親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第二話になります!沢山の感想ありがとうございます!励みになりますのでこれかもよろしくお願いします!


選択の答えと新たな出会い

見た目は少年、中身は中年の大宙実槻。男性、少女、老人この三人の誰かを助けるか、全員見捨てるか。彼が選んだ選択は・・・。

 

『少女を選んだか、まぁ順当な所だな。老人は助けた所でお荷物になるだけ、男性の方は騒がしく逃げている分良い囮になる。ある程度己の安全の確保とより確実に一人を助ける確率を上げるなら少女が最適解だろう』

彼は力を得たばかりの自分が、誰もかれも救えるとは欠片も思ってない。原作ゲームで言えば先程倒したガキの分の経験値を加味してもレベル一桁前半程度しかないのだから当然の判断だ。

純粋な善意からの行動ではあるが、助ける過程は声の主の言う通りの計算も含まれている。

 

中身はただの元老人なのだ。少年漫画の主人公の様に保険も無しに一か八かのギャンブルをするなんてのは最後の最後でやるかどうかで、特に彼自身が追い詰められていない今の状況でやる訳がない・・・。

 

よって彼はまず"最低限"の保険を掛けてから行動に移す。

 

 

 

「【マハスクンダ】!!・・・よし行けた!」

 

『は?』

【ジオ】とは異なる敵全体の命中率、回避率を下げる魔法を放ち3体のガキの動きを遅くする。先程のガキを倒した経験値で新しい力を発現する高ぶりを身体の中から感じていた。そのとき発現する力はランダムでも最初に【ジオ】を覚えたように意志によってまだ形に成っていない力にある種の流れ、傾向を作り出すことは出来る。

 

イメージし、願うのは時間の確保だ。とはいえ時間に干渉するなど今の俺には到底出来ない、ならばもっと単純で物理的な方法方向を目指せばいいと願い、それに応じた方向性の力が発現したのだ。

 

『バカな・・・私が起きて居ながら願いがそのまま叶うなど・・・!』

「よし、時間が出来ればこっちのもんだ!【ジオ】!」

 

泣いている少女の方に走りながら老人を襲おうとしているガキに【ジオ】を放つと同時に、目の前の少女の前に陣取るガキと接敵する。

 

「でもってお前は」

 

【ジオ】を一度に二発放つのは無理なのでやることは一つだ。

 

「【ATTACK】だこの野郎!!」

「ギャアアア!!」

 

「グギャ!?」

 

【ジオ】が着弾したガキの断末魔と同時に目の前のガキの首辺りにダッシュの加速を付けた通常攻撃(回し蹴り)を放ち首の骨を折って絶命させる。こいつの断末魔は短い一瞬の間だけで真正面の壁に叩きつけられた。

 

「これで終わりだ【ジオ】!」

 

「フギャアアー!?」

 

逃げている男性の方向に向き直ると予想通り、ガキの速度が落ちているお陰で先ほどよりも男性とガキの距離が離れているのを確認すると【ジオ】で3体目も仕留める。

 

「ふー、案外如何にかなるもんだな。そこの会社員の人!あっちのご老人をここまで連れて来てくれ!悪魔・・・いや化け物に襲われても援護してやるから!」

 

「え・・・あ、はい!!」

 

「な、何やら分からないが助かったわい・・・」

 

男性に老人を連れて来るように頼むと先ほど泣いていた少女が呆けた様子でこちらを見ているのに気づき、中腰になり目線を合わせ頭を撫でる。

 

「間に合ってよかった。もう大丈夫だ」

 

「~~~~ッ!!」

 

その一言で緊張の糸が切れたのか、安心したのか少女は俺の胸に飛び込んで来るとまた泣き出すのだった。

 

『全員助けた・・・第5の選択肢か、最悪思うような力が発現しなかった場合でも駆け付けた少女は助けられる策を考える当りただの善人という訳でもないのだろうが、最初から全てを救おうとするほど夢見がちでもなく、かといって最初からあきらめるほど冷めてもいない。"最低限"の保険を確保した上で自身が考える最良の結果の為にやるだけのことはやるか・・・またおかしな者に宿ったものだ』

 

「悪かったなおかしな奴で!・・・あれ?」

 

「お、お兄ちゃんどうしたの?」

 

「あ、いや何か誰かに変な事言われた様な気がして・・・疲れてるのかな?」

 

その後男性と老人も合流。お礼は言ってくれたが、少女と違い俺に警戒・・・というか畏怖しているような印象を受ける。一応異能はこの騒動のときにいつの間にかに身に付いたものと説明したが、そりゃ怖いだろうな。少女は純朴なのかそうでも無かったけど。

 

そうして俺達4人でショッピングモールを脱出する手立てを探さなければ・・・あれ?何か忘れている様な気がする。

 

「ハハハハハハハハ!!どうしましたか?鬼なのでしょう?こんな女子に一方的に打ちのめされて反撃もしてこないのですか?」

「グアアアアアーーー!!」

 

「いやいや、両腕折れてるってあれ・・・・あ、忘れてた。景虎探してたんだった」

 

「「「えぇぇ・・・」」」

 

『【物理耐性】の上から物理で殴り倒すとかこっわ!』

 

その後探索中に【物理耐性】のあるオニをどこぞのお土産屋で売ってそうな木刀でしばきまくってる親友の姿を見て、本来の目的を思い出したのであった。他の三人に引かれた気がしたが多分景虎のことだろう・・・きっと、多分!

 

【現在】

 

「いやー片付きましたねー」

 

「雑魚ばかりだが周囲の安全確保とレベル上げには持ってこいだな。囮にされてるけど」

 

景虎と合流した後は生き残りを集めて、俺が最初に助けた三人も含めたショッピングモールの一角に立てこもらせながら脱出口を探したり、悪魔の間引きを行っている。

 

「にしてもお前がマジで上杉謙信の転生者だとはな。名前のことといい偶然・・・じゃないんだろうな」

 

「いやいや、貴方の方がぶっ飛んでますよ?女神転生でしたっけ?この世界がその前世でやっていたというゲームシリーズの設定と同じとか流石に私でも驚きましたよ」

「まだ悪魔関係だけだけどな。多分あるであろう霊能組織や起こっている事件によってここがどの世界線か、それとも全く違うものなのか判断出来るかもだけど」

 

景虎が合流そうそう転生者であることを告げて来た時は中二病が今頃になって来たかと思ったが、詳しく話を聞くと確かに明らかに異能を発現したばかりとは思えない戦闘力と継承した記憶などもあり、認めざるをえなかった。そしてその際俺が今まで隠していた恐らく景虎とは別口の転生者であることはメガテン知識も含め隠さず話している。俺だけ知るのは不義になるからな。

 

「それから俺のことは秘密な?多分この世界の本来の転生者とは違うだろうし」

 

「大丈夫です。私口は堅いので!それに大半の人は上杉謙信の転生者の私に興味を持つと思いますから」

 

「だろうな。戦国武将や大名の一人だしなそっちは」

 

「ええ!・・・しかし歯ごたえが無いのもつまらないですね」

 

「さっきお前が倒したオニ以上に強い奴はいなかったからな」

 

「中ボスみたいなポジションだったんですかね?私達って今どれくらい上がってます?」

 

「えーとちょっと待ってな」

 

悪魔の間引きに中に覚えた【アナライズ】を使用する。

 

【覚醒者 大宙実槻 Lv7】

 

【覚醒者 長尾景虎 Lv10】

 

「く、3レベル分負けているだと!?」

 

「ふふ、倒した悪魔の数が違いますからね」

「一応俺も【ジオ】で倒してはいるが、どう見ても俺は後衛型だしなー。近接戦はちょっとな」

 

【ジオ】【マハスクンダ】【アナライズ】以外に覚えたスキルは【アナライズ】を初めて使った時に判明した【電撃耐性】と【勝利の小チャクラ】である・・・個人的には【チャクラウォーク】の方が良かったけど。流石にある程度の方向性に誘導で来てもそう狙い通りのスキルは獲得出来る程甘くはないか。

 

『まぁその二つのどちらを習得するかと言われると適正的にやはり前者になるだろうな』

 

「うーんそろそろ全体攻撃スキルが欲しいな」

 

「私の物理攻撃スキルも単体攻撃ばかりですしね」

 

【マハジオ】当たり使えるようにならねぇーかなと思っていたが、どうやらそうも言ってられないらしい。

 

『ほう、これは先ほどと毛色が違う相手の様だ』

カツカツと足音を響かせながらこちらに近づいてくる気配を感じ取ると、俺達は無言で臨戦態勢に入り前衛である景虎が前に出る。

 

「臨戦態勢への移行がスムーズだ。これは談笑中であっても欠片も警戒を解いていないという事。覚醒したばかりでこれが出来るのはごく少数だろう・・・やはり諸君らは当たりだな」

満足そうな笑みを浮かべて近づいてくるのは銀髪に軍服姿の女性だった。普段なら中二病を思い浮かべる所だが気配的に悪魔だな。

 

「あー何か時折視線を感じるなぁと思っていましたが貴女でしたか。やっちゃいます?」

「まぁ待て、こうして出て来たってことは何か用件があるんだろ?」

 

「その通りだ。人間と悪魔の取引や交渉はこの業界では珍しくもないのだよ」

まぁ確かに原作でも主人公達がかなりやってたしな。

 

「交渉内容とそちらの対価次第だ」

 

「・・・話を聞くんですか?」

 

「聞いて損はないさ。魅了されないように気を付ける必要はあるけどな」

 

「そう警戒しなくても"今"の余にその手のスキルは無いから安心するといい・・・そちらもそれでよろしいかな?現代に蘇りし越後の龍よ」

「実槻が良いならいいですけど変なことをしたら首を斬りますからね」

木刀をブンブンと振り回す景虎。危ないからやめなさい。

 

「ふふ、これはこちらもお行儀よくしなければいけないな。余の目的は単純に我らで共闘し、この異界のボスの討伐をすることだ。これはそちらのこの異界からの脱出にも繋がると愚考するがどうかな?」

「異界ってのは察するにこのショッピングモール内部のことか?確かに普段とは雰囲気が違うと思ってはいたが・・・俺達の目的とも合っているがやっぱりボスって強いの?倒せれば異界も消えるっぽいが」

 

「そこの英雄殿が倒したオニよりも強いのは間違い無い、とはいえ本来の余なら苦も無く倒せるレベルなのだがな・・・!」

軍服の女性のから僅かばかりの怒気を感じる。ボスと因縁でもあるのだろうか?

 

「はいはい、貴女の事情なんて興味ないんですからさっさと話を戻して下さい」

 

「おっとこれは失礼、今は昔よりも余が零落していてボスの方が強いということだけ覚えて置いてくれればよい。それで対価についてだが諸君らはまだこちら側の世界に慣れていないと見える。その知識の教授とボス討伐の際に手に入れたアイテムやマッカという所でどうかな?無論それらの使い方も教えよう」

ふむ、俺にはメガテン知識はあるが作品ごとに設定が違うなんてこともよくあるし、この世界の裏側の情勢については欠片も分かって居ない。アイテムやマッカもくれるとなると断る理由はないな。どの道ボスは倒さなきゃだし

 

景虎に視線を向けるとこちらの考えが分かっているのか、不承不承という様子だが頷いてくれた。

 

「こちらはそれで問題ない」

 

「では交渉成立だ。一時の間だが余の剣を諸君らに預けよう」

軍服姿の女性悪魔と奇妙な共闘体制を取ることになった俺達。一時的にとは言え戦力が増えるのはありがたい。悪魔召喚プログラムなどが無い為注意は必要だが、これで本格的に異界の脱出、いや攻略に移れるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

【妖鬼 『中二病の』ダイモーン Lv7】

 

「「え、思った以上に雑魚なんですけど?」」

 

「・・・だから先程言ったであろう。余は零落していると」

「いやいや目を逸らさないで下さいよ!零落し過ぎですよこれ!電撃が弱点なども相まって後衛の実槻でもタイマンで勝てますよ?」

 

「うーんこれはちょっとレベル上げしていくか。というか二つ名が中二病ってなんだよ」

 

『はぁ折角まともなものが来たかと思って黙って見ていたというのに・・・変人を集める才能でもあるのかお前には』

 

結局ボスに挑めたのが更に1時間経ったころだった。




読了ありがとうございます!狩谷とは同じ主人公でも差別化していくのが苦労しそうです。
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