親友が英雄の転生者だった件について   作:電脳図書館

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第九話になります!いやーシキガミをどうするかはギリギリまで悩みましたが漸くまとまりました。


観察眼と勘

命蓮寺の面々と協力体制を築いてから一週間、実槻達は昼は通常の高校生活、夕方から対外的にはバイトと称し彼女達と共に新潟市で起こる霊的事件やガイア連合からの依頼を熟していた。依頼を熟していることからも分かるように命蓮寺がガイア連合の傘下に入ることには成功していて、今は派出所を寺に設置できるように依頼を熟したりなどして功績を積んでいる最中となる。

 

「まぁ緊急性の高い案件があればすぐに設置されることもあるらしいですけどね。レベルの高い悪魔が出没する危険な異界とか」

「そんな異界いらないんだけど?」

「この県自体が田舎とは言え、県都に高レベルの異界が出来るとなるとガイア連合の『終末』が現実味を帯びて来ますね」

寺の一角にある休憩室兼談話室。そこでは依頼を終えた景虎達が茶菓子、お茶と共に休息を取っていた。

 

「実際平均的な悪魔のレベルやGPは上がって来ているわ。本当景虎達が来てくれて助かってるわよ」

クルルが担当しているダークサマナー関係の事件もこの一週間の間に体験済みなので当然人殺しも経験している。しかし、こうして話題にも出ていない時点で分かると思うが、二人共特に問題無く人間を殺せている。上杉謙信の記憶を持つ景虎は兎も角実槻は、殺った直後は少し気持ち悪さを覚えていたが前世の長い人生経験と「この世界はメガテンだしな」という割切りで乗り切ったりしている。

 

「お役に立てているのなら何よりですよ。皆さんもお強いですし」

この寺をメシア教の根切りを上手くスルー出来たお陰か、構成員は数十人と小規模だが最低でも才能限界レベルが二桁に届き、現地民の霊能組織の中では上澄みの部類に入る。

特にトップの聖と皐月達幹部扱いの者達は才能限界レベル20代後半以上という高さを誇る。

しかし、この寺の創設理由が理由なだけに聖以外は皆一様に何らかの霊的異常、霊的障害を持っていたりする。

 

「私達は曲がりなりにも各部署の責任者のようなものですから」

「私の場合は色々特に左手を散々弄られたからだけどね」

「それに私達も他の子達と同じで欠陥は抱えているしね」

ベルベットは格闘戦を得意としメシア教過激派の実験体にされた際、オルトロスの前足を左腕に移植されている。その為左腕は化け物の手の様になっているので、聖が清めた布を包帯のように左腕に巻いて封印すると共に隠している。移植された為か、オルトロスのスキルもある程度使えるようで左腕を解放すると物凄く好戦的になる代わりに一部ステータスの上昇とオルトロス由来のスキルの能力上昇…というより封印解除によって本来の性能に戻ることが出来る。

ただこの物凄く好戦的になるというのが問題で、連携などが一切取れなくなるレベルにまで狂化してしまう。

 

クルルは先祖が吸血鬼の先祖返りではあるが、ベルベットの様にミュータント擬きの様な実験をされた訳では無いので悪魔の力が使える純粋な人間だ。中遠距離戦を得意として【エナジードレイン】を交えながらのジオ系の魔法と【ブラットスチール】もあり継続戦闘能力が非常に高く、【ブラットスチール】で与える状態異常のCHARMは真Ⅰ仕様とは違い、歩行や戦闘など行動するたびにダメージを受ける仕様の様で毒などの様にポピュラーな状態異常ではないことも含めて凶悪さが増している。

 

更に元々【エナジードレイン】は【吸血】のスキルの練度を高めてスキル変化させたものなので、【吸血】の射程範囲が割と狭かったのも相まって近接戦も可能、最悪近寄られても【魅了噛みつき】などで対処も出来ると汎用性は幹部で一番と言える。だが彼女自身血を見ると激しく興奮するらしく敵か味方の血を一定量取らない限り元に戻れない。身体は人間なので長時間の興奮状態は下手な拷問よりキツイ。

 

皐月は二人とまた違いデビルシフターだが、まだ実槻達の前では悪魔の姿を見せていない。自前の剣術とスキルで解決できるレベルの事件しか起こっていないというのもあるが、何処か悪魔の力を引き出すのを恐れている様にも見える。

 

「私達幹部・・・明確には決まって無いけど幹部としましょうか。その幹部ですらこんなバラエティに富んでいるんだから聖の一族じゃなきゃまとめられないでしょうね。その分負担も大きいのだけど」

「そうね、霊的異常や障害の無い真っ当な霊能者って、貴方達が来るまでは聖しかいなかったから。だから安定的に戦えるメンツが増えたのは彼女の負担軽減にもなっているのよ」

「訳ありですからねここ、まとめ役としての気苦労も多そうです。皆が彼女を慕っているのが救いですかね。まぁベルベットの言う通り彼女じゃないと纏まらない集団ですけどね!」

「実槻さんもそれが分かっておられたのか、聖様が寺のまとめ役の地位を譲ろうとなさったときに全力で拒否していましたね」

「聖は其処ら辺の認識は甘いのよね」

溜息を吐くベルベット。天然なところのある聖を周りが如何にか支えてこの寺は保たれているが…個人に依存している部分が大きく組織としては危ういと言えるだろう。

 

「聖さんに依存している部分が大きいから外との交渉担当にして、前線には出さないんですね?」

「勿論いざというときは聖も戦うけど…組織として歪なのは否定しないわ」

「聖さんの一族に依存した組織…私も似たようなものですけどね」

「実槻さんと景虎さんは親友同士ですから関係性は違うのでは?」

苦笑している景虎物言いに皐月は首を傾げる。親友という間柄と依存という言葉が彼女の中で結び付かないからだ。実際普通はその通りなのだろうが実槻と景虎の関係性は少し特殊である。

 

「いえいえ、私が受け入れてくれる彼に一方的に依存しているだけですよ。親友というのも彼の方から言ってきたから建前的にそう言ってるだけですから」

「その割には親友枠に拘っているように見えたのだけど?」

「それは私以外の誰かが、私を差し置いて彼の隣に立つとか許せないだけですが?」

「「「ア、ハイ」」」

 

あまりにもストレートな物言いに思わず黙る三人。分かってはいたが愛が重いなこいつと思いつつ新たな疑問も沸く。

 

「それってもう実槻のことが好きと言っているようなものじゃない?」

「え、そうですけど?」

 

「「「え」」」

 

「寧ろ今まで気づかなかったんですか?実槻本人も気づいてると思いますよ?」

「「「そうなの?」」」

 

「そうだが?」

 

「「「そうなの!?というかさらっと部屋に入ってきた!!」」」

 

景虎がすんなり実槻への好意を認めると、それを把握しているとされた実槻も偶々傍を通っていたのか、襖を引いて部屋に入る。

 

「あ、やっぱり気づいていたんですね」

「うん、ただ告白とかしてこないから何か訳があるのかと思って。本来ならお前だったらもう告白してるはずだし」

 

「流石私のことをよくご存じで。因みに実際に告白したら受けてくれます?」

「「「あっさり告白した!?」」」

 

「いいよ。お前を拒否する理由もないし」

 

「「「いいんですか!?」」

 

二人のあまりにもカラッとした告白のやり取りに人として、女性としても三人は唖然とする。

 

「そうですか…でも今は止めて置きます」

 

「ほう、それは何でだ?」

 

景虎が告白を引っ込めてしまうが、その理由は優れた観察眼を持つ実槻でも分からない。それもそのはず

 

「実槻まだ前の恋人のこと引きずってますよね?」

「…何でそう思う?」

 

思わず真顔になる実槻に景虎は何でもないように笑みを浮かべて応える。

 

「女の勘です!」

「女の勘かー!!アイツ(・・・)も良く言ってたなー!」

 

そう。予兆など何もない、理不尽な直感や勘などはどれだけ観察眼に優れていようとも見抜けるはずがないのだ。




読了ありがとうございます!え、シキガミが出ていない?えっとそれは考えていた複数のシキガミ案のうち決定したもの的に登場させる前に出さなきゃならない設定が増えたからですね…次回の後半辺りには出せたらいいな!!
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