親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第七十六話になります!fgoはイベント中ですが、更新していきますよー!


それぞれの思い

実槻達が奮戦している中、入口付近にいるメアリ達も自分達が人質になるかどうかで戦局が動くことを理解していた。

 

「・・・歯痒いわね」

「実槻兄、皆・・・」

「でも覚醒すらしていない私達が、ここで飛び出しても逆に実槻お兄様達の足を引っ張るだけです」

「そもそも足場がないしね。それに都合よく覚醒したところで素人の私達じゃあのレベルの戦いについて行けないわ。実槻曰く才能はあるそうだけど・・・どれだけ才能があって、レベルの上限が高くてもレベル1じゃどうやったってレベル30や40の敵には太刀打ちなんてできないもの。ましてやこの戦いはゲームじゃなくて現実の実戦なんだから」

鈴仙、雅、藤乃、メアリは自身の無力さに悔しさを覚えるが、視線だけは戦いから逸らすことはしない。例え"視る"ことしか出来なかっとしても自分達の為に戦ってくれている家族に背を向けるようなことをする者は一人もいなかった。それは父方の親戚である露伴達も同様である。

 

「うおおおおお!まさか現実にこんな迫力満点な戦闘が見られるとは!デッサンする手が止まらん!!」

まぁ行動はメアリ達とは全く違っているのだが。

 

「ヴィクトルお兄様、そっちの資料はどうでしょうか?」

「うーん、有用な情報はないね。やっぱりメインコンピューターで重要なデータは一元管理してるみたい」

「~~~~♪」

露伴は実は持って来ていたスケッチブックに実槻達の戦闘を事細かく描き、ヴィクトルと阿求はここに来る前に他の研究室で収集した研究資料やレポートを検証している横で美九が自身の持ち歌の中で複数ある応援系の歌をエンドレスで熱唱しエールを送っていた。

 

「こ、この状況でも全くぶれないわね貴方達!心配したり、怖かったりしないの?敵が一体でもこっちに来たら不味いのに!」

「心配?まぁ勿論しているし恐怖もあるが、よく考えて見るんだ。ぼく達が今更どうあがいたところで敵に捕まる以外で戦局は動かない。なら恐怖に震える時間があるなら自分に出来ることをやった方が得じゃないか?」

「それは、そうなのですが・・・」

「というか、ヴィクトル兄と阿求の研究資料の解読や美九の歌の応援は兎も角露伴兄のデッサンは意味あるの?」

「あまり言いたくないけど行動だけなら漫画の参考にする為にデッサンしているようにしか見えないものね。どういう意図があるのかしら?」

「・・・」

「「「「・・・」」」」

 

「さぁ各自が出来ることをやろうか!!」

「「「「勢いで誤魔化した!?」」」」

 

四人の追求から逃れるようにスケッチブックに向き直る露伴。一見一人だけふざけているように見えるが本人的には至って真剣である。

 

「(漫画の参考になるのもそうだが、ほぼ直感に近くなるがぼくはこれをやるのが最善な気がするんだよね。多分他の三人も似た様なことを思ってるんじゃないかな?ロジカル的なメアリ達の血筋と違ってぼく達の血筋は感受性が高いから感覚派が多いみたいだし)」

性格は多種多様なれど二つの血筋で明確にことなる行動を取る親戚達。片や冷静に状況を見定め感情を抑え、せめて視線を逸らすことはしないと決めた血族、もう片方は戦いから目を逸らす訳ではなく、どうせ戦闘では何も出来ないからと自分達の出来ることに邁進する血族。別にどちらが偉いとも優れているという訳ではない。しかしそれらの行動は偶然にも或いは必然的にも彼らの覚醒の鼓動を早めるものだった。

 

 

 

「もうそろそろね」

実槻の精神世界。彼の前世に住んでいた町を模倣した世界に存在する明らかな場違いな禍々しい城の玉座に座る赤髪の少女がそう呟く。実槻を覚醒させた声の主である少女は外の世界を観測しているようだ。

 

「実槻の親族達が自ら覚醒するように動いてくれているわね。まぁ覚醒なんてそんなものだし、私の反願望機の力も影響しているなら尚更よね」

嘗て実槻のもっとも強く願っていた『平穏であれ』という願いを反転させ、叶えたことで覚醒を促した彼女だが、その効果は彼の親族達にも波及していた。実槻が願う平穏とは家族も対象であった為だ。

 

「流石に実槻本人に与えた程の影響はないでしょうけど覚醒しようとしている彼らの背を押すことくらいは出来るのよ?これで貴方はますます力を得る必要性が出て来た」

誰に向けてもいない独り言を話ながらこの城の地下に視線を向ける。

 

「先のワルキューレ事変で実槻がキバの鎧と折半して取り込んだ莫大な量の生体MAG。それは当然彼の魂と肉体、精神に還元されたけど私達にも恩恵があったわ。その生体MAGのお陰でもう一人の私とも言える存在の身体である"竜体"の修復はほぼ完了出来た。それに実槻のレベルも超人の域に到達している・・・あとは世界の環境が終末、いえ半終末まで傾いて居れば竜体の維持も問題はなくなる。復活も近いわ!」

予定外のことが重なったもののそれを利用し、竜体の復活を前倒しに出来たので彼女は上機嫌だった。

 

「と、喜んでばかりも居られないわね。それにしてもあの悪魔達のボスがあんな大物なんてね」

笑みを止めると真剣な表情になる少女。彼女は反願望機の性質から周りの願いには敏感だ。それ故守護者であるキングフロスト達と戦場の干渉する異界の主の願いを感知したことで、異界の主の正体をすでに把握していた。

 

「万全なら今の実槻達に勝ち目はないけど幸いすでに結構ボロボロみたいね。工夫しても存在維持にすら苦労するなんて高位悪魔はこの環境じゃ大変よね?その点私達は実槻の魂と融合して精神世界にいるから存在維持の為のMAGなんていらないけど」

不憫な相手をあざ笑う彼女。この余裕は実槻なら不完全状態なら対応出来るというある種の信頼から来ていた。

 

「とはいえ相手が本来はるかに格上なのもまた事実、十中八九『アレ』を使うことになるでしょうね。景虎達が止めても無駄ね。彼、絶対に必要だと確信したら忠告や注意なんか無視して使うものね。というか記憶を見た限りそういう場面が前世で何回かあったみたいだし」

実の所、今竜体共々完全復活すること自体は可能なのだ。ただその場合現在のGPが、彼らの存在維持が可能なGPではない為顕現では無く実槻の身体を乗っ取る憑依に近くなる。何より

 

「私達じゃ実槻の『アレ』は制御できない。そもそも人類は勿論私達ですら制御出来ない『アレ』を封じる前の幼少の頃は当たり前のように普段使いしていたんだからとんでもないわね・・・でもだからこそ私達は貴方を選んで融合したのよ」

観測している実槻の戦いに期待に満ちた眼差しを向ける。

 

「今回は相手が相手だし異界の主戦のときには、多少助力してあげる。今はこの前座を片付けなさい、私のもう一つの半身よ」

実槻の精神世界は今日も"黒き"太陽が照らしているのだった。




読了ありがとうございます!今回は守られている露伴達の様子と久々に声の主の少女を出しました。いやー連載当時はAA無かったので、汎用で誤魔化していましたが、漸く出せましたよ。
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