ACⅥを教えるスネイプ先生   作:10秒チェイサー

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なんかできたので続きました(ドーザー並のふわふわした言い分)

夢は大きく持ちたいので「このSSを読んでAC6をトロコンできました」と言ってくれる読者さんがいつか現れたらいいな、と言っておきます


密航学を教えるスネイプ先生

 

「ああ、左様。ハリー・ポッター。我らがお馴染みの――密航者だ」

 

 

 

 薄暗がりのようにじっとりとした声がハリーの名を呼んだ。まるで星を焼く大火を大小数え切れないほどの犠牲を払って封じ込めたのに、残った火種の存在をリークされて密航者が絶えない現在に疲れ切っているかのようだった。

 

 

 

「このクラスでは、諸君が散々悩んだパイロットネームを入力してからRb23 レイヴンになるまでを学ぶ。ここでは武器縛りのような馬鹿げたことはやらん。ただ密航するだけか?と思う諸君が多いかもしれん。ふつふつと沸くシリーズ初心者、ゆらゆらと立ち昇る古からの帰還兵、十年間タイトルを忘れさせなかった雑に擦られるコピペ、心を惑わせ、感覚を狂わせる魅力……」

 

 

 

 褒めているのか貶しているのかわからない。ハリーとロンはハーマイオニーにちらりと目をやった。ハーマイオニーは発売日にsteam版をプレイする、それだけの為にホグワーツまで光回線を引いたのだ。

 

 

 

「諸君が初見でルビコプター(AH12 HC HELICOPTER)に勝てるなどとは期待しておらん。我輩が教えるのは、初心者が少しでもリトライ回数を減らし、頑張れば勝てそうな気がすると思わせ、いつかはリトライミッションでSランクを取得する方法である。――ただし、後発の621に対して自分の戦績でマウントを取るイグアスもどきより諸君らがまだましであればの話だが」

 

 

 

 大演説のあとはクラス中が一層静まり返った。確かにイグアスは終始語気が荒く、口も態度も悪い。だが無名の傭兵である621相手はともかく、後輩と思しきレッドにマウントを取った場面はないのだから、この例えはイグアスに失礼ではないだろうか。

 

 

 

「ポッター! ターゲットアシストに手動でのカメラ移動を加えると何になるか?」

 

 

 

 画面中心に近い敵機に追従して自動で動くカメラを、自分でさらに動かすって?

 

 ハリーはロンにちらりと目をやったが、ハリーと同じように「敵はどこだ?」という顔をしていた。ハーマイオニーはマニュアルエイムの使い手なので微かに手を挙げた。

 

 

 

「わかりません」

 

 

 

 スネイプは口元でせせら笑った。唇をめくりあげたりはしなかった。

 

 

 

「強化手術を受けただけではどうにもならんらしい。ポッター、もう一つ訊こう。ルビコプターの死角に潜り込めと言われたら、どこを探すかね?」

 

 

 

 ハーマイオニーが思いっきり高く、全身をぐるぐる巻きにされたままで挙げられる限界まで高く手を伸ばした。

 ハリーにはルビコプターの死角が一体どこなのか見当もつかない。何とか懐に飛び込んでブレードを振るので精一杯になってしまい、動きを分析する余裕がないのだ。

 

 

 

 マルフォイ、クラッブ、ゴイルが身をよじって笑っているのを、ハリーはなるべく見ないようにした。後にクラッブとゴイルが本編をクリアできるまで面倒を見る羽目になるマルフォイにとっては黒歴史になる振る舞いだし、クラッブは通常ブーストをロケット弾で狩られて死ぬ。

 

 

 

「わかりません」

 

「クラスに来る前に先人のライセンスを漁ろうとは思わなかったわけだな、ポッター?」

 

 

 

 ハリーは頑張って、冷たい目をまっすぐに見つめ続けた。ダーズリーの家にいたころ、fA時代にアセンへのこだわりが強すぎたダドリーの代わりに相性の悪いミッションをクリアしてやったことならある。

 スネイプはハリーが、他人が捨てたモノを拾って喜ぶ趣味があるとでも思っているのだろうか。

 

 

 

 スネイプはハーマイオニーの機能以外が死んでいるのをまだ無視していた。

 

 

 

「ポッター、クイックブーストとアサルトブーストの違いは何だね?」

 

 

 

 この質問でとうとう、ミッションに登場する敵ACのプリセットを使ってのミラーマッチを一時期嗜んでいたハーマイオニーはACを起動させ、地下牢にアイカメラの赤い光が走った。

 

 

 

「わかりません。ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」

 

 

 

 生徒が数人笑い声をあげた。ハリーの隣に座るネビルは、自分に矛先が向かなかった事に安堵していた。

 思い切りはいいのだが、ボタン配置の記憶に自信が無いのか操作中に一々手元を見る癖があり、グリフィンドール寮でまだ唯一密航に成功できていない男だ。

 

 

 

 しかし、スネイプは不快そうだった。

 

 

 

「授業中に戦闘モードを起動しないように。……教えてやろう、ポッター。

 ターゲットアシスト中に手動でカメラを動かすと、アシストが機能しなくなることが多々ある。結果として敵を見失っている間にハチの巣にされる初心者は多い。

 これを防ぐにはターゲットアシストを一度オンにしたら、カメラ移動を行わない事だ。現在アシストがオンになっているかどうかは、敵がいない時はターゲットリングの斜め四方向に白線が表示されているかどうかで判別できる。敵をロックオンしている時は、ターゲットリングが二重になっていればアシストがオンだと思いたまえ。

 ルビコプターは強力な武装を複数搭載しているが、それらはどれも機体前方への攻撃を想定している。従って死角自体は真横に加え、直上や直下と意外に多い。ただし機体上部の回転翼……プロペラには攻撃判定があるため、直上は安全地帯とは言えん。基本的には腹の下、距離があるようなら建造物を盾にするのが最も無難だろう。一応胴体の横に小さく張り出した足場はあるが、初心者が狙ってそこに飛び乗る事は考えなくてよろしい。

 クイックブーストとアサルトブーストはどちらも高速機動だが、クイックブーストは緊急回避に優れるステップだと思って良い。アサルトブーストはEN効率に優れ、他にも数多くの利点がある代わりに小回りが利きにくくなるので、ダッシュのようなものと考えると覚えやすいだろう。

 どうだ? 諸君、なぜ今のを全部ノートに書きとらんのだ?」

 

 

 

 一斉に羽根ペンと羊皮紙を取り出す音がした。その音に被せるように、スネイプが言った。

 

 

 

「ポッター、理解が足りんようだな。既にレイヴンの名義を手に入れた自分にはもう関係ないとでも思ったか? その思い上がりは正さねばならん、グリフィンドールは1点減点」

 

 

 

 たまらずロンが叫んだ。

 

 

 

「ところで先生! ずいぶんお詳しいようですが、何回ルビコプター戦でリトライしたんですか!?」

 

「だまらっしゃい!」

 

 




クイックブーストが出せなくてもレイヴンにはなれます。
初見の私がそうでした。
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