親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第八十三話になります!親戚の覚醒回ですが全員やってたら切りがないので結構重要な設定持ちの一人だけやって他はささっと流します。いい加減時系列を進めたいんじゃ!


黄金の系譜

【実槻達とメアリ達が合流する現実時間で少し前】

 

「・・・っ!ここは?」

気づけば私は俯せになって倒れていた。起き上がり周囲を見渡すが一面の霧でここがどこかも分からない。

 

『おお、気が付いたか!チャンスと思ってこちら側に引っ張ってみたがちゃんと自己意識は保てているようだな!』

 

「え、えっと誰かしら?」

ここがどこも分からず一瞬不安になったが、どこからかものすごく堂々とした女性の声が聞こえて来てそちらに意識が向いた。今の話からして私をここに呼んだのは彼女の様だ。

 

『ふむ、本来なら余の華々しくも荘厳な名をすぐにでも名乗る所なのだが・・・今回は段取りというものがあるのでな。少し待て』

 

「あ、はい。それじゃここに私を呼んだ要件を・・・そう言えば私は直前まで何をしていたのかしら?」

『何!?・・・チャンスだからとこちらに引っ張って来たが、半覚醒状態ではちと早すぎたか。思ったより精神的ショックが大きかったようであるな。余としたことが迂闊だったか・・・ゆっくりで良いので思い出してみよ』

 

「確か・・・実槻がメインコンピュータの異界に景虎さんと一緒に入って行って・・・最後まで生き残っていた大きい雪だるまの悪魔も実槻の仲魔達が倒してくれて・・・部屋が元に戻ったかと思ったら彼がスカウトに来ていた女性が意識を倒れてその介抱をして、いて・・・!!!」

少しずつ思い出していくと一瞬右眼が痛み思わず顔の右側を右手で覆う。

 

「そうだった・・・あのとき、急に右眼が痛んで!12年前みたいに・・・!」

12年前もこの様な痛みで倒れたことを思い出す。目が覚めたときには右眼の色が黄金色になっていたのだから当時は家族皆で慌てたものだ。

 

『ほっ・・・ちゃんと思い出せたか。うむ、今回のそれと12年前の一件は実は原因は同じなのだ。分かるか?』

 

「・・・ええ、実槻ね?今ならはっきり分かるわ。今彼があの中で戦っているのも」

言葉にするのは難しいけれど感覚で実槻との繋がりを感じ取れる。

 

『12年前と同様にあやつが自身の力を完全開放しておるからな。その力は源は一神話の主神・・・そしてその神話はその主神より生まれし神々によって形作られておる。幸いあやつがただの"その主神の力の一部を宿した人間"であったから単純に其方達の生体MAGの急速な活性化程度に留まっておるがな』

 

「つまり実槻がその力を使えば、血の繋がりのある私達にも影響する?でも他の子達は12年前に何かあったなんて聞かないけど」

『まぁ当時は其方も含め誰も半覚醒をしておらなかったし純粋に距離の問題もあったのでな。ただお主は余の系譜を継ぎし者として一種の先祖返りの可能性を秘めておる故そういった霊的な感性やアンテナが敏感なのだ』

 

「先祖返りということは貴女は私のご先祖様なのねって可能性?」

私達、実槻から見れば母方の血筋の中には浅上家の様に昔は退魔の家系だった家があるので、霊的素養が比較的高い血筋でありその先祖返りとなれば他の子達よりもその手の素養が高くなるのは理解できる。

 

しかし可能性とはどういうことなのだろう?普通先天性的に決まっているものだと思うのだけれど。

 

『実を言うと余の系譜、血筋とも言うがそれを受け継いでいるかどうか其方の場合曖昧なのだ。都合悪く、或いは都合よくその手の記憶や記録がこの世から消失している故な』

 

「その割には私が貴女の系譜の人間だと貴女自身は思っているみたいだけど」

『うむ!其方は余に似て美少女である故な!系譜を継ぐ者として相応しい!後はまぁついでにその右眼の"黄金瞳"は余の系譜を色濃く受け継いでいる証でもある』

 

「どう見ても後者の方が重要そうなのだけど・・・」

どうもナルシスト染みた思考の持ち主のようね。系譜を受け継ぐ証ということは彼女も私の右眼と同じ眼をしているのかしら?

 

『それがそうでもない。確かにその瞳は特異な力を持つが、余の系譜だと確定していない現状ではその力を引き出せぬ。見た目が派手なだけよ。そして覚醒者に至った者の眼や髪といった身体の一部の色合いが変化するのはよくある話なのだ』

 

「つまり貴女の系譜じゃないと確定した場合偶々特徴が似ていただけになるということ?」

『そうなるであろう。ここでの余との会話も生体MAGの急激な上昇による意識の混濁が生んだ幻聴となりいずれ忘れていく』

 

「確定させるにはどうすればいいのかしら?」

『案ずるな。何も難しく考える必要はない、ただ自身が余の系譜に連なる者であるということを受け入れるか否かで決まるだけよ』

 

「そ、そんな簡単なことで?」

『うむ、認識の力とはそういうものよ。それにあの男から託された物が其方の未来の認識を強めるのに一役買うであろう!』

 

「託された物・・・オセさんから受け取ったボティスさんが入ったこの封魔管のこと?」

懐から件の封魔管を取り出す。実槻がオセさんを召喚した際に私に渡すように頼んだらしい。

 

『その悪魔は未来の知識を持ち、また未来を識る者。其方が選んだ未来の方向に向かう為の触媒のような物になろう・・・あの男も味な真似をする。あの力を封じている状態でも其方の中にいた余の存在に気づいたということか。その力を開放した今なら人一人の運命を観測し、決定付けることも容易かろうに』

 

「え、彼そんなことが出来るの?」

『あやつが全知に至ることを受け入れればな。もっともそれを拒絶しておるからあくまで現在視と過去視擬きによる超高精度の未来予測の域に留まっておるが』

 

「・・・」

『初めまして、遠い親戚の大宙実槻だ。これまた親戚の美九をアイドルとして売り出す為に力を借りに来た。報酬は事務所の立て直しでいいか?』

 

昔彼と初めて会った時のことを思い出す・・・ええ、そうよね。貴方はいつだって有無を言わさぬ様でいてただの一度も・・・

「フフ、昔からそうだったわね」

『・・・』

 

「彼は、誰かに未来を指し示すことはあってもその道を強制することなんて大っ嫌いだもの!勿論悪人は除くけれど」

『そうか・・・大っ嫌いならば仕方があるまいな!』

 

私が微笑みながらそう言ったとき姿も見えない彼女もまた笑った気がした。彼は私に選択肢をくれた。覚醒するのは既定路線だとしてもその後に背負う運命を選べる選択肢を。ならそれを選ぶ義務と権利が私にはある。

 

「話を進めましょう。私が貴女の系譜に連なることを受け入れないと今実槻を助けに行けないのかしら?この場面で私が、いえ私達が覚醒する運命ということはそういうことよね?」

『確かに其方達が全員覚醒すればあの男を助けに行くことは可能になる。余の系譜であることを受け入れれば覚醒時だけではなく将来的にもより強くは成れよう。しかしそれは余の系譜に連なるが故の面倒事が降り掛る可能性が生まれることでもある。当然あの者達も巻き込まれよう・・・ついでに言えば今回の件で重要なのはあの男の親類である其方達全員が覚醒することとそれにより発現するあの漫画家の異能だ。今回は其方が主役という訳ではないのだ』

 

「私が受け入れようが、拒絶しようが助けには行けるのね」

どうやら今回私達の中で一番活躍するのは露伴兄さんらしい。そう理解すると少し肩の荷が軽くなる。

 

『その上で問おう!其方は余の・・・余達の系譜を受け継ぐ者か!!』

 

目の前の人型の靄が現れる。周囲の霧と同様に曖昧だが何となく私に手を差し出しているのが理解出来る。今回の件だけを考えればこの手を取らず、拒絶するのが正解なのだろう。将来的な不安要素を減らすことで実槻が私達を守る負担を減らすことも出来る。でもね実槻、貴方は知っているでしょ?

 

「私、一方的に誰かから守られるのは嫌いなのよね」

私は彼女の手を取った。一方的に守られるだけじゃなくて守り合う為に、いざという時に力が足りず後悔しないように、より強い力を求めた。もし将来的に面倒事が起きても彼や皆を巻き込んでしまおう。家族なのだからこれくらいの我儘はいいでしょう?

 

『・・・フフ、フハハハハハー!!そうだ!それでこそだ余の継承者よ!!』

 

彼女の手を握った瞬間彼女が今までの一番の笑い声を出すと辺りの霧が晴れ、周囲の風景が明らかになる。

 

「我が才を見よ! 万雷の喝采を聞け!座して称えるがよい……黄金の劇場を!!」

 

 

その光景は黄金に真紅という互いに派手すぎる色が奇跡的なまでに調和し、下品な印象など欠片も抱かないほどの荘厳な劇場だった。

 

「・・・美しいわね」

「そうであろう、そうであろう!何せ余の劇場なのだからな!!」

 

先程まで頭に響いていた彼女の声は今では耳で直接聞くことが出来る。私が受け入れたことで、彼女を完全に認識出来たのだろう・・・彼女もまたこの黄金の劇場に負けないくらい黄金に輝き、華々しい真紅の気迫を身に纏っていた。

 

「今度こそ名乗ろう!余の系譜を継ぎし者よ!余の名はローマ帝国第五代皇帝ネロ・クラウディウスである!」

 

あ、これ将来の面倒事は想定より遥かに大きいかもと内心で巻き込む実槻達に謝る私だった。




読了ありがとうございます!実槻の母方の血筋の解説会でした。え、父方?次回にちょっと触れますがただ感受性が人一番高い人間を定期的に生んでるってだけの野良ですが何か?
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