王権の光 作:ウェストフォード
2ヶ月後
私の姿は、また日本にあった。
今日はパパの仕事の用事じゃなくて、家族サービスのようなもので、再び日本に訪れる事になった。
と言うのも、理由はよくわからないけど、撮影現場で出会ったアイドル、アイさんの所属する、いちごプロという事務所から、ライブチケットを貰ったからだ。
何はともあれ、あの撮影現場で、アイに出会ってから、今まで感じた事がない、心が高揚する感覚を感じていた私は、パパにお願いして見に行きたいと言った。
「分かった、ちょうどこの日なら休みを取れそうだからな。もう一度日本に行ってみるのも、悪くはないな」
そう言う事で、私とパパとママ、そしてリリーの四人は、プライベートジェットを使い、再び来日した。
そして、何より今回のライブ、ただアイの姿を見ると言う事以外に、もう一つ楽しみがあった。
「ルーナ!」
「美空!」
私が振り返ると、私の親友、美空が、美空ちゃんのママから離れ、まるで朝日のようにまぶしい笑顔で駆け寄って来た。
美空の姿を見た私は、パッと明るくなり、思わず駆け寄った。
「久しぶり!会いたかったよー!」
「元気にしてた、ルーナ?」
私と美空はそう言うと、思いっきり抱き合った。
私の初めての友達…
2ヶ月前の別れの時には、美空に抱きつき、一緒にイギリスで暮らそうと泣いた私にとって、美空と一緒にライブを見に行ける、その事は、当時の私にとって、何より嬉しい事だった。
だから私と美空は、再開して早々そう言うと、と互いにハグし、再会を喜び、その時の美空の体の暖かさと、ハグされた時の幸福感は今でも、はっきりと覚えている。
「ルーナ、会いたかったよ!」
「私もだよ!美空、全然変わってないね!」
私たちは、再開を喜び笑顔でそう言った。
すると
「お嬢様、美空様、そろそろ…」
そんな私に、リリーがそう告げた。
「そうだね、行こう美空!」
「うん、私達の仲間を待たせるわけにはいかないよね」
と言うのも、そろそろ会場にゆく時間であるし、何より会場では今頃、アリスちゃんも待っている頃であった為、私と美空、そして美空パパとママ、私のパパとママは、有栖ちゃんが待っている待ち合わせ場所に向かった。
会場近く
「ルーナ、美空、お待たせしました」
会場近くには、すでにアリスと、アリスちゃんの手を引く、見慣れないお兄さんが待っていた。
「アリスちゃん! 久しぶり!」
「有栖、待った?」
「私も、今来ました」
久しぶりの再会に私たちは喜んだけど、その一方で、アリスちゃんのそばにいたお兄さんが気になった。するとそんな私の心を察してくれたのか、アリスちゃんが。
「ルーナと美空は初めてだったよね、私のお兄様」
「初めまして、有栖の兄の高見沢士です」
私達に、お兄さんの士さんを紹介してくれた。そしてアリスちゃんのお兄さんも、まるで英国紳士を思わせる振る舞いで、わたしたちに挨拶してくれた。
「初めまして士さん、私天月ルーナ」
「有栖から聞いてるよ、自分の妹と仲良くしてくれて、心から感謝するよ」
当時の私は、子供なりにも、ここまで丁重な挨拶をしてくれたのなら、それ相応の対応で挨拶をしなくちゃと考え、そうアリスちゃんのお兄さんに挨拶すると、小さな手でアリスちゃんのお兄さんと握手をした。
「天月零だ、宗一から話は聞いているが、まさかこんなにも立派な息子だったとはな、あえて光栄だ」
「こちらこそ、ノイマンの再来と呼ばれている、天月社長にお会いできて光栄です」
すると、すかさず私の横にいたパパも、アリスちゃんのお兄さんにそう言い、握手をした。
「じゃあ、行こう! B小町とアイさんが、私たちを待ってるよ!」
そんな中、会場への入場が始まり、私はドキドキした気持ちを胸に、先頭に立ち三人を連れ、ライブ会場の入口へ向かった。
会場内
会場の中は、アイのファンのみんなの熱気と期待で満ちていた。
「みんな、楽しそうだね」
チケットに記載されていた席に案内された私達は、前から数列目の席に並んで、ソワソワとしながらパンフレットをみた。
「ステージでのアイさん、どんなかな…」
「うん、楽しみだね美空!」
「B小町、最近人気急上昇らしいですよ。どんなパフォーマンスか、楽しみです」
そして美空と私はジュースを飲みながら笑い、アリスちゃんは静かに頷き、そう言った。
私たち三人はあの撮影現場で見た時の、すっごくキラキラしてたあのアイの姿を思い出し、私たちは、アイドルとしてのアイはどんなキラメキを放つのかなと、目を輝かせながら、始まる時を楽しみにしていた。
すると会場が暗転し
『それでは、B小町の皆さんの登場です!』
司会者の人がそう言うと同時に、観客の歓声が一気に高まり、スポットライトがステージを照らし、B小町のメンバーが登場。
センターに立つアイの姿に、私の心はドキンと跳ねるような、感覚がした。
「ア・ナ・タのアイドル〜♪サインは、B!」
センターで歌うアイの笑顔は、まさしく一等星そのもので、彼女が歌うと同時に、会場にいるすべての人たちの心を一瞬で引き込んだように、私は感じた。
会場にはアイの声が響き、"サインはB"の軽快なメロディに乗って、アイの完璧なダンスと歌声に、他のお客さん達はサイリウムを振り、私も美空も有栖も、自然と体を揺らしていた。
「アイさん、可愛いい!」
私の横で、アリスちゃんが目をキラキラさせながらそう言言っていた。
「なかなかに魅力的だな…」
「私より、レイ?」
「まさか、ライラとルーナの次くらいだな」
パパとママ、そしてその横でじっと見ているアリスちゃんのお兄さんも、アイの人々の心を惹きつける聖母の様なカリスマに感心している様子で
「これがアイドル…ロックとはまた違う魅力をま感じます…」
リリーは音楽的な側面からそう感想を言っていた。
「ルーナ、楽しいね!」
「…うん、楽しい!」
そして私も例に漏れず心の底から楽しみ、美空にそう言われた私は笑顔でそう答えた。
だけど、私のアイを見つめる瞳には、他の人たちのような単なる憧れや崇拝とは違う、別の感情が宿り始めていた。
アイの輝きは、確かにまぶしかった。
観客の歓声…
ステージの光…
そのすべてを掌握し、魅了するアイの存在感は、私ががこれまで見たどんな大人よりも圧倒的だった。
だけど私は気づいてしまった…
(アイさん…ステージでたった一人…)
アイの笑顔の奥に、ほんの一瞬だけ、誰も気づかないような影を感じた。
それはまるで、私があのホテルで美空と出会う前に感じていた"完璧だけど空っぽ"の寂しさ、誰も横に居ない、ひとりぼっちの孤独感に似ていた。
「アイさん…笑ってるけどなんか…寂しそう…」
多分私は同じ誰も横に居ない悲しさを知っていたからかな、私はアイの笑顔にある寂しさを感じ取り、無意識につぶやいた。
そして、アイの輝きは、私が初めて感じた憧れと同時に、「超えたい」姿だった。でも、同時に、アイの孤独な影は、ルーナに別の決意を芽生えさせた。彼女は小さな拳を握り、胸の中で強く思った。
「ねぇアイさん…もし私が隣に…うんうん、仲間として隣には立てない…けどもし、ライバルとして、貴方の目の前に立てたら…アイさんは寂しく無くなる?」
心の底で感じ、理解したアイの孤独を見て、心の底から湧き上がり、私は思わず、ステージに手を伸ばしつぶやいた。
「アイさん…寂しいんだね…なら…」
ただの憧れでも、応援でもない、まだ4歳の私が初めて抱いた、誰かを超えたいという燃えるような想い
そしてその想いを胸に
「美空、アリスちゃん」
「どうしたのルーナ?」
「何か?」
私は、美空とアリスちゃんに話しかけると、ニコッと笑いながら、とある事を二人に話した。
天才で金持ちの家出身の恵まれた環境と才能を持ったアイドルって、皆様は推せますか? (今後の作品制作の参考にしたいので理由があればぜひコメント欄で教えてください)
-
推せる
-
うーん