親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第七十八話になります!真3のTRPGの再販がされましたが一瞬で無くなりましたね・・・自分は如何にか予約出来ましたが。思ったよりも需要あったんですねぇ。


封殺の魔術師

何時からだろうか。人の感情や欲望の醜い面が目に付き始めたのは。

別に人間の感情や欲望の全てが醜いとまでは思わない。それらが人間の人生に光を灯すのに必要なものだというのも理解している。しかし、その道標たる火も大きくなればその場の全てを焼き尽くす大炎になる。では大炎になる前の小さな灯の段階までにそれらを抑え込めればいい・・・というのは無理だろう。

 

人間も世界もそんな都合よくは行かない。感情も欲望も最初は小さくても一度抱けばどんどん大きくなるものだからだ。よしんば個人単位でそれらを抑える境地に達することがあったとしても一個人が何をしたところで人間という種族、世界に与える影響なんてたかが知れている。ではこのまま滅びるしかないのか?その程度の種族でしかなかったのか?

 

分からない。人間を、人類を滅んで当然の愚かな種族と断言するのは簡単だろう。だがそうするとそんな種族をこの地球の霊長の座に座らせている他の生物、しまいにはこの星そのものが人類よりも愚かと言うようなものだ。流石にそこまで断言出来るほど己の考えに自身を持つことが出来ない。

 

人類の問題なのだ。他の生物達やこの星まで巻き込むものでもない。ならこの問題を解決する術は何か・・・考えても分からなかった当時の僕はその答えを書物に求めた。書物こそ人類がいままで生き抜き、人類が積み重ねて来たものの結晶だと思って居る。

 

多数の学術書、歴史本、古書は勿論御伽噺や神話などオカルトに関する書物まで収集した。そんなとき偶然に手に入れた一見すると意味不明な内容の書物、所謂暗号化が全編に施されていた一冊。

 

【ミロク経典】

 

この経典に何か運命的なものを感じ、解読に取り掛かった。そしてすぐに分かったがこれは少なくとも解読までに年単位掛かり、しかも今の僕じゃどんなに時間を掛けても最初の数ページくらいしか解読出来そうになかった。丁度RPGゲームで言う所の新しいスキルや魔法を覚えたくても"レベルが足りない"という感覚に近かった。

 

だが、それに気付く前に解読出来た1ページを読むだけで分かる。ここに僕が探し求めて何かがあると・・・そしてもし解読した末にそれを知ってしまえば僕は自身の運命を決めてしまうだろうという確信があった。

そうだとして僕はこの経典から得られる何かを知りたかった。

 

ならば僕自身のレベルを上げなければ。世界中から曰く付きの本を収集し、解読、読破していく。レベルや解読する経験を積むのが目的だったけど中には魔導書も多くあり、ついでに魔法も多く修得したがこれはおまけだ。本命はあくまで【ミロク経典】の解読だった。

 

これを解読し内容を知ることが出来れば、拓けるはずだ。僕自身の答えを自らの手で。

 

「・・・今思えばすでにその考えにたどり着いた時点で覚醒していたのかもね。僕が覚醒していることを自覚したのはレベルを上げる為に収集した魔導書などでその手の異能の知識を得た後だけど」

「何のお話ですか?」

「唯の意味のない独り言さ。もうあの本も手元になしね・・・それよりも君の飛行能力は封じたよ。まぁ厳密には飛べないこともないけど」

「あんな激痛そう何度も喰らいたくないでしょ!仕方ありません、人質が一人減りますが貴方は始末させて頂きます!」

これであの鴉は僕を無視出来なくなった。さて、実槻曰くガイア連合の黒札から見ても今の僕の実力は平均よりは高いそうだし、タイマンなら今この場に居る敵のどの悪魔が相手でも負ける気はしないけど2体目はきついかな。負けないにしてもこの最終防衛ラインを突破されかねない。禁則事項も単体にしか掛けられないし、解除してからじゃないと別の標的を狙えないしね。

 

「例え飛べずともテングは素早く動けるんですよ!【マハスクカジャ】!「はい【デカジャ】」うぎゃー!貴方もですか!?」

「悪いね。僕って所謂封殺特化の魔術師だからさ!【シバブー】!」

「ちょ!?」

流石にタイマンで【ジバブー】なんて喰らえないから耐性でもなきゃそりゃ全力で避けるよね。

 

「それは所詮見せ札だよ【ジオンガ】!」

「うぎゃああああ!」

弱点の属性だから思ったよりダメージが入ったね。【ジバブー】は回避を促す見せ札で回避した先に弱点になる属性の魔法で攻撃。流石に飛ばれたらここまで上手く誘導は出来ないけどそれは禁則事項で封じている。とはいえ実槻みたいにジオ系特化ではないから元の威力はそんなでも無いんだけどね。まぁ僕の場合は他の系統の攻撃魔法も使えるけど。

 

「ぐ、これ、は、状態・・・異常の!?」

「SHOCKの状態異常に掛ったね」

僕は【狂い咲き】のスキルもあるから状態異常を掛けやすいんだよね。戦闘中に動きを止めるのは致命的だろう。

 

「それじゃ追撃、もう一撃【ジオンガ】!」

「ああああ!!な、舐めるな、人間風情が!!【マハザンマ】!」

攻撃は命中するが、二連続SHOCKにはならず僕の態度や今の戦況にキレたのか雑に魔法を行使してくる。まぁ見下していた相手にいいようにやられるのはムカつくだろうけどさ。

 

「だからと言って雑な攻撃は頂けない。【マカラカーン】」

「【マカラカーン】まで!?ぐうう!」

【マハザン】を【マカラカーン】で反射する。カラステングは衝撃属性に耐性があるからそれほど効いていないけど精神的ダメージは大きいだろうね?

 

「おやおや、これはもう詰みって奴かな?人間を見下して置いてこの程度でイキがっていたのかい?」

「黙れ!!!」

魔法は無駄と理解はしたのか走って距離を詰めて来る。なんだ言ってた通り地上でもそこそこ早いじゃないか。狙いは物理攻撃かな?

 

「【ジオンガ】!」

「そう何度も喰らいませんよ!」

僕の魔法を紙一重で回避する。やっぱりスペック自体は悪くないねこの鴉は。もしきちんとした指示を出せる他の悪魔と一緒に来られたら突破を許していたかもしれないな。

 

「この距離なら物理攻撃が届く!それにこの攻撃には相性なんて関係ない!死ね魔術師!【貫通「物理攻撃、これを禁ずる」撃】!ってはぁ!?」

「【マカラカーン】があるなら【テトラカーン】もあるかもしれないと【貫通撃】で殴って来るのはいい判断だけど・・・僕が禁則事項を変更する可能性を考えなかったのは迂闊だったね」

「ぐ、あ・・・氷川、ヴィク、トル・・・!」

「最後の最後で漸く名前を呼んだね。もう遅いけど」

この鴉が慢心していなくても負けることは無かったろうけど、他の味方の悪魔がこっちに来ることを信じて粘る程度のことは出来ただろうに。今更僕をちゃんと見た所で遅いんだよと消滅する彼女を見ながら思うのだった。




読了ありがとうございます!禁則事項は即死ではない、対象は単体で別目標に使うには既存のを解除しないといけないなど基本的にアーリマンが使ったものより弱体化していますが、気軽に切り替えることが出来る点だけは利点になっています。因みに本編で分かると思いますがヴィクトルのレベルが高いのはミロク経典を読破する為に世界中の魔導書を収集し、解読して読みまくったからですね。
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