親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第六十七話になります!長く同じ話をやっていると一方その頃的な話をやりたくなるのが自分です。


世俗派の使い方

実槻達が研究所の異界に飲み込まれている間も当然世界は動いていく。今回は実槻と裏で協力があるメシア教世俗派の様子を見て行こう。

 

「貴女方が実槻様が言っていた保護されたメシア教徒ですわね?」

「・・・サーシャ=クロイツェフ。問一、貴女が実槻の言っていた王留美でしょうか?」

「風斬氷華です。わ、私は記憶喪失?らしいのでメシア教徒かは分からないんですけどね」

「ええ、私が今日から貴女達を預かるよう実槻様に命じられた王留美ですわ。これからよろしくお願いしますね」

新潟県の上越市。本拠地を直江津港に移した世俗派。基本カスピエルの監視の元独自の活動を行っているが、今回の様に実槻から仕事を振られたり、メシア教徒の保護をお願いされることもある

 

「風斬さんはメシア教の研究施設に拘禁されていたので、何らかの目的で過激な方々が拉致をした可能性はありますわね」

「問二、魔法や薬物による記憶の封印、もしくは消去の可能性は?」

「調べましたがそう言った形跡はありませんでしたわ。とはいえ風斬さんが覚えている記憶は一番古いものでも既に研究施設の中にいたと聞いていますので、凄惨な実験や研究を見て精神崩壊を避ける為に防衛本能が働いた可能性はありますが」

「・・・そう言うということは私が捕らえられていた研究施設と同様に碌なものではなさそうですね」

「え、サーシャさんってメシア教徒なんですよね?異教徒なら兎も角同門ならそう無体はしないと思いますけど・・・」

「解答一、確かに異教徒のみをそういった対象にしている外道もいますが、同門でも"主への献身"と称して実験への参加を強制する糞もいます」

「え、えぇ・・・」

ガチで引いている風斬にまぁそういう反応になりますよねとメシア教の暗部を良く知る二人は思いつつサーシャが更に質問を重ねて行く。

 

「問三、ここには私以外にも保護されたメシア教徒が多くいると聞いています。なぜガイア連合でなくここでの保護を?」

「だってガイア連合で嫌われてますものメシア教。改宗は確実に強制されますし、それでも偏見の目で見られます。それに『助けたからには助けるだけで終るのではなく導くことも必要だ。少なくともちゃんと二本足で自分の道を歩けるようになるまではな』とも言っていましたからガイア連合よりうちにということなのでしょう。実際改宗を受け入れられない教徒は軒並みここに送られますわ」

「えっとそれガイア連合には気づかれないのでしょうか?」

「元々この世俗派との関係はガイア連合のトップである星霊神社の神主様に事前に話を通しています。その過程で善良ではあるもののメシア教から捨てることを拒絶する者達の扱いの話もあったそうですわ」

改めて言うが世界中にいるメシア教徒の大半はただの一般人であり、善良な人々だ。母数が膨大なのでメシア教の暗部の悪行を知っても信仰を捨てたり、改宗せずにメシア教徒で居続ける者達が多く出るだろう。というか寧ろ「腐敗したメシア教徒を変えてやる!」と奮起する教徒達も出ることを実槻は確信していた。信仰はそれだけ大きい力なのだ。

 

「私見一、この世俗派はそう言った者達の受け皿という理解でいいのですね?」

「その通りですわ。ガイア連合の黒札や大抵の名家の方々はそんな者達は切り捨てろと言うのでしょうが、まぁどう考えても遺恨は残りますし、その恨みが人の道を踏み外させてしまうことにも繋がります。或いは過激な思想を持つ教徒やメシア教で無くてもあくどい方々にそう言った恨みを利用されてしまこともあるでしょう・・・そう言った惨劇を無くしたいという人道的な面もありますが、その恨みによって経済を含め大きな不利益が出てしまうという実利的な問題もあるのです」

無論、不利益を被ってもやらなければならないことはあるし、環境がどうであれやらかす外道はいる。ただ先程も言ったように元は善良でそんなこと仕出かすような者達では無かったのだ。それを他の人間や環境が追い詰めた結果惨劇は起こってしまう。ならそうならないように事前に手を打てば良いだけの話だ。

 

「『追い詰められたとき、その人間の本性が出る云々なんぞ所詮追い詰めた側か、傍観者である第三者の戯言に過ぎない。無論やらかした罪は消えない。だが例えそれがどんな無様な姿であっても糾弾できるのは被害を受けた奴等か、本人だけだ!』そう神主様との交渉中に声を荒げてしまったと零してもいたそうですわ」

「・・・風斬はまだいいでしょう。ですが私は暗部のエクソシストです。その善良な者達に入らないと思いますが?」

「そうなんですか!?」

「あら、元暗部の教徒という経歴でも保護した方々なら貴女以外にもいますわよ。そういう場合は総じて罪なき人々を守るために"敢えて"暗部に籍を置いていた方々ですわ。貴女も同様ですわよね?」

「あ、なんだ良い人じゃないですか!」

「そ、それは・・・わ、私がそうやって騙している可能性も考慮してですね」

「ご安心を。婚約者であるお二人曰く実槻様が人や物を見極めることで失敗することは"絶対にない"とのことですわ」

「な、なんですかそれはー!?」

港の形をした教会は今日も、そして明日も俗世に塗れながら零れ落ちる者達を救っていくことでしょう。

 

 

 

 

【おまけ』

 

「問四、そう言えば風斬はなぜ研究施設に捕えられていたのですか?」

「それが記憶がないので良く分からなくて。一番古いので数年前の記憶なんですが、細かい検査とかしてたのを覚えているだけで。研究資料も紙や電子データは勿論研究員さん達全員実槻さんが戦闘中"うっかり"全部壊してしまったそうで。サーシャさんはなんでなんですか?」

「うっかりですか・・・私の場合は上位天使の依り代になり得るということで拘束され、降霊を行うための実験を受けていました。碌でもないものばかりでしたが、理由が理由なだけにやり過ぎて殺されてしまうことは無かったですね。こちらもどの上位天使の依り代になりえるか判明する前に実槻に救出されました」

「サーシャさんは暗部の主流派からは外れていたそうですし、排除するのに都合が良かったのでしょうね。風斬さんの件は兎も角サーシャさんと適合する上位の天使様なら時間を掛ければ我々でも特定出来ますわよ?」

「私見二、実槻と相談して敢えて特定はしないことにしています。特定してしまえばある種の指向性が生まれてしまいます。曖昧なままの方が都合のいいこともあるのです」

「なるほど、確かに魔法、魔術的にもそうした方がいいですわね。あ、お二人は今日から世俗派の守護者であり監視役であるカスピエル様付きになります。風斬さんは身の回りのお世話、サーシャさんはうちで数少ない実働戦力としてです。ああ、御心配には及びません、双方の同意がないなら彼女は手を出して来ませんわ。ご主人様から雷を落とされてしまいますので、説教的にも魔法的にも」




読了ありがとうございます!今回は"偶々""運良く"カスピエルの御付になれた二人ですが、資本主義万歳の派閥なので世俗派内で序列などもあったりします。
更新速度が不安定な作者ですが、よろしければこれからも作品を見ていただけるとありがたいです。
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