親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

36 / 77
第三十六話になります!ずっとシリアスしてたから今回から色々ぶっ飛ばして行くぜー!


ワルキューレ

実槻が暗黒騎士キバを継承してから数週間ほど経ち、デモニカの研究が盛んにされ始め自衛隊ニキの機密漏洩が発覚する少し前から今回のお話は始まる。

 

「えへへ///」

「この数週間表情が緩みまくっているぞ景虎・・・ようやっと関係を持てて嬉しいのは分かるがな」

「えー、先日まで貴女も似たようなものだったじゃないですか」

数週間前漸く彼氏との一線を越えられた影響で、朝から晩まで頬が緩みっぱなしの景虎を窘める黒雪だったがぶっちゃ数日復帰が早かっただけである。

 

「そろそろ戻って置けという話だ。丁度実槻も出かけているしな」

「はぁ、恋人二人を放って別の女と人気の女性ボーカルユニットの全国ツアーライブに行くとかデリカシーが無いですよ本当!」

「別の女って確かに実槻と同年代だが親戚の子だし、お前だって会ったことあるじゃないか。その子がそのユニットの大ファンでこの町でやるライブのチケットを偶然市長から二枚貰ったから融通してあげただけでほぼ付き添いだろうに」

景虎が愚痴を零すも不可抗力だろうと実槻を擁護する黒雪、急な話ではあったが東京からライブの為にわざわざ新潟市に来るその子には付き添いが"色々"な意味で必要なので仕方ないのだ。

 

「でもそのボーカルの曲を聴いているのをよく見ますが?」

「それは親戚の子が布教の為に毎年CDアルバムを送ってくるからだろう。聴かないのも失礼だしな・・・折角だライブの全国中継もあるらしいから見て見たらどうだ?」

「むぅ、まぁ見てみるくらいなら。確かユニット名は『ワルキューレ』でしたか」

景虎も難癖を付けているのはよく分かっているのか不貞腐れながらもライブの中継を見てみることになった・・・のだが。

 

『我が名は暗黒騎士キバ!愚かな天使に引導を渡す!!』

「「え?」」

 

何かライブ中継に彼女達の彼氏がキバの鎧を着て出ていた。

 

【ライブ開始15分前】

 

「ふふ、もう間もなくです。このライブは主の偉大さを世界に知らしめることとなるでしょう!」

ライブ会場である朱鷺メッセに割り当てられた私達『ワルキューレ』の控室。いつもなら和気藹々な雰囲気なのだけどこのツアーは違う。これも目の前でこの状況を愉快そうに笑っているマネージャー・・・いや、マネージャーに成り代わった『メシア教の天使』が原因だ。

 

「・・・そんなに広めたきゃ聖堂で聖歌でも歌ってればいいのに!」

「レイナちゃんダメだよ今は耐えなきゃ!」

レイナが天使に向かって毒付くのをマキナが慌てて止める。その気持ちはよくわかるけど今はあいつを刺激しちゃ駄目だ!

 

「おやおやツアー前に言ったはずですよ。高い霊能の才能を持つ貴女達が全国各地の霊地近くのライブ会場で歌うことが大切なのです。それに確かに聖歌の方が効果はあるでしょうが、歌い手が主を信仰していない貴女達では効果は薄いですから」

「主ってメシア教の天使っていう貴方が言うなら一神教の神様だよね?そんな立派な神様がこんなこと望んでないよ!」

「・・・ほう、信仰心も無い貴女が主を語ますか?フレイア・ヴィオン」

「ひっ!」

天使相手に神様のことを語ったからか鋭い視線がフレイアを射抜く、怯える彼女を見て私はリーダーとしてその間に割り込んだ。

 

「それ以上やめて。彼女が歌えなくなるのは貴方だって困るのでしょう?」

「カナメ・バッカニア・・・まぁいいでしょう。この私をパワーの霊格まで押し上げたのは貴女達のお陰ですからね多少は多めに見ましょう」

天使の視線が逸れると後ろのフレイアが床に座り込んでしまう。私達が逆らえば事務所の他の皆や家族に報復の手が伸びてしまう。マネージャーのような犠牲者を出さない為にも今は従うしかない。

 

「それで、本当に全国ツアーの終わりであるこのライブで私達は解放されるのよね?」

「ええ、勿論です美雲・ギンヌメール。私は天使ですので嘘は付きません」

「そう願うわ」

美雲さんが天使に確認を取るが、正直素直に私達を解放するとはとても思えない。それにこいつの企みなんて碌でもなさそうだし!如何にか状況を好転させられないだろうかと思案していると扉のノックの音が鳴る。

 

「突然すみません、お久し振りです。以前共演した誘宵美九です!覚えていますかー?」

「美九ちゃん!?」

誘宵美九、数年前からソロアイドルとしてデビューしてから一気に全国で知名度を上げた売れっ子だ。私達も番組の企画で一度共演したことがあり、元から彼女が私達ワルキューレの大ファンだったのもあり仲良くなっていたのだけど・・・まさか新潟公演に来ているだなんて!

 

「あ、カナメさん覚えててくれたんですね!やった!デュフフフ!・・・ごほん、実は今回のライブのチケットを譲られたので来ちゃいました!激励に来たのですが中に入ってもいいですか?」

「え、いや・・・それは」

思わず天使に目を向けるがここは自分が対応するから黙れとと目で言われ、押し黙る。そして天使は扉を開けると張り付けた笑顔を美九ちゃんに向ける・・・彼女まで巻き込みたくはない、どうか穏便に済んで!

 

「お久し振りです美九さん、激励はありがたいのですが生憎本番が近いので中には・・・」

「あー、そうですよね。残念!お兄ちゃん、本番後に出直しましょう」

「お兄ちゃん?美九さんは一人っ子だと記憶していたのですが」

「はい、チケットを譲ってくれた親戚のお兄ちゃんです!一緒にライブを見に来たんですけど私が以前お世話になったから激励のついでに挨拶したいって。ねぇお兄ちゃん?」

そういえば自分のアイドルデビューに力を貸してくれた親戚がいるって共演したときに言ってたっけ。こんな状況ではあるが、彼女の親戚ということで興味が湧いたのか全員の視線が彼女が振り返った方を見る。彼も無事に帰ってくれるといいのだけど・・・。

 

 

 

 

 

 

「いや、ここまで来れれば十分だ」

そこには全身漆黒の鎧の騎士が立っていた。

 

「「「「「「「・・・え?」」」」」」」」

 

あまりにも唐突な展開に私達や天使は勿論美九ちゃんまでも固まっていた。

 

「十分殴れる距離だからな!!」

「がああーーーー!?」

私達が唖然と固まってから時間を置かずに騎士は風の音すら置き去りにする右ストレートを天使の顔面に喰わらせた。天使は反対側の壁に一瞬で殴り飛ばされ壁自体に埋まってしまう。

 

「え、お、お兄ちゃん?」

「美九、彼女達を頼む」

 

「え、え?」

頭のすぐ横から強烈な右ストレートが飛んで行ったことに美九ちゃんも困惑しているが、それをよそに騎士は腰の剣を抜き壁に埋まった天使に向ける。

 

「な、何者だ貴様は!?」

「おいおい、この会場にデカい魔法陣描いて派手なことをやらかそうとしている癖にこの地のガイア連合支部の支部長の名前も知らないとは・・・情報収集を怠ったか天使さんよ?」

 

「ガイア連合!?馬鹿な幾ら何でも行動が早すぎる!!」

壁から出て来た天使の顔が驚愕に染まる。ガイア連合・・・ガイアって最近よく聞く企業グループの名前だったっけ?

 

「そもそも私の擬態や会場に隠して描いた魔法陣をどうして知っている!!まさか情報が洩れて!?」

頭を抱えだす天使、その様子を見て騎士は失笑する。

 

「どうして知っているのかだと?俺の渾名は鑑定ニキだぞ?そんなもの会場やお前を"視た"瞬間に分かるわ!!可愛い姪っ子とのお出かけを邪魔した代償は重いぞ糞天使!」

これが私達『ワルキューレ』と鑑定ニキこと実槻君との出会いだった。




読了ありがとうございます!ライブ中継は次回辺りに書いていきます。因みに実槻側の今回の流れとしては
バスに乗りながら会場に向かう→会場を視認した瞬間【霊眼】で隠していたメシア教式の魔法陣がモロバレする→これは『ワルキューレ』の身も危ないぞと思い至る→面識があった美九を言い包めて控室に向かう→マネージャーを一目見て【霊眼】で擬態の見破りと人間を喰って得たMAGを視認する→美九の後ろで鎧召喚→取り合えず天使の顔面を殴る
みたいな感じです。本来なら刑事ドラマでよくある犯人が秘密裏に立てこもった家に訪ねて来た刑事を欺こうと被害者を脅して偽の家族を演じさせ、刑事との心理戦を繰り広げるみたいなパートに入るのですが視た瞬間全部分かってしまう鑑定ニキ相手なので、それら全てをかっ飛ばして初手右ストレートが飛んで来ました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。