親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

12 / 77
第十二話になります!ヒロイン同士の争いでしか摂取出来ない栄養素があるのだ!


修羅場(物理)

前世での恋人である黒雪と何故かシキガミとして再会し、流石の実槻も唖然と立ち尽くす中黒雪はまるで悪戯成功とばかりに微笑んでいる。

 

「どうした?久々の再会だというのに。君だって転生したんだ私も転生してもおかしくはないだろう?」

「・・・そのことについて考えたことが無かった訳じゃないが」

 

実槻は言いよどむ。黒雪が転生した可能性は当然彼も考えていたが、転生して自由に体を動かせるようになった当初他の転生者を捜す手段が彼には無く、出来ることと言えば前世の彼女の生家を捜すことくらいだった。因みに彼女の生家はこの世界には存在していないということが分かっている。

 

「そうだろうね。昔君がプライベートな時間を投げ打って私を捜してくれていたね・・・嬉しかったよ」

「え、何故それを・・・いや【守護霊】のスキル・・・まさか!?」

 

「相変わらず察しがいいな君は。まぁ普通の転生とは少し特殊なのだけどね」

実槻が本来なら黒雪が知らないはずの今世の自分の過去をしていることと彼女が保有しているスキルから何かに気づき、彼女はその様子を見慣れたように、懐かしむように笑いながら見つめている。

 

周りの聖達を完全に置いてきぼりにして二人の世界を展開する実槻、黒雪。周りのメンツは困惑したり、面白がったりして間に入る者はいない・・・彼女以外は。

 

「そうですか貴女が実槻の前世の『元』恋人ですか。初めまして私は今世での『現』親友兼恋人予定の長尾景虎と言います・・・今世でも『シキガミ兼友人』として実槻を助けてくれると嬉しいですね!」

「・・・ほう?」

景虎が二人の間に強引に割って入り笑顔で黒雪に挨拶をする・・・目は欠片も笑っていないし、挨拶の内容そのものは完全に喧嘩を売っている。当然黒雪は景虎をきつく睨みつけるが、本人はどこ吹く風で無視している。

 

「ふふ、『見ていた』から知っていたが景虎、君は本当に明るくて、怖いもの知らずで・・・この上無いほど腹が立つな!

「ちょっ何戦闘モードに入っているんだ!?前世より沸点低すぎだろ!!」

 

「正体を現しましたね、このヒステリー女!前世から追っかけてくる恋人とかヤンデレも良い所ですよ!」

「お前も武器を構えるんじゃねぇーー!!」

 

「「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ!」」

宣戦布告後、そのまま襖をぶち抜きながら中庭に到達すると戦闘音が響き渡る。

 

「悪い聖、修理代は弁償するわ」

 

「そ、それはいいですけど本当に彼女は前世の?」

「ああ、間違いない黒雪・・・周りからは黒雪姫と呼ばれていたがあいつは本物だろう。あいつの保有するスキルと言動から大体分かった」

 

溜息を吐くと実槻は天井を見上げる。呆れているようなその姿から大体の事情は察したのだと分かるだろう。

 

「余も気になるな。良ければ説明願えるかな?」

「本人に確認しないと確実なことは言えないが、【守護霊】というスキルを持っていることとその後の俺の過去を知っていることから恐らく前世であいつは死んだあと俺の守護霊になっていた可能性が高い」

 

「なるほど死別されていたのですね・・・ですが守護霊と言ってもそれは前世の話では?」

「普通はそうなんだろうが・・・あいつ独占欲が強いからな。俺の魂に引っ付いて転生してきた可能性はある」

 

「えぇ・・・」

実槻の考察を聞いてベルベットが本気で引いているが、正直前世で恋人だった彼でさえ軽いホラーだと思っている。

 

「あれでも確かシキガミって」

「そう、恐らくショタオジもとい神主と開発班は黒雪とグルだな。俺が星霊神社に行ったときに神主に接触した感じなんだろう」

 

実槻の脳内ではショタオジと開発班が良い笑顔を浮かべている。趣味だけでは無くてセキュリティもついでに上げられるという利点もあるのかも知れないが後で問い詰めようと決めた。

「ほうほう!実に興味深い事例だね!強い愛情はこっちの世界でも馬鹿にならないし、彼女がそこまで君に入れ込む理由も気になるね!」

「景虎も入れ込んでいるところを見ると重い女性に好かれやすいのか?」

「そんなことを言われてもな。俺はただ『あいつらの傍に居続けた』だけだぞ?」

 

「そうなのかい?」

『傍に居続けただけか、お前にとっては当たり前のことなのだろうな』

 

声の主の言うように実槻とエキドナの間に微妙の認識の違いが生まれるも直後に響く激しい戦闘音に意識を持っていかれてしまう。

 

「十年以上も恋人の目の前でその彼氏とイチャイチャしてくれたな!?彼の中で何度貴様を呪ったかお前に分かるか!!【物理プロレマ】【アクセルクロー】!!」

「呪殺適正があるのはその為ですか・・・度し難いことこの上無い!今世まで憑りついて人生を縛るなど言語道断と知りなさい!【物理プロレマ】【ヒートウェイブ】!」

「貴様がよく言うな!彼がいなければ人並みの感情を持てなかった貴様が!!」

黒雪ことブラック・ロータスが放つ斬撃の連撃を範囲攻撃の一閃で相殺する景虎。今の言葉の応酬的に景虎の方がまだまともに聞こえるが、二人は所詮同じ穴の狢。立場が違うから言動に差が出ているだけで本質的にはどっちもどっちである。

 

「はぁ修理代、掛かりそうだな」

 

「「一度死ね!!」」

一部寺の施設を破壊しながら行われた戦闘は翌朝まで続き、結局実槻の【マハジオンガ】で沈められたのだった。




読了ありがとうございます!因みに今回の戦いに実槻が巻き込まれなかったのは二人とも彼は悪くないことを分かってたからです。まぁそれはそれとして相手の方はムカつくので殴り合いが発生しましたが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。