ACⅥを教えるスネイプ先生   作:10秒チェイサー

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今更なんですけどこれの原作をハリー・ポッターって言い張っていいのかな
ARMORED COREにすべき……すべきじゃない?



壁越え学を教えるスネイプ先生

 

「ああ、左様。ハリー・ポッター。我らがお馴染みの――壁越えの傭兵だ」

 

 

 

 薄暗がりのようにじっとりとした声がハリーの名を呼んだ。まるで自分たちがアサインされたはずの壁越えに参加すらできずに相棒を失い、嘲笑っていた野良犬が相棒の死を踏み台にして壁越えの栄誉を手に入れる様を見せつけられたかのようだった。

 

 

 

「このクラスでは壁越えの難しさと、機動力の重要性を学ぶ。ここではMT部隊と歩調を合わせるような馬鹿げたことはやらん。これでもアーキバスとの共同作戦かと思う諸君が多いかもしれん。

 精確に飛んでくる砲撃、待ち受ける各種砲台、壁越えおじさん*1の繊細な助力、心を惑わせ、感覚を狂わせるジャガーノートの圧力……」

 

 

 

 褒めているのか貶しているのかわからない。ハリーとロンはハーマイオニーにちらりと目をやった。ハーマイオニーは最近NEW GAMEレギュで近接武器オンリーRTAができないかと苦慮している*2のだ。

 

 

 

「諸君が壁越えという実績の重大さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、街区にたどり着き、戦友と共闘し、アーキバスの上の連中に名前を覚えさせる方法である。――ただし、これまで自分だけは【壁】を越えられると信じて散っていったウスノロ傭兵より諸君らがまだましであればの話だが」

 

 

 

 大演説のあとはクラス中が一層静まり返った。過去作の例に漏れず、ルビコン3でも傭兵の命は安いものだ。企業にしろ解放戦線にしろ、縁の薄い傭兵は使い捨ての駒に過ぎない。金次第でいつ敵に回るか分からない戦力の使い道など他にないとも言える。

 

 

 

「ポッター! この段階でのパーツショップの品揃えに序盤特有の金欠を加えるとオススメできる武器は何になるか?」

 

 

 

 ロクに選択肢がない状況でしかも金がないって?

 

 ハリーはロンにちらりと目をやったが、テスターACと切り結びながら「現実でも金策できればいいのに」という顔をしていた。ハーマイオニーはRTAのために何度も練習、再走しているので空中に高々と手を挙げた。

 

 

 

「わかりません」

 

 

 

 スネイプは口元でせせら笑った。唇をめくりあげたりはしなかった。

 

 

 

「ブラッジャーを回避する反射神経だけではどうにもならんらしい。ポッター、もう一つ訊こう。安全に一方的に、【壁】の前にいる四脚MTを攻撃する手段を見つけろと言われたら、どこを探すかね?」

 

 

 

 ハーマイオニーが思いっきり高く、ゲーミングチェアに座ったままで挙げられる限界まで高く手を伸ばした。ハリーには安全で一方的な攻撃手段が一体何なのか見当もつかない。安全に見えるまどろっこしい戦い方をするくらいなら、多少危険に見えても前に出た方が勝利を掴みやすい事をソウルシリーズからは学んだし、フロムゲーとはそういうものという感覚が抜けていないのだ。

 

 

 

 マルフォイ、クラッブ、ゴイルが身をよじって笑っているのを、ハリーはなるべく見ないようにした。後にこの授業の内容をもう一度クラッブとゴイルに教え直す事になるマルフォイにとっては黒歴史になる振る舞いだし、クラッブは天槍フレーム一式でガトリング砲台と撃ち合おうとして死ぬ。

 

 

 

「わかりません」

 

「クラスに来る前に戦場マップを把握しようとは思わなかったわけだな、ポッター?」

 

 

 

 ハリーは頑張って、冷たい目をまっすぐに見つめ続けた。ダーズリーの家にいた頃に近所の美人なお姉さんの家が気になり、ダドリーと協力して生け垣を越えようとしたことならある。

 スネイプはハリーが人生の大きな壁を、機転と無謀さと反射神経だけで越えてきたとでも思っているのだろうか。

 

 

 

 スネイプはハーマイオニーが近接縛りでさえなければ中等傭兵支援プログラム1クリア(VP-20S確保からのEN射撃武器)チャートの方が早い可能性を検討しているのをまだ無視していた。

 

 

 

「ポッター、グレネードとバズーカの違いは何だね?」

 

 

 

 この質問でとうとう本走では火力とAB速度を最優先しがちなハーマイオニーは立ち上がり、地下牢の天井に届かんばかりに手を伸ばした。RTA大会への出場も見据えて自作したのか、MELANDER C3頭部の被り物を被っている。

 

 

 

「わかりません。ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」

 

 

 

 生徒が数人笑い声をあげた。ハリーとシェーマスの目が合い、シェーマスがウィンクした。ACシリーズ未経験だったこともあり、プレイ前はファンアートで見た豊満な美少女に胸を躍らせていた男だ。

 

 

 

 しかし、スネイプは不快そうだった。

 

 

 

「座りなさい。……教えてやろう、ポッター。

 【壁越え】に有効な武器としてだが、我輩は大豊製バズーカ(DF-BA-06 XUAN-GE)を推す。多数配備された軽MTや砲台を一撃で撃破できる高い攻撃力を誇り、それが叶わん四脚MTやジャガーノートに対しても高い衝撃値と衝撃残留でスタッガーを取りやすい。本体価格が70,000COAMであり、機体フレームを変更するよりよほど安上がりなのも良い点だ。

 四脚MTを一方的に攻撃したければ、その斜め後方。砲台を破壊した後に設置されていた足場からジャンプして長距離武装を撃ち込み、足場の上に逃げ帰ればよい。ミッション開始直後に左の山肌沿いに【壁】へとアサルトブーストでの全力直進を繰り返せば、ほぼ無傷で砲台群の破壊に取り掛かれるだろう。

 グレネードとバズーカはどちらも単発火力が高く、かつ衝撃力にも優れる爆発属性の武器だが、その運用は大きく異なる。強敵と一対一の状況下を前提にするなら、敵の上空から撃つことで着弾地点に広がる爆風を掠らせやすいのがグレネード。弾速が早く直撃補正も高いのでスタッガーさせるだけでなく、スタッガー時に近接武器を当てた敵への追い打ちとしても強力なのがバズーカだ。

 どうだ? 諸君、なぜ今のを全部ノートに書きとらんのだ?」

 

 

 

 一斉に羽根ペンと羊皮紙を取り出す音がした。その音に被せるように、スネイプが言った。

 

 

 

「ポッター、無知な君のラッキーパンチに敗れるとはジャガーノートも名前負けと言わざるを得んな。解放戦線は1点減点」

 

 

 

 たまらずロンが叫んだ。

 

 

 

「でも先生! ジャガーノートは垂直ミサイルをバラまきながら、空中ブーストで背後に回り込むように動けば割とただのカモです!」

 

「……口惜しいが、ウィーズリーの指摘は妥当なものと認める。グリフィンドールに1点」

 

 

*1
V.Ⅳラスティのこと。発売前に「共に壁越えと行こうじゃないか」の台詞から一部で呼ばれていたらしい。発売後はオキーフやホーキンスとの比較もあり、若い印象になったと思われる。

*2
爆雷投射機と光波ブレード、コーラルオシレータは近接武器に含めないとする過激派なので、アイスワームとコーラル輸送阻止に苦しんでいる。




つまりバズーカを推したいだけです
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