親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第五十八話になります!今回は一方その頃的な感じで命蓮寺メンバーのお話です。


命蓮寺の裏方達

「安静にしていたメンバーも徐々に回復して来ていますね」

「ガイア連合から取り寄せた薬や医療器材のお陰だな!」

命蓮寺の一室、先のワルキューレ事変から戦力を立て直す為に皐月が今動けるメンバーで追加の報告や指示を出すメンバーを集めていた。

 

「ノウハウは兎も角その手の薬や器材は、やはりガイア連合産の方が優秀のようですね」

「薬師のおれ的には、器材は兎も角薬の効能で負けているのは悔しいけど後遺症や副作用とかの問題がないなら効能の高い薬使った方が良いからな」

悔し気な顔をしつつも患者のことを考えているのはこの命蓮寺でも希少の専門的な医学知識と薬の知識、技術を持つチョッパーだ。特殊事件・事案調査部隊所属の彼は一見トナカイが人間の子供に化けた風体をしているが、それもそのはず元は動物園にいたトナカイの子供が10年前に動物園を巻き込んだ霊能事件に巻き込まれ覚醒し、この姿になったのだ。事件そのものは当時の命蓮寺が解決、この姿となり動物園に居られなくなった彼を引き取って以降命蓮寺に所属している。

 

医療を学んだのは元は草食動物故に草の見分けが人間より優れていたのと医者が慢性的に不足するこの寺のことを考えた為だ。聖の先代もこれを支持し、医学書などを取り寄せるなど支援もしたらしい。因みに欠陥は動物覚醒者特有の元来の動物の本能に逆らうのが難しいことだ。

 

「それにそれらを手本にしてまた勉強すればおれ達の薬の質も更によくなると思うぞ!」

「分かりました。ただ研究は現在の患者の治療完了後でお願いします」

「勿論だ!」

チョッパーが頷くのを確認すると次のメンバーに視線を向ける。

 

「ではお次はキテレツさん、戦闘で破損した武具や道具の修理はどうなっていますか?」

「もうほとんど済んでいるよ。でもガイア連合産の武具や道具は僕達じゃメンテは兎も角修理は小破くらいまでくらいしか無理だからそれ以上に破損した物はガイア連合本部に送らないとね」

眼鏡を掛けたこの少年は木手英一、キテレツは所謂渾名だ。対人・諜報部隊所属とはいえ見ての通りまだ小学生であるが、発明や物作りに関していえば専門家の大人すらも凌駕する。ただそれ以外は歳相応なので戦えないことも無いが、前線に出ることはない。運動関係は不得手ではあるがそれ以上に音楽の感性が絶望的で特にリコーダーを吹くのは命蓮寺では禁止されるほどだ。

 

「分かりました。実槻さんが戻られ次第彼名義で修理依頼を出すとしましょう」

「お願いね。黒札とそれ以外の依頼じゃ戻ってくるまでのスピードが結構違うから」

「うちはまだ複数金札がいるのでまだマシですが、やはり黒札である実槻さんやユリンさん名義の方が対応が早いですからね。新潟支部支部長という立場もあって名義としてよく使わせて貰うのは実槻さんですが」

サラサラと自分の手帳に実槻への連絡事項を書き足す。長年聖の補佐役をしていることもあり、そう時間は掛からずその手帳も他者が見ても非常に読みやすく書かれている。読みやすく書いているのは自分が戦場で戦死したとしても後任が引継ぎ易くする為なのだとか。

 

「とは言っても流石に修理にも限度があるし、自前で作ったり仕入れたりもしないとね!前者は実槻さんのお陰で霊能素材以外は現状困ってないけど」

「各地の企業とパイプを作ってくれていますからね」

地方への派遣依頼の際、実槻はただ依頼を達成するだけではなく様々な企業や個人と交友しパイプを繋げている。その為鉱石など一般的に入手が難しい素材に関しても昔と違い対価さえ払えば入手できるようになったのだ。

 

「やはり隠れて取引するよりも堂々と取引する方が、出費が少なくより多く注文できるのでありがたいです。備蓄分を引いても大分余裕があります!」

「実槻達が来る前は裏ルートで仕入れていたものね。私の家の力にも限度はあったし」

苦笑しているのは先の事件でも活躍した黒川エレンだ。彼女の実家である黒川家は代々新潟県最大の港であり、国際拠点港湾に指定されている新潟港の責任者を務める者を輩出している名家(霊能における名家ではなく、表社会で戦後も生き延びた一般的な名家である)だ。このことには実槻も驚いていた。

 

前世では新潟港の責任者は新潟県であり、一つの一族が管理、運営するなどありえなかったからだ。勿論今世でも新潟県は運営に関わっているが、責任者は黒川家の人間であるエレンの父親となっている。つまり彼女は実は良い所の令嬢だったりするのだ。

 

今世では開港時、当時の命蓮寺が既に協力者となっていた黒川家が港の責任者となったほうが色々利用出来ると判断し、介入した為差異が出た形だ。

 

「黒川家が実質管理、運営しているとはいえ県や政府の目もありましたからね。密輸するにも限度がありました。一度行う度にかなり注意を払っていましたし、思い出すだけで大変でしたね」

「今は新潟県議会もこちらで抑えられたから密輸もやり易くなったけど正規で取引できるならそっちで手に入れた方が、断然良いわよ」

「それでも銃などは今でも海外からの密輸に頼っています。ガイア連合が自衛隊と協力してくれたらそっちからも仕入れられるのですが・・・」

この悩みは後の自衛隊ニキの一件で解決することになる。しかし、海外との繫がりで得られるのは何も物だけではない。

 

「そこで私からも報告だ。私の元戦友でドイツ軍の装備を横流ししてくれている奴からの情報だがどうも軍が秘密に出動している回数がここ数年増えているらしい。だがどうも他国の軍やテロ組織とやり合ったという感じでも無さそうでな。情報も全て隠蔽されているが・・・彼曰く出動していると思われる場所には怪物が現れたという噂が流れていることが多いらしい」

「それってもしかして悪魔?」

世界情勢の情報を地方に居ながら限定的なものだとしても得られるというのも利点なのだ。

 

「可能性はあるだろうな。まぁ我々が何かできる訳ではないが、海外ではそういった噂が流れ軍が秘密裏に出動する事案が増えているということを覚えていてくれればいい」

「海外も大変だな。というか情報をくれた元戦友は大丈夫なのか?確かもう除隊して、軍装備品を製造する会社の社長しているって聞いているけどこれ普通に機密情報の類だぞ」

それに軍に元戦友が捕まれば芋ずる式にこちらとの関係がバレる恐れもある。そんなリスクを犯して情報をこちらに渡すメリットがチョッパーには分からなかった。

 

「その代わり、もっと良いのも買ってくれだそうだ。密輸がやり易くなったからもっと高いのを売りつける気のようだな」

「あー、情報は高額商品の特典って感じなのね。付加価値を付ける戦略か、強かね」

「あとはこちらにも強いバックが付いて、自分達との繫がりが切れるのが怖かったのかもね。こっちが出す対価はお金以外にも対悪魔用のお札とかダークサマナーや悪魔対策の物も含まれてるし」

「・・・まぁいいでしょう。あそこの製品は質も高いですし、向こうが"商人の作法"の範囲で交渉してくるならこちらもそれに沿った作法で交渉に応じましょう」

その後も細々とした報告や指示を出し、実槻達が居ない間も裏方達のお陰で戦力を立て直している命蓮寺であった。




読了ありがとうございます!裏方のチョッパーとキテレツは今の部隊よりも後方支援部隊の方が適正は高く聖達もそれは理解しているのですが、50人ちょっとの集団では三部隊作るのがやっとなので、新しい部隊を新設できず仕方なしにそれらに割り振られている感じです。
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