変態のフリーレン   作:ゼーリエ様が1番可愛い

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裸で温め合う方法

 

 

「シュタフェルは正義って、こういうことだったんだね」

「……何の話ですか?」

「昔、ある人に言われたんだよ。私はその人に、色々なことを教えてもらったんだ。マイナーな性癖のこととか、気持ちいいエッチの仕方とか、色々と……本当に色々とね……。今の私があるのは、間違いなくその人のおかげだよ」

「はぁ……」

 

 なんてことをしてくれたんだ──と、フェルンは会ったこともない人物に向かって心の中で恨み言をぶつけた。

 

「そのある人というのは……?」

 

 フリーレンは懐かしそうに、目的地と反対の方向を振り返りながら言う。

 

「南の勇者だよ」

 

 

 

 ****

 

 

 

 勇者ヒンメルの死から28年後。

 北川諸国デッケ地方。

 

 旅の途中で猛吹雪に襲われたフリーレン一行は、昔の知識を頼りに避難小屋を目指していた。

 

「あった。まだ定期的に管理されているみたいで助かったね」

「人の気配がしますね。先客がいるのでしょうか」

 

 代表して、フェルンが中の様子を確認する。

 

「ふんッ! ふんッ! いい、いいぞぉ! 温まってきたぁ!」

 

 そして、開けたばかりの扉を、バタンとすぐに閉めて小屋から離れた。

 

「フリーレン様、ここはダメでございます。他を探しましょう」

「えー、なんで?」

「中に変態がいるからです」

「変態って……私より?」

 

 フェルンつい今しがた見た光景を思い出した。

 小屋の中。上半身裸。スクワットをする男──。

 

「……いえ、それはないと思います」

「最近、フェルンって私に対して辛辣になってきたよね」

「そうですか? 最初からだと思いますけど」

 

 その会話の通してフェルンは疑問を覚えた。たかが上半身裸でスクワットをしていたくらいで、なぜ変態呼びなどしてしまったのか──と。

 これが仲間の魔法使いエルフなら、全裸でレッグレイズをやっているところだ。

 それに比べたら上裸スクワットなど、どう考えたって常識の範囲内。

 フェルンは短絡的な思考を反省した。どうやら寒さで頭がおかしくなってしまっていたらしい。

 

「お邪魔します」

 

 眠りに落ちてしまっているシュタルクを引きずりながら、フリーレンとフェルンが小屋に入る。

 そんな彼女たちを出迎えたのは、鍛え上げられた筋肉を持つ男性のエルフだった。

 

「お前、エルフか?」

「うん。そっちもエルフだよね」

 

 男とフリーレンのやり取り。

 それを聞き、フェルンは男から距離を取った。

 

「どうして逃げる」

「だって、エルフなんですよね? 大丈夫ですか? いきなり襲ってきたりしませんか?」

「嬢ちゃんはエルフのことをなんだと思ってるんだ」

 

 困ったような顔になっている男のエルフから視線を逸らし、フェルンは説明を求めるように同じエルフであるフリーレンを見た。

 そんな彼女は、ちょうど自らの服に手を掛けているところだった。

 

「とりあえず、服を脱ごう」

「ほら、こんな感じに」

「なるほど、説得力の塊だ」

 

 2人の目線なんか気にした様子もなく、フリーレンはあっという間に下着姿になる。

 更に、そこで満足すると思いきや、今度はその下着すらも脱ぎ始めてしまった。

 

「吹雪で濡れた服を脱がないと風邪引いちゃうよ」

「いえ、中まで濡れているわけではありませんので、そこまで脱ぐ必要はないと思います」

「フェルンは見聞が狭くて知らないかもだけど、こういう時は裸で温め合うのが一般的なんだよ」

「……本当ですか?」

 

 フェルンは疑わしげに自分の師を見やった。

 フリーレンは自分の都合のいい展開にするためだけにしょうもない嘘をつく時があることを、弟子である彼女はよく知ってた。

 

「うわっ、さむ。なんで暖炉ついてないの?」

「バカなんですか?」

「確認してから脱げよ」

 

 魔法を使い、薪に火を灯すフリーレン。

 裸で杖だけ持つというのは、何ともアンバランスな姿だった。

 

「ほら、フェルンも早く脱ぎなよ」

「いえ、私は……」

 

 フェルンが躊躇う素振りを見せる。

 ここにいるのがフリーレンとシュタルクだけならば、問題なく服を脱げていたかもしれない。しかし今この場には、初対面の相手もいる。しかも異性。むしろ躊躇するのが当然の状況だった。

 

「大丈夫だよ。エルフは性欲が無いに等しい種族だからね」

「フリーレン様が言っても嘘にしか聞こえないんですけど……」

「ほら、私は特殊だから」

「自覚はあったのですね」

「まあね」

 

 言いながら、今度はフリーレンは寝ているシュタルクの服を剥ぎ取り始めた。

 

「フェルンが脱がないなら、私がシュタルクと裸で温め合うことになるけど、それでもいいの?」

「……ヒンメル様に操を立てるという話はどうしたんですか?」

「人命がかかっているからね。ヒンメルも許してくれると思うよ」

「……はぁ」

 

 フェルンが諦めたようにため息をつく。

 

「分かりました」

 

 そして、フリーレンと同じように、その場でシュルシュルと服を脱ぎ始めた。

 当然恥じらいはあるため、エルフの男に背を向けながらだが……それでも、上着のみならず、下着までしっかりと脱衣していた。

 

「えーと……そういえばまだ名前聞いてなかったね」

「……武道僧(モンク)のクラフトだ」

「私は魔法使いのフリーレン。よろしく」

 

 友好的な握手を交わしながら、フリーレンは提案する。

 

「それで悪いんだけど、クラフトも服を脱いでくれる?」

「すでに脱いでいるが……まさか下もか?」

「もちろん。私は下も脱いでるよ?」

 

 その格好でなぜ自信満々でいられるのかクラフトには疑問だった。

 しかも、チラリと横を見れば、フリーレンだけでなく残りの2人も裸になっている始末──。

 

「……分かった」

 

 なんて3人組がやって来てしまったんだ──と、心の中でそう嘆きながら、クラフトは自らのズボンに手を掛けた。

 

 

 

 ****

 

 

 

 パチパチと、火が爆ぜる音が小さく響く中──。

 

「……フリーレン。俺は、エルフに会うのはおよそ300年ぶりだ」

「そうだね。私も友達のエルフを除いたら、同族に会うのはかなり久しぶりかな」

 

 2人のエルフが、人間2人を挟んで言葉を交わしていた。

 

 現在は裸の男女が4人並んで横になり、毛布で暖を取っているところだった。

 男と肌を合わせるのが夫に対して申し訳ないと思ったフリーレンが端っこで、その隣に女性のフェルン、その更に横にシュタルク、クラフトと続く形だ。

 

「同族に会えただけでも奇跡だっていうのに、それがまさかお前みたいなやつだとは思わなかった……」

「ふふっ、褒め言葉として受け取っておくよ」

「いや、断じて褒めてはない」

 

 何千年と生きているクラフトでも、こんなエルフに会うのは初めてだった。

 異端中の異端であることは間違いない。

 

「だが、もしもエルフを絶滅の危機から救えるやつがいるとしたら、それはフリーレン……お前みたいなやつなのかもな」

「身篭ったことはないけどね」

「……意外と奥手なのか?」

「人間相手にそういう行為は何千回としてきたけど……やっぱり、人とエルフの間に子供はできないのかな」

「ああ……俺も人間とエルフの間に子供ができたって話は、一度も聞いたことがないな」

「それは残念」

 

 残念と言いつつも、そこに悲観的な感情は見受けられない。

 フリーレンにとって、その事実はとっくの昔に受け入れたことなのだろう。

 

 ──それに、子供ができたらエッチなことに制限がかかるし。

 

 そんな内心を、会ったばかりのクラフトが察せるわけもなかった。

 

 

 

「ん、んうぅ…………ん?」

 

 と、その時。

 身体が温まったからか、それとも話し声がうるさかったからなのか、シュタルクがうなされるように目を覚ました。

 

「…………え、何この状況」

 

 右を向けば知らない裸のおっさん。

 左を向けばよく見知った裸のフェルン。

 そして自分もすっぽんぽん。

 

 困惑するのは当たり前だった。

 

 

 

 ****

 

 

 

「もうすぐ半年になるな」

 

 北側諸国の冬は長い。

 フリーレンたちが小屋で吹雪を凌ぐことを決めてから、それだけの月日が流れていた。

 とはいえ、エルフにとっては瞬くように短い時間ではある。

 

「フェルンとシュタルクは今日も?」

「うん。たぶん、絶賛ヤっている最中だと思う」

「そうか……。お盛んなのはいいが、避妊には気をつけるよう言っておけよ」

「大丈夫。そのための魔法も教えてあるから」

 

 小屋には2時間ほど戻らないと伝えてある。

 帰る頃には、フェルンはツヤツヤとなり、シュタルクはクタクタになっていることだろう。

 

「2人はいつからああいう関係なんだ?」

「つい最近だよ。ちょっとお互いを異性として意識する出来事があってね」

「ほう。窮地を助けられたとかか?」

「いや、裸の見せ合いっこをしたんだよ」

「……若いなぁ」

 

 まさかあの純粋そうな2人がそんなことをしていたとは。

 クラフトは遠い目で空を見上げた。

 

「パーティー内恋愛は大変じゃないか?」

「そうだね。どうしても2人にあてられて、ムラムラしちゃうことはあるかな」

「そういう意味で言ったんじゃないんだけどな」

「そういう時は2人の行為を覗きながら、1人で発散するようにしてる」

「そうか。交じらないだけ温情かもしれないが……でも、できれば覗くのもやめてあげろよ」

「『壁を透視する魔法』ってのがあってね」

「そうか。やめる気はないんだな」

 

 クラフトは年長者としての役割を放棄した。

 木彫りの女神像をせっせと作り進める。

 

「そういうクラフトは、私やフェルンを襲いたくなったりはしないの?」

「俺はエルフだからな」

「私もエルフだよ」

「正直、俺はお前が本当にエルフなのか疑わしく思っている」

「半年も一緒にいて? よく見てよこの耳。どこからどう見てもエルフでしょ」

「そうかもな」

「そうなんだよ」

 

 それから、会話も一段落つき、フリーレンは手持ち無沙汰になってしまった。

 クラフトは作業に集中してしまっているし、約束の2時間まではまだかなり時間が残っている。

 覗きに行くことも考えたが、2時間は戻らないと約束してしまった手前、その言葉を簡単に裏切るのは憚られた。

 嘘というのは使い所が大事なのであって、頻繁にやるようでは意味がないのである。

 

「……よし」

 

 結果的に、フリーレンの取る行動は決まっているようなものだった。

 

「……おい、なぜ服を脱ぎ始める」

「私はこれから1人でするから、クラフトはそれをじっと見ていてくれればいいよ」

「やめろ。というか寒いだろ」

「それも野外プレイの醍醐味だよね」

「頼むから話を聞いてくれ」

 

 その後、森の中に少女の嬌声が響き渡った。

 

 

 

 ****

 

 

 

「俺はこっちだ」

 

 そして、出会いがあれば別れがあるように、その時は必ずやってくる。

 

「フリーレン、今生の別れとは思わん。何百年後かに、またな」

「うん、その時は一緒にエッチなことしようね」

 

 フリーレンの申し出に、クラフトは挙げていた手を戻し、呆れたような笑みで答えた。

 

「それは断る」

 

 控えめな膨らみも、その上に鎮座する小粒な桜色の蕾も、銀色が添えられた魅惑の割れ目も、瑞々しいロリボディも、どうやらエルフの男を欲情させるには不足していたらしかった。

 

 





クラフトとゼーリエの子供は絶対強いと思うの
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