ACⅥを教えるスネイプ先生   作:10秒チェイサー

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CHAPTER3はどこを解説したものか迷ったせいで書くのが遅れました


CHAPTER3前半学を教えるスネイプ先生

 

「ああ、左様。ハリー・ポッター。我らがお馴染みの――最優先排除対象だ」

 

 

 

 惑星封鎖機構とは似ても似つかない、じっとりとした声がハリーの名を呼んだ。まるで衛星軌道からのんびりと見張るだけだったはずの任務が、ルビコン3へと降り立っての企業や解放戦線の鎮圧という危険な任務へと変貌した、その元凶となったリークの犯人を見るかのようだった。

 

 

 

「このクラスでは、惑星封鎖機構の保有する戦力と、その対処法を学ぶ。ここではアサルトアーマーの一撃でルビコプターを落とそうとするような馬鹿げたことはやらん。衛星砲頼りの情けない治安維持組織だと舐めてかかっている諸君が多いかもしれん。ふつふつと沸くLC機体、ゆらゆらと立ち昇るレーザー兵器、強襲艦の繊細な艦橋、心を惑わせ、感覚を狂わせるスウィンバーンの叫び……」

 

 

 

 褒めているのか貶しているのかわからない。ハリーとロンはハーマイオニーにちらりと目をやった。ハーマイオニーは惑星封鎖機構の言い分を真に受けるほど、公的権力の正義を信じているのだ。

 

 

 

「諸君が封鎖機構を容易く蹂躙するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、燃料基地を襲撃し、無人洋上都市を探索し、特務機体カタフラクトを打破する方法である。――ただし、ウォルターに促されたにもかかわらず撃破した強襲艦の上で呆けた顔を晒し、爆発に巻き込まれるようなウスノロより諸君らがまだマシであればの話だが」

 

 

 

 大演説のあとはクラス中が一層静まり返った。そもそもあの悪名高きルビコプターがどこの所属かを思えば、惑星封鎖機構の兵器を侮るなんてできるはずもないのだ。何なら無人洋上都市調査ミッションではヤツと再戦することになる。

 

 

 

「ポッター! 燃料基地襲撃ミッションには何を加えると攻略が容易になるか?」

 

 

 

 やたらと敵が多い長丁場で、Sランク取得が難しいとされるミッションに何を加えるって?

 

 ハリーはロンにちらりと目をやったが、ハリーと同じように「それが分かったら僕だってSランクさ」という顔をしていた。ハーマイオニーは最近新シュナイダーパーツを面白がって使っているので、空中に高々と手を挙げた。

 

 

 

「わかりません」

 

 

 

 スネイプは口元でせせら笑った。唇をめくりあげたりはしなかった。

 

 

 

「レイヴンの名義を借りただけではどうにもならんらしい。ポッター、もう一つ訊こう。ECMフォグの中で進むべき方向を探してこいと言われたら、どのように探すかね?」

 

 

 

 ハーマイオニーが思いっきり高く、空中をホバリング移動したままで挙げられる限界まで高く手を伸ばした。ハリーにはそもそもECMフォグが一体何なのか見当もつかない。オペレーターを務めてテンションを上げているエアには悪いかもしれないが、祖父が生きていたらこういう人かもしれないと思わせてくれるウォルターの声が聞けないのが不安になるのだ。

 

 

 

 マルフォイ、クラッブ、ゴイルが身をよじって笑っているのを、ハリーはなるべく見ないようにした。後に家督を継いで、公的権力に睨まれる事の厄介さを嫌というほど思い知るマルフォイにとっては黒歴史になる振る舞いだし、クラッブはミッションが終わったからと安心していて強襲艦の爆発から逃げようともせずに死ぬところだった。

 マルフォイが「どうせお前らが戦闘中に任意でアーマー発動なんて器用な事できるわけないんだから、他の選択肢なんてないだろ」と設定しておいてくれたターミナルアーマーがなければ死んでいただろう。

 

 

 

「わかりません」

 

「クラスに来る前にスウィンバーンと取引をしようとは思わなかったわけだな、ポッター?」

 

 

 

 ハリーは頑張って、冷たい目をまっすぐに見つめ続けた。ダーズリーの家にいたころ、ダドリーとゲームで夕食のおかずを賭けて勝負し、夕食をオートミールだけにしてやった事ならある(なお翌日のハリーの夕食はオートミールだけにされた)。スネイプはハリーが血も涙もなければ話も通じない、いじめっ子だとでも思っているのだろうか。

 

 

 

 スネイプは、ハーマイオニーが命乞いするスウィンバーンの前で小刻みに左右歩きを繰り返す*1のをまだ無視していた。

 

 

 

「ポッター、スマートクリーナーとカタフラクトの違いは何だね?」

 

 

 

 この質問で最近ラスティの台詞を捏造してMAD動画を作り始めたハーマイオニーはとうとうホバリングを解除し、地下牢の天井に届かんばかりに手を伸ばした。

 

 

 

「わかりません。ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」

 

 

 

 生徒が数人笑い声をあげた。ハリーとミリセント・ブルストロードの目が合い、ミリセントは目を逸らした。鈍重なイメージを避けたいのか軽量機体の乗り手が多い女生徒の中で、珍しく重量機体でアサルトブーストを駆使し、強引に距離を詰めての格闘戦を好んでいる。その割り切りの良さからか、ハーマイオニーとの戦績は同学年の中でも上位に入っていた。*2

 

 

 

 しかし、スネイプは不快そうだった。

 

 

 

「座りなさい。……教えてやろう、ポッター。

 【燃料基地襲撃】ミッションでは敵が多数出現するが、実際には屋外戦闘という事も相まってクリアするだけならアサルトブーストを多用する事でかなりの数をスルーできる。Sランクを狙うとなると多少話も変わってくるのだが、それに関してはまたいずれ講義で扱う事になるだろう。

 最後に駆けつけてくる逆関節機体、エクドロモイは格闘型と射撃型に分かれているが、放置して横槍を入れられた際の攻撃が痛いのは格闘型だ。なので格闘型を先に壁際に追い込み、一気にスタッガーを含めて勝負を決めてしまうのが常道とされる。アサルトアーマーやこのタイミングで入荷される重バズーカ(MAJESTIC)など、瞬間火力に優れた構成は2対1の不利な時間を短縮してくれるだろう。機動力も高いが【観測データ奪取】ミッションの高機動型LCほどに理不尽な回避はしてこないのが救いだな。

 【無人洋上都市調査】ミッションではECMフォグ……つまりレーダーなどの電子装備をジャミングする霧だが、これによりどこに向かえばいいか分からなくなる事もあるかもしれん。

 その場合はマーキングされている最後に立ち寄ったビーコンに戻り、垂直上昇してからカメラを360゜回転させて探すのだ。次に向かうべき赤い光が見えてくるはずだが、うっかり来た道に戻らないようにだけ気を付けたまえ。

 スマートクリーナーとカタフラクトはどちらも正面が弱点であり、地上を爆走する。ただしスマートクリーナーと違い遠距離でも機関砲やレーザーキャノン、多連装ミサイルといった強力な攻撃手段があり、代わりに接近戦限定の強力な攻撃というものがない。砲撃を回避する自信があれば敵機正面になるべく長時間居座って射撃戦を挑むのも良いが、逆に破砕アームという盾がなく姿勢安定性もさほど高くない点を重く見て強力な近接武器を主軸に短期決戦を考えるのも良いだろう。

 ここまで来た諸君であれば、己の得意な戦闘スタイルもある程度確立できているのではないかと考える。この辺りからは我輩の勧める機体構成、武器構成が手に合わない事も多くなるだろう。相手の動きをよく見て負けた時に自分に何が足りないか、何があれば勝てるのかを自ら考えて構成を適宜変更する能力を養って貰いたい。

 ああ、それと諸君が望むならカタフラクトとの戦闘を避けて【執行部隊殲滅】に挑んでも良い。が、そちらはチェックポイントも補給シェルパもなく、ボス枠のHC機体に負ける度に最初からやり直しだ。よほど自信があるのでなければ【執行部隊殲滅】に挑むのは2周目、または3周目を推奨しておく。

 どうだ? 諸君、なぜ今のを全部ノートに書き取らんのだ?」

 

 

 

 一斉に羽根ペンと羊皮紙を取り出す音がした。その音に被せるように、スネイプが言った。

 

 

 

「ウィーズリー、最近はミッションを近接武器のみでクリアしようとしているようだな?

 強力な射撃武器の弾薬費が気になるのは理解できるが、それで被弾が増えれば修理費が嵩むだけだ。小金を惜しんで撃墜のリスクを増やすのは感心できんな、グリフィンドールは1点減点」

 

 

 

 ハリーはたまらず叫んだ。

 

 

 

「でも先生! 現にハーマイオニーはパイルバンカーとパルスブレードだけでミッションをクリアしてます!」

 

「だまらっしゃい! 高みを目指すのは良い事だが、まずは一通りクリアして相応の技量を身に付けてからにしろと言っている!」

 

 

*1
俗に言う『シャゲダン』。勝敗が決まった後に敗者の前で行うのは煽り行為とされ、大変マナーが悪い。他ゲームでの類似行為としては『死体撃ち』『屈伸』などが該当する。対人戦ではやらないようにしようね!

*2
なお、ここで言う『同学年の中でも上位』とは『勝ちを拾った事がある』という意味である。




ちなみにどうでもいい事ですが、私は火ルートのエアちゃんを実際にパイルとパルスブレード(+アサルトアーマー)のみの機体でぶっ飛ばした事があります
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