親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第二十五話になります!今回は鑑定関係のお話を。作品の本筋という訳ではありませんが、他の黒札との交流などもさせたいですしね!あと主人公の前世についても少し触れます。


イタコの里

ベルベットの心配事を解決してから数日後とある一本の電話から今回の話は始まる。

 

「おや、霊視ニキじゃないか。突然電話なんて珍しい、そっちは今忙しいんだろ?」

 

『悪いな朝早くから。ああ、恐山の攻略が終わって今はイタコ達が以前に使っていた霊的施設の復旧やらガイア連合の施設を誘致したりしてるんだが・・・ちょっと面倒なことがあってな』

霊視ニキとは同じ霊的な視界が特異な者同士で意気投合し、そこそこ連絡は取り合う中だが彼も忙しいのでやり取りは専らメールだったのだが、どういう風の吹き回しだろうか?

 

「というと?」

 

『まぁ簡単に言うと鑑定ニキの鑑定眼と知識を借りたい』

翌日霊視ニキの依頼を受けた俺は早速イタコの里を訪れていた。

 

「悪いな付き合わせて、体調大丈夫か?」

 

「気分は少し悪いけど大丈夫よ。元々必要なときには私自身も転移していたし」

今回同行しているのは、皐月の補佐役である結標淡希。【トラポート】などの転移系のスキルに特化した異能者だが、自身の転移にトラウマを持っているので当初は行きだけでも楽が出来るように俺単独での恐山への【トラポート】を頼んだ所、彼女の方から同行を申し出てて来たのだ。

 

「無理しなくていいんだがな。幾らガイア連合の技術で補強されたといっても」

 

「バッテリーの問題で乱用は出来ないにしても危険性が無くなったのならトラウマ云々言ってられないわ。それに貴方を一人で行かせるのは無しよ、影響を受けるのを霊能の依頼に限定して考えても長期間ここを空けたら依頼処理の効率が凄い下がるもの」

彼女の背中方向の腰には小型の機器が装備されている。これはトラウマの原因である時分自身を転移したときに起きる3%の確率で起こる誤差を無くす機器で、俺が彼女の為にガイア連合の製造班に作って貰ったものだ。

 

この機器は彼女の霊質の変化の計測、調整に使われる。そもそも誤差は彼女の霊質が多少ではあるが常に変わり続けてしまう欠陥によるものでこれが転移前と転移後で差があり過ぎてしまうと情報の差異によって誤差が生じてしまうので、変化を計測し調整することが出来れば問題なく使える・・・ただ一度使用するごとのバッテリーの消費が大きい、機械の為異界では使えない、トラウマ自体が消えた訳ではないので精神的な苦痛はどうしようないと気軽に使うのは厳しい物になっている。

 

「景虎や黒雪が同行してくれれば良かったんだが、あいつらも居なくなると依頼が本当に回らないからな。今回は戦闘しないから別に俺一人でもいいんだけど…帰りに時間掛かるけども」

 

「いや、行き帰りの時間を考慮しなくても貴方を一人で他の地方霊能組織に行かせるとはあり得ないから。特に異性避けの女を付けずに行くとか冗談抜きで喰われるわよ?正直ガードが私一人だけっていうのも不安なのに!」

「普段は景虎達に加えて最低二人は命蓮寺の女性メンバーが同行するからな。と言ってもここは霊視ニキや他にも黒札が派遣されてるから他の所よりマシだろ?」

 

「だから同行者が私一人でも許可が出たのよ・・・ほらそう言ってる傍から屋敷が見えて来たわ」

こちらの案内をしてくれている比較的若い巫女達が苦笑いを浮かべてしまう会話を結標としながらイタコ達の本拠地である大屋敷に到着した。周囲にはガイア連合傘下の建築業者などの姿も見られ里が急速に発展している姿が見て取れる。

 

「すまんな、すぐ対応してくれて助かる」

「良いってことよ。そしてそちらが巴さんとイタコネキ?初めまして大宙実槻だ。皆からは鑑定ニキって呼ばれている」

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

「初めまして鑑定ニキ!ガイア連合では新入りだけどよろしくね、それと今回は来てくれてありがとう」

「よろしく、こっちは同行者の結標淡希だ」

 

「よろしくお願いするわ」

屋敷の中で俺達を出迎えるのは昨日電話して来た霊視ニキとそろそろ霊視ニキとくっ付くと噂されている現地民の巴さん、そしてつい最近ガイア連合に加わったこの里出身の黒札であるイタコネキだ。

 

「巴さんそんな緊張しなくてもいいって。今日は霊能者というよりも鑑定士として来たんだから。まぁ物が物だからそっちの技術も使うけど」

 

「なんせ推定昔のイタコが使ってたガチガチに霊的ロックが掛かった木製の金庫ですからねぇ」

イタコネキの言う通り今回の依頼品は木製の金庫だ。なんでも霊的施設の復旧やガイア連合の施設誘致やらで里全体で工事しまくっているそうなのだが、その工事中に地面から出て来たものらしい。大きさは然程大きく無く、安いホテルによくある小型の金庫くらいらしい。

 

「祖先霊や長老に確認は取ったのか?」

 

「はい、しかし両者ともご存知ではない様子で・・・でも長老の様子が少し変だったような?」

「霊的なロックはここのイタコの術式が使われていたから過去のイタコの持ち物だろうと予想出来るんだが・・・いかんせんロックがガチガチ過ぎてな」

「めちゃくちゃ怪しいと?」

 

わざわざ霊的にもガチガチにロックが掛けられている金庫…嫌な予感しかしない。

 

「ああ、しかも金庫のギミックを解かずに無理やり術式を解こうとすると中身を処分する機能もあるらしくて、長老でもギミックを解くのに時間が掛かるらしい」

「それで俺に連絡したのか」

 

「ショタオジから聞いたがそういうことも出来るんだろ?」

「勿論、長老も忙しいだろうから俺が適任だな」

 

霊視ニキが実質トップとはいえイタコを纏めている長老の仕事は相応に多いはずだ。あからさまな危険物なら兎も角ただ怪しいだけで長期間拘束することは出来ないのだろう。そこで前世でそういう絡繰りの金庫とかを持ち込まれて解いた経験がある俺が呼ばれた感じか。

 

え、本来は鍵屋とか別の職種の担当じゃないかって?それはそうなんだが、所謂顧客サービスの一環だ。それにその技術が他の仕事や案件に役立つときもある…主に使う技術はピッキングだけど。

 

「いえ、長老はガイア連合との合コ、交流会の為の取り寄せたばかりのテレビで"ナウでヤングにバカ受けな流行り物"を勉強するので忙しいと・・・」

「仕事じゃなくてそっち!?というか長老って何歳よ!」

「何歳でもその表現な時点で古いな」

 

「今の年号が昭和なのを加味しても時代遅れ感がありますよね」

「だよなぁ」

前世で色々なサブカルチャーに触れていた俺達黒札が故に気合いが入っている長老に「あ、もうダメそう」と思ってしまう・・・前世の弟子も俺に対してそう思っていたのだろうか?サブカルチャーや物品の流行り廃りは把握していたけどそれ以外は特に意識していなかったからかなり怪しいな。

 

「それじゃ早速仕事に入るか?」

 

「あー、今夜は長老がお前達の歓迎会をしてくれるそうだ」

「・・・それ本当に歓迎会?」

 

「一応歓迎会なはずだが・・・俺と巴は仕事で参加できんが注意して置け。お前レベル的にガイア連合の幹部クラスだからな?」

デスヨネー巴さんも苦笑いしてらぁ、イタコネキは思いっきり笑ってるから後でシバこう。

 

「という訳で頼むぞガード」

 

「・・・まぁそれが私のここでの仕事だから頑張るわよ」

「あれ?結標さんって鑑定ニキの彼女さんではな「「「恐ろしいことを言うな!」」」え」

肩ポンされ、もう疲れたような表情を浮かべていても恋人ではないと否定する結標とそれに追随する俺と霊視ニキ。景虎と黒雪の重さ加減は割と黒札内で知られているのだが、入ったばっかりのイタコネキは知らなかったようだ。ぶっちゃけ終末になったら二人以外にも娶らないと行けなくなる気もするが、高校卒業後二人と夜のアレコレをして正式に婚姻して安心させてからじゃないと下手しなくても背中から刺されるから勘弁して欲しい。

 

尚歓迎会では案の上というかなんというか巴さんの先輩方からの"お誘い"が激しかったが

 

「はい、そこ話しかけるだけなら兎も角お触りは禁止です」

 

「それ、ジュースとかじゃなくてお酒ですよね?しかも度数の高い・・・ああ、酔って間違えて注いでしまったのですね。ではここからは彼の飲み物は私が注ぎます・・・私も彼も未成年ですからこれからはもっと注意して下さいね?」

 

「今日泊まる部屋割り?私達は二人部屋でお願いします。一人部屋も全然空いている?いえ、"二人部屋"です」

 

「旅の疲れを癒す為に彼を部屋に招きたい?【トラポート】で来ているので心配は要りません。仕事中の疲れ?彼にとって鑑定業は半分趣味なので寧ろ元気になるかと・・・もし"そういうこと"が必要になっても私がお相手するのでイタコの皆さんにお手間は取らせません」

 

「上から強制されているのか?なるほど、ここが女性の霊能組織故に心配だと・・・お気持ちは嬉しいですが、そもそもいざとなったときに相手できない者は彼の遠征の同行者に選ばれないのでご心配なく。もっとも彼自身が理性的で恋人も二人いるのでそうなったことは一度もありませんが・・・そういうことですので、例え今夜間違いがあってもイタコの皆さんに被害が及ぶことだけは"絶対に"ないのでご安心下さい」

 

結標は活躍した。普段はこういったことは同行する女性達全員でガードして負担を分散させている中一人で俺のガードを全うしたのだ。

 

「ああ…疲れた・・・幾ら若返ったからって…いい歳したイタコ共が・・・!・・・トラウマのダメージよりもある意味きつかったわ・・・」

結果あてがわれた二人部屋に着くと即座に倒れ込む程消耗した。

 

「お疲れ」

 

「まぁなんだ。あいつらには寝てるときまで迷惑掛けるなって言って置くから」

「寝ずの番は要らないってよ結標」

 

「そ、そう・・・なら、ゆっくり休めそうね」

身体が満足に動かせ無さそうだったので、布団に入るのに俺が手を貸した。風呂は朝に入ることにしたらしい。

 

「そういえばイタコネキはどうした?」

「歓迎会中に庭でタイマンの模擬戦をしてシバいた。イタコネキは互いの戦闘スタイル的に魔法合戦する気満々だったから開始と同時に縮地で接近して木刀でボコってやったから今頃布団の上だろう」

 

「あれ、お前【縮地】なんてスキル使えたっけ?イタコネキは単体でも独特な戦い方するからレベルで上回ってても魔法の撃ち合いじゃなくて、意表をついて接近して何もさせずにフルボッコってのは分かるが」

「それスキルじゃなくて前世で刑事の友人に教えられた剣道の技術だぞ?というか俺の近接関係のスキルって取得したばかりの【極・物理見切り】以外無いから他の動きや技は全部ただの技術だぞ」

 

「マジでか!?」

マジである。俺に武術を教えた刑事の友人が有段者だったせいで、技術だけは無駄にあるのだ・・・まぁそいつには生前一度も勝てなかったんだけどな。

 

 

 

 

 

「因みにどんな奴だったんだ?」

「どんなって・・・こんな人?」

※画像はイメージです。

 

「るろうに剣心の斎藤一じゃねぇーか!?」

「に似た奴な。本人じゃねーよ牙突は出来たが」

 

「いや、似た奴ってだけでもおかしいだろ!!というか牙突出来たのかそいつ!?」

あ、そうそう当たり前だが俺は牙突は使えないぞ?あれを実戦レベルで使えるとかやっぱあいつは色々おかしい奴だったんだなぁって改めて思うわ。




読了ありがとうございました!今回はバッパラ様の【カオ転三次】今更転生ごちゃまぜサマナーよりイタコネキをお借りしました!なんかギャグキャラみたいな登場で少し後ろめたいですけど。

【作中に書かなかった小ネタ】
結標は実槻に命蓮寺への支援やトラウマ克服の第一歩を齎してくれたことに恩義は感じていますが、今の所特に恋愛感情はありません。ただ実槻が他の地方霊能組織とそういう関係を築くと起こる色々な問題から未然に防いで守る為というのと最悪命蓮寺から乗り換える恐れもあるので、そうなる前に身体張って止める覚悟の決まった子なのです。命蓮寺の同行者は少なからずそう言った覚悟をしている人達です。

実槻は当然そのことに気が付いていますが、彼女達の覚悟に泥を塗らないように敢えて触れず気が付いていないフリをしていたりします。その為作中でも特に言及しなかったんですね。
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