親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第三十八話になります!
時系列が全く追い付いていないからか、他の三次作品に出てきても大概一言くらいか「例のあの人」呼ばわりされ本人は出てこない鑑定ニキ。最近は「ある意味で裏方っぽい」と納得しつつもやっぱ他の皆さんが絡んでる所を見るといいなと思ってしまうのが人情…が、しかし半終末を迎えるまでにやりたいイベントが幾つも思い浮かぶ自分。アイデアがすぐ思い浮かぶのはいいけどこれ全部書くの自分なんだぞ理解してんのか俺!!と毎回言いたくなりますよ本当。


ワルキューレ事変

命蓮寺、借金出向組達の協力による増援を防いだ実槻。あとは目の前の天使を仕留めればいいだけ・・・しかし順調に物事が進むときが一番危ない時なのだ。

 

「はは…はははは!!なるほど流石黒札、ここまで完璧に手を打たれてしまえばもはや笑うしかありません!」

「・・・」

 

天使の高笑いが控室内に響く、実槻は黙って天使を見つめるがその様子を見てワルキューレメンバーの緊張や警戒心が思わず緩む。

 

「よ、良く分からないけど美九ちゃんのお兄さんが勝ったってこと?」

「そうなのかな?」

「ふん、偉そうなこと言ってた割にあっけないね!」

フレイヤ、レイナ、マキナの三人は早くもこの一件が解決したと思っているようだが、最年長の美雲とリーダーのカナメはまだ警戒心を完全には解いていない。

 

「美九ちゃん、貴女のお兄さんって…美九ちゃん?」

「どうしたの?」

「・・・」

取り合えずお兄さんのことを聞こうとするカナメだったが、普段の美九と違い推しの言葉よりも天使と実槻に意識を向けたまま押し黙っており、美雲も不審がる…彼女は分かっていた。いや、教えられていたのだ。順調に物事が進むときが一番危ない時ということを。そして

 

「(分かってるよお兄ちゃん。顔は見えなくてもお兄ちゃんが全然警戒を解いていないことくらい!)」

兄と慕う彼が欠片たりとも警戒を解いていない、それが意味することを。

 

「言われてしまいましたね。とはいえ私のプランが実行不可となったのも事実…仕方ありませんね」

降参だとばかりに両手を上げる天使。それを見てカナメや美雲でさえも長い緊張状態からの解放もあり警戒心を緩めてしまった。

 

「ここから先を極秘裏にやるのは無理ですね。プランAからプランBに変更です」

「「っ!!」」

 

その言葉に警戒心を緩めていたワルキューレメンバーのリアクションが遅れる。そして実槻の【霊眼】は天使、正確には乗っ取られたマネージャーを腹から複数の高レベルの魔力反応が生じたのを感じ取る。

 

「(この反応アギラオストーンの連鎖発動か!)全員伏せろおおおおお!!!!」

 

「皆!!」

「「「「「え!?」」」」」

 

実槻の言葉に真っ先に反応したのは彼に倣い警戒心を緩めなかった美九だった。彼女が咄嗟に身体を張ってワルキューレ達を伏せさせる。

 

次の瞬間マネージャーの身体が爆ぜ、控室は灼熱の炎の濁流に包まれた。

 

 

 

「危なかった」

そう言いつつ俺は瓦礫を押しのけるように立ち上がる。マントで包み込むように守っていたカナメさん達と美九は幸い怪我一つない。直前で魔反鏡を使って威力を分散させたのが功を奏したか。

 

「美九、良く直ぐに動けたな偉いぞ」

 

「えへへ、お兄ちゃんに倣って油断してなかっただけですよ。でもお役に立てて良かった」

美九を褒めるように頭を撫でると嬉しそうな笑顔を浮かべてくれる。因みに魔戒騎士の剣や鎧は女性には扱えずそれらに加工されたソウルメタルを女性が触れれば碌でもないことになるのだが、ガイア連合で詳しい検査をした結果少なくともこのキバの鎧はそういった縛りは無いようだ。

 

アドミニストレータに聞いても歴代の継承に女性はいたらしいし、これがソウルメタルが反転したデスメタルの特性なのか素材、製作経緯が違う故の誤差なのかは現状分からない。

 

「カナメさん達も無事か?」

 

「え、えぇ。今のは?」

「アギラオストーン、要は魔法版の強力なグレネードだ。それを複数個飲み込んで隠していたのを一斉に起動させたみたいだな…この感じ中身の天使はやはり直前で離脱しているか」

 

ストーン系は起動しなければ【霊眼】でも微弱な反応しか検知出来ない。ましてやそれを体内に隠されては相手のMAGによってそれすら隠されてしまう。【霊眼】はあくまでMAGやそれに類するものを視るスキルでしかない為だ。

 

「それってマネージャーさんは…」

「ああ、魂は既に天使に喰われていたが肉体も吹き飛んでいるな」

 

「そんな・・・!!」

「天使に乗っ取られた時点で覚悟していたけど・・・身体もか」

俺の言葉にフレイヤさん達が悲痛な声を上げる。カナメさんや美雲さん達年長組も口には出さないが悔しそうに表情を歪ませる。マネージャーとはマネジメントする者達を支える存在であり、共に苦楽を共にする戦友だ。それをこんな形で失ってしまったのだから悲しみや悔しさは察するに余りある。

 

「・・・お気持ちはお察しする。だが今は非常時だカナメさん、この会場の責任者やスタッフとコンタクトは取れるか?恐らくこの控室の爆発は会場内にも伝わっているはずだ」

 

「あ、うん。そうだね連絡して見るよ」

「頼む。こちらも詳しく事情を説明をしたいが直ぐに追撃に移らないと不味そうだ」

 

懐から魔石を出し、先程の爆発でのダメージを回復させる。あいつはプランを変えた恐らく次はもっと派手な行動を起こすだろう・・・最悪の場合こちらも久々に"あの手段"を取ることも考えるか。

 

「あの天使が言っていたプランBを止めに行くのね?」

「ああ。だが貴女達にもう危険はないとは言えないので護衛を残そう」

 

懐から取り出した封魔管を使いジャヒーを呼び出す。

 

「私ですか」

「ジャヒーの方が耐性的に護衛向きだ。破魔と呪殺以外の魔法は頑張って如何にかしてくれ、あと事情説明もよろしく!」

 

「また面倒な仕事を・・・仕方ありませんね」

渋々であるが了承して貰えた・・・一見忠誠度低そうだけど結局振った仕事は毎回取り組んでくれるので割と忠誠度高いんだよなこいつ。

 

「うわ、何か凄い別嬪さんが出て来た!?」

「えーと貴女は?」

「一々答えるのも面倒ですのでそれを踏まえてご説明させて頂きます」

「口調は丁寧なのに言葉自体は割とトゲトゲしてるね」

意外に立ち直りが早いのかジャヒーとわちゃわちゃし出すフレイヤさん達。まぁ大部分は今は非常時だからとあまり考えないようにしているからだろうが…ん!これは!?

 

「あれ?内線電話どころか携帯が動かない。これって」

「っ!マスター!!」

「野郎間髪入れずに仕掛けて来たか!!」

 

「え、あの天使また何かしたのお兄ちゃん!?」

この場では俺と悪魔であるジャヒーだけが感じ取れる霊的感覚。空間が歪み、場変質するこの感覚は今まで何度も体験したものだ。

 

「この会場全体の異界化とは舐めたことをしてくれる!!」

 

今まではあくまで前座、のちにワルキューレ事変と命名される今回の事件はここからが山場を迎えることになる。




読了ありがとうございます!天使の悪だくみはまだもうちょっとだけ続くんじゃい!因みに実槻の仲魔枠は合体用を除けば既存の三体の他終末後に一体内定しているのですが、他はまだ決めあぐねていたりします。
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