親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第八十九話になります!やっぱ戦闘より対話や日常パートの方が筆が進むぜ。


半身

私は実槻が物語として知っている私とほぼ同一よ。あの星見の者達と最初の邂逅の折、復活したテュフォンの竜体を以てして特異点を離脱仕掛けたときに胸を穿たれた所まではだけど。

 

私はあの失地、いえ欠地王に出会わなかった。違いはただそれだけよ。世界の境界を漂う中で如何に竜体を再起動して世界の狭間を彷徨い飛んでいた。でもコアを穿たれていた私はテュフォンの大部分の機能を使えなくてね・・・文字通りただ飛んでいるだけだったわ。

 

当然それには限界がある。元々世界間の移動はテュフォンでさえ負担が大きいのに防御機能を含めた飛行以外のほぼ全ての機能が、使えない以上私だけじゃなくてテュフォンも傷ついていた。

 

そんなボロボロになってまで飛んでいたのは、叶えたい願いがあったのとただ生きたかったからよ。自我を確立したばかりでもあったからね。テュフォンの状態的に一度着陸したら修復までに旅立つことは出来なかったから私の願いを叶えられそうな世界を探したわ。そして丁度貴方の前世の世界の境界に差し掛かったときに貴方に出会った。

 

もっとも最初は私達の存在すら保てなさそうな世界だったから今まで通り落胆して、次の世界の境界に行こうとしたのだけど。そんな世界を覗き込んでいたときに偶々目をやったのが貴方だった。最初は特別何かを感じることも無かった。本当偶々視界入っただけだったから・・・そしてその直後に貴方は死んだわ。

 

ええ、貴方が黒雪以外にはただの交通事故と説明しているあの事故よ。少し恥ずかしいから黒雪みたく黙っててくれ?別に恥ずかしがることではないと思うけれど・・・そこの邪神、あれは傑作だったって笑い過ぎだ。そもそもお前達が実槻に戦わずして負けた最後の要因だっただろうあの死に様は・・・だからこそ傑作だと?全くお前達の感性は分からんな。

 

んん、話を戻すわ。貴方が死んで魂が身体から放逐されたとき・・・私は貴方の魂の色彩に目と心を奪われた。美しかったというのもあるけれどその魂が私の願いに必要だと察することが出来たわ。当時はなぜそれを生きている内に気が付けなかったのかと悔やんだけど今なら分かるわ。

 

そう、貴方がオカルトや霊能、神話的な事象を観測する視界を閉じ、縁を消していたからよ。だからその霊能、神話側の私が貴方を見てもただの人間しか見えなかった。でも死んだことで視界が機能を停止して、次の転生までの間貴方という存在と魂を正しく認識出来るようになっていたのよ。

 

因みに言っておくけどその視界は現在は開いているけど今みたく【宙の視座】を開放状態にしていなければ他の高位悪魔などがそれらに気づくことはないはないわ・・・逆に言えばあのルキフグスには気が付かれているでしょうけど。

 

そんな感じで嘆きつつも魂だけでも回収しようとした矢先にこの世界に転生される現象が起こったの。他の魂が次々に転生されている中貴方もその対象になったわ。もしも死後もその手の縁が消えたままなら転生することは無かったんでしょうけどそうなると輪廻転生の理からも外れてしまう可能性もあるからもっと悲惨なことになっていたでしょうね。

 

そして慌てた私は咄嗟に貴方の魂と融合しようとしていた貴方の前世の世界のテュフォンの魂を弾き飛ばして、融合の対象を私達にしたのよ。都合よく弾けたけどテュフォン同士の貴方との相性自体に特に差は無かったわ。ボロボロとはいえ霊基という肉体を持っていたことと我(テュフォン)よりも私(無常の果実)の方が貴方との相性では上だったのが一番の要因でしょうね。

 

「そういった過程を経て今ここに私がいるのだけど」

「・・・別に願いだけ言ってくれればよかったんだがなぁ。本当に全部説明するとは律儀な奴だ」

 

「そう?いくら危険性が低いと判断したからって私の全てを視ずに対等に話そうとした貴方程じゃないわよ」

今の実槻ならこの様に腹を割って話すこと自体不要な手間だ。私の全てを視た後で一方的に対処を決めればいい。でも彼はそれをしなかった。力を貸してくれた義理立てということなのだろう。

 

「これも礼儀と尊厳の尊重って奴さ。それで願いは?他人に口にされるのと違って反願望機自体であるお前が口にする分には叶わなくなることもないだろ」

 

「そうね・・・私の願い。ギリシャの神々への復讐とか色々あるけれどその為にも叶えなければならない一番の願いは・・・」

静かに実槻に歩み寄り両手で彼の顔に左右から触れ、引き寄せる。そしてその宇宙そのものの様な両目を覗き込みながら告げる。

 

「貴方のその【宙の視座】が欲しい。そうすれば私達は何者にも邪魔をされず自由に空(宙)飛ぶことが出来るもの」

嘗てギリシャの神々に敗れた最大の原因は、神々の策を見抜くことが出来なかった。この一点に尽きる。だが彼の【宙の視座】を得られれば唯一の弱点も消え失せる。

 

「・・・正気か?」

 

「ふふ、まぁそうなるわよね」

微笑みながら両手を離す。実際彼からその視界を奪うというのは現実的ではない。

 

「融合してすぐに分かったわ。アレは私達では扱うことが出来ないモノだって・・・だから貴方から奪うという話ではないの」

彼に手を差し出しながら告げる。

 

「これは契約よ大宙実槻。貴方は私達の眼となって本当の意味でのもう一つの半身になって頂戴。その変わり私とテュフォンが、貴方の半身として貴方を阻む者を滅ぼし、どこまでも高く飛ぶことの出来る翼となるわ」

互いに真の半身となる以上どちらに不利がある訳でもない対等な条件での契約になるのは必然。あとは彼の心のままに。




読了ありがとうございます!fgo色が強い今作だが多分一番やっているゲームタイトルだから出したいキャラ上げるとfgoに偏ってしまう。
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