親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第四十三話になります!今回は主人公以外の視点でのお話です。


守護者

朱鷺メッセで天使と実槻の攻防が繰り広げられる中他の場所でも天使達との戦いは行われている。借金出向組は勿論この地を守護する命蓮寺の者達も各地で奮戦していた。

 

【柳都大橋】

 

『あああああああああーーーーー!!!!!【虚空爪激】!!』

「ベルベットの姉御!もうちょっと落ち着い・・・無理だろうなぁ」

「オルトロスの力を完全開放しているからな。無理だろ」

ベルベットが率いる対悪魔・異界部隊のいる柳都大橋は朱鷺メッセを除けば今回の戦場で一番激しい主戦場となっていた。天使の人数こそ万国橋に劣るもののテンプレナイト、ターミネーターなどの人間の戦力も合わせると戦力規模で上回るからである。その大橋は今、力を解放したベルベットの【ファイアブレス】により炎の海となっていた。

 

「大熊どうするこれー!!」

「いつも通りお前がサポートの為に突撃すればいいんじゃね?あの状態の隊長のサポート出来るのこの部隊でお前だけだったから補佐役に選ばれたんだろ?」

「ぐ、そりゃそうだけど!」

補佐役である竜は同期(同じ時期に寺に拾われた)の大熊の言葉に苦言を呈しそうになるが、実際のところそれしか手が無い。

 

「周りで戦ってる他のメンバーなら兎も角お前なら俺と戦闘力どっこいどっこいだからやれたりしない?」

「この巨体で?」

大熊は妖怪である鬼熊のデビルシフター、鬼熊は巨大な熊と形容されているだけあって悪魔の姿となった彼の全長はホッキョクグマの二倍近くに巨大化できるが、代償としてハチミツを定期的に摂取しないと食人衝動が出てきてしまう。しかもパワーと耐久は相当なもので近距離戦で竜と互角の戦闘力を誇るが、半面機動力が大きく落ちてしまうのだ。これでは動き回る暴走ベルベットのサポートは出来ない。

 

「エンジェルやアークエンジェルくらいなら素でも複数体余裕で相手にできるだろうけどプリンシパリティ相手だと力を解放しないとタイマンでも勝てるか五分五分だ。だが逆に言えば取り巻きを排除してタイマンにしちまえば今の隊長なら確実に屠れる」

「姉御に無茶させないためにも飛び込むしかないか・・・ええい男は度胸!今行きますぜ姉御!!」

「おう行ってこい・・・これでこいつの性癖がロリコンじゃなければモテるんだがなぁ」

昔馴染みの戦友の後ろ姿を見ながら溜息を付くと大熊も周りのメンバーの加勢に走りだしたのだった。

 

【朱鷺メッセ・アリーナ外】

 

「幾らメシア教だからって銃持ち込み過ぎじゃないですか?税関は仕事して下さい」

「一般人相手に無茶言わないの」

会場のアリーナの外ではクルル率いる対人・諜報部隊が押されていた。スタジアムの一角に追いやられ障害物で銃撃を凌いでる状態だ。

 

「それでも信者だけしかなかった最初は上手く行っていたのに、まさか異界化して天使が出て来るとは・・・どうにか血を流さずに捕らえた信者も大半解放されてしまいましたし」

「血を見たら私暴走しちゃうしね、それに私達対人は兎も角対悪魔が苦手な子が多いし。アークエンジェルくらいしかまだ湧いてないのが救いか・・・デイダラ、準備出来た?」

「おう、準備は既に完了してるぜ!」

この部隊のメンバーの一人であるデイダラはアイテム作成、その中でもストーン系統に特化した才能を持つ工作員だ。本人は爆弾も作れる爆発好きなのでアギ、メギド系のストーンをよく作るが、他の属性のストーンも問題なく作れる。そしてそれらストーンを独自に改造する技術も持ち合わせている。欠点として本人があまり強くないのと爆弾魔気質なところだ。

 

「よろしい、派手にやりなさい!」

「了解、芸術は爆発だーーー!!!!」

この一角に退却する際に仕掛けていた多数のメギドストーンがデイダラの音声認識により一斉に起爆。信者、天使関係なく消し飛ばしていく。

 

「複数種類の相手を一度に爆殺するならやっぱ耐性を気にしなくていい、メギドストーンが一番だな、うん!」

「他ストーンは兎も角メギドストーン作れるの今の所うちじゃデイダラだけですもんねメギド系使える人は他にもいるのに・・・それじゃ行きましょうか」

「ええ、反撃よ皆!【エナジードレイン】」

「援護します」

「ハハ!まだまだストーンの在庫はあるんだよ!!」

その後うっかり血を見てしまったクルルが暴走したりしたのだが、実槻の仲魔が合流したことで完全に立て直すことが出来たのだった。

 

【万代島フェリーターミナル】

 

「ああ、もう!一部を駐車場の制圧に回してるから頭数足りないわよ!ただでさえあんまり数いないのに!」

「数を質でカバーするのがうちのやり方ですから」

皐月率いる特殊事件・事案調査部隊は万代島フェリーターミナルに陣取り、海を通っての援軍や逃亡を阻止していた。

 

「やはり逃亡を図っているのは人間、援軍は天使に偏っていますね」

「こんな派手なことして逃げ出そうなんて虫のいい話ね全く」

そう話している間に皐月はアークエンジェルを撫で斬りにし、結標も転移系スキルの応用で質量が大きいものを敵の上空に飛ばして押しつぶしたり、銃で援護したりしていた。

 

「エレン、そっちは!」

「こっちも結構ギリギリね。この部隊で水中戦出来るの私を含めて数人だし」

結標の呼びかけに答える様に水面から顔を出したのは黒川エレン。彼女はクルルと同様に先祖がセイレーンと交わっていたことで先祖返りのようにセイレーンの力を行使し、歌声と格闘術で戦う人間の少女である。人間でもある為地上でも戦闘可能だが、水辺近くでないと十全にセイレーンの力を使えず人間としての力で戦わなければならなくなる。

 

「そちらは出航しようとする敵と援軍に来た敵の殲滅に注力してください。場合によってはフェリーごと沈めて貰っても構いません」

「正直フェリーのお値段を考えると沈めるのは気が引けるのよね」

「市長がまた泣きそうね、事後処理で」

皐月とて申し訳なく思うが、そうやって躊躇い敵をうち漏らしたり部隊に被害が出ることは隊長として避けねばならない事態だ。

 

「・・・そうですね。"力"を温存して町の被害が増してしまうのは流石に申し訳ないですね」

「デビルシフターとしての力を使う気?いいの?」

「確かに不安はありますが・・・」

皐月の脳裏に過るのは少し前に貰った心強い言葉。

 

『大丈夫だ。お前は糞真面目だからな…もし本当にそういう場面に遭遇しても躊躇いなく使う決断をするはずだ。それくらい付き合いが短くても分かる。俺が保証する』

 

その言葉にどれだけ勇気づけられたことか。

 

「保証するとまで言われたのです。ならここで躊躇ってしまっては彼の顔に泥を塗るのと同義・・・そんなことは私自身が許せません!」

その言葉とそれを送った友人の顔を思い浮かべながら自身の腕を斬り、悪魔の力を解放する。

 

「【チャージ】・・・この町を犯すものは、私が斬る、斬る、斬る!!!【絶命剣】!!」

先程よりも威力が倍増した斬撃でアークエンジェルを一撃で一刀両断してのけた。彼女の力はラクシャーサ、人間を喰い人間の敵となる存在という本来の彼女とは正反対の性質を持つ悪魔だった。この状態の彼女は敵を斬りたい衝動を抑えきれなくなってしまう。

 

「もう何でうちの隊長陣って悉く暴走を起こすのよ!!フォローする身にもなりなさい!」

「それが補佐役の選考条件の一つだものね。戦えない大黒天様は別として」

結標が愚痴りながらフォローしに動くとエレンも海中に戻り仕事を再開していく。その後エレン達水中班は如何にかフェリーを沈めずに済んだものの逃げた敵を斬ろうとした皐月の斬撃がうっかりフェリーも叩き切ってしまったアクシデントがあったが、この場の戦い自体は優位に進められている。

 

しかし、肝心のアリーナでの戦いこそが本命、この騒動の結末はまだ分からない。




読了ありがとうございます!隊長陣の実力は装備などがきちんとあれば悪魔の力を使わずとも20代後半前後のプリンシパリティとタイマンで互角、悪魔の力を用いたり、解放すれば圧倒し確殺出来るレベルですね。複数体でも範囲攻撃技を全員持っているので、よほどの数の差が無い限り消耗は激しいですが優位を取れる感じです。回復されてもそもそもベルベットと皐月は全力の攻撃なら一撃でプリンシパリティを倒せる火力があり、クルルもエナドレで継戦能力は髙いので。
本人の戦闘力が低いデイダラもレベル二桁は行っている。というかレベル二桁行って漸く戦闘員見習い卒業扱いなので、他の現地霊能組織と練度と基準がかなり違います。特に今はデモニカすらない時代ですから余計に開きがありますね。
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