親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第八十七話になります!漸くこの章の終わりが見えてきたぞ。


汝、雷霆を簒奪せし者

「全く。人間の成長の早さには毎度驚かされる」

「流石にあいつらは人間の中でも早い方だと思うがな」

 

「私達も成長が早かったですしね」

ルキフグスの近くまで近づき、放生月毛から降りる俺と景虎。ここまで近づければ後は詰将棋と

変らない。

 

「最後の手であるあの女に憑依して脱出するという手段も・・・表の異界で貴様の仲魔が見張っている以上やっても意味がないな」

「おや、そんな手を。てっきり保護目的かと思ってました」

「半分はそうだが、長い間操られてたんだ。仕込みの一つや二つあるだろうなと思ってたさ」

 

「用心深いことだ。ならばせめて貴様か隣の女のどちらかを道連れにさせてもらおうぞ!」

段々とMAGに還って行く自身の身体を一瞥し、腹を括ったルキフグス・・・本来の俺に戻っている現状でもレベル的に大きく格上である事実は変らない。自己の生存を考えている状態なら兎も角消滅前提の片方集中の特攻となると万が一があり得る。

 

俺は全知になれても全能ではない。ましてや全知になるつもりもない以上限界はある。よって持っているカードの切り時が重要となる。今、この瞬間の様に。

 

「召喚、来いブラック・ロータス!」

「何!?」

「漸く呼んだか・・・言いたいことはあるが、今はそれどころではないな」

「馬鹿な!?三体同時完全制御だと!あの14代目ライドウですら為しえなかったことだぞ!?」

「お前もさっき言っただろう。これも人間の成長の成果って奴だ・・・さぁこれで三対一だ。どうする?」

 

二人であれば消滅前提の特攻で片方は落とせたかもしれない。しかしこれが三人となるとその確率はグッと減ってしまう。黒雪の実力はルキフグスも確認しているはずなのでブラフではないことも分かるだろう。

 

二人と三人では戦力は勿論一人を狙われても二人がフォローに入れる。フォローに入るのが一人か二人か。この差は数字が一つ増える以上に大きい。

 

「・・・我にこの選択をさせる為にその造魔というカードを切ったのか?」

「まぁな」

 

ここに至ってはルキフグスも俺の思惑を理解したようだ。だが、今更理解した所であいつにはどうにも出来ない以上次の行動は変らない。

 

「大胆不敵な奴め・・・良かろう。次で最後だ!」

「ああ、最後だ!」

 

「「【コンセントレイト】!!」」

 

自分とルキフグスが同時に自身の魔力を高めていく。しかしルキフグスは自身の身体を自らMAGに変換し、次の一撃の魔法に込めて行く。元々の戦闘スタイルが同一でレベルに差があり、向こうが消滅覚悟の中の撃ち合いでは俺が圧倒的に不利だ。

 

「行けそうです?」

「問題ない。こうなるのは想定内だ」

 

「ルキフグスの言う通りこれを狙っていたということか」

メアリ達が悪魔の軍勢を抑え、俺達の接敵を許してしまった時点でルキフグスの選択肢は消滅前提の策だとしても限られる。三人相手に特攻が無理ならメアリ達を狙う可能性もあるが、俺達を無視すれば攻撃を貰うだけではなく、メアリ達を狙うことすら邪魔されかねない。よって一撃に全てを込めた魔法攻撃で、決着を付けるのが最善手となる。

 

「なら俺がその一撃を相殺すればいい・・・力を貸して貰うぞ。今世における我が半身よ!」

 

『ついに呼んだわね?ええ、存分に使いなさい!』

「喰らうがいい!我が闇を!!【呪殺ハイブースター】【光を喰らう闇】!!!」

ルキフグスから球体状の闇が放たれる。周囲の光を喰らいながらその大きさと速度を加速させていく。まるでブラックホールだ。ただの防御や迎撃ではあの闇の餌にしかならないだろう・・・あれを破るには一切の攻撃を阻む守護か、一撃を持って全てを滅ぼし尽くす攻撃による迎撃しかない。

 

さて、次はこちらの番だ。

 

「『竜体仮想構築、同調開始・・・完了。【竜炉点火】【竜路展開】完了。【灰燼灼鎧】の半数を主砲に変換完了』」

俺と俺の内にいる少女の声が重なる。そして俺の背後にはホログラムのように仮想の三つ首の竜体の上半身が顕現する。

 

「な!?その竜は・・・そういうことか!?」

ルキフグスが現れた竜体の正体を即座に見抜き、驚愕する。それを尻目に三つ首の竜はそれぞれの咢に莫大な魔力を収束させていく。

「『雷の主神から簒奪せし、神罰の雷をここに!!【電撃ギガプレロマ】【汝、宙を裂く雷霆(ネガ・ケラウノス)】!!!』」

三つ首の竜体から放たれる紫色の雷霆のブレスが【光を喰らう闇】と衝突する。神罰の雷、その雷光さえ喰らおうとする闇と光を喰らう闇さえ蹂躙しようとする紫電の雷光。

 

拮抗する両者の攻撃。単純にぶつかるだけであれば対消滅をしていたはずだった。しかし雷光を放った俺にはあの魔法・・・もはや権能と呼べる力の構成要素が全て視えていた。そしてこの雷光なら一度にその全てを焼き切れる。

 

拮抗は一瞬。構成する全ての要素を焼き切られた【光を喰らう闇】は初めから存在しなかったかのように霧散する。そして神罰の雷光はその威力を一切削られないままルキフグスに向かう。

 

「・・・ふっ、この怪物め」

そう呆れたような笑みと共に呟かれた一言が聞こえた直後に雷光が、ルキフグスの身体を貫きその光と轟音で周囲を白く染め上げた。




読了ありがとうございます!【汝、宙を裂く雷霆】はD2とメガテン5Vのゼウスの【ケウラノス】の能力が合わさり、力ではなく魔依存の魔法攻撃になっています。誰か竜体のAAも描いてくれないかな?
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