先生は光の戦士 作:暗黒騎士はいいぞおじさん
とりあえず今回はメインストーリーが大体終わった後から。
ぶっちゃけヒカセンが世界の危機とかそんなん無しに楽しそうにして、ついでにかっこいいって言われてほしいだけ。幸せになれ幸せになれ……
《『先生』の好きな人》
「時に先生」
太陽の光が薄く差すシャーレの部室。そこで『先生』と自称病弱系天才美少女が書類仕事をしながらお喋りしていた。
「先生は日々様々な方と接されていますね」
「?そうだね、そういう仕事だからね」
「そこで私は思ったのです。先生は老若男女区別せず接する……もしかすれば、浮ついた話の一つでもあるのではないか、と!」
「ないよ」
「そう言わずに先生。話自体は無くとも好みの方とか見つけられませんでした?例えばそう、川のせせらぎのように穏やかで雪のように儚くも美しい……私とか!」
「ないよ」
書類とパソコンを交互に睨みながら『先生』は簡単にヒマリの言葉を流した。
流されたヒマリは唖然とした表情、困惑した表情、そして怒りの表情へと次々へと変えていった。
「な、ないとはなんですか!仮に私が先生の好みに入らなかったとしても、その言い方は」
「ヒマリは素敵だから私なんかじゃ釣り合わないってこと」
「……確かに私は清廉潔白で無限に広がる青い空に浮かぶ穏やかな雲のように美しいですが、その言い方では真実として受け入れられないと思いますが?」
ヒマリは淡白に話を終わらせようとした『先生』の言い方が気に入らなかった。
でも事実だしなぁ……と困り顔を浮かべる『先生』。
はぁ、とヒマリはため息を吐く。
「なら、先生の好みを教えていただければ許してあげましょう」
「わ、分かった。……あれ、私が言う必要性……」
「いいですから!早く!」
ヒマリの圧に押され、戸惑いながら『先生』は答えることにした。
「……えーっと、私より強い人?」
疑問形。
実は先生に恋愛感情というものはない。理解できないわけではなく、ないのだ。
『先生』の仲間が言うには、あらゆる別れを感じてきてしまったせいで、恋愛に対して無意識のうちに忌避感を感じているのではないか、と言われていた。
ではなぜ、好きなタイプに強い人を上げたのか。
『先生』は英雄という肩書がある。そしてそれは、一部の存在にとって喉から手が出るほど欲しがられる存在にもなる。
簡潔に言えば、簡単な断り方として仲間から教えられた言葉である。これならば、ある程度なら簡単に振りほどけると。
つまり、特に意味なく言った言葉だったが、それを聞いたヒマリは全知と呼ばれるその脳内で高度な計算をし、解を出していた。
そんな存在、キヴォトスにはいないのでは?
『先生』の戦闘能力は桁外れ。キヴォトス一といっても過言でもない身体能力。
ハンドガン、ライフル、ショットガン、対物ライフル……挙句の果てにはビナーのレーザー光線すらまともに受けて耐える防御力。
オートマトン、戦車、ヘリ、無名の守護者を易々と斬り裂ける大振りの剣を易々と振り回せる髄力。
そして何より、キヴォトスで唯一の魔法が使える存在。
その力でカイザコーポレーションの全戦闘員を一人で抑え込だり、エデン条約で、全員を『先生』を
本人曰く、限界を超えたからなんとか出来たけど、などと言っているが。
ヒマリはどう足掻いても『先生』は結婚できないのではないか、と危惧していた。
しかしそこでヒマリは一つ思いついた。
「……先生」
「ん、なに?」
「先生より強ければ、いいんですね?」
「そう、だけど」
「では!料理などで先生より強くても構いませんね!?」
『先生』はヒマリの言ったことに、すぐさま理解出来なかった。
数秒よく噛んで理解し、思った事を言った。
「屁理屈では?」
「しかし事実でもありますね?」
ああ、ヒマリは頭のいい馬鹿なんだな。
『先生』は諦めに似た名前のない感情を浮かべた。
「ふふふ、流石私、とても面白いことを思いつきましたね……これからどうしましょうか。玄武商会の会長さんを呼んでみましょうか……他には……」
「……はぁ、やり過ぎたら怒るからね」
楽しそうに思案するヒマリを見て、『先生』は苦笑いをしながら肩をすくめることしか出来なかった。
余談だが、『先生』に勝利した者は、(引き分けはともかく)未だ居ない……らしい。
《『先生』と竜騎士》
『先生』はミレニアムのエンジニア部に遊びに来ていた。
そこにはエンジニア部員であるウタハと、何故かゲーム開発部の四人がいた。
「呼ばれたから来たけど、どうしたの?」
いろいろな疑問があれど、『先生』はとりあえず、ウタハに用件を聞くことにした。
すると、答えたのはウタハではなく、ゲーム開発部の勇者だった。
「はい、先生の他の力を見てみたいです!」
「他の、力?」
どういうことだと首を傾げると、ウタハが詳しく説明し始めた。
「ゲーム開発部は今、ファンタジーを題材にしたゲームを作っているらしくてね。そこで、ファンタジー代表な先生に手伝ってもらえないか、ということだ」
「うんうん、先生の戦い方を見れば、いいシナリオが思いつくかも、って思って!」
「わ、私も、何かいいイラストが描けそうな気がして……」
そうゲーム開発部の双子が重ねるように言う。
「別にそれは構わないんだけど……なんでエンジニア部も?」
「先生の力を発揮させるなら、丁度いい敵と武器を生み出せるのは私達だからね。それに、私達エンジニア部も気になるんだ。もしかしたらいいアイデアが浮かぶかも、とね」
なるほど、と『先生』は理解した。
『先生』はその力を引き出す、ソウルクリスタルだけは常にすべて持っていたため、武器さえ用意してもらえれば問題ないと了承した。
最後に一つだけ、と『先生』は聞いた。
「ヒビキとコトリは?」
「先に準備しているんだ。それに、コトリに説明を任せると長くなるからね」
「ああ、なるほど……」
なんとなく、不憫だな、と思った。
エンジニア部の部室にある、広い空間で『先生』は軽くストレッチをしていた。
生徒達は全体を見渡せる別室にいた。そこから、ウタハが『先生』に声をかける。
『先生、一応いろいろ作ってはあるが……どんなのがいいかな?』
「うーん、分かりやすく派手なのがいいかな……と、なると」
『先生』は、一つの青いクリスタルをポケットから取り出して一瞥し、ウタハに注文した。
「槍はある?私の身長より、大きめぐらいのね」
『もちろんあるよ。さあ、受け取ってくれ』
そうウタハが言うと、床に穴が開き、そこから見たことのある形の槍が出てきた。
「……ゲイボルグ。これはたまたまか、それとも……運命か」
『かっこいい見た目だろう?一晩考えて出来上がったんだ』
「うん、最高だね」
『先生』はゲイボルグを掴み、くるくると片手で回して体に馴染ませる。
「……よし。いつでも構わない」
『先生』がそう言うと、辺りから小さな箱型のロボットがわらわらと現れた。
「腕試しには物足りないかも、な!」
『先生』は両手で槍を持ち、ゆっくりと、しかしだんだん速く回し、そして腰を深く落として――
「さあ、始めるかっ!」
――跳躍した。
それを見ていたゲーム開発部とエンジニア部は、唖然としていた。
確かに、『先生』が驚くほど強いのはそこにいる誰もが知っていた。
まるで闇を思わせる波動を剣や鎧に纏わせ、あらゆるものを斬り、あらゆるものを守る力を持っていることを。
スピードもネルに合わせられるほどに素早く、なんならあのエリドゥに接続した完全体アビ・エシュフと単騎で渡り合えるほど。*1
しかし、今戦いを魅せてくれる『先生』は、それとはまったく違う戦いを魅せていた。
それはまるで鳥のように、いや竜のように空を舞いながら、次々と敵を撃破する。
翼も無いはずなのに、驚異的な跳躍力と敵や壁を、もしくは空を踏み台にすることで駆けることが出来ていた。
とある少女は、シナリオなどとうに頭から消え失せ。
とある少女は、絵に表せないと諦め。
とある少女は、まるで格闘ゲームみたいだ、と思い。
とある少女は、ただ純粋に、眼を輝かせていた。
「うーっ……ん、久々になったけど、衰えて無い様で良かった」
背伸びをしながらそう言う『先生』の後ろには、小型なものから大型なものまでのロボットの残骸が積み上がっていた。
そこに、『先生』とほぼ同じ身長の少女が駆け寄る。
「先生!格好良かったです!」
「ああ、アリスか。ありがとう。二番目に得意なジョブだから、上手く見せれたならいいな」
「そうなんですね!どんな名前のジョブなんですか?」
『先生』は、うーん、と唸るように考え、そして答えた。
「……竜のように空へ跳び上がり、敵を穿つ騎士、『竜騎士』」
かつては竜を屠るための力、そして今は、未来を切り拓く力、その一つだと。
『先生』は自身を相棒と呼ぶ、暁の仲間を思い出していた。
暗黒騎士メインだけどたまには別のジョブも出てきます。でもあんま出さないと思います。なぜなら書いてから「あらすじ詐欺になんね?」と思ったからです。