親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第五十四話になります!幼少の天音ちゃんのAAイメージ、読者の皆さんに納得していただけると良いんですがねぇ。藤乃は元々桜のモデルや元ネタでもあるので違和感は比較的無い方だと思いますが。いや、でも作者が知ってて巫女でロリな上にAAが割りとある人材なんてそういないしな・・・。

あ、あとfgoで遂にあの子来ましたね。何がとは言いませんが設定が大量に開示されてウキウキしたり、これでAAが作られるぞ!とテンションが上がったりしてます・・・汎用AAで誤魔化し続けた努力が報われるというものです。


迷う者

『神は我々人間に試練を与える。それを乗り越え更なる高みへ上り神へと近づこう』

 

これが私のお父様が教祖を務める宗教組織である翔門会が掲げる教義です。人ならざるものの声を聞ける私は幼い頃から翔門会の巫女としてこの教義を守り、お父様の考えに従って生きてきました。しかし事件よりも一年ほど前。初めて実槻さんとお会いし、言葉を交わしたことで当時の私の心は揺れていました。

 

『現代人が弱すぎるから次の神の試練を乗り越えるのが無理?大分視野の狭い考え方だな』

 

『そもそも人間の強さ、いや生物の強さなんて時代時代で変わるもんだ。ある時は身体が大きく単体で強い生物が覇権を握ることもあれば、単体では弱くても繁殖力が高い生物が集団の力で世界を征す時もある。まぁそれらの例と違って人類はかなり長い期間この世界を征しているがその期間に様々なものを産み出し、その時代時代に適応して来た種族だ。強味も変って来て当然だろ?』

 

『だから一見昔より弱くなっているように見えてもその時代にあった強味を新たに持っているはずだ。というかそうじゃなかったら今も人類がこの世界を征していない・・・こっからは俺の私見だが人類がここまで長い期間繁栄していられているのは【時代を進ませるモノを自身で作り出して、それに適応できる種族】だからだと思っている。電気、核なんかが分かりやすいか、だから神の試練って奴が来ても今まで通りなんか作ってそれに適応して乗り越えるだろうさ。神様だって毎回似た様な試練を与える訳でもないだろうしな』

 

彼の考えは私の中には無いものだった。弱さと強さ、その両方を持つのが生物であり人間はその時代に合わせてその二つを変えて適応する種族なのだと。

 

『まぁどちらの考えを信じるかは天音次第だが、どちらにせよ誰かに促されるんじゃなくて自身の心に従って選んで欲しいがな。あ、新しい考えを導き出すのも全然ありだぞ!・・・存分に迷え、そしてそれを恐れるな。人間なんて迷わないと自分で決断も出来ない生物なんだから』

 

そう諭されて以来私の中ではお父様の考えか、実槻さんの考えか、それとも自身で新たな考えを見つけるかで迷いが生じている。将来私はお父様に代わり翔門会を導く立場になる以上それまでには選ばなければいけない・・・そんな焦りを抱え己自身のことばかり考えていたからでしょうね。お父様が一部の信者達と不審な行動をしていることに気付いていながら父親に対する信頼もあったとはいえ後回しにしてしまっていたのは。

 

『存分に迷え』その言葉の通り焦って答えを出す必要などどこにもなかった。そもそも例え翔門会を導く立場・・・人の上に立ち導く立場に就いたら迷ってはいけないという考え自体間違えている。即断即決が出来る人もいますが、それは常人よりも迷う時間が短いというだけで浅慮だったりその短い時間で熟考出来る人だったりするだけ。人の上に立ち導く立場にいる者こそ人一倍迷い、悩み多くの決断を下さなければならないということに当時の私は気が付いていなかったのです。

 

「遅れてすみません、いつも使っている道が工事中で遠回りすることになってしまって」

「気にしないで下さい。それにこちらこそ申し訳ありません、突然呼び出してしまって」

「大丈夫ですよ。ですが天音さん夏休みは翔門会の夏季大会があるから余り家を空けられないはずでは?」

私は結局一年間一人で迷い続けても答えが出せず居ても経っても居られなくなり、夏休みのある日に幼馴染である藤乃さんに相談しようと公園に呼び出していました。呼び出すのに他に相応しい場所がある気もしましたが、お父様から一人での外出が許されている場所ではそこしか候補がありませんでした。

 

「はい、少し抜け出して来たのです」

「それは・・・驚きですね」

その言葉に思わず苦笑いをしたものです。当時の私は翔門会を第一に考えているように見えていたはずでしたし、そう振る舞っていましたから。幼馴染である彼女からしたらその驚きは更に大きいものだったでしょう。

 

「そうですよね。私も自分でやってて驚いていますが、後で抜け出した罰は受けたとしてもどうしても相談したいことがありまして。他に相談できる宛もありませんでしたし」

「お役目のある夏季大会を抜け出してでも相談したいこととは余程のことですね。御家族や翔門会の皆様に相談出来ないとなると・・・その翔門会に関わるお話でしょうか?それも教義などに関わるような」

「流石藤乃さん、話が早いですね。実は一年前に藤乃さんのご親戚である実槻さんに頂いたご助言についてご相談したく呼び出させて貰いました。内容的にお父様や信者の方々に相談できることでは無かったので」

見た目の印象ではおっとりしているように感じる藤乃さんですが、意外にも頭の回転が速く目敏い。その分思い込みも激しかったりするのですが・・・なんですか藤乃さん?余計なことは言わなくていいから話を進めて下さい?ただ事実を言っただけなのですが、まぁ続けましょうか。当時はお父様や信者の方々に相談できることではないと思って藤乃さんにご相談したのですが・・・信者の方々は兎も角教祖の前に親であるお父様にご相談出来なかったのはただ単に勇気が無かっただけなのでしょうね。

 

「実槻お兄様のご助言?でしたら今お兄様は私の家に遊びに来ているのでお呼びしましょうか?」

「今この町に来ていらっしゃるのですか!?ぜひお願いします!」

実槻さんは長期休みでもご両親のご都合次第なのもあってこの町に来るかは不定期でした。滞在場所となる浅上家以外の者がそれらの内情を知ることは当然ないので、今来ているというのは幸運だと当時は思いましたね。

 

「分かりました。今お電話を」

「それはよして頂けるとありがたいな藤乃君」

藤乃さんが取り出した携帯を開こうとしたときに大人の男性の声がそれを止めたのです。一瞬驚き周囲を見るとそこにはお父様がいらっしゃいました。

 

「お父様!?何故ここに・・・!」

「天音は親の言い付けを守る良い子だ。抜け出したとしても一人で外出しても良いと許可している場所にしか行かないと思ったが外れていなくてよかった」

「お、お役目を投げ出し、途中で抜け出した罰は受けるつもりです。藤乃さんも私が呼び出しただけで」

「ああ、勘違いしないでくれ。別に私は怒っていない、いや最初は怒るつもりだったが藤乃君がいたことでそれが失せたというべきか。よく彼女を呼び出してくれた」

「お、お父様?」

お父様の言葉の意味が分からず困惑する私ですが、藤乃さんは何かを感じ取ったのか表情を険しくしていました。

 

「よして欲しいとは?お兄様へご連絡することに何か不都合でも?」

「お兄様、実槻君だったか。直接会ったことはないが天音から話は聞いているよ。まぁ別に彼というより浅上家の人達に用件が済むより前に気取られたくないというだけだ」

そう言うと周囲を囲むように翔門会の信者達が現れました。当時は混乱していて分かりませんでしたが、今思い返すと彼らはお父様と一緒に不審な行動をしていた一部の信者達でした。

 

「これは!お父様何を!?」

「天音、よくやってくれた。どうあの心配性な爺さんから不審がられず彼女を離そうかと考えていたがこうも簡単に済むとはな。電話で呼び出す案も考えてはいたが、私がお前に呼び出す様に頼むのは不自然だったからな。ましてや私が直接呼び出すなどあまりに不審過ぎるから没案だったが自主的にやってくれるとは」

「・・・何が目的ですか?」

私がお父様の言葉に混乱している中藤乃さんは警戒するのを隠さずに尋ねました。

 

「来たる次の神の試練・・・終末を乗り越える為の礎とする。浅上家、前大戦前にすでに退魔の家系としては終わっていたとしても素養はある。まして先祖返りとも言える藤乃君ならそれに相応しいだろう」

不敵に笑って答えるお父様。お母様と離婚して以来あまり上手く行っていなかったとはいえ、本心では尊敬していたお父様に、この時人生で初めて恐怖しました。




読了ありがとうございます!実槻は本人が知識豊富なのと前世でさまざな宗教の信者に友人や知人がいたので宗教レスバはかなり強いです。今回はまだ子供の天音相手なのと実親の批判とも取れる意見は言わないようにしていたのもあって、比較的柔らかめに父親の考えに反論しましたが、本人と討論になったらもっと容赦なく反論してボコボコにしたりします。
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