親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第四十六話になります!モンハンやりたい欲望を押さえつつ書いておりますが、なにかに興味が分散していると書くスピードが落ちて困る。


事件の終息

ワルキューレが壇上に立ったことにより拮抗を保っていたアリーナの情勢は大きく変化した。

 

「ほぼすべての観客がこちら側についたか」

 

元からワルキューレのファンだったから当然だな。寧ろ全員高揚状態な分いつものライブより盛り上がっているんじゃないか?まぁそれはさて置き、これであの天使の計画はご破算。幾らこちらがあの天使を殺せないといってもやりようは幾らでもある。ただ天使の儀式で時間制限がついていたから無理だったのであって、時間が掛けられるなら話は変わる…それは向こうも分かっているはずだ。

 

「…ここまでのようですね」

「ああ、お前の計画はご破算だ」

 

「ええ、私の元の霊基での高位分霊化はこのアリーナの状況を見ればもはや叶わない…ならば!」

【霊眼】が地下の魔法陣から大量のMAGが天使に逆流するのが視える。なるほどそう来るか

 

「妥協か天使よ」

 

「業腹ですがね。しかし今のMAG量なら高位分霊は無理でも劣化分霊には至れます…それでも貴方を倒せるかは微妙ですが、戦乙女達と歌姫を始末するのは十分でしょう。貴方は確かに強者ですが、まだ劣化分霊レベルに力を引き出せる私相手に自身以外を守りながら勝利できるほど強くはない」

「…否定はせん」

 

【ネガ・メサイア】はあくまで装着者の俺だけが対象な為他の人達を守るのには向いていない。ましてや劣化分霊とはいえあの天使の本来の姿と戦いながらではそんな余裕はないだろう。

 

「もっともそれは劣化分霊として顕現出来ればの話だがな」

 

「なっ!?魔法陣からのMAG供給が!いえ、リンクそのものも切られて…なるほど、本命は魔法陣そのものでしたか」

「その通り。我は囮であり、戦乙女達ですら保険にすぎん。本命はその手のプロに任せてある」

 

ギリギリだったが、いい仕事だ。

 

【会場地下】

 

「魔法陣掌握…MAG供給遮断、天使とのリンク遮断完了!よし、上手く行った!ギリギリだよもう!」

「最後の最後で魔法陣が天使にMAG供給し始めたときはどうなるかと思いましたけど無事任務完了ですねエキドナさん!」

最初の指示で実槻に地下の魔法陣の対処するように命じられたエキドナ達は、クルル達と共に会場に乗り込みそこから地下を探索し、魔法陣を探し当て対処していたのだった。

 

「いやいや、ユリン君が手伝ってくれたお陰さ!流石は私の弟子一号にして黒札だ。道中の護衛や未来予知での大人数の敵の戦闘回避とか実に見事だったよ」

「人数が多いと戦っても取り逃がす可能性がありましたからね。報告に走られても困りましたし、バレないように戦闘は極力回避、無理でも不意打ちで手早く仕留める必要がありましたから」

こちらに引っ越したばかりの頃は自衛もままならなかったが、合間合間に実槻達に鍛えられレベルは15に到達し専用シキガミも手に入れている。

 

「ファルシアもありがとう!」

「貴方のシキガミなのだから当然よ」

シキガミは実槻がかつて頼んだ縁もあり、同じ型のメカ型にしたのだが…製造部の悪乗りがここでも発動し、姿は通常時はフォーンファルシア、人間体はフラム・ナラというガンダムAGEを意識しまくったものになっていた。幸いユリン自体は気に入っていたので特に実槻は苦情を入れることは無かったが、これがもし姿だけでも改良前のファルシアでお出しして来たら実槻が製造部に乗り込む事態になって居ただろう。

 

「勿論大黒天様も!私の未来予知だけじゃ魔法陣の発見にもっと時間掛かっていたでしょうし」

「気にしないでくれ、こういうサポートが私の仕事だし戦闘は全部君たちに押し付けてしまっているしね」

「うちの大黒天はガキとタイマンでも負けるからね」

「全くだよ。流石にスライムには勝てるけどね」

大黒天は戦闘能力を切り捨てそれ以外の能力を引き上げている特殊な分霊だが、その力を遺憾なく発揮し魔法陣の場所をダウジングで探し当てた。あとはユリンの未来予知とのコンボで警備の敵を極力回避しつつ、最短ルートを進むことが出来たのだ。

 

「さて、こちらの仕事は終わった。あとの詰めは頼むよ支部長殿?」

【アリーナ】

 

「これで完全に詰みだ。天使」

 

「やれやれ、色々気になるところもありましたが結果だけを見れば完敗ですねこれは」

魔法陣が敵に掌握されたと悟ると天使は戦意を無くす。人間相手なら捕縛する選択肢もあるが、相手が相手だ。ここで始末する為に歩を進める。

 

「貴方の名前は憶えて置きましょう暗黒騎士よ…因みに最後だから聞きますがこの新潟公演に来たのは本当に偶然なのですか?」

「偶然だ。まぁ切っ掛けは市長からチケットを貰ったことだが」

 

「なるほど」

そうして剣の間合いに入り、黒炎剣で天使の首を斬り落とそうと構えたとき周囲から魔法陣が複数現れる。その魔法陣が現れる際のMAGの反応を視た俺は魔法陣が現れる前に瞬時に距離を取る。

 

「これは召喚魔法陣か!悪足掻きを!」

 

だが目の前のあいつが召喚術を使用したMAGの動きは無かった。MAG配給は行っているようだがどうやって呼びやがったんだ?

 

「(地下の魔法陣のコントロールをしなくていいならあのプログラムを起動できます。そして念のために施したセーフティもあります。やはり最悪は想定して置くものですね)ご安心を。今更これだけの兵力で貴方をどうこう出来ると思ってはいませんよ」

「何?確かに呼ばれたのは複数とはいえアークエンジェル程度だが…っ!?そういうことか!」

 

「いやはや、流石お気づきになるのが早い。本当"私自身"の手で実行せずに良かった…同胞達よ頼みます」

『は!!』

 

直ぐにその可能性に行きつき黒炎剣を振りかぶるが、一足早く十数のアークエンジェルの剣が自身を呼び出した天使、パワーの命令を受け各自の剣を一斉に突き刺す。

「グフっ!・・・ありがとうございました。酷なことをさせましたね」

そう同胞達に向けて申し訳なさそうに微笑むパワー…身体と霊核に十数の剣を突きささっているのにそれを感じさせない微笑みは天使故なのだろうか。

 

「…ったく自害するなら一人でやれ。というか教義的にいいのかそれ?」

 

「返す言葉もありません、まぁ所詮分霊だからセーフということで。魂とか諸々は本体に帰りますし。貴方に倒されては魂ごと鎧に喰われてしまうので非常手段ですよ。私一人の手でやろうとしても貴方なら止められたでしょう?」

パワーの身体がMAGとなり空気中に解けて行く。パワーがMAG配給していた他の天使達も同様に消えていき異界も瓦解し始めて来た。

 

「というか漸く素に戻りましたね。さっきまで大分芝居掛っていましたが」

「もうすぐカーテンコールだ。それにすっかりワルキューレに注目が集まっている今なら問題ないだろ」

 

こっちの情報をある程度持っていかれることを考えると頭が痛くなる。その前に事後処理で色々ショタオジとかに頭下げないといかんけどな!

 

「ふむ、もう少し話をして見たいですが時間ですね」

「時間あっても尋問にしかならんやろ」

 

「確かに…それではいずれ審判の日に。今度こそ私本来の姿で参りましょう」

審判の日、終末のことか?勘弁して欲しいのだがなぁ。

 

「出来れば勘弁して欲しいが、まぁそれ相応の準備はしておいてやるよ。"天使長ミカエル"」

 

【大天使 ミカエル】

 

「それはそれは、ではこちらも相応の準備をしなければ失礼ですね。ではそれまでさらばですガイア連合新潟支部支部長"大宙実槻"」

そしてパワー改めミカエルは天に還って行った。これで此度の事件は終息となる。しかし地下の魔法陣に溜まった莫大な生体MAGや各方面の謝罪や隠蔽とか懸念事項は多い。

 

「あ、それから新潟市市長"所天の助"。貴方のことも憶えて置くので努々お忘れなきよう」

最後に市長をカメラ目線で脅し付けて行ったけど。

 

※テレビ中継を見ていて事件が解決し、安堵したときに脅され茶を噴き出す市長

 

【一週間後】

 

「はぁ、この一週間方々走り回ったわマジで。俺の頭一つ下げるだけで済むの多いからまだマシだけど」

 

一週間の事情説明、謝罪、隠蔽行脚を終えた実槻は同じ新潟県の上越市にあるとあるビルの一室にいた。

 

「実際実槻様達は被害者みたいなものでしょうし、天使長ミカエルの高位分霊などまさにメシア教以外の者達にとっては悪夢そのもの。それに全国でツアーをしてMAGを集めていましたのに今の今までどこもその企みに気付けなかった時点で実槻様達だけを責めるのはお門違いですわ」

「ああ、だから頭を下げつつ其処ら辺を突いたら黙ってくれたぜ。天の助市長にこの理屈は通用しないけど寧ろ泣きつかれたな」

 

「市長のお気持ちお察ししますわ」

接待のつもりで渡したライブチケットが、巡り巡って天使長直々に敵として名前を憶えられることに繋がるとか哀れにも程があると実槻の話し相手である"チャイナドレス"姿の美少女は久々に心から他人に同情した。

 

「ごほん、それでは実槻様。我々にお声をお掛けになったということはついに?」

「ああ、うちのトップの承認…というよりは黙認は貰っている。まぁショタオジには霊能関係では逆立ちしても勝てんが、口で説き伏せることは出来るからな。これで当初の計画通り直江津港をお前達が取れる」

 

横浜の中華街の裏の一勢力でしかなかったメシア教徒達のリーダーである【王留美】にそう告げる。この日の為に彼女達を見つけ、囲うと共に上越市に拠点を移させ潜伏させていたのだから。




読了ありがとうございます!次回からは事後処理編に入ります!え、最後のキャラ見覚えが物凄くあるって?まぁ実はこのキャラは鑑定ニキの半終末以降中華戦線関係並びに商人仲間枠の追加ヒロイン役に考えてたキャラだったので、考えたネタを捨てるのが勿体なさ過ぎたのが一つ。幸い中華戦線に関わっているようですし。

二つ目は港湾法上の重要港湾である直江津港を地元で手一杯の田舎ニキなら兎も角実槻がメシア教というか、あやしい中立勢力に取られるのを見逃すか?というのがありました。寧ろ首輪くらい付けてそうと思いまして。

三つ目はメタ的な観点も入りますが、他三次の作者様方から鑑定ニキの描写が難しいというお声と共に人間力があるなど善人的な観点でお褒めを頂いています。そのお声を頂き大変嬉しく思いますが…それと同時に「ただの善人と思っていたお前達の姿はお笑いだったぜ!(パラガス風)」とも思っていました。

メガテンシリーズ、特に真1をプレイした方なら分かると思うのですが、基本的にプレイ中の行動でLaw又はChaosに寄っていく作品があります。そして善行を積むといつの間にかLawに寄ってる!とかあったりします。先に上げた真1なら捕まっている民間人を助けたり、主人公の幼馴染兼仲間の恋人を救ったりと普通の倫理観でもやるであろう善行でも容赦なくLawに寄ります。それも割と加算されるポイントが重めで。そうならない為に助けなかったり、ちょっと悪いこともしたりして調整したりします。まぁ自分は中立の回復と買い物の施設を利用しまくり、善行詰んでもNeutralに戻るように頑張っていた記憶があります。つまりこの世界に置いてよっぽど極まっていない限り、特にNeutralは容易にどちらにも傾きうることを意味しています。

さて、それを踏まえると鑑定ニキはどうでしょうか?そう、以前に私が書きましたように鑑定ニキは生粋のNeutral-Neutralです。Neutral-LawとかChaosとかではありません。つまり善行を積んでも中庸のNeutralままで居られるChaos的な何かがあるということです。中華戦線関係ではその手のネタも取り扱う予定だったのでメシア教の穏健派を取り込むというより、付き合いやすい派閥をいっそ作った方がらしいと思いました。

まぁそういうことで次回からNeutral-Neutralらしい後始末や仕込みのお話が始まりますのでご期待ください。ぶっちゃけ戦闘描写よりもこういう準備やその後の描写を書く方が好きなんですよね。名無しのレイ様に置きましては勝手に色々設定作っちゃってごめんなさいとしか言いようがありませんが、元ネタより色々有能なのは鑑定ニキが秘密裏にバックにいるからとご解釈下さい。因みに彼女との関係は次回に書きますが、それを知っているのは終末に入る前まではショタオジ、嫁の二人、鑑定ニキの仲魔達、聖、ユリンだけの予定です。ユリンは万が一未来予知で偶然見られることを考え引き込んだ感じです…にしても以前から考えていた中華戦線のネタは兎も角メシア教関係の設定まで一晩でよく考えついたな俺。
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