オーシャン・プレデター   作:大麒麟

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最終話

「クェエエエエエエエッ!」

 

 するとサンダーバードの青白い身体が、それと同じ色で発光した。

 目も眩むような強光に加え、バチバチと無数の電光が全身を覆う。そして両翼から全身の光りが分裂したかのように、四つの光球が生み出され、翼から離れる。

 太陽のように強く光る光球は、全身と同様、無数の電光を纏う。それに対してサンダーバードから発せられる光は、大分弱くなったようだ。

 

 サンダーバードは両翼を羽ばたかせる。すると四つ雷の光球が、怪人のいる海を目がけて飛んでいった。

 怪人は船まで後十数メートルという位置まで接近していた。

 だが光球に気づいて、急停止する。だが避けようが避けられまいが関係なかった。怪人の周囲の海面に雷の光球が着弾すると、電気が海水を流動し、一帯の海面全てを電撃の嵐で覆った。

 

「(なんて量のエネルギーだ!?)」

 

 エイドの雷魔法を、遙かに超える威力の雷撃。無数の電光が一体の海面から立ち上る。だがそれもすぐ収まった。

 水蒸気が立ち上って、視界が少し悪くなる。やがて感電死した魚の死体が大量に浮き上がってきた。船の底の方から、何やら煙が浮いている。今ので船の一部が焦げたのかもしれない。

 

「ようし、やったか?」

 

 鯨を仕留める程の威力を持つ、サンダーバードの電撃を食らって無事で済むはずがない。これだけで倒せたかは判らないが、かなりの痛手を与えられただろうと、ルイは確信の笑みを浮かべる。

 それにエイドが気まずそうに声をかける。

 

「ルイ様。一つ伝えたいことがあります」

「何だ?」

「奴らには電撃は効きません」

 

 その言葉の直後に、蒸気で覆われた海面から赤い光線と青白い光弾が、前触れなく発射された。狙いは二人ではなく、サンダーバードだった。

 巨体のサンダーバードには、光弾を避ける素早さはなかった。光弾は広げていた右翼を撃ち抜く。

 

「とりぃいいいいいっ!」

 

 無数の羽根が花びらのように舞い散り、倒れていくサンダーバードにルイが叫ぶ。とりあえず名前は考えておこうよ、と突っ込むまもなく、海面からまた何かが飛び出してきた。

 それは光弾ではなく、怪人の使う捕獲用のワイヤーだった。それは透明化しておらず、また狙ったのは船の上にいる誰かではなく、海賊船のマストの柱に巻き付いた。それは重点を巻き付けた柱に固定させ、ワイヤーが巻き戻される。

 

「上がってくる気だ!」

 

 この形の場合、引っ張られるのは当然怪人の方。ザバッ!と豪快な水しぶきを上げて、怪人の身体が海面から飛び出して、マストに向かって突っ込む。

 

 怪人は身体を回転させて、ジャングルの猿のようにマストの側面に着地する。

 マストに巻き付けられたワイヤーは、瞬時に解かれて怪人の右手の銃型の道具の中に収まった。

そしてマストに側面立ちする支えを無くした怪人は、そのままマストから飛び降りて、甲板に降り立った。

 

「来やがったか。こんちくしょうめ」

 

 その怪人の姿は、これまでの二体とは少し外見が違っていた。身体に装着されている鎧は、輝く銀色ではなく地味目の黒色だった。

 同じく黒い仮面は、目の部分がかなり大きい。下部の顎の部分には、横に立ち並んだ切歯のような物がついていた。これまでの二体が被っていたものよりも、遥かに髑髏に近いデザインである。

 

「お前は一体何者だ!? 何故俺たちを狙う!?」

 

 エイドの怒りを込めた問いに、怪人は何も応えない。そもそも言葉が通じるのかも不明だが・・・・・・。右肩の銃口がドリルのように回転し、光弾が発射される。

 

 この光弾の発射パターンを大分覚えてきた二人は、二手に分かれてこれを回避する。怪人は、以前クラーケンと戦った仲間の得物と、同系統の槍を取り出した。

 ルイは叫ぶ。

 

「話しても無駄だ! こいつに目的は無い! ただ狩ることだけが目的だ!」

 

 小刻みに足を動かして怪人から離れながら、ルイは右掌を怪人に向ける。掌から見る見ると水の球が形成される。

 

「だからこっちもお前を狩らせてもらう!」

 

 水の砲弾が掌から放たれる。怪人は槍を振って水の砲弾を叩き弾く。

 その隙をついてエイドが背後から怪人に襲いかかった。怪人は後ろを振り返らぬまま、エイドの剣撃をかわす。そしてコマのように足首を回し、振り返りざまにエイドに槍による叩撃を放つ。

 

「くっ!」

 

 怪人の攻撃を魔法剣で受け止める。

 耳に響く金属音が鳴った。だがエイドの腕力では怪人の攻撃を受け止めきれなかった。怪人が槍を振り上げると、魔法剣はなんなくエイドの手から弾き飛ばされる。

 

「エイド!」

 

 ルイが二度目の水の砲弾を放つ。それが怪人に命中するのと、怪人の槍がエイドの腹に突き刺されるのは、ほぼ同時だった。

 ルイの攻撃を受けた怪人は、パンクした水を被りながら甲板を転がっていった。エイドは腹を押さえ、決して少なくない血を流しなら蹲る。

 ルイの助けで致命傷はさけられたものの、槍は確実にエイドの腹の肉を貫いていた。

 

「うわっ!」

 

 怪人は膝をついた状態で上半身を起き上がらせ、ルイに光弾を次々と発射した。それをネズミのように船の上を素早く駆け巡りながら逃げ回る。

 怪人は攻撃を繰り返しながら完全に立ち上がった。

 怪人の銃には弾切れというものは無いのか、撃ち放たれる光弾が止まることはない。船上の各所が壊されていき、逃げるルイは反撃の隙を見つけられないまま、疲労が溜まっていく。

 

 一応海に逃げるという選択肢もあった。だが弱っているエイドがいる手前、その手段はどうしても躊躇われた。

 

(うん?)

 

 突然怪人の背後から、巨大な影が覆い被さった。怪人はルイへの攻撃に集中していたせいなのか、それとも影自体が見えていないのか、それにすぐには気づかなかった。

 

(あいつ!?)

 

 影の正体はサンダーバードだった。光弾の破壊音が鳴り響く最中に、ゆっくりと起き上がり、鋭い嘴を頭突きと同じ動きで、怪人に振り下ろす。

 

 ガキン!!  ボン!!

 

「!!??」

 

 嘴は怪人の右肩・銃本体に命中した。サンダーバードの巨体の体重を乗せた重い嘴の一撃は、怪人の銃を大破・爆発させた。その衝撃で、怪人は押し倒されるように俯せに倒れ込む。

 サンダーバードは更にもう一撃、嘴を振った。怪人は全身を横に転がしてかわす。元軍船であった海賊船の、頑丈で素材で造られた甲板は、ベニヤのように簡単に破壊される。

 

 手で甲板を叩き付けた反動と共に、怪人は起き上がる。そして槍を構えて、甲板にめり込んだ嘴を引き抜こうとする、サンダーバードに突撃した。

 

「させるかぁあああああああっ!」

 

 ルイは全身に水の竜巻を纏い、それで空を飛んでサンダーバーに迫る怪人に突進した。怪人の横腹にルイの頭突きが命中する。そのまま水の推進力で押し続けて、怪人と共に二十メートルに渡って甲板の上を直進する。

 推進力が切れると共に、双方かなり近い位置で甲板に墜落した。だが両者ともすぐに立ち上がって、一気に距離を取る。

 

 ルイは魔法剣を構え、怪人も槍を構えて睨み合う。その後、しばらく膠着状態が続いたが、先に怪人が動いた。だがそれは攻撃の一手ではなかった。

 

(なに?)

 

 怪人の行動にルイは動揺する。怪人は自らの黒い仮面に手をかけて、それを力任せに取り外した。

 一瞬で露わになった怪人の素顔に、ルイも、近くで様子を見ていたエイドも息を呑んだ。

 

 

 顔の皮膚は全体的に赤黒かった。額は大きくて体毛はなく、皮膚の表面には小さな凹凸がいくつもある。

 顔の下・顎の部分は前方に長く突き出ており、口元にはとても大きな爪状の器官が生えている。虫の足に似ているようにも見えるそれは、正面から見て四角形の形を取って伸びている。それらは虫や蟹の足のように、生物的にそれぞれ独立して動いていた。

 その爪状器官の、あまりの大きさから見落としやすいが、怪人の口は二重に存在していた。爪の生えた口の奥に、人間に近いもう一つの口があり、立ち並ぶ切歯が見える。

 目も比較的人間に近いものだったが、その鋭い眼球から肉食獣の殺伐とした力が感じ取れた。

 

「グワァアアアアアアアアアッ!」

 

 怪人は咆哮を上げ、ルイに向かって槍を構え直す。それにルイに睨む目つきが、一際鋭くなった。

 

「(最後に堂々とぶつかって戦いましょう、てか? 上等だ!)」

 

 先に怪人が足を踏み込んだ。槍を振ってルイに襲いかかる。

 ルイは小柄な体躯を軽やかに動かして、その攻撃を紙一重で避けた。そして魔法剣で怪人に足払いを掛けようとするが、怪人はそれを右足の装甲部分で受け止めて防護した。そのまま怪人は、ルイを左足で蹴りつけた。

 ルイはそれを事前に後ろに下がって衝撃を和らげる。空中を後ろ向きに飛び上がって、サーカスの芸のように空中をバク転しながら着地した。

 

「ふんぬっ!」

 

 ルイは魔法剣を強く握りしめ、剣身に力を溜め込んだ。剣身に水の魔力が充填されていく。

 そして突進してくる怪人に目がけて、柄杓で水まきをするような動作で剣を振った。剣の刃で鋭さを増した水の塊が、水の刃となって怪人に襲いかかる。

 

 怪人はそれを槍で受け止めた。剛力を誇る怪人も、必殺の水魔法の威力には、完全に耐えきれなかった。受け止めた直後に、怪人が数歩後退し、槍が大量の水と共に手から弾かれる。

 だが怪人はそれに怯んだわけでなかった。槍を失うと、すぐに代わりの武器のかぎ爪を出して、迷わず再突撃した。

 

(くうっ!)

 

 魔法の反動で隙をつくっていたルイは、それを避けることはできず、ギリギリのタイミングでかぎ爪を魔法剣で受け止める。

 だが体重の差で、力を受け止めきれず、今度はルイが数歩後退した。

 

 かぎ爪の攻撃が、幾重にも繰り出される。ルイは無我夢中で剣を振るって、それを受け止めるが、どんどん後ろに追いやられていく。やがて甲板と海と境目の壁際に追いやられた。

 

「(やばいぜ! これ!)」

 

 ルイはいよいよ海に逃げ込むことを考える。怪人が止めと言わんばかりにかぎ爪を振り上げた。ルイはそれを後方飛びでよけて、海に飛び込もうと身構える。

 

 すると怪人の背後から、またもや何かが迫ってきた。今度はサンダーバードではない。それよりもずっと小さい。

 

「うぁああああああああっ!」

 

 それは巨大カルガモに跨ったエイドだった。先程怪人が落とした槍を持って、騎馬兵のように怪人に突っ込む。

 それに気づいて怪人は振り向く。怪人の姿が正面から捉えられた瞬間、エイドは渾身の力を込めて、槍を投げつけた。

 

 怪人は飛んでくる槍を、かぎ爪で叩き落とそうとするが、慌てていたためか、要領悪く空振り。槍の片方の先端が、怪人の腹に突き刺さった。

 

「ガァアアアッ!」

 

 エイドの突撃は止まない。怪人が悲鳴を上げる暇もなく、胸の装甲部分にカルガモの頭突きが炸裂した。

 怪人はそのまま押しつけられ、背後の壁に追突する。ついさっきまでその位置にいたルイは、エイドの姿を見た瞬間にそこから離脱していた。

 

 エイドはカルガモから飛び降りた。そして怪人の腹に刺さった槍を掴み、それを思いっきり前に押す。

 

「グォアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 槍が怪人の腹に更に深く食い込んでいく。先端が身体を貫通し、怪人の背中から飛び出し、背後の壁に突き刺さる。血液が滝のように流れ落ち、甲板を緑色に輝かせる。

 エイドは手早く槍から手を放し、今なお頭突き押しをしているカルガモの手綱を引っ張って、怪人から強制離脱させる。

 一瞬前までカルガモの頭部が存在していた空間に、怪人のかぎ爪が空を切った。

 

 怪人はもはや磔状態で、かぎ爪を振り回しながら、エイドを睨み付ける。

 一方のエイドは、怪人の姿を少し眺めた後、人形のように倒れ込んだ。無理に動いたせいで傷口を広げたらしく、更なる出血を起こしている。

 

「(引き分けか?)」

 

 ルイが一瞬そう考えたが、怪人はまた次の行動に出た。だがそれは戦闘行為とは少し違っていた。

怪人は、エイドから視線を外し、己の左腕に装着されている籠手に目を向けた。

 そして右手の人差し指を、左腕の篭手の端に近づけた。そこにある篭手の窪んだ一部分を、怪人は指で押し付けると「ピッ!」と妙な音声が発せられた。

 同時に上腕を長方形のような形で覆っていた篭手の表面が、突然びっくり箱のようにパックリと開いた。これも何らかの機械仕掛けの道具のようだ。

 開いた篭手の内側の部分には、五枚の長方形の黒い部位が並んでおり、篭手の内側の大部分を覆っていた。それぞれの黒い四角の下には、銀色の細長い窪みのようなものが、内側の真下をなぞる様に入っている。

 怪人は、今度はその窪みに、人差し指を押し付けた。横から横へと単純なものではなく、何らかの意味のある順番があるかのように、それぞれの窪みを押していく。そのたびに「ピッ!ピッ!」とまたしてもあの音響が聞こえてくる。

 

「・・・・・・何をしている?」

 

 そんな意図の判らない行動をルイは不思議に思う。だが黙って最後まで見てやる理由はない。

 怪人が奇行を行っている最中に、ルイは魔法剣に力を込めていた。そして足を踏み込んだかと思うと、猛烈な速度で突進した。

 ルイが勢いをつけて跳躍し、落下と共に、怪人に必殺の剣撃を振り下ろす。

 

 グシャッ!

 

 お世辞でも心地よいとは言えない音が鳴り、怪人の左腕が籠手もろとも斬り落とされた。緑色の飛沫を上げながら、妙な装置が取り付けられていた左腕が転がり落ちる。

 

 今の怪人の行動が何だったのかは、最後まで謎に終わった。

 

「何をする気だったか知らないが、これ以上何もさせるかよ」

 

「ガァアアアアアアアアアアアッ!」

 

 怪人が怒りの声を上げて、ルイを睨み付ける。口元の四つの爪が限界までに広げられ、奥側の口も大開きして威嚇の声を上げた。

 

 ルイは無表情でそこを刺突した。口内へと呑み込まれた剣身は、口の奥の肉を突き抜け、頭蓋を内側から突き破る。またしても嫌な音が聞こえて、怪人の後頭部から剣先が生えてきた。

 

 脳を貫通させられた怪人は、絶命した。あれだけ猛威を振るった者達の、意外とあっけない結末だった。

 

「エイド!」

 

 怪人に止めを刺し終えたルイは、すぐにエイドの元へと駆け寄る。エイドは息も絶えかけて顔色も最悪だった。

 

「・・・・やりましたね・・・ルイ様。しかし・・・・俺ももうこれまでのようです。最後に仲間の敵を討てて・・・・よか・・・」

「な~に悟ったこと言ってんだ。俺の力を甘く見るなよ」

 

 エイドの言葉を遮って、ルイはエイドの傷口に手を当てた。水の治癒魔法の光りが、蛍のように柔らかに放たれる。

 するとどうだろう。エイドの腹に開けられた穴が、見る見る塞がって消えていく。死にかけていたエイドの顔色も幾分か良くなっている。これにはエイド自身も驚いた。

 

「流しすぎた血はどうにもならない。この船に輸血用の血がないか見てくる。海賊船もこれだけの物になれば、医者の一人ぐらい居ただろうよ」

「・・・・・・さすがです。あなたのことを、まだ見くびっていたようだ。・・・・・・あの怪人もそうですが、あなたが何者なのかも気になってきますよ」

「ただの精霊だよ。まあ、それもある程度上にいくと、化け物ということになるのかもしれないがな。あいつみたいにな・・・・・・」

 

 ルイは磔のままの怪人の死体に一瞬目を向けると、そのまま海賊船の内部へと向かって歩き出した。

その際、ずっと様子を窺っていたサンダーバードにも一言声をかける。

 

「悪いな鳥。お前の治療はもう少し後だ。我慢できるよな?」

 

 サンダーバードは頷くような動作をした後、可愛らしく一声鳴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、エルダー王国の上空に、海の方角から巨大な鳥・サンダーバードが飛来した。ある海賊がサンダーバードを飼っていたという情報から、付近の軍は警戒した。だがそのサンダーバードには、海賊ではなく王国の士官兵が一人乗っていた。

 

 ただ1人生き残り帰還したその兵士は、軍に戻って全てを報告したと言うが、その内容が公表されることは無かった。

 ただその後まもなく、住人がいないはずのある海域を目指して、多種多様の酒を積んだ船が出航したという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~~~~ん。ちと飲み過ぎたか」

 

 かつて怪人と死闘を繰り広げた島の丘の上で、ルイはもう何杯目かも判らない酒を飲み干した。側には山のように大量の酒樽が積みに積んで置かれている。一体何人分の酒が、何年分置かれているのだろうか?

 ルイは顔を真っ赤にして、夜空を見上げている。精霊であるルイは、普通の人間よりは酔いに強いのだが、さすがにこの量には限界が訪れる。

 ありふれた量の酒に、ルイは幸せな気分にどっぷり浸かり、月に向かって意味不明の歌声を上げていた。

 

「しかし一人での酌にも、いい加減飽きてきたなあ。いっそこの際、人間のいる海に引っ越してみるかな? この酒をどうやって運ぶのかが、まず問題だがな・・・・・・。うん!?」

 

 ルイは静かな夜空に何かを見た。

 それは流星だった。その流星はそのまま願い事を叶えられないうちに消えてしまうことは無く、その三つの流星は、視界からどんどん大きくなっていく。

 そしてまっすぐ島に向かって突っ込んでくる。

 

「はい?」

 

 酔いで判断力が低下しているルイは、その一瞬の光景にしばらく放心していた。流星はルイのいる側とは反対方向にある、島の山岳地に墜落したようだ。

 

 ルイはこの光景に既視感を感じた。それが何なのかは判らなかったが、とても嫌な予感がどんどん沸き上がってくる。

 少しずつ酔いが醒めていき、ルイの思考がグルグルと動き回る。そしてたっぷり時間をかけて、ようやく結論を出した。

 

「引っ越そう。この海からさっさと出よう。酒は・・・・・・まあ持って行ける分でいいや」

 

 ルイはそう固く決心し、月夜に向かって握り拳を上げた。誰もいない海の、静かな夜は、もうしばらく続きそうだ。

 


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