ポンコツ力写札使いの報告書   作:猫の手

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あんまし出来が良くなくて不満足。駄文です。

満足を取り戻さなければ


1話:紅蓮魔獣ダイーザ 一本立ち打法

 

 聖練国の片隅にある寂れた農村―――その外れ。共同墓地。

 

 遠くへ旅立つのだろう。旅支度をした少年がと小さな墓にの前に立っていた。墓地には彼以外誰もいない。旅立つ前の別れを告げるように少年は墓に向かて語り掛ける。少しだけ申し訳なさそうに許しを請うように

 

「爺さん、わりぃな。オレも他の兄弟たちと一緒にこの村を出るよ。ちょっと、長兄についていけねぇわ。」

 

 左手に備え付けた古びた―――しかしキチンと整備をされているデュエルディスクを撫でる。言い訳をするように長兄のやらかしを愚痴る。

 

「独立するために貯めている金を奪おうとするわ。無茶な命令をするわ。挙句の果てにデッキを奪おうとするわ。――…爺さんがいなくなってから好き勝手やっているよ。」

 

 少年にとってはそのデッキは老人から譲ってもらったモノであり、時間をかけて練り上げた己の魂である。金を奪おうとするだけなら殴り倒して終わらせただろう。だが、デッキを奪おうとしたなら駄目だ。それだけは許せないし認めるわけにはいかない。とりあえず、他の兄弟と共謀してボコボコにして簀巻きにした。いろんな人に嫌われているから明日までは大丈夫だろう。

 

「前世の記憶もっているってのもいいことねぇよな。モンスターは凶暴だわ。4年に一度アホみたいな大襲撃があるわ。―――盗賊どもが襲撃してくるわ。これでデュエルが無かったら、絶望してたわ。爺さんからデッキ貰ってなかったら首吊っていたぜ。」

 

 爺さんへの感謝とこの救いようのない世界への愚痴を指を折りながら数え上げる。ほんとどうしてここまでくるっているんだろうなこの世界は

 

「とはいっても、爺さんから貰ったデッキは紙束だったんだぜ。相性の悪いテーマのニコイチはないと思ったよ。いや、通常モンスターだらけじゃない分マシだったとは思うけどさ。」

 

 色々と検証をして……それが分かったときちょっとだけキれかけたのは秘密である。ただまぁ、貰っている手前、愚痴を言わけにも言うまい。そこからはデッキ改造の日々である。

 

「でもな。悪くない部分もあったぜ。リアルなモンスターを召喚できるデュエルとかさ。この村の人たちだってごく一部を除いて悪い人たちばかりじゃないし、"力写札"でモンスター退治を手伝えば、誉めてくれたしさ。デュエルの大会にも参加できたし―――村の女の子の視線が怖かったけど」

 

 "力写札"を使い戦闘力が高めの少年は小さな村の中では非常に有望株だった。少し我儘を言って近くの街でやっていたデュエル大会に出て割と良い成績を収めた。仕留めたモンスターをばらして焼肉大会をしたり、楽しい思い出は多かった。このままこの村で平凡な日々を過ごすのだろうと思っていたのだが

 

「―――爺さんがもう少し長生きしてくれればなぁ」

 

 爺さんが死んでから家を継いでから本当に横暴さが酷くなった。この村では家長の権限が強い。横暴な長兄といえども逆らえず、故に兄弟たちは皆ついていけなくなり、今日村から出ていくのだ。村人たちに見つかれば必死に止められるだろう。だから夜逃げのような形をとる。残された長兄がどういう風な目で見られるかは知ったことではない。

 

 墓の入り口に少年と同じように旅支度をした男が現れる。少年に気が付いたらしく声をかけた。

 

「ユサ。そろそろ行くぞ」

 

 少年―――ユサは旅支度をした男の声に手を振ってこたえる。時間切れである。後ろ髪を引かれるような思いを振り切りおそらく最後になるであろう別れの挨拶をする。

 

「じゃぁな。爺さん。多分もう来れないと思うけど」

 

 この日、小さな寒村から3人の少年たちが立ち去った。ユサは次兄達としばらく一緒に旅をした後、"逆レ→結婚"の犠牲者が出たりなど、色々あって分かれることになった。女性には気を付けようというのがそれが別れ際に兄弟たちと交わした言葉である。

 

 

 

 

 

 

 

 亀のゲーム屋2号店――アルカトラズの街ではそこそこ大きな老舗として知られている。店長は店を孫夫婦に譲り、隠居をするつもりでアルカトラズに来たらしいのだが、残念なことにアルカトラズは開拓がはじまったばかりの小さな街であった。

 

 隠居をするという贅沢など許されるはずもなく、亀のゲーム屋2号店を経営する羽目になった。顔も広く、個人的なツテで商品を入手できるため、この村になくてはならない店へと発展をしてしまった。欠点としては個人のツテだけで商品を入手しているため、商品に偏りがあり、流通経路が細いのが欠点である。また、店長は優秀なデュエリストのため力写札の品揃えがよい。

 

 Cランクなりたてのユサにとってはとてもありがたい店であった。依頼を受ける傍らちょこちょこと足りないカードを身に来たり、お金を貯めて買ったり、デュエルについて熱い意見を交わしたりしている楽しいお店である。

 

 ユサはそんなゲーム屋とは名ばかりの何でも屋となっている亀のゲーム屋2号店に少し前に修理依頼をした皮鎧を受け取りに来ていた。受け取った防具を袖に通し、一通り軽く体を動かして問題がないことを確認。それを店員に報告する。

 

「んー良い感じだ。新品みたいになってる」

 

「それは良かったわ。修理した職人さんにも伝えておくわね。若手の子だから、誉めてあげないといけないし」

 

「お店の人も大変だね」

 

 ユサの相槌にそーなのよねーと店番のお姉さんが苦笑する。小さい街のため職人の数は少なく、外部から来てくれる変わりだめは基本的にいない。故に今いる人材を育ている必要があるのだ。商店としてもえり好みをできる環境ではないので協力して育てているのだ。ある程度自給自足できなければ干からびてしまう。世知辛い世の中である。

 

 ちなみに小さな村だけに有能な人材も少ない。亀のゲーム屋2号店の店長は非常に優秀だったため、色々と仕事を振り分けられてブラックな日々を過ごしていた。店長は暇があれば、お手紙を書いて人材を招こうとしている。しかし、残念なことに手紙からあふれる濃密なブラック臭が勘の良い知人たちに察知され逃げられているらしい。

 

 ユサは防具以外に依頼をしていた商品について、届いたかどうかを確認する。"力写札"を扱う店長のツテであれば集まるだろうと予想して依頼をしていたが、最近入荷が滞っているらしく、遅れ気味となっていた。

 

「―――デュエルディスクは入荷した?シンクロ召喚に対応している奴がほしいんだけど」

 

「ごめんね。デュエルディスクは届いてないわ」

 

 ユサはガックシと項垂れる。店員も申し訳なさそうだ。"力写札"関係は使い手が少ないのでなかなか手に入らない。ただ、ここの店長は優秀なデュエリストなので品揃えも良い。小さい街ゆえに流通の問題で入手の難易度は高いのだが、細々とであるがどうにか入手できるのだ。とはいえ、時間がかかり過ぎているように思える。

 

「店長がそろそろ原因について調査するといっていたわ。多分冒険者ギルドとかに依頼を出すんじゃないかしら?」

 

「そりゃぁありがたい。早いとこ解決してほしいなぁ」

 

「どこかの街道でモンスターが大量発生したか、盗賊が出たか。じゃないかしら、すぐ解決すると思うわ」

 

 店員は気楽そうにそう答える。まぁそうでなかったら街が干上がって終わるのだけど、

 

「ほんと、それ祈っておきますよ」

 

 ユサは店員の気休めに対して、嘆息。冒険者の飯のタネになるのでありがたいが自分の注文したデュエルディスクが入荷しないのは悲しいなどの複雑な気持である。自分の不幸が飯のタネになるのは笑えない。

 

 シンクロデッキを作るのはしばらくお預けである。せっかく店に来たのでとシングル売りをしている"力写札"を確認する。圧倒的に多いのは通常モンスター、レアリティが高いといわれるモンスターは取り扱いがない。ユサもレアリティが高い"力写札"は1枚しか持っておらず、それは限定条件での逆転の札である。

 

 故に基本的にはレアリティが低いカードを集めてデッキを作らなければならないのだ。持たざる者の悲しさであるが贅沢などは言っていられない。カードのリストを確認。

 

「"潜海奇襲Ⅱ"は買っとくかなぁ」

 

「ユサ君のデッキだと使えないんじゃない?」

 

「今のだとね。新しいデッキも作ろうと思ってる」

 

 この世界の"力写札"使いは一つのデッキを極めるってタイプのが多いが、前世の記憶があるユサはそこらへんにあまりこだわりがない。もっともレアリティの低いカードで組んだデッキが一つだけでは詰むケースも想像できるので複数のデッキを組んでおきたいのだ。

 

 "潜海奇襲Ⅱ"は海をテーマにしたデッキを作るのであれば便利なカードである。他に安くて使えそうなカードを選んでから冒険者ギルドへと向かう。防具の修理が終わったばかりだから今日は仕事を受けるつもりはないが、次の仕事を探す必要はあるし、特に見つからなければ他の冒険者たちとだらだらと駄弁ればいい。

 

 金のない冒険者たちが暇を潰せる数少ないスペースは冒険者ギルドしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 冒険者ギルド『旅人の試練』 

 

 ギルドマスターは亀のゲーム屋2号店の店長だ。ギルドマスターをしているときは額に6の数字が書かれたマスクをして顔を隠している。その時の名前はマスク・ザ・ロック。

 

 中二病というのは老人になっても終わらない人がいるのだと確認させられる。孫夫婦が見たらどう思うだろうか。ちなみに受付のお姉さんは中華風のスタイルの良い美人である。孫夫婦が見たら(以下略 

 

 そんなちょっと孫夫婦に見せられないギルドマスターはユサに気が付いたのか声をかける。

 

「おお、ユサくん、良く来たの。今日は防具を取りに行くのではなったのか?」

 

「修理は問題なかったからあっさり終わったよ。時間が余ったから、こっちに寄ったんだ」

 

 マスク・ザ・ロックは好々爺といったギルドマスターのため慕う人間は多い。ユサの言葉にそうかそうかと頷く。マスクが怪しく、胡散臭さと好々爺は同居するんだなぁとどうでもよい理解をしていた。そして、嘆息してこう告げる。

 

「たださ、デュエルディスクの入荷がなくてね」

 

「ふむ―――ユサくんが待ちぼうけを喰ってから大分経過しておるの。他にもいろいろと届いていないアイテムがあってのその件については現状調査中じゃ」

 

「早く解決すること良いな」

 

 既にギルドマスターは既に依頼を出しているようだ。小さな街だけに流通が滞るのは死活問題になる可能性が高い。調査の得意な冒険者に依頼をしているのだろう。冒険者ギルドの食堂に向かうと奥のテーブルで寛いでいる見どころのある初心者を鍛えることを趣味としている冒険者―――通称『センセイ』がいた。

 

 今はユサも面倒を見てもらっているのでセンセイの居るのテーブルへと向かう。

 

「早かったな。装備の更新は完了したか?」

 

「いーや、防具の修理は終わったけどデュエルディスクは入荷していなかったよ。」

 

「ああ、物流が滞っているらしいな。それに関するかどうはか不明だが仕事がある――――とりあえず、レッドアイズグレイを淹れてくれ」

 

 レッドアイズグレイとはブルーアイズマウンテンと並ぶクソ高い紅茶である。愛好者は多くおり、ブルーアイズマウンテンの愛好者とマウンとの取り合いをするものも多々いる。

 

 そういうとセンセイはレッドアイズグレイを淹れるように要求する。前世でとった杵柄―――茶道楽でもあったユサは水のブレンドからやるタイプの凝り性だった。キッチンへと向かうと水をいくつか購入し味を確認。それらをブレンドして料理人を兼務している受付のお姉さんに湯を沸かすようにお願いする。

 

 受付のお姉さんは快く引き受けると水のブレンドについての質問を投げた。

 

「前とレシピが変わってない?」

 

「少し味が違っていたから調整したんだよ。」

 

 その言葉を聞いてむーっと唸る。水の味、水の味と呟く受付のお姉さん。まぁ、茶道楽でもない限り分からない話だろう。沸いたお湯でジャンピングをしてお茶を淹れるとセンセイの元に運ぶ。

 

 センセイはそれを受け取り一口飲むと満足そうに頷く。ちなみにセンセイが言うところのユサの見どころはお茶を淹れる腕前である。レッドアイズグレイを飲んで人心地着いたのか表情を変えると仕事の話を始めた。

 

「やっぱり、美味いな―――じゃぁ、仕事の話をするぜ。簡単に言うと山奥で発見された山小屋の調査だ。街の外はモンスターが多くいる。遺跡だったら別に不思議でもないんだが、明らかに手作り感満載の小屋だったらしい。分かっていると思うが、これは異常だ」

 

 センセイの言葉にユサは頷く。モンスターにいつ襲われてもおかしくない場所の山小屋。明らかに異常である。気になることもあるがセンセイの言葉を最後まで聞くことにする。

 

「盗賊の可能性もあるからな。領主様が兵士に命じて街の中に怪しげな奴がいないか調査をしている。そちらは任せておけばいい。俺たちの仕事は山小屋の調査と盗賊がいた場合は可能であれば殲滅だ」

 

「ん~契約内容はどうなっているの?出発はいつ?」

 

 仕事の内容は単純化されている。あまり時間をかけてよい依頼ではない。そのため、ユサは契約内容とスケジュールを確認する。センセイは仕事の契約内容が書かれた紙をユサの前に置く。さっと目を通し問題ないことを確認。依頼の内容は山小屋の調査。盗賊を倒せればボーナス。そんな感じの一般的な依頼だった。

 

「そう遠くねぇからな。明日の日の出とともに出発して調査をするつもりだ。寝坊するなよ。後、数日はかかる可能性もある野宿の準備もしておけ」

 

「了解。センセイこそ呑みすぎないよーにね」

 

 そう返す。生意気な奴めと言いたげなセンセイがレッドアイズグレイを再び飲み始める。明日の早朝の仕事があるのであれば準備をしなければならない。今までは単純なモンスター退治だけだった。調査を含む仕事は初めてである。少し緊張しつつもユサは明日の支度をするために宿へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の早朝、ユサはセンセイと合流し山小屋へと向かう。アルカトラズからそんなに離れていないのは楽で良いが、街に住んでいる人間としては不快である。どういう意図かは不明だが喉元に武器を突き付けているわけのわからない相手がいるということなのだから……

 

 魔具を使用しスピードを上げて山を駆け上がる。可能な限り音をたてないようにモンスターに気取られないように無言でセンセイの後を追いかける。だからと言って周囲への注意を切らすことはできない。センセイとの仕事は平時で習ったことがどこまでできるかの試験でもあった。

 

 少し汗ばんで域が乱れてきたころ、センセイが動きを止める。それに合わせて速度を落とし足を止めると遠くにぼんやりと茶色い小屋のような物体が見えた。前世と違い今の体は身体能力が高いがそれでも違和感を感じる程度の距離だ。センセイははっきり見えているのかじっと山小屋を見ていた。 

 

「センセイ、アレかな?」

 

「ああ、アレだな。望遠ができる魔具を準備しろ。後走り込みが足りねぇな。増やせ。」

 

「―――ぐぅ、了解」

 

 がっくりと項垂れつつも荒い息を整える間もなく、望遠鏡の機能を―――正確に言うと双眼鏡に映った像の明るさを明るくすることができるだけの機能を持つ魔具を取り出す。倍率もそんなに高くない安物の魔具であるが人の目で見える範囲の距離を観察する分には及第点程度の性能を持っている。等級としてはDランクで元々は観劇を見るために作られたそうだ。

 

 双眼鏡の視界にはボロボロの薄い板で作った明らかに素人作業の小屋がくっきりと映った。見える範囲に見張りらしき人間はおらず、窓も板で閉じられている。どこかに出かけているのだろうか?ただ、板と板の間も隙間が多く中が見える。隙間を見る限り中に人はいなさそうだ。ユサは視覚から得られた情報をセンセイに伝える。

 

「あの山小屋っぽいのはベニヤ板を素人作業で組み立てた感じだね。薄っぺらそーで直ぐ崩れそう。後、板と板の間に隙間が結構あるんだけどそこから中を見る限りは誰もいないっぽい。あと、窓も閉められていて、見張りも見えないよ。」

 

「おう、了解。奴さんたちは出かけたかね。もう少し近づいて音と残留オドを拾ってみるか。それで何もなけりゃ押し入るぞ」

 

 ユサの情報を聞いた先生は判断を下す。小屋から死角になる位置を経由しながらゆっくりと移動を始める。移動をしながら先生は視覚以外の機能を強化する魔具と属性検知器を取り出して確認をする。小屋の中の残留オドと周囲環境との差異、聴覚と嗅覚を強化する魔具を使いながら多角的な確認を行う。

 

 最終的にはユサにも教えるつもりだが、魔具としては安いのだが安い買い物ではないのだ。もう少し金を稼いでからの方がよいだろう。

 

 心音などを含めて小屋から音は聞こえず、鼻の曲がる匂いに顔をしかめつつも匂いの元が小屋から獣道を通って移動したことも分かった。嗅覚を強化すると鼻が曲がるから好きではないのだが仕事のときにそういうことも行っていられない。属性検知器も残留オドが薄れていっていることを指示しており、高確率で小屋の中に人がいないことが分かった。センセイは得られた情報をユサに伝える。

 

「どうやら、小屋の中には誰もいなさそうだ。まあ100%確実というわけではないが……」

 

「了解。油断をするなってことだね。」

 

「そーだ。俺たちの想定外の方法で隠れているケースもゼロじゃねぇしな」

 

 慎重には探知をするべきだが過信をするなよと釘を刺す。不測の事態で危機の結果と違うということは多々あるのだから。注意喚起をした後センセイは剣を抜く。結局のところ押し入らなければ調査はできない。勝手にアルカトラズ近郊に山小屋を作る奴だ切り殺したところで問題にはならない。

 

「さてと、押し入るぞ。念のため"力写札"は準備しておけ、お前はそれ以外はまだダメダメだからな。」

 

「了解」

 

 からかうようなセンセイの言葉にユサは少しむっとするが仕方ない。事実だし。センセイはそういうと不意打ちを食らわない位置を陣取り、ドアに罠がかけられていないか調査を始める。――罠はない。そう判断を下し、そっとドアを開けた。どうやらドアには罠がなく、中には誰もいなかったようだ。

 

 センセイは内心安堵する。この答え合わせの時間が一番心臓に悪い。油断することなく内部を観察し押し入れば、そこはボロボロの布切れと大きな箱が置かれているだけの汚い殺風景な部屋であった。酷く臭い部屋である。思わず顔をしかめてしまう。こんなに強烈なにおいを発しているのでは、そのうちモンスターが襲撃するだろう。

 

「臭っ」

 

 顔をしかめたユサが思わず感想を漏らす。センセイはその言葉に仕方ないと思いつつも警戒を緩めないように注意をする。 ちなみにセンセイは匂いが酷いことが分かっていたので魔具である程度以上強い匂いは嗅がないように細工をしていた。お金のある大人の知恵である。そんなことをおくびにも出さないのも大人としての面の厚さだろう。

 

「臭ぇのは確かだが、警戒は緩めるな。こういう現場は多い。そのうち慣れる。」

 

 涙目になりつつもユサは周囲への警戒を緩めてはいなかった。そのことにセンセイは満足しつつ、部屋の調査をする。残留オドをチェックすると周辺とは違う属性値が検出されている。残留量から判断するに毎日のように利用している誰かがいるのは間違いないだろう。

 

 あまり時間をかけるわけにもいかないが、箱に罠がないかチェックしつつ開けてみる。中には魔具や宝飾品などが入っていた。真っ当な手段で手に入れたとは思えず、おそらく奪ったものだろう。盗賊の山小屋であることが確定した。証拠品は持ち帰らなければならない。センセイはユサに指示をする。

 

「証拠品を押収する。周辺の警戒は任せたぞ」

 

「了解。早めにしてくれよ」

 

 ユサの返事を待つことなく【バッカーLv2】の技能を用い箱の中のアイテムで証拠品として使えそうなものをとザックの中に詰め込んでいく。センセイが冒険者になる前によくやった作業である。手慣れた手つきで手早く証拠品を押収していく。数分で証拠品をザックに詰めると押収したことがばれないようにアイテムを再配置、周囲を警戒していたユサに指示を出す。

 

「証拠品は押収で来た後はこの山小屋を根城にしている盗賊の確認だ。監視できるポイントに移動するぞ」

 

「了解、手慣れているね。センセイ」

 

「そりゃぁ、年の功ってやつさ」

 

 慣れている理由をごかましつつ、これ以上この山小屋の中にいる意味はないため、監視できるポイントへと移動を始める。少なくとも盗賊がいることの確認が取れれば仕事は完了である。ボーナスになる証拠品もあるので問題はないだろう。

 

 監視ポイントは小屋から見つかりにくく、見つかったとしても逃げられる程度の距離の場所だ。お粗末なやりなためここまでの警戒は不要かもしれないがユサに対しての指導も含めているのできっちりとした対応していた。確認が取れたらそのまま帰るか殲滅である。センセイは干し肉を齧りながら、短期間の勝負になると予感していた。

 

 

 

 

 

 

 

 日が少し傾き始めたころ、双眼鏡の先に獣道より酷く汚れた皮鎧を身にまとった集団――おそらく山小屋の主人たちが戻って来る姿が見えた。純人種で構成されたメンバー、盗賊仕事が上手くいったのだろうか?それぞれが下卑た笑みを浮かべていた。それぞれが剣で武装―――否、デュエルディスクを持った奴が一人いた。総勢五人。

 

 先頭を歩いている奴が戦利品が入っていると思われる大きなズタ袋を背負い。最後尾の奴がぐったりとした若い女の子を抱えていた。衣服と鎧は引き裂かれており、かろうじて残った小手と靴が冒険者であることを伝える。おそらくは敗北したのか。連中にとってみれば追加の戦利品というところか。

 

 追加の戦利品と襲撃が上手くいったことで気が大きくなっているのだろう。周囲の警戒もろくにできてはいない。練度はあまり高くなさそうである。おそらく食い詰めた連中が盗賊になったというところだろう。

 

 ユサは双眼鏡を下ろし、センセイへと目を向ける。経験が足りない。追加の戦利品の様子を見て多少―――いや、大分頭に血が上っている。故に経験者であるセンセイの判断を伺う。

 

 可能であれば、寝静まったころに、お楽しみをするならその間に襲撃をかけるのが一番楽でよい。クソども犠牲者を出すか。自分たちの安全を取るか。そもそも冒険者は自己責任の職業だ。弱く捕まる方が悪い。センセイのうちにある天秤がゆっくりと揺れ動く。楽ができるなら楽をするべきだろうが―――射殺すような目で盗賊を見るユサを見て決断を下す。

 

「力写札使いはお前に任せた。俺が仕掛けたらそれを合図に行動に移せ」

 

 ユサは戦意に満ちた表情で敵に気取られないようにこくりと頷く。若い――冒険者が見ているのだ。敵側に不確定な戦力が少ない状態で、後味が悪い結果を選ぶ必要がない。ここから先はミスが許されない。集中し、つぶさに盗賊の動きと攻めるタイミングを計る。

 

 

 一人目、女の子を背負った賊がドアを開く―――センセイは石を握りしめ、魔具による筋力強化を開始

 

 二人目、デュエルディスクを持った奴が入る―――内心舌打ちをするが攻撃を仕掛けない。

 

 三人目―――山小屋に入ろうとする賊の頭をめがけて投石を行う。グシャリと潰れる音が響く。

 

 四人目は動揺し立ち尽くし―――その愚か者に再度投石をし仕留める

 

 五人目―――魔具"俊足爪先"を使用、間合いに入る。

 

 

 死体が山小屋の外と内に分断、それは短時間しか有用ではないバリケードだ。仲間が殺されたことに動揺をした5人目を一対一に持ち込み。一太刀で首を跳ね飛ばす。修練を積んだ冒険者にロクな修練を積んでいない盗賊が相手になるはずもない。

 

 圧倒的な技量の差に怯み―――否。盗賊の力写札使いにはまだ切り札がある。今までだってこの切り札で勝利を掴み続けてきたのだこれからも―――悲鳴とも怒声ともとれるどまり声をあげ、戦意を絞り出す。

 

「糞が舐めやがって!!おい!!モンスターを召喚するまで盾になれ!!」

 

「おっおう……」

 

 死体が小屋の中と外を隔てるバリケードとなっている。センセイは敵陣へと容易に踏み込めず、そのことで盗賊達は安堵し、生存するために必死になる。センセイとしてみれば予定通り、力写札使いはユサに任せる。それぐらいは働いてもらわなければ駄目だろう。とはいえ力写札の戦いに巻き込まれてもつまらない。センセイは慎重に相手の動向を伺った。

 

 力写札使いがデッキから手札を加える/ユサも姿を隠したままそれに合わせて手札を引く

 

 この世界のデュエルは先行後攻は存在しない。ターンが始まれば相手より少しでも早くモンスターを召喚し展開を進めるのだ。リアルファイトで召喚の妨害をするのもありという無茶苦茶なものだ。

 

 故に何よりも早く相手より強力なモンスターを召喚する。基本的にはそれが必勝法となる。

 

 力写札使いが手札を三枚掴み一息に展開を進める。焦りを込めて必死に何度も繰り返した手順を回す。

 

「ドロゥ!!強欲で貪欲な壺を使用!!デッキより10枚カードを裏側除外、2枚ドロゥ!!、強欲で金満な壺でEXデッキよりカードを6枚裏側除外、2枚ドロゥ!!」

 

 壺の効果で手札を増やす。最初のドロウを含めると手札は8枚。何をするにしても非常に有利な枚数だ。だが、力写札使いの戦術に手札の枚数は関係がない。3枚のカード、それだけで成り立つデッキなのから……恐怖に目が血走りながらも力写札使いは通常召喚権を使用しモンスターを召喚する

 

「そして、紅蓮魔獣ダイーサを召喚。―――…ぶっ殺してやる!!」

 

 盗賊の呼び声にこたえ強大な体躯を持ったモンスターが召喚される。これこそが力写札使いの必殺のコンボ、三手で召喚できる中では最大規模のモンスターの召喚。除外した力写札の枚数だけ攻撃力、防御力を強化させる能力をモンスターの召喚。ドラゴンすらはるかに上回る馬鹿げた力を持ったモンスターはその体躯を強大に膨れ上がらせ、山小屋を吹っ飛ばしてしまった。まともにやり合えばAランクの冒険者すら苦戦するだろう。

 

 センセイは内心感嘆する。手札を積み込みしたイカサマだろうが、それでもこのレベルの強大なモンスターを3手で召喚できる戦術は悪くはない。ソリティアで準備が整っていない。デュエリストであればそのまま仕留めてしまうことも可能だ。

 

 山小屋を吹き飛ばされたことを利用して敵の死角へ移動し盗賊達から見えない位置へ行く。ユサはどうするかと視線を向けてみると、奴は気負った表情すら浮かべず、確認した手札を使用。たかだか、攻撃力が高いだけのモンスターを棒立ちにさせて勝ち誇るなどあり得ない。

 

 ユサの行動に気が付かない力写札使い。そのままセンセイを探して八つ裂きにしようとダイーサに命令を下―――

 

「隠れるんじゃ―――」

 

「速攻魔法"禁じられた聖杯"を使用。紅蓮魔獣ダイーサの効果を無効化した後、攻撃力が上昇する」

 

 モンスター効果の無効化、たった一枚の力写札によって圧倒的な力を誇っていたはずのダイーサは強大な力を失う。モンスター効果によって巨大化していた体躯は小さく縮み、Cランクの冒険者ですら苦戦しなさそうな矮躯の魔獣だけが残された。

 

「なぁっ―――あっ!?」

 

「良し、ナイスだぜ。」

 

 力写札使いは驚愕し、センセイはユサの手管を誉める―――どうやらこれ以上手を出すつもりがないらしい。

 

 盗賊達は今までどんな強力な冒険者たちもあっという間に叩きのめした必殺のコンボが簡単に無力化されことに慄く。

 それを成したユサはどう見ても小僧といったぐらいの年。力写札使い怒声を上げる。あんな子供に自分の切り札が無効化されたのだ。許せるはずがない。

 

「おい!!そのクソガキをぶち殺せ!!」

 

 モンスターを召喚していないユサに対し、召喚される前に仕留めろと仲間の盗賊に怒鳴り散らす。

 必殺のモンスターが無効化されて呆然としていた盗賊が我に返り、未だモンスターを召喚していないユサに踊りかかる。流石にそれよりはユサがモンスターを召喚する方が速い。

 

「手札よりマンジュゴットを召喚。デッキから儀式モンスターを手札に加える。」

 

 万の手を持つ異形のモンスターが召喚され、デッキより儀式モンスターがユサの手札に加わる。あまたの腕を大きく広げ、ユサに向かう盗賊とダイーザの行く手を阻む。儀式モンスターのサーチ能力しかないモンスターだが、盗賊や力を失ったダイーザにとっては脅威である。

 

 マンジュゴットは数多の手を使い、ダイーサを掴むとそのまま地面に叩きつける。嫌な音を立ててつぶれたダイーザを見た盗賊は慌てて距離を取る。モンスターとの一対一の戦いなど冗談ではない。逃げなければと視線をうろつかせ始める

 

 情勢の逆転。

 

 通常召喚権を使用した力写札使いは歯軋りをする。次のターンまでモンスターを召喚できないからだ。だからと言ってモンスターを相手取る技能を持っているわけではない。

 

 唯一縋れるのはは相手が儀式魔法のデッキを使っているということだった。"儀式モンスター"これはシンクロ召喚が使われるようになってから廃れていった召喚方法である。儀式使いであるのであれば自分にも生きる目がある。そう言い聞かせた。

 

 己と仲間を奮い立たせるために力写札使いは不用意な挑発をする。

 

「ビビらせやがって、儀式なんざ廃れた召喚法を使うなんてな。てめぇよぇんだろ?さっさとターンを終わらせろよ。」

 

「通常召喚しかできねぇ、一発芸がぁ良く言うなぁ。ダイーザ以外何もできねぇんだろ?」

 

 ユサは力写札使いの挑発を鼻で笑う。力写札使いはユサの私的に歯軋りをするが否定はできない。ダイーザにすべてをかけているデッキだからだ。

 

 そして不用意な発言をしたことにより、力写札使いはユサのモンスターの怒りを買ってしまった。

 

 力写札使いの手札は5枚、召喚をしないところを見ると特殊召喚ができるタイプ無いのだろう。ソリティアを選択から外す。さっさと片づけることにする。

 

「手札のメガリスベートルを墓地へ送りモンスター効果を発動。手札のメガリスオフィエル、メガリスオクを墓地へ送り、メガリスファレグを儀式召喚」

 

 ユサの言葉に応え、雄々しい武装をした白い天使の石像が現れる。その姿はダイーザには及ばないがドラゴンに匹敵する力強さを感じさせた。力写札使いがごくりと唾を飲み込む。―――多少強かろうが1体だけならどうにかなる。

 

「メガリスファレグは墓地の儀式モンスターの数に応じて、自分フィールドモンスターの攻撃力、守備力を上昇させる。」

 

 その言葉に応じるようにメガリスファレグが剣を天へと掲げる。剣の輝きがマンジュゴットとメガリスファレグを包み込み。その身体能力を強化させる。その強化された力はドラゴンにすら匹敵する。力写札使いはなまじダイーザを使用していた分だけ相手のモンスターが強化されていることが確信できた。

 

 あっという間の逆転。

 

 デュエリストであればこのような無様は晒さなかっただろう。力写札使いはどこまで行っても力写札使いにしか過ぎない。デュエルに対する備えができていないのだ。それを見た盗賊は脇目もそらさず逃げようとするが、それはかなうことはない。

 

「ファレグ、マンジュゴット叩き潰せ!!」

 

 主人の命令を受けたモンスターたちが自分達を侮辱した愚者に怒りを叩きつけんと走り出す。逃げることができなかった力写札使いはメガリスファレグの剣で両断される。

 走って逃げようとする盗賊をマンジュゴットは捕らえ、万の拳で叩き潰さんと振りかざしたとき盗賊は必死に命乞いをする。

 

「やめろ!!、頼む。降参す―――」

 

 外道の命乞いなど聞くものはいない。好き勝手に悪さをしてきたのだ。そんな輩のいうことを誰が聞くのか。マンジュゴットの拳が盗賊を捕らえ、叩き潰した。センセイはその様子を見て満足げに頷く。

 

「良くやったな。お疲れさん」

 

「センセイもお疲れ様。―――手札がよかったしね。流石に紅蓮魔獣ダイーザは予想外だったよ。禁じられた聖杯が無かったらちょっと面倒だったかも」

 

 叩き潰した力写札使いからディエルディスクを取り上げ中のデッキを確認をするとダイーザと壺2枚以外は適当な力写札を入れた紙束だった。そのデッキの内容を見て苦笑する。

 

「酷いデッキだ。コレ、こいつが考えたデッキなんかな?」

 

 自分で考えたデッキならサポートできるカードは入れておくべきである。それがないということは入れ知恵でもされたのだろうか?ユサの発言にセンセイが疑問の声を発する

 

「そりゃどういうことだ?」

 

「いや、この戦術を自分で考えれたならさ。普通はダイーザのサポートをするカードを入れるんだけどそれがないからね」

 

 そのユサの発言を聞いてセンセイは眉を顰める。ユサの発言が正しいということは黒幕がいるということである。面倒なことになったと思うが、まぁ、それはギルドマスターたちが頭を悩ませるべきことである。

 

「んじゃ、帰ろうよ。センセイ。その子を医者に見せないとまずいだろうし」

 

 盗賊達の手によって酷い目にあわされた女の子を見て、ユサは嘆息する。慣れるものではない。よほど手間をかけさせたのだろう嬲るような傷跡も多々見受けられた。可愛らしい顔立ちが確認できるようになっているのは盗賊達の趣味ということだろうか。早いところ医者に見せてやるべきと考える。

 

「だな。早い方がいいだろう。そうなると荷物は置いていくしかないか」

 

 センセイの無念そうな声にユサは力写札使いのデッキからセイバーザウルスを取り出すと召喚をする。大柄な恐竜族に属するモンスター、荷物運びに使ったとしても文句は言われないだろう。消耗はあるが人とアイテムを運ぶのだ召喚獣に運ばせた方が楽である。

 

「こいつに乗せれば大丈夫だよ。」

 

「お、じゃあ、荷物を載せるぞ。手伝え」

 

 センセイの号令の下二人がかりで証拠品と女の子、証拠となる盗賊の死体を載せるとモンスターで山小屋をすりつぶし、そのまま街へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 途中、モンスターで荷物を運んでいるところを衛兵に捕まり、事情長巣を受けたが、まずは女の子の治療をさせるべきと医者の所へ運んで行ってくれた。事情をユサとセンセイが説明し、ならばと衛兵から大八車を借りた。

 

 仕方ない事情だから許すが、気を付けるようにと有難い説教を受けて解放とはならず、回収した盗品の確認のために衛兵も一緒に冒険者ギルドに向かう―――と中から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「―――役立たずのせいで私は大切な商品を失ったのだぞ!!さっさと取り戻せ!!」

 

 いやな客―――盗賊のような姿の依頼人が来ているらしい。ギルドマスターのマスクからも辟易としているのが見て取れる。ああいう客はそのうちだれからも相手にされることなく干されるのだが、いるところにいるものである。衛兵も顔をしかめるが、ギルドマスターに任せることにしたようだ。彼らを無視して受付のお姉さんに声をかける。

 

「ヴィヴィアン殿。彼らの依頼について確認させてほしい」

 

「ええ、分かりました。」

 

 受付のお姉さん――ヴィヴィアン・ウォンはこれ幸いとその場を離れ、衛兵たちのところへ行く。ギルドマスターはそれを恨めしそうに見ながら面倒な依頼人の応対をしていた。

 

「センセイにユサくん、もう帰ってきたの?」

 

 ヴィヴィアンは想定外の早い帰還に目を丸くする。ユサは肩をすくめ、センセイは苦笑する。

 

「いや、相手がダメなのか運がいいのか。どっちだろ」

 

 そのユサの言葉を引き継ぐようにセンセイが続ける。

 

「盗賊連中はつぇぇ力写札を持って、驕っていたみたいでな。油断していたんであっさりと片がつけられたよ。」

 

 そういって経緯を説明するとヴィヴィアンは顔をしかめた。力写札の知識は使いこなせる人間が少なくダイーザのような手間をかける必要のあるカードを使える人間は少ないのだ。

 

「面倒ね。取り戻した荷物は預かるわ―――持ち主を探す必要があるしね。」

 

「おう、任せたぜ」

 

 衛兵も荷物をきちんとヴィヴィアンに引き渡されたのを見て頷く。あとは、報酬をもらって帰るだけ―――先程、ギルドマスターを怒鳴りつけていた依頼人が冒険者ギルドから外に出てきた。そして、ヴィヴィアンが受け取った荷物を見ると血走った目で走り寄る。

 

「返せっ!!」

 

 狂乱したような表情を浮かべて荷物を奪おうと駆け寄ったところに衛兵が割って入る。衛兵に割って入られて冷静さが少し戻ったのか動きを止める。衛兵もその客の態度が気に入らなかったらしい。

 

「これは盗賊から押収した盗品だ。キチンと調査をしたうえで返却がされるだろう。―――数も多い。犠牲者もそれなりにいるようだから調査には時間が必要だ。」

 

「早くしてくれ!!私は急ぎ届けなければならない荷物があるんだ!!」

 

 その言葉を聞いて今度は商人が衛兵に食ってかかった。―――衛兵に食って掛かるって命知らずだなぁとユサは考え、放っておくかと思い、3人で盗品を冒険者ギルドに運ぼうするのを依頼人は邪魔しようとするも衛兵に取り押さえられていた。

 

 衛兵の目が据わっているのを見て、しばらく臭い飯を食うんだろうなぁと呆れながら、冒険者ギルドに入っていく。

 

 

 

 後日、依頼人は荷物を取り戻すために最高倍率の報労金を支払う羽目になったらしい。衛兵とギルドマスターを怒らせたため、良心的な対応をしてもらえなかったようだ。センセイとユサは依頼人の報労金を助けた女の子治療費とかに当てることにした。

 

 どうも女の子は依頼人から依頼失敗として報告され前金しか貰えなかったらしい。治療費はセンセイとユサのおかげでどうにかなったが、失った装備の買い替えなどで資産をほぼ失ってしまい、この街から出られず働くこととなったそうだ。

 




デッキについての解説

盗賊が使ったダイーザのデッキですが、これはムラクモ抜きムラクモダイーザです。
SRカードはダイーザ、強欲で貪欲な壺、強欲で金満な壺のみです。
デッキの一番上にこれを置いてドローするというイカサマデッキ。

3手で攻撃力6400に至るので先行後攻の概念がないポンコツ世界ですと優秀なデッキになります。
3枚カードを使って後は殴ればいいからね。
マスターデュエルだとサンドバックにしかならないので注意しよう。

今回主人公のデッキに禁じられた聖杯があったのが運の尽きでした。本当はもう少し苦戦されるつもりだったのですがデッキを確認してあっと……

ちなみに墓地に3枚儀式モンスターがあるときのメガリスファレグの攻撃力は3400。ブルーアイズホワイトドラゴンを上回ります。

レッドアイズグレイは超高級な紅茶です。1杯2,400ゴル。
ブルーアイズマウンテンより良心的ですが……
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