親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第三十一話になります!あ、因みに言って置きますが今戦ってる先代は原作のキバであるバラゴより弱いです。伊達に元黄金騎士の弟子じゃないですよ彼は。


人の価値

痛打を与えたものの続けて与えた【マハスクンダ】は【デクンダ】で無効化されてしまった実槻。再び剣撃や範囲攻撃を捌いて新たな隙を作らなければならない。

 

「いい加減諦めよ!!」

 

「(隙を作る方法は幾つか思いつくが、大半が肉を切らせて骨を断つ的な方法だ。俺は物理攻撃で骨を断てる火力は無いから必然的に魔法になるが、さっきの【電撃プロレマ】【コンセンレイト】【ジオダイン】で漸く痛打レベル・・・手応え的に魔法防御が高いというというよりも元のHPが高いタイプだろう・・・さっきと同レベルの攻撃一発であいつが倒れるか?いや、無理だろ。寧ろダメージ負って攻撃を捌き切れなくなって詰む気がする)」

キバからの言葉と剣撃をいなしながら隙を作る為に思考を続ける。今打てる手でこの局面を打開する方法は何か、その具体的な内容を実槻は

 

「(やっぱ"アレ"しかないよなー!!)」

 

ぶっちゃけ戦闘開始後直ぐに思いついていたりする。

 

「(でもアレはなー、正直博打なんてレベルじゃないんだよなぁ。事体を打開出来ても死ぬ可能性が高いし、上手く行ってもショタオジに必ずドヤされるだろうし・・・出来ればやりたくないんだけど)」

 

だが、それを実行するのは実槻をして正気かと思ってしまうほどの蛮行である。ショタオジからの説教コース確定レベルの行い故それを実行するのを彼とはいえ悩んでしまうのだ。

 

「(まぁしょうがねぇか!そもそも死んだら説教受けたり、謝ることも出来ないしな!)」

 

といってもこの男はやる前は悩みもするが、一度やると決めたら躊躇いなく実行に移してしまうタイプの人間なのだが。

 

「何故だ!何故ここまで捌き、いなされる!?」

「はぁ・・・さっきから諦めろ諦めろ煩いが、さてはお前生前何かを"諦めた"な?」

 

「な!?」

 

分かりやすく動揺するキバに実槻はわざとらしく笑みを浮かべる。

 

「その反応は図星だな?見た所諦めたのを後悔しているようだが、だからってそれを他人にまで強要するとか死ぬほどダサいぞ。先人なら後輩共に自分の失敗を教訓にしろだとか言いやがれ!」

 

「何も・・・何も知らない貴様に何が分かるーーー!!!」

キバが怒りの咆哮を上げ再び斬りかかる。怒りにより多少精密さが掛けているがそれでも威力は上がっているのでまともに喰らえば不味い為今まで同様実槻は剣でいなしていく。

 

「同門であるはずの者達に裏切られた我や我の家族、仲間達・・・その無残な最期も共に生きた日々も知らない貴様などに!」

「・・・ああ、分からないな。俺はお前の大切な人達にあったことなどないし、お前やその人たちがどんな目にあったのかも知らない・・・だから俺はそれらの"価値"を今のお前を視て判断するしかない!」

 

「価値・・・だと!?」

 

「そうだ。だが、お前を視るにそれほど価値があるようには"視えない"な?」

 

実槻が放った一言にキバは一瞬固まる。しかしすぐに先程よりも激しい怒りのオーラを放つ。

 

「ふざけるな・・・価値があるように"見えない"だと!?我だけではなく、我を支えた者達を・・・愚弄するなあああああーーーーー!!!!!!!

怒りに身を任せ【物理ギガプロレマ】【モータルジハード】を放とうとする。故に実槻以外の周りなど見えていなかった。

 

「何も知らない人間に心を動かされ過ぎだ・・・馬鹿が!」

 

「【五月雨切り】!」

「何!?ぐああああ!!!!」

 

その結果真横から急に現れた軍服の女性の攻撃をまともに防御もせずに喰らってしまった。

 

「ついでだ・・・これももう一度喰らって置け【コンセンレイト】【電撃プロレマ】【ジオダイン】!!」

「があああああ!?な、なんだその悪魔は!?」

堪らず後退し、膝をつくキバ。その目にはこの空間にはいないはずの他の悪魔の存在に向けられていた。

 

「ご挨拶もせず攻撃を加えてしまい申し訳ない。余は【龍王『中二病』のナーガラジャ】、盟友である大宙実槻の『元』仲魔だ。以後お見知りおきを」

「何だと!?我が張った『召喚封じの結界』内で召喚など・・・『元』・・・?・・・いや、まさか・・・そんなことを…そんなことをする者がいる訳が無い!!!!」

 

自身の目の前に優美なお辞儀を披露する悪魔を見て、一つの可能性に思い至ったキバは頭を振り必死に否定しようとする。そんな馬鹿げた自殺行為を曲がりなりにも悪魔召喚師(デビルサマナー)を名乗る者がやるはずがないと叫ぶ。

 

「いや、お前が思っているので合っていると思うぞ?諸々の解除に少し時間が掛かってしまったがな」

 

実槻は懐から壊れて使えなくなった封魔管をキバの目の前に放り投げる。それは先程でもナーガラジャが入っていた封魔管だった。

 

「・・・」

「おいおい、合っているって言ったのにあいつ絶句しているぞナーガラジャ。さっきまでブチ切れたのに」

 

「余的には至極真っ当な反応だと思うがね・・・召喚術を封じる結界は見事。しかしそれにも穴はあるのだよ暗黒騎士殿」

「悪魔召喚に置ける召喚術の役割は大まかに二つ。悪魔が本来存在する魔界と人界との一時的なゲートの構築、そしてそこから瑕疵無く、安全に悪魔を召喚又は送還することだ。まぁ技術が足りない場合はそうもいかないがそれは今は関係無いから省くとして・・・封魔管で用いる召喚術の場合は前者の役割は必要無い、既に悪魔本体が管にいるし、菅の開け閉めや保持は封印術の領分だしな。つまり後者の役割だけを召喚術が担う訳だ」

 

実槻とナーガラジャの話を絶句したままただ聞いて居るだけのキバ。彼とて生前は悪魔と戦いを繰り広げていた覚醒者、故に実槻のことをまるで一種の化け物のように見えてしまっていた。

 

「さて、ここで問題だ。そんな悪魔入り封魔管に施された封印術を切った上・・・悪魔との契約を一方的に"破棄"した場合どうなると思うナーガラジャ?」

 

「全く酷い話だよ。そんなことをされたら悪魔は普通『外に出るチャンスだ!』とばかりに内部から封魔管を"破壊"して外に出てしまうだろう・・・当然大概の悪魔は一方的な破棄に怒って愚かな元契約者を喰い殺そうとしてしまうだろう。おお、実に恐ろしい話だ」

その様な会話を一人の人間とその人間の元仲魔は愉快そうに笑いながら話している。そう実槻がやったのは封魔管の封術解除と悪魔との契約破棄によって悪魔が脱走することで召喚術を使わずに悪魔を呼び出すという悪魔召喚師(デビルサマナー)ならまずやらない、というか考え付きもしない出鱈目も良い所な、愚かにも程がある行動だったのだ。

 

「おや、それではそんな愚かな元契約者である俺はこのままだとナーガラジャに喰い殺されてしまうな。それは困る!・・・ということでナーガラジャ、少し交渉をしないか?再契約についてのな」

 

「はは!先程契約を破棄して置いて再度同じ悪魔と契約とは何と図々しい!普通の悪魔ならそれこそ先程の暗黒騎士殿のように怒り狂ってしまうぞ?」

実槻の提案に言葉とは裏腹に先程よりも愉快そうに笑うナーガラジャ。それは最初の契約の時と同じ…いやそれ以上の笑みだった。

 

「その怒りはもっともだ・・・なら以前の契約よりお前への対価を増やそうか。何がいい?」

 

「ふむ・・・余を本来の姿に戻すだけでは確かにこの愚かな蛮行を帳消しには出来ないな。では我が身をより本霊に近い"高位分霊"とすることを新しく対価に提示させて貰おう・・・どうする盟友?」

実槻に今度は愉悦を滲ませた笑みを見せるナーガラジャ、そして実槻も同様の笑みを見せ応える。

 

「いいぜ、元々お前を元に戻してからも強化をしてやるつもりだったからな。どれくらいかは決めていなかったが、目標が定まっていいことだ。何時ぞやのショッピングモールの時と同様口約束で済まないな」

 

「その程度、構わないとも。帰ったら正式な契約を結ぶとしよう」

「・・・何故だ」

 

口約束とはいえ、確かな契約がなされたのを見たキバはうわ言のように同じ言葉を繰り返す。

 

「何故だ何故だ何故だ!何故再びこの男と契約を交わそうとするのだ!」

 

「くく…そうさな、一言で言えば盟友には余が再び契約を結ぶに足る"価値"があったということだ」

「"価値"だと・・・?」

 

「そうだ」

 

実槻が力強い目つきでキバを視る。

 

「物の価値、人の価値。それらは常に表裏一体だ。どれだけの名工が作り上げた作品も持ち主が蔑ろにすればその価値は下がってしまう。半面きちんと扱えば作品自体だけでは無く、その持ち主の価値も上がる」

 

「そして価値とは目に見えるものだけに付けられるものではない。人に注がれた愛や教育、作って来た思い出などにも価値は生まれる。そしてその当人がそれらに応えようと、恥じないようにと失敗しようとも自身の価値を高めていくことで、先程と同じ理屈でそれらの価値も上がる」

 

「しかし裏を返せば、それはその当人が無様をさらせばそれらの価値を下げてしまうことも意味している・・・お前のことだよ馬鹿野郎」

 

キバを見下ろす実槻の目は恐ろしく冷めていた。人を辞めたキバでさえもう無いはずの背筋が凍り付くかと思う程だった。

 

「お前のその無様な姿・・・ああ、膝を付いていることでは無いぞ?死んだ身でありながらこんなガキの命を奪っても生きようとする姿のことを言っている」

 

「無様だと…!」

 

「ああ、無様だ!お前がお前自身の価値を下げていることが、お前を通して視る愛する人達やその愛や思い出の価値を下げているんだからな!」

 

実槻の怒号が飛ぶ。物の価値とは何か、人の価値とは何か、実槻の主張はあくまで例の一つなのかも知れない。だがそれでも彼の主張が真実の一つであるのは疑いようもないことだ。

 

「それが違うと思うのなら、間違っていると言うのなら…立ち上がり俺達の首を取って己の価値を示して見せろ!暗黒騎士!!」

 

実槻は再び己の剣を暗黒騎士に向けるのだった。




読了ありがとうございます!作中でも言ってたけど今回のことで後で報告したらショタオジにドヤされるから自分の足で報告しに来たんだろうなと。すぐ謝れますからね!まぁセツニキにも怒られそうですけど!恋人の2人とはまた違った悪魔の相棒感があるナーガラジャことコカベル。実槻がこんなことをやれたのも自身にはそれほどの価値があるという自負と彼女との確かな信頼関係があり、自身のことをちゃんと分かってくれていると確信していたこそなのですが。
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