親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第六十ハ話になります!最近職場が変わって引っ越ししたりでリアルが忙しいですが、時間を見つけて投稿です。


情報交換

「よーし、軽く一時間くらいで調べた情報の共有を始めるぞ」

 

「未攻略の異界に長時間いるもんじゃないですしね。というか常人だったらもう倒れてますよ」

「え、そうなのか!?」

事前に決めていた通り一時間で調査を切り上げ情報共有する為に集合した俺達。生体MAGの量が未覚醒組でも常人の数倍はあったことから問題ないと思っていたが、やはり調子を悪くしたものはいなかったか。え、言わなかった理由?そこを気にして調査が疎かになった不味いので敢えて言わなかっただけだ。

 

「そんじゃまずは分かりやすい所から。俺達がやってた荷物の照らし合わせ作業の結果だが、予想通りある時期を境に特殊な品名の荷物が増えて居たな。無論詳しくは分からんが配達していた業者が一般のものじゃなかったからほぼ間違いないだろう」

 

「問題はそのある時期が約2年前からということだな」

「思ったよりも長期間だったのよ。その期間特にどこからも怪しまれて居なさそうだし、隠蔽に相当気を使ってるわね」

当たり前だが、隠蔽や隠し事などはそれが長期に渡るほど違和感を怪しまれたりや発覚したりするリスクが大きい。ましてや思考誘導や洗脳で精神が健常な状態で無ければ本来ならそれらのリスクがより高まってしまう。ここの異界の主である悪魔は厄介なことにその辺りも心得ているということなのだろう。

 

「思考誘導程度なら兎も角精神操作や洗脳が長期間に及ぶ程より深部まで侵され、自己意識に及ぼす影響は大きくなります。この異界の悪魔の格にもよるでしょうが、数年続いているのならば常人なら例えそれらを解除出来ても後遺症などの悪影響が残ってもおかしくありませんね」

「そういう所が一般的な平穏な都市の郊外にある・・・正直周辺地域もその悪魔の支配下って場合よりも怖いわよ」

「ホラー系創作物でも良くあるが全般非日常よりも日常の中にあるごく一部の非日常というのが、より恐怖を掻き立てるものだ。まぁジャンルが違えばその手の感情は変わるが」

「だな。それでそっちの日誌はどうだ?」

 

「・・・概ね実槻達が突き止めた通りだと思う。こちらも約2年程前から文面の変化が見られた。ぼくは一部しか見てないからあとは阿求からの方が良いだろう」

「はい、まずはこちらをご覧ください。先月の日誌と5年前の日誌になります」

阿求がそれぞれ時期の違う二種類の日誌を取り出し、ページを開く。それらを数ページ捲るだけど露伴と阿求の言いたいことは理解出来た。

 

「なるほど。これは分かりやすい」

 

「え、そうなの?他とあまり変わらないと思うけど」

「違う。変わらなさ過ぎているのが問題なんだ」

 

「美九お姉様、二つの日誌を比較していただければ分かるかと」

「書いている内容は似た様な感じだけど・・・でも確かに何か違うような?」

「その認識は正しい。正確には接続語や修飾語、形容詞といったものに"人の情緒を感じない"だが」

 

文章には人の気持ちや感情が宿る。それは報告書などの書き方などが規定されているものにも該当する。気持ちが感情が宿るというのは何も熱い檄文の類のものばかりではない。

 

書き手が何を重視しているか、注目しているか、逆に軽視しているかという優先順位、個々人による表現方法の違いなどは報告書などでも見られるし接続語の使い方なんてそれら以上にバリエーションがある。

 

「あー確かに!それに書いてる人もある程度の人数で持ち回りで書いてる・・・当番制って奴?それなのに書き方が全く同じなんてそりゃ変だわ」

「ああ、下手なことを書かないように強く誘導している可能性が高いな。それで雅達はどうだ?」

 

俺の横から日誌を覗き込んで頷く雅と美九の報告を聞こうとすると渋い顔をする。

 

「うーん、何と言うか普通というか違和感がない感じ?使ってるメーカーはそれぞれだったけどどれも有名所だし、持ってる化粧品全部じゃないけど流行のものはちゃんとあったし」

「使い方も雑に扱ってる様子は無かったよ?」

「ふむ、化粧品は身体に合うかも大事だからな。流行のもので固められていないからと言って違和感は特にないな・・・総合するとこの研究所の情報管理などには気を使っているが、それ以外の生活面は違和感を持たれないように敢えて自由にさせてるっぽいな。まぁ研究員達はまた扱いが違うだろうが」

 

「みたいね。ところでヴィクトル兄さんや藤乃には特に調査の割り振りはしてなかったわね?」

「二人には別の仕事を割り振ったからな」

 

「別の仕事?」

鈴仙の疑問の応える様に俺達が現在話している部屋に藤乃やヴィクトルがワゴンを押して入って来る。

 

「お待たせしました」

「ん、いい匂いがしますね!これはカレーですか?」

「そうだよ。実槻に頼まれてスタッフルーム内にあったキッチンで作って来たんだレトルトだけど」

「なるほど腹ごしらえか。でもここのものを使って大丈夫かい?」

「ええ、異界になった場所にあった食材は変異している可能性もありますから調理するには専門の技術が必要です」

「大丈夫です露伴兄様、雪泉さん。このレトルトはガイアカレーといってガイア連合の方々が遠征先で食べる回復も出来る糧食の類のもので実槻兄様からご提供いただきました。未覚醒者でも食べられるそうなので」

「それは用意がいいな。いや、そもそもどうやって携帯してたんだそれ?」

「結界術と封術の合わせ技でな。俺の上着の内ポケットの空間を弄って容量を拡張しているし、封術も併用しているから封印状態にして時間経過も無視できる。拡張出来る容量は術者の腕によって決まるが俺だとざっくりとだが東京ドーム2個分くらいか」

 

ショタオジや結界術と封術特化の術者ならもっと容量を上げられる。流石に某猫型ロボットのポケットの完全再現はショタオジにも出来ないらしい。因みに黒札の中にはその某猫型ロボットをモデルとした専用シキガミを持つ者もいるが、そいつが持ってる『アイテムを多めに持てる異能』もこの技術が元になっている。

 

どちらが優れているかは、術者の腕次第で上限を上げられる前者と上位の素材などを用いれば最初から高い容量を確保出来る代わりに上限を上げるにはそのまた更に上位の素材を要求される後者と性能の違いがあるので各黒札の能力で変わって来るだろう。

 

「異能って便利なのね・・・あらこれはフルーツ?」

「ただのレトルトもあれだからと実槻兄様がドライフルーツや干し肉なども下さったのでアレンジしてみました」

「本当用意良いよね。お陰で途中から僕も手伝う羽目になったけど」

「幼少期に戦時復興を経験した者としてこういう保存食は前世から常に携帯してたからな。まぁ戦時中は俺赤ん坊だったけど」

 

「・・・そうだったね。それじゃ早速食べようか。腹が減っては戦は出来ぬと昔からよく言われているからな」

一同がそれに頷くと早速カレーを食べ進めて行くのだった。




読了ありがとうございました!因みに実槻はメアリ、美九以外の親戚メンバーに前世のことは話していますが、黒雪については元人間で死後霊となり自ら専属シキガミの身体に組み込まれたこと以外は話していません。今は緊急事態なので余計な混乱を生まない為の処置なので解決したら話しますが、こう言えば黒雪だけを常に解放しているのかの理由も説明せずとも分かって貰えてその場でこれ以上説明する手間も省けます。
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