親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第一話です!四作目となる今作もよろしくお願いします!


日常の終わり

生と死は表裏一体、誰が言い始めたのかは知らないが不思議と世界中の人達が理解している概念だ。いや、この世の動物、植物、命ある者達なら本能的に理解していることなのかも知れない。生は何処までも不安定でか細く、死は絶対で平坦だ。とはいえ例外もある。

 

転生・・・この現代様々な創作物で取り扱われたこのテーマに自分が巻き込まれてはや16年。そんな生と死に喧嘩を売ったような俺だが、なぜ今更になってこんなのことを考えているのかと言うと。

 

 

「「「「「「「「ウァァァァァァァァァァァ!!!」」」」」」」」

 

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーーー!?!?全部雑魚とはいえ流石にこの悪魔の大軍は死ねるっておいいいいい!!!!」

 

今この瞬間、その喧嘩を売った付けを払わされそうになっているからだ・・・俺が望んで喧嘩売った訳じゃないんだけどな!

 

「こんな所で死ねるか!今度はそこそこ裕福に暮らして、結婚もして、子供や孫・・・出来ればひ孫の顔も見てから家族に囲まれながら畳の上で死ぬんだよー!!!」

 

「意外と贅沢ですね実槻(みつき)。まぁ妙に図々しいのは貴方らしいですが」

 

チクりする言葉と共に現れたのは今世の親友。小学校からの付き合いだからか、この言動に慣れたものだ。

 

「うるせぇ!俺を囮にしたんだからキッチリ仕留めろよ!!」

 

勿論状況によっては、腹が全く立たない訳じゃないけど。

 

「囮になる作戦として『悪魔の大軍をMPKしながらショッピングモールを全力疾走』を提案した貴方も貴方だと思いますけどね。囮になるように言ったのは私ですけど」

 

親友の無慈悲過ぎる言葉に涙を禁じ得ない。こいつ互いに親友だと思ってる癖に真っ先に「囮はお願いしますね!」とか行ってきたんだぜこいつ?血も涙もない奴め!!

 

「兎も角俺は役割を果たしたんだからお前も決めてこい!【マハスクンダ】!!」

 

親友とすれ違う寸前とあるゲームで使われる敵全体に命中、回避率低下のデバフを与える魔法を掛ける。

ゲームと違いこの魔法は回避率だけでは無くて、素早さも下げてくれるので使い勝手が上がっている。

 

「はいはい、分かってますよ。あとはこの私」

 

「越後の龍【上杉謙信】にお任せあれ!!」

 

 

「いや、お前の本名は謙信を名乗る前の【長尾景虎】だろうが。しかも苗字が偶々同じだったから付けて見たという血縁関係も無いクソ適当な名付けの結果だし」

 

「ちょっと決めている所に横槍を入れないで下さいよ!?上杉謙信の転生者なのは本当なんですから!実槻みたいに交通事故に巻き込まれて乙った骨董屋とは違いますよ!」

「お前も厠で乙るとかいう碌でも無い死に方じゃねーか!戦国武将の死に方じゃねーよ!!」

 

こんなバカみたいな会話をしつつも悪魔をバッタバッタとなぎ倒しているんだからスゲーよな。まぁ俺も一時間前はただの一般転生者だったんだけど今じゃ魔法を使えるしな。人間たった一時間でここまで変わるもんかね?

 

 

【1時間前】

 

俺こと大宙実槻(オオゾラミツキ)は今世の親友、長尾景虎に誘われ少し遠いショッピングモールに一緒に向かっている。何でも最近バイクの免許を取ったとのことだ・・・取って数日で二人乗りして大丈夫なのかと思わんでも無かったが、自信満々なその様子につい気を許してしまった。

 

「景虎さん?ちょっとスピード出し過ぎじゃありませんかね!?」

 

「ははは、バイクは飛ばしてなんぼですよ!」

「おいおい、これ法定速度守ってるんだろうな!?」

 

「勿論守ってますよ!・・・カーブは」

 

「直線距離では守ってねぇってことじゃねーか!!」

 

直線では法定速度を明らかに破ってる速度で走っているが、幾ら俺の前世より時間軸的には昔だって言っても許されないだろこれ!早すぎて後ろに乗っている俺は景虎の身体に抱き着いて耐えている。

 

「でも合法的に私に抱き着けるじゃないですか。あ、今ドキドキしてます?」

「ああ、してるよ。命の危機的な意味でな!」

 

「もう、素直じゃありませんね」

 

嘗ての越後である新潟県の道路を暴走族並みに爆走しているのが、この県自慢の長尾景虎と同姓同名な人間とかシュールだよなと半ば現実逃避しつつ、くだらない会話を重ねていく。何だかんだ言って小学校からの付き合いだ。しかしこいつのお陰で堅実に過ごした前世の学校生活とはかけ離れたものになったものである。

 

「はぁ」

 

「・・・なんですかその溜息」

「いや、俺本当小学校からお前に振り回されてるなぁとふと思ってさ」

 

「また今更なことを、私と交友を持っているということで周りから浮いているの根に持ってます?」

 

景虎は親友の俺が言うのもあれだが、容姿は美少女だ。しかし景虎の家庭でのことや彼女個人の感性が世間一般からズレている為周りからは変わり者として周囲から浮いていた。そしてそんな奴と交友、ましてや親友になった奴が同様に周囲から浮かない訳も無く、ボッチという訳でも無いが前世と比べれば大幅に友人の数が減ってしまっている。

 

「まぁ確かに友人はほぼいなくなったが(前世と違って)一人と(親友的な意味で)深い仲になるのもいいと思ってるさ」

 

「そ、そうですか・・・」

思わぬカウンターを受け少し恥ずかしそうにする景虎に思わず吹き出してしまう。前世と違って色々忙しいが、少し刺激的で二度目の人生も退屈せず楽しく過ごせそうだ・・・いつか再び終わりは来るのだろうが出来るだけ長くこの日常が続くことを密かに願っているのは墓場まで持って行く秘密である・・・もっとも

 

 

 

『いつまで寝ている?死ぬぞ』

 

終わりは俺が思っていたよりあるいは既視感を持って唐突に訪れる。

 

良い気持ちになっていた中唐突に頭に響く声に意識が覚醒する。目を開けた先にはショッピングモールの天井とどこかで見たことのある怪物が鋭い爪を俺に向かって振り上げている光景だった。

 

「っ!?」

 

「アレ?」

咄嗟に床を転がり回避する。攻撃を外した怪物は急に起き攻撃を回避した俺を不思議がっている。このままではまた攻撃をされてしまう。どう対処するか?意識がまだぼんやりしているが考えなければ・・・ああ、これでいいか。手を掲げ内にある力を手の平に収束させて行く。

 

「■■『待て待て!幾ら覚醒直後と寝起き直後が重なったトランス状態でかつ私が"起きている"とはいえよりによってそれを選ぶか!?今のお前にはその力は早すぎる!こちらにして置け!!』・・・【ジオ】!」

「フギャアアアア!?」

何かに促されるまま放った力は雷となって怪物に襲い掛かり断末魔と共に消滅させた。

 

『焦ったぞ全く・・・私のことは正気に戻れば忘れるだろうが取り敢えずはこの状況を生き残って見せろ。そこからがお前の非日常のスタートだ』

 

「・・・あれ、怪物は?」

 

何かが話しかけられていたような気がするが、意識がはっきりするとその感覚は消えていた。

不思議に思うが先程の怪物についてようやっと思い出した。

 

「あれは確かメガテンのガキ?ってことはこの世界ってメガテン世界だったのか!?よく知らずに16年間生きてたな俺!!ということはさっきの雷は【ジオ】なのか?・・・ってそんなこと考えている場合じゃねぇ!!景虎を探さないと!」

 

確かお花を摘みに行くとか言って別れたから女子トイレの方向にいるはず。そう思い辺りを見渡すと

 

「く、来るなああああああ!?」

 

「お、お父さん、お母さん!どこ!助けて!!!!」

 

「なんじゃ、靄のようなものが人を・・・!」

 

「「「ヒャハハハーーー!!」」」

 

絶賛ピンチ中の3人の姿と同じく3体いるさっきのガキの姿が目に入った。

 

 

『ほう、これは面白い状況だな。一人は懸命に逃げている会社員の若い男性、一人は恐怖で立ち尽くしているお前より年下の少女、一人は腰を抜かして倒れて動けなくなっている老人。いずれも先ほど倒したガキに一匹ずつ狙われている。あいつらは靄と認識しているようだし、万に一つの勝ち目もないだろう』

 

『それに対し、お前の【ジオ】なら一発で確殺可能な雑魚でしかない。今のお前でもMP切れでもしない限り3体纏めて相手にしてもまず負けないだろう』

 

だがと言葉を区切るその声を正気に戻った実槻には聞こえない。しかし、それと同じことを考えていた。

 

『3人がいる方向は見事にバラバラだ。【ジオ】にも射程範囲がある以上一度に倒せるガキは一匹のみ・・・つまり今まさに襲われる寸前の3人の中から助けられる人間もまた1人という事。無論3人共見捨てるという選択肢もある』

 

『"幸運"なことにこの3人はお前の知り合いでも何でもない。だから何も縛られず純粋に己が望む選択肢を選ぶと言い・・・お前がその雷で助けるのは男性か?少女か?老人か?はたまた全員見捨てるのか?選べ大宙実槻、汝が成したいことを成すが良い』

自分の声は正気の実槻には届かないことを当然声の主は知っている。例えこれが意味の無い問掛けだったとしても聞かずには居られない。彼が何を選び取るのかを。

 

「・・・!」

 

思考は僅か一瞬。その足を動かし、少年(中身は爺)は選んだ選択肢へとひた走る!




読了ありがとうございます!カオス転生作品の設定と照らし合わせつつ進めていく予定ですが、何か設定に矛盾があれば本家様優先でお願いします。因みに第一話の時間軸はガイア連合が依頼を受け始め霊能者業界にその名を知らしめ始めた時期からやる夫さんが、第一の支部を作る時期の間のお話です。主人公は初期勢ではありませんが、まだ本格的に活動し始めたばかりのガイア連合に合流する予定なので序盤勢で、世界が崩壊したあとは古参に分類される立ち位置に成る予定です。
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