつけたがりだと思って」

「当たり前だろ。最後くらい、誰だってかっこつけたいと思うものさ」

 

 二人で並んで星空を見上げる。

 ハイターとアイゼンは空気を読んだのか、少し離れたところで流星を眺めていた。

 

「ねぇ、ヒンメル」

「なんだい、フリーレン」

「……未亡人って、ちょっとエッチだと思わない?」

 

 今度はヒンメルの方が吹き出す番だった。

 

「ふふっ、そうだな。そうだよな。……君は、そういうやつだ」

「うん、私はこういうやつだよ」

 

 今も昔も変わらない。

 いや、今は昔に比べ、より進化している。

 

「まあ、安心してよ」

 

 フリーレンが横を向く。

 少し遅れて、それに気づいたヒンメルも流星から目を離した。

 二人の視線がかち合う。

 

「少なくともあと1万年くらいは、ヒンメルの死を引きずりながら生きていくからさ」

「……そっか」

 

 ヒンメルは困ったように、それでいて少しだけ嬉しそうに笑った。

 

「ありがとう」

 

 その言葉はあまりにも小さく、フリーレンの耳に届くことはなかった。

 

 

 ****

 

 

 

「なんてかっこつけてはみたものの、実際にヒンメルが死んじゃったらこれだもんなぁ」

 

 国をあげての盛大な葬式後。

 ハイターとアイゼンに宥められてようやく落ち着いたフリーレンは、まっさらに晴れた空を見上げながら独り呟いた。

 

「はぁ……とりあえず、10年くらい引き篭ろ」

 

 

 

 ****

 

 

 

 ヒンメルの死から20年後。

 中央諸国、聖都シュトラール郊外。

 

「まだ生きてたんだ。生臭坊主」

 

 フリーレンは勇者パーティーの1人──ハイターの元を訪れていた。

 

「はっはっは、かっこよく死ぬのも難しいものですな」

「ヒンメルの葬式があった日、もう顔を見るのも最後になるだろうって言ってなかった?」

「はて、そんな昔のことは忘れましたな」

「たった20年前だよ」

 

 手土産を渡しながら、フリーレンはハイターの家にお邪魔する。

 

「その調子で、私のためにも長生きしてね」

「はっはっは、確約はできませんね」

 

 すっかり老体となったハイターを介護するように椅子に座らせ、その対面に着席。目の前に置かれたティーカップに口をつけながら、フリーレンはここに来るまでの間ずっと気になっていたことをハイターに尋ねた。

 

「で、この子は?」

「フェルンと言います。南側諸国の戦災孤児だった子です」

「ふーん」

 

 ジロジロと、無遠慮にフェルンを観察するフリーレン。

 その視線に居心地の悪さを感じたのか、フェルンはハイターを盾にするようにしてその背後へと隠れてしまう。

 

「フリーレン、1つお願いがあります」

「いいよ。ハイターにはたくさん借りがあるからね。死んじゃう前に返しておかないと」

 

 ハイターの言葉に、フリーレンは即答した。

 

「で、お願いってのは?」

「フェルンのことです。彼女には魔法の才能があります。あなたの弟子にして、旅に連れて行ってはもらえませんか?」

「分かった。引き受けよう」

 

 これに対しても、フリーレンは即答した。

 

「報酬は──」

「いいよ、そんなの。言ったでしょ? 借りを返すって」

「そうですか……。ではこの『お酒を媚薬に変える魔法』は要らないということで──」

「待って欲しい凄く欲しい貰えるものは貰った方がいいと思うんだありがとう」

 

 もはやひったくる勢いで、フリーレンはハイターの手から魔導書を受け取った。

 媚薬が何か分かっていないのか、フェルンは首を傾げている。

 

「それにしても……」

 

 これから自分の弟子になる予定の少女を見つめながら、フリーレンはウンウンと頷く。

 

「かなり可愛いよね。将来が期待できそうだ」

「……頼む相手を間違えましたかね」

 

 フリーレンはイケメンが好きだ。しかし美少女や美女もまた同様に好きだった。

 有り体に言えば、ルッキズムが服を着て歩いているような女だった。

 

 それでいて性癖も拗らせているのだから手に負えない。

 

 フリーレンのことをよく知るものは彼女のことをこう呼ぶ。

 

 

 

 ──変態のフリーレン、と。

 

 

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