親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第七十話になります!新年初投稿です。今年もよろしくお願いします!


情報と変質

研究所の二階を制圧した俺と黒雪、ボティスは1階で待たせていた面々と合流すると3階に続く階段を見張りつつ、皆で2階の探索を行った。今は階段前で3階の様子をまた雪泉に見て貰っている。

 

「2階は倉庫や資料室、会議室くらいだったな」

 

「倉庫や資料室って言っても災害用や機材のメンテ用の道具、資料も所謂研究で使うような学術書や過去に発表された論文とかが主で今やってる研究の内容までは分からないね・・・けど」

「はい、どのような分野かの推察は可能です!資料室の本棚の空いている箇所とその周囲にある本の分野からIT・インターネット関係のものであることが分かります」

IT・インターネット関係ねぇ・・・ソウルハッカーズのことを考えると嫌な予感しかしない。

 

「でも研究の詳細は分からないままね・・・そう言えばインターネット関係の技術はガイアグループが開発と普及を推し進めてはずだけど実槻兄さんは悪魔が関係するその手の技術に心当たりはある?」

「まぁガイアグループというかガイア連合がそれらを推し進めてるのは悪魔に関する研究の側面もあるからそりゃ幾つか心当たりはあるが、別に俺それらの研究には関わってないからな。情報の少なさもあって分からん」

 

前世で弟子だったあいつならその手のことに詳しかったが、精々俺は歳の割に不自由無く最新の電化製品やPC・スマホを扱えた程度の知識しかない。

 

「実槻兄は色々知ってるけど研究者じゃなくて鑑定士(予定)だからね。今研究されている最新鋭のものまでは知らないか」

「逆に言えば発表や公表されているものならマニアックなものも知ってたりするけどな。というか実槻の仲魔のボティスって確か過去、現在、未来を観測したり、知識も持っているのなら彼女にこれからのことを聞いた方が早くないか?」

露伴が階段にちょこんと座るボティスを見てそういうが、それが出来たら苦労はしない。

 

「はぁ、これだから人間は。楽な道に直ぐ飛びつきますね」

「あれ、なんか急にディスられたぞ?」

「それはいつものことでしょ。出来ない理由があるんだね?」

「あーまず俺が契約しているボティスは魔界にいる本体の分霊だからな。本体みたいに無制限に過去や未来を見たり、知識を引き出せるわけじゃない。それに加えて今は俺がまだ弱いせいで弱体化されている状態だ。当然その分それらを見れたり、引き出せる範囲は狭まるんだよ」

 

「それに過去の知識なら兎も角として未来の知識を与えることが必ずしもいい結果になる訳ではありません。本来進むはずだった未来を歪めてしまう」

「それはバタフライエフェクトというものでしょうか?よくタイムスリップ系の作品で見られますよね、元は別の用語だったらしいですが」

「救世主ならいざ知らずただの人間が未来を変えることなど出来ませんよ。もし例外があるとすればそれは未来を観測する異能や機能が不完全性を持ったものであるか、私の様に未来を観測し、その知識を持つ者の介入があった場合です」

ボティスの話は夢が無いが、藤乃が言ったタイムスリップ系の作品でもそういう異能やタイムマシンなどを得るところから始まることが多いしな。それらで未来を知らなければ現在の行動をどう変えた所でただそれが既定路線だったで終わりだ。

 

「うーん、言っていることは分かるけど夢がないね。まぁボティスちゃん的には実槻お兄ちゃんの未来を変な方向に行かせたくないから未来のことは教えないってことでいいの?」

「ボティスちゃん・・・まぁいいでしょう。凡そは貴女の言った通りですが、別に未来のことを何も教えない訳ではありませんよ?私の本体が干渉して私が召喚された様に未来がさして変わらない、多少のショートカットや楽出来る程度のものであれば教えるのもやぶさかではありませんよ」

「出来れば死にそうな未来が見えたら警告もして欲しいのだけどね?」

「・・・仕方ないですね、それくらいならいいでしょう」

「そもそもそんな未来が予知されない方が良いんでしょうが、普通に格上にぶつかる可能性があるのがこの業界ですから」

「ゲームみたく適正レベルの敵だけが出て来る訳じゃないものね」

とまぁそんな雑談をしつつ待っていると雪泉が戻って来た。

 

「ただいま戻りました皆様」

「お、ご苦労さん。で、三階はどうだった?」

 

「研究室などがある所だから本命よね。悪魔も多そうだけど・・・」

「いえ、それなのですが」

雪泉の報告を聞き、全員で3階に上がると聞いた通りの光景が広がっていた。

 

「え、なにこれ?」

「なるほど、雪泉の報告通りだな」

 

3階は研究室などがあり、普段は研究者達がせわしなく働いている階層なのだろう・・・今俺達が見ている光景と同じように。

 

「この人達はここの研究所の研究員よね?目は大分虚ろだけど」

「明らかに正気ではないですね。皆さんのお体は大丈夫なのでしょうか?」

「精神操作の影響下にあるからだろうな。野良悪魔が徘徊していないのは研究員達の邪魔をさせない為だろう・・・見た所身体自体に問題は無さそうだ。異界の影響を受けない様に3階の空間を調整しているな。それに食事も取らせているようだな。もっともインスタントやレトルト系が殆どだろうが」

 

「食材の安全性は受付のスタッフルームでお聞きしましたが、インスタントやレトルトならいいのですか?」

「勿論インスタントやレトルト食品だろうとガイアカレーみたいに対霊処理がなされていない食品ならやがて変質していくだろうが、生鮮食品よりかは長持ちするんだよ」

 

「食品など人界の物が異界で変質するのはその物に宿る人界の概念を異界の概念が徐々に浸蝕するからです。一種の情報の書き換えと表現する方が分かりやすいでしょうか?インスタントやレトルト食品が生鮮食品よりも変質し難いのは加工時に様々な高度な技術が施されるのでその分人界の概念の情報量が多い為書き換えるのにも時間が掛かるのです」

「因みに一番異界からの浸蝕に強いのは人の思いが籠ったものだそうです。その為工場での大量生産品よりは職人が手間暇掛けて作った物の方が長持ちするそうですよ?これが刀などの武器なら明らかに後者の方が悪魔にも効きやすいんですよね」

「それでもちゃんとした対霊処理や霊能装備程とはいかないがね」

それでも高名な職人が作り、何世代にも渡って受け継がれてきた品になるとまた話は変わって来たりするんだけどな。

 

「それはそうと研究員達には構わず仕事を続けさせているんだな」

「恐らく俺達のことはずっと監視しているだろうから研究員達を助けようとしてるのは向こうも分かってるだろうからな。無体なことはしないと思っているんだろう」

 

「でもこういう時って研究者達を人質に取るとかってのがアニメとかでよく見るけど?」

「それは簡単だ雅。この状況でも研究者達を働かせているのは最優先すべき重要な仕事があるからだろう。研究者達を人質に取るなんてことが出来ないほどのな」

 

そう話しながら俺達は恐らくこの異界の主がいると思われる一番大きい研究室。第一研究室に向かうのだった。




読了ありがとうございます!ようやっとボス前に辿りついたぜ・・・いつ終末に到達するんだこの作品は。
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