親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第十七話になります!戦闘シーンはやっぱ難しいぜ…。


穢れの化身

「いやいや!落ち着け!!俺も驚いて置いてなんだがあれはヘドラじゃないだろ!」

 

「「「「は!?」」」」

 

動揺からいち早く立ち直ると他の動揺しているメンバーの頬に平手打ちをかまして正気に戻す。

 

「危ない危ない、危うく状態異常も喰らってもいないのに発狂するところでした!」

「しかし実槻も言っていたが、何故穢れと結びついたのは石油なのにヘドラの形を取っている?」

「そうですね、石油関係の怪獣などもいたはずですし…すぐには思い出せませんが」

「…それであろうな。理由は」

 

皐月の疑問に天香山命は心当たりがあるらしい。気にはなるが残念ながら今はそれどころではない。

 

「それどういうことって聞きたいがそんな余裕はなさそうだな!」

 

「■■■■■ーー!!!!」

ヘドラモドキの咆哮が辺りに木霊する。肉体の形成を終え臨戦態勢に入ったようだ。

 

「我が盟友。指示を貰えるかな?」

「ああ、さっき【アナライズ】したが耐性は物理、魔封、無効は毒、魅了、緊縛、吸収は呪殺、弱点は炎、破魔だな。ステータスとスキルは…うわ、名前同様めっちゃ文字化けしてて見えねぇ!?」

 

「なるほど。余の【アギラオ】の出番と言いたいが、この場所ではな」

足元に広がる石油に溜息を吐くビフロンス。無理もない、石油があふれ出ているこの場所で炎を使えばどうなるかなど小学生でも分かるのだから。

 

「ということは」

「我らの出番ということだ」

「相手の所持スキルが不安要素だがそういうことだな。特に最近景虎が覚えた【白龍撃】は有効だお前を主軸に動くぞ!」

 

主軸を決めると素早く作戦を立案する。結界内に捕えている状態なのでシンプルなものでいいだろう。

 

「俺とパピルサグは妨害と魔法攻撃、アガシオンは補助、回復、放生月毛は景虎を乗せて遊撃、黒雪、皐月は物理は半減だが前衛でタゲを取ってくれ、ビフロンスは中衛で攻撃しつつ事前に待たせた回復系アイテムも適宜使ってアガシオンのMP負担を減らせ…なぁ神様雷が当たっても燃えるかな石油!?」

 

「自然のものではなく、概念に近い魔法のものだから大丈夫じゃろ!・・・山火事の主な原因の一つは木に当たった雷じゃからそっちは概念的に燃えるじゃろうからそこから引火する恐れはあるけどの」

「外すなってことですね気を付けます!という訳で作戦開始だ!!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

「ヒヒーーーン!!」

立てた作戦を共有し終える頃にはヘドラモドキは攻撃体勢に移っていたが、その前に俺とアガシオン、放生月毛が動く。

 

「【マハスクンダ】!相手の所持スキルが不明なら魔法対策に【マカジャマ】と行きたいが耐性ある上にステータスも分からん以上物理型の可能性もあるからな。この状況で初手でやるならこっちだ」

 

「ヒヒーーン!」

「行きますよ放生月毛!」

放生月毛は駆け出すと同時に【スクカジャオート】が発動、アガシオンは【ラクカジャ】を使用して支援する。相手の動きが鈍り、こちらの動きが速度が増したことでこちら側から殴ることが出来る。

 

「では参ろうか【五月雨切り】!!」

「それは良いが、タゲ取りはこちらの仕事だからね。ダメージを一度に与え過ぎないように頼むぞ!【物理プレロマ】【絶命剣】!!」

「続きます【グラムカット】!」

続いてタゲを取る為に物理攻撃組が攻撃を加える。ただ予想通りではあるが耐性がある為威力がかなり殺されていて、特に連続攻撃系と相性が悪い。

 

「ちっ!やはり【五月雨切り】では相性が悪い。とはいえダメージを余が出し過ぎても困るのだがな」

「それでも【物理無効】じゃないだけマシだ!手を緩めるな!」

「斬ってみた感触から耐久力はありそうですね。なら次は【脳天割り】で混乱を狙いましょうか」

物理組が頑張って攻撃をしている間今回有効な破魔攻撃が使える景虎、パピルサグも動いていた。

 

「【チャージ】!・・・早く攻撃に行きたいのですが」

「【ハマ】!・・・分かっていると思うがダメだからな?魔の値が低い我の【ハマ】ならまだ大丈夫だが、力の値が高い貴様の【チャージ】【白龍撃】なんぞを今撃ったら前衛に集まったタゲやヘイトが一気に貴様に移ってしまう。ある程度前衛が削るまで待機していろ」

「むぅ」

「ブフゥ…」

パピルサグに諫められ、不貞腐れる景虎を慰める放生月毛。もし我慢出来なかったら後で〆ようと思っていると反撃とばかりにヘドラモドキが動く。

 

「■■■■■■!!」

「ってこれ呪殺系…威力と範囲的に【マハムドオン】か!!雑に呪殺ばら撒きやがって!」

 

俺と景虎は【呪殺無効】、皐月は【呪殺耐性】の耐性装備のお陰で問題はないが、仲魔達にはそこそこ効いている。弱点持ちはいないから即死はしないのが救いだ。

 

「だがこの程度は想定の範囲内だ」

ビフロンスの言う通り、すぐにアガシオンが【メディア】を使用して回復してくれた。

 

「そろそろか。ぶちかましてやれ景虎!」

 

「待ってました!【白龍撃】!ニャアアアアア!!!」

「■■ー!?」

 

「あ、ヘドラモドキ君ぶっ飛ばされたー!!」

弱点の攻撃を喰らって吹き飛ばされ地面に倒れ込むヘドラモドキを見て若干引くが頼もしい限りだ。

後はタゲ取り、回復、バフ、デバフを切らさなければ行けると思ったが…穢れの化身というだけあってそれだけでは終わらなかった。

 

「よし、このまま続けてってあれは!?」

 

【霊眼】のスキルが、起き上がったヘドラモドキの体内で魔力を高密度に濃縮しているのを捉える。

あ、あれは過去に封魔管の修行と称してショタオジの仲魔から威力大の魔法攻撃を喰らったときと同じ予兆!!

 

「高威力の魔法攻撃が来るぞ!各自避けるなり防御するなりしてやり過ごせ!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

全体攻撃だとしてもこの世界はゲームとは違うので、敵の攻撃範囲外から出てしまえば攻撃を喰らうことはない。まぁ速のパラメーターが低いので俺とアガシオンは回避出来なさそうであるが、【ラクカジャ】も重ね掛けしているのでこれ一発で致命的なことにはならないだろう…だが俺にはそれだけでは終わらないような気がしてならない。

 

「この感じ…後衛である俺とアガシオン狙いか?だが俺達は寧ろ物理防御力より魔法防御力の方が高いぞ」

 

動きの挙動から後衛狙いであることを見抜き、攻撃を受けた後の回復をアガシオンに指示しようとするまさにそのとき【霊眼】とはまた違う、前世で磨かれた観察眼と直感が今までとは違う…"人の感情"を捉える。

 

「笑み…?」

 

相手が人の穢れから生まれた存在だからなのか表情も良くわからないヘドラモドキからまるで笑っているかのような感情を読み取ることが出来た。その笑みが醜悪なものであるということも。

 

「っ景虎!!!」

 

「え、ちょどうしました!?」

感情を読み取った直後に直感に従い、隣に浮遊していたアガシオンを掴み景虎に放り投げる。

自分に向かって投げられた景虎は勿論、感情に乏しいアガシオンも驚いた顔をしているが、ここでアガシオンがこの攻撃を喰らうのは不味い気がするのだ。

 

「来るか!」

 

「■■■!!!」

ヘドラモドキが体内の魔力を解放するとまるで津波の如く石油の波が俺に襲い掛かる。

 

「へぶ!!」

 

「実槻!!!」

黒雪の声が聞こえるが、この石油の波に抗える訳もなく結界の端まで流されてしまう。

 

「無事か盟友!?」

「く、来るなビフロンス!ぐうう【マハジオンガ】!!」

空中から波に突入して俺を助けようとしたビフロンスを押し止め【マハジオンガ】で周囲の石油を弾き飛ばして如何にか波から自力で逃れることに成功した…だがこれは…!

 

「ダメージ自体は手加減していたショタオジの仲魔の攻撃の方があるが…はは、畜生身体がまともに動きやしねぇ!通りで原作じゃプレスターンアイコンが潰れる訳だ」

 

前に試しに【マハスクンダ】を限界まで重ね掛けしてみたとき以上に身体が重い。

 

「盟友!・・・それは一種の呪詛か?」

「ああ、状態異常【汚泥】。かの【邪神 ラフム】が使う【バビロンの呪い】…それと威力以外はほぼ同質の魔法を使うか」

 

俺の隣に降り立ったビフロンスは俺の身体に纏わり付いた石油の本質に気が付いていた。

浄化し切れなかった穢れの残りカスの集まりとはいえ、曲がりなりにも人間の穢れの化身。一筋縄では行きそうに無いな。




読了ありがとうございます!汚泥の状態異常を実機で喰らったときにこれは使えると思ったものです。
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