王権の光 作:ウェストフォード
美空と出会ったあの後、私は美空に教えられて、初めてバスケをやった。
今まで、スポーツと言えば乗馬やフェンシングしかやってこなかった為、走ったり、ドリブルしたり、球の軌道を考えたりなど、体の全てを駆使するスポーツはとても新鮮で、そして楽しかった。
まぁだけどその代わりに…
「ル〜ナッ!」
「…ごめんなさい、ママ」
服を派手に汚してしまい、ママに怒られる事となった。
だけど理由を話したら、今度からは動きやすい、汚しても良い服で遊びなさいという事で、動きやすい服と、子供用のバッシュをすぐに手配してもらった。
次の日
ホテルの前に黒塗りの車列が到着し、今日パパが日本にやって来た目的である、大事な会議をする相手がやって来た。
「久しぶりだな、高見沢」
「お久しぶりです天月先輩、新聞で見ましたよ、八面六臂の大活躍だそうですね」
この日、パパが出迎えた人物は、パパの中学時代の後輩の、神戸に本拠地を置く、日本四大財閥の一角である、高見沢財閥の現当主さんの、高見沢宗一さんであった。
そして高見沢さんの横にはもう一人
「所で、その子が?」
「あぁ、3歳になる娘の有栖だ。有栖、挨拶しなさい」
「高見沢有栖です、よろしくお願いいたします」
「天月ルーナ、よろしくねアリスちゃん」
初めて会った時、アリスちゃんは礼儀正しい立ち振る舞いで私とパパ、そしてママに挨拶をし、対して私も手を振りながら笑顔で挨拶をした。
すると、先ほどまで真面目な顔をしていたアリスちゃんも、笑って私に手を振ってくれた。
(アリスちゃん…仲良くなれそうだな)
子供ながら直感的にそう思った私は、早く彼女と仲良くなって美空を紹介したい、そんな衝動に心を駆られていた。
すると、そんな私にアリスちゃんのパパは、私に目を合わせてこう言った。
「ルーナちゃん、親の私がこんな事を言うのもなんだけど、ぜひ有栖と仲良くしてくれ」
会議室
「四宮グループが弱体化している今がチャンスだ高見沢。SMART・Xとウェストフォード財閥、そして高見沢グループ、俺たちが力を合わせれば、この国の経済界を、この国を変えられる」
「そう上手くいくのか、相手はあの四宮だぞ?」
「うまくいかない事を、わざわざお前に話すわけないだろ。計画がある、そして勝算もある、私たちの二人で、この日本を根底からひっくり返して見ようじゃ無いか!」
その日、パパとアリスちゃんのパパの二人は、会議室にこもって何やら熱い熱い会議を行なっていた。
「どんな話をしているんだろうね?」
「…ここにくる前、なんか、日本をどうこうするとか、電話で父上が言っていたけど…私にもよく分かんない」
どんな話をしているのか気になっていた私は、アリスちゃんと一緒に、パパ達が会議をしている部屋の側まで来たが、部屋の周りはアリスちゃんのパパが連れて来たSPと、私の家から連れて来たSAS[イギリス特殊空挺部隊]出身のウェストフォード家資本の民間軍事会社から選抜した護衛の人達によって取り囲まれ、まさに厳戒態勢であった。
「お嬢様、有栖様、今旦那様方はお仕事の最中ですので、邪魔をしてはいけませんよ」
すると、ウェストフォード家の第1執事のトーマスが、後ろから私とアリスちゃんに対してそう言った。
「そうか…じゃあアリスちゃん、一緒に外に遊びに行こう」
「外に?」
「うん、アリスちゃんに紹介したい子がいるの。それなら良いでしょトーマス」
「えぇ、勿論でございます」
「よし、じゃあ行こう」
そう言うと私はアリスちゃんの手を取ると、まずは自室へと直行し、二人揃って動きやすい、汚して良い服に着替えるとおもむろに、私の私物のヴァイオリンケースを手にし、外へと走って行った。
中庭
「お待たせ、美空〜!」
「そんなに待ってないよ、ルーナ」
中庭にゆくと、バスケットボールを持った美空が、予定通り待っており、後から来た私に太陽のような明るい笑顔で笑いながらそう言ってくれた。
「えっと…誰?」
すると私のそばにいたアリスちゃんは、案の定美空を見て少しポカーンとした様子でそう聞いてきた。
「昨日仲良くなった美空、美空この子はアリスちゃん、さっき仲良くなったんだ」
「へー、じゃあルーナの友達なら友達だね、あたし朝日奈美空、よろしくね有栖」
私はすぐに、アリスちゃんそして美空に、お互いの事を紹介すると美空はそう言い、アリスちゃんと握手をする為、手を伸ばした。
「…うん、よろしく」
それに対してアリスちゃんもそう言い、二人は握手をして友達になった。
本当に何の捻りも何にもない、単純な事だけど、この日私たち三人は友達になった。
そしてあの後、中庭で三人でやったバスケは今でも鮮明に覚えている、雲一つない快晴の青空の下、三人でボールをパスしドリブルし…本当に、あの時ほど心がドキドキして、私の心の中にある退屈がなくなった事は無いのではないだろうか。
そして一通り私たち三人が遊び、少し疲れベンチで休んでいた時。
「そう言えば、何でルーナはヴァイオリンを持って来たの?」
これからバスケをすると、事前に知っていたにもかかわらずよりにもよって、楽器であるヴァイオリンを持って来た事に、今更ながら美空が聞いて来た。
だけどまぁ、答えは単純だ
「今日Y○uTubeに流れていた朝の占いで、ヴァイオリンを持ってゆけば人生を変える奇跡があるって言ってたから」
「朝の占いて…お金持ちでも、そう言うの見るの?」
「そうでもないよ、私が見たのだってたまたまだし」
「へー」
特になんて事ない質問へのなんて事ない答えであった。
だが、それを横で聞いていたアリスちゃんが、こんな事を言った。
「所で…ルーナさんはヴァイオリンは弾けるんですか?」
「うーん、まぁ弾けるよ、おじいちゃん達が弾いていた所をよく見ていたから。このヴァイオリンも、私がやるなら、家にあるヴァイオリンの中で、気に入った物をあげるよって言われて選んだんだ。だけど、このヴァイオリンを選んだ時は、おじいちゃんは、なんか少し頭を抱えていたみたいだけど」
そうアリスちゃんに言うと、私はケースの中に入っていたヴァイオリンを二人に見せた。
「うぁ…すごく綺麗…」
中に入っていたヴァイオリンを見た時、建築家の娘の美空はそのエレガントな螺鈿細工が施された、ヴァイオリンの美しさに、思わずそう言っていた。
「確かに綺麗なヴァイオリン…何と言うヴァイオリンなの?」
「確か…ストラディバリウス・ロードて、おじいちゃんが泣きそうな様子で言っていたよ」
「「へー」」
私の話を聞いた美空とアリスちゃんは口を揃えてそう言った。
因みに、もう少し大きくなってから知った事であるが、このストラディバリウス・ロードは、世界に10本しか存在せず推定20億するらしく、後々その話をしたら、アリスちゃんは少し驚き、美空に至っては顔を青くし失神しそうになった。
だが、私達三人は今はそんな事は知らず、ただこのヴァイオリンが綺麗だと、その程度の事を考えていた。
すると
「ねぇ、なんか一曲弾いてみてよ」
「私も、ルーナさんのヴァイオリンを聴いてみたい」
美空とアリスちゃんの二人が、私にそう言った。
「…まだ弾けるの少ないけど良いよ」
それに対して私は、そのリクエストに応じる事にした。
「じゃあ、ベートーヴェンの春を弾くよ」
そう言うと私はヴァイオリンを手にし、そして静かに目を瞑ると、ロンドンのウェストフォード邸のサンルームにて、おばあちゃんがピアノ、おじいちゃんがヴァイオリンを手にし、二人で演奏していた曲である"春"その音と、そして二人の演奏の光景を頭の中で思い出しながら、
♪〜
「…」
「うぁ…」
私は初めて、家族以外の人間にそのヴァイオリンの音色を聞かせた。
「どうだった?」
全てを弾き終えた後、私は二人にそう聞いた。
すると
「すごい…すごいよ!!めちゃくちゃすごかった、なんか本当に音だけで春を感じたと言うか!あぁ、もうなんて言えば…」
「すごかったです、私と年も変わらないのに、プロ顔負けじゃないですか」
「ありがとう二人とも」
美空とアリスちゃんの二人は、どこか興奮した様子でそう私を褒めてくれた。
私も、この二人に自分の演奏を褒めてもらえた事がやはり嬉しく、思わず笑みがこぼれた。
「それにしても本当に凄かったよ。音楽も良かったけど立ち振る舞いも、まるで映画スターみたいだったよ」
「そう?そう言う言われると…照れるな〜」
さらに追い打ちをかけるように美空のその言葉に、私はニヤけた顔をしそう言った。
正直、他の人に、それこそヴァイオリンの先生に同じ事を言われても、私は何とも思わないだろう。
だけど、美空にそう言われるとこう何と言うか…どうしても喜びが溢れてしまうのだ。
だがそんな時、隣にいたアリスちゃんが何かおを思い出した様子でこう言った。
「映画…そういえば知っていましたか、今この近くで映画を撮影しているらしいですよ」
「えっ、本当?」
「はい、そんなに有名な監督ではないと聞いたけど…」
「へー」
アリスちゃんのその言葉、を聞き美空は当たり障りもない感想を抱いていた。
だけど一方の私は、元来好奇心が強くどんな映画をとっているのか、気になってしまった。
そしてその結果
「よし決めた!せっかくだから見にゆこう!三人で!」
「「えっ!?」」
この決断が後に、美空、アリスちゃんに続く、私の人生を変えた三人目のあの人と…
天才の私がライバルとして認めたあの人と出会うきっかけとなった…
天才で金持ちの家出身の恵まれた環境と才能を持ったアイドルって、皆様は推せますか? (今後の作品制作の参考にしたいので理由があればぜひコメント欄で教えてください)
-
推せる
-
うーん