ようこそ青春の排球部へ   作:もと将軍

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次回からかなり長くなります。
ポテチとジュースを用意お願いします。


和久南戦!!

 

「くっそぉぉおおおおお!!!!」

 

 体育館の外で、暴れ回ってる。

 これは…少し時間を空けよう。

 それにしても日向のバレーに対する想いは、想像以上だな…

 5分10分と叫び続けている。

 幸いなことに、人通りが少なかったので、見られる心配もなかった。

 

「それくらいにしたらどうだ?」

 

 これ以上見ているのはめんどくさくなり、声を掛けることにした。

 

「…おればっかり狙われた!!おれが一番足を引っ張った!!おれを狙うように指示を出しているのが聞こえた!!!」

 

「そりゃお前が下手くそだからな」

 

「っ……!?」

 

 鬼の形相で睨んでくるが、言い返せないのだろう。

 

「今、お前がレシーブの事を考えたって、すぐに上手くなれるわけがない。

今は次の試合のことを考えるべきじゃないのか?」

 

「でも…!このままだったら!おれはレギュラーから外される!!」

 

 顔がくしゃくしゃだ。

 

「今はそうかも知れないな。

だが、お前の武器は他にあるだろう…誰にも真似のできない武器が。そして、まだ見せてないものもあるだろう」

 

「……」

 

 それでも納得がいかない日向は、拳を握りしめ俯く。

 

「日向…明日の試合で負ければ、試合はここまでだぞ?

お前がレギュラーとして出るのが良いのか、勝って次の試合に進みたいのかどっちだ?」

 

「勝って進みたい!!」

 

 即答する日向。

 

「なら、今自分にできることをやれ。

お前がレシーブで狙われることも計画のうちだ。

何の問題もない」

 

「それはそれで、何か嫌だぞ!」

 

「なら、明日の試合が終わればレシーブも練習しろ」

 

「イエッサー!」

 

 オレは日向を連れて戻り、烏野の陣地へ戻り、他校の試合を観戦する。

 

「お、戻ったか!」

 

「ご、ご迷惑をお掛けしました」

 

 日向が皆に向かって謝る。

 

「お前がレシーブ下手くそなことは分かってんだよ、何今更気にしてんだ…このボケが!!!」

 

「「だぁっはっはっはっは!!!」」

 

「お前ら煩い!!」

 

 一瞬でシーーーン…となった。

 

「綾隆…おつかれ」

 

 清水先輩がそう言って、ボトルを渡してくれるが離してくれない。

 

「あの…」

 

「ごめん、意地悪をしたくなって」

 

「??オレ何かしましたか?」

 

「まあまあ!勝ったから良いじゃないですか!綾隆も仲間にはもっと優しくね!」

 

「?…まあ、分かった」

 

「あやぽん…お前清子さんに睨まれるなんてずるいぞぉ!!!」

 

「それにさっきはお腹にチョップをされてただろ!?」

 

「「羨ましぃぃ!」」

 

 試合を観戦し終わったら今日はこれで、終わりだ。帰ってミーティングをする。

 

 

 

 

 

「一日目お疲れさまでした!」

 

「したっ!」

 

「明日は勝てば2連戦です。疲れを残さないようにしましょう!」

 

「次の相手の和久南は今までの相手と違ってウチと同じく3年が残ってる。

完成度の高いチームだ。守備力と粘り強さは音駒に近い。

攻撃が上手く決まんなくても短気起こすなよ?特にハイテンション&単細胞組」

 

 コーチが4人を見て言うが...

 

「大丈夫です。フォローしますよ」

 

 と、主将がそう言った。

 この人が言うと安心感が違うな...主将は烏野の大黒柱だから、何もなければ良いが…

 

「よし!必ず、明日も生き残る…烏野ファイ」

 

「オース!!!」

 

「はい…と、言うことで綾隆からのおありがたいお話です。」

 

 気合が入ったところで、オレに回って来た。

 

「校長先生のお話みたいに言わないでもらえます?」

 

「...はい、どうぞ」

 

「…まぁいいです。

ハッキリ言ってウチと相性が悪いです。

注目の選手は、1番で3年のWSですね。

この大会でも最も小さな巨人に近い人物だと思います。」

 

「なぬ!?」

 

 小さな巨人に思い入れのある日向が反応した。

 

「お前はこの試合、間近で見て勉強してこい」

 

「う…うす!」

 

「オレから言うことは以上です」

 

 オレはそれだけで今回の話は終わりにした。

 

「ええ!?いつもの嫌らしい策は?」

 

「そうだぞ!お前の姑息な策はこっちの気分が上がるぜ!」

 

 酷い言われようだ。もう策を授けないでおこうかな...

 

「……先ほど、コーチが言ったように相手は音駒と似ております。

ビデオを見た感じだと音駒の方が実力は上だと感じました。

ここで、その相性の悪さをしっかりと学んでおくと良いかと...和久南に勝てなければ音駒に勝つなんて夢のまた夢ですよ」

 

「うぐっ...」

 

「勝てる策を思いついていても教えないとは…なんつー悪魔だ!」

 

「さすがは、ドSのあやぽん!」

 

 ひどい言われようだな…

 

「これは良い機会なんです...この先自分で考えて突破していけるだけの力が必要になります。

それともオレ抜きでは勝ち上がっていけませんか?」

 

 オレは少し煽る。

 

「ほう…?言ってくれる」

 

「やってやるぞ!」

 

「「「「おおおお!!!」」」」

 

「ホントに大丈夫なの?これで負けたら先輩たちは終わりなんだよ?」

 

 ひとかがそう聞いてくる。

 清水先輩も横で聞き耳をたてている。

 

「そうだな...相性が悪いとは言ったが、余程のことが無ければ負けることは無いだろう」

 

「それでも心配だよ…」

 

 ひとかは心配そうにしている。

 顔が真っ青だ。

 

「絶対に勝てる試合なんてのは無い。

特に高校生ならその日の調子で、プレーに大きく影響することがある。

だからこそ、選手一人ひとりの精神面での成長が必須なんだ。

その成長できる相手と言うのもどこでも良いわけではない。和久南はそれに持って来いの相手だ。

なら、利用しない手はないだろう。

安心しろ。そこで崩れていくようならオレがフォローを入れる。」

 

「は、はぁ〜…」

 

「お前…本当に高校生なのか?」

 

話を聞いていたコーチが入ってくる。

 

「オレは誰よりも一般的な高校生なのですが?」

 

「そうは見えないがな」

 

「綾隆は大人っぽく見えるよ!」

 

「少なくとも後輩とは思えないけどね」

 

 ここで、清水先輩も入ってきた。

 もう引くしか無い。

 

「まぁ…次の試合はどう考えて、どう行動するのかが重要なんです」

 

「なるほどな…なら俺らは大人しく観戦といくか!」

 

「はい、そうですね」

 

「緊張してきたぁ…」

 

 その後二人を送り届け家へ帰った。

 

 

 

翌日。

春高宮城県代表決定戦 2日目。

 

 前の試合が終わり、烏野がコートに入ると相手側の観客席の方から一際大きい声援が聞こえた。

 

「フレェー!フレェー!たぁーけぇーるぅーフレッフレッたける!フレッフレッたける!オオーッ」

 

「……昨日より増えてる?」

 

 確かに昨日は4人だった気がする

 

「なんでチョット羨ましそうなの?」

 

 日向がその光景を羨ましそうにしているのを月島が突っ込む。

 

 両チーム、ウォーミングアップでしばらくサーブ練習やスパイク練習する。

 試合直前になると、こちらからも声援が聞こえて来た。

 

「龍~~~~~!!!龍ちゃ~~~~~~ん!!!」

 

「げぇっ」

 

「姉さん!!!」

 

「西谷の?」

 

「いえ、龍のっス」

 

「田中の姉!似てる!!」

 

 似てるな...しかし、家族と言うのは皆こう応援するものなのだろうか?

 なんとなくオレも想像してみる。

 もし…仮にオレの親がいて応援していたら…

 

『ふれーふれーあっやったっか!!』

 

「オエッ…ウッ」

 

 ダメだ…気持ち悪過ぎて死にそうだ…胃が絞めつけられてあらゆるものが出そうになった。

 

「えっ!?大丈夫?」

 

 月島が心配してくれた。

 そのおかげで、胃が絞めつけられるのが引いていった。

 

「ありがとう…お前のおかげで三途の川から引き返すことができた」

 

「えっ!?やばいんじゃないの?それ!」

 

「ああ...もう大丈夫だ」

 

 

 

『ピィーーーーーー!』

 

 体育館に審判の笛が響き渡った。

 

「「「「「「「「お願いしぁーす!」」」」」」」」」

 

 一礼し選手が一斉にネットの方に走っていく。

 

烏野 VS 和久南 試合開始

 

Starting order

 

ネットーーーーーーーーーーーーーーーネット

 

日向   田中   影山

 

澤村   東峰   月島(西谷)

 

 

 試合開始の合図と共に相手がサーブを打つ。

 

 それを綺麗に上げ影山からの日向で開始早々、コートのど真ん中を最速で突破した。

 しかし、ブロックは一枚着いて来た。

 

「おーし、次すぐ切るぞー!」

 

「うぇーい」

 

 点は烏野に入ったが、向こうは何も焦っていない…その様子を見た烏野が焦りを見していた。

 日向にも少し焦りが見える。今のところ...唯一の武器だからな...

 

「日向、お前強豪校に警戒されてんじゃないか~きっとお前の研究とかしてるんだぞ~」

 

 それを聞くや否や、目に炎を灯しやる気を見せた。

 

「いや~俺たち霞むなぁ~」

 

 その言葉は田中先輩の耳に入り、田中先輩のやる気スイッチを押した。

 さすが、主将だな...選手のやる気のツボを心得ている

 

「ナイスレシーブ!」

 

 和久南が攻撃へと入るが、フェイントで後ろから回り込んだ選手が決めた。見事に日向は惑わされたな。

 和久南はこう言ったコンビネーションが長けている。だが、それだけでないのが和久南である。

 

「ラスト頼んだ!」

 

 和久南が崩れながらもエースにアンダーでセットする。

 

「おおっ!」

 

 エースは応えるように高く跳ぶ。

 前には3枚の壁...エースは身長も高くない。パワーも強くない。

 だが、それでも和久南のエースであり、この大会で最も小さな巨人と呼ばれている。

 

 なぜなら、かつての小さな巨人と同じ戦い方だからだ。

 

「ブロックアウト!」

 

 日向の指先を狙い、指先に当てコート外にボールを飛ばした。

 これが、嘗ての小さな巨人の戦い方であり、日向が最も参考にすべき人物だ。

 

 その後の試合展開は点の取り合いだった。そのままの状態で進んでいく。

 

19-17 烏野リード

 

 しかし、ここで思わぬ事態が起きた。

 烏野には非常に不味い事態だ。

 主将が田中先輩と衝突した。

 

「う~~っ!いてぇ~」

 

 主将はすぐに起き上がる。

 

「どこ打った!?」

 

 コーチと先生がコートの中へ入って行く。

 

「か…顔?」

 

「澤村君、今いる場所は?」

 

「仙台市体育館です」

 

「でも頭を打った様なのでとりあえず医務室へ」

 

「分かりました」

 

 主将は辛そうな表情をするが、武ちゃんが説得をする。

 

「大丈夫である事を確認して来なさい。

それが試合へ戻る最短の道です」

 

「……血」

 

 清水先輩が駆け寄る。

 

「歯ッ!?ヒイッ!」

 

 歯が取れていたところから、血が流れていたようだ。

 日向の顔が真っ青になっていた。

 

「だ…大地さん…す「すまん田中、お前がカバーに入ってんの見えてたのに身体が勝手に突っ込んじゃったんだよ…でも見ろ。

お前の返した今の一本でこっちは20点台だ!」

 

 そう言い残して、出て行った。

 

「なら、綾隆な」

 

「だな」

 

「まじっすか…」

 

 まぁ…いつも交代はオレだが…

 

「お前!この間の試合めちゃくちゃレシーブ上手かったじゃねぇか!!」

 

 日向の表裏の無いセリフに加え。

 

「頑張って…」

 

 オレの手を握りながら、清水先輩がそう言った。

 その場は静まり返った。

 

「あやぽん~~!!!俺の!俺の!!おおおお俺の!!」

 

 西谷先輩が意味の分からない言葉を叫びながら抱き着いて来た。

 東峰先輩も菅さんものそりのそりと近づいてくる。

 

「「「おま~え~これで出ないとか言わないよな?」」」

 

「…はい」

 

 ...清水先輩はこうなることを予期してやったのか?

 オレは一人黙りこくっている人に向く。

 

「田中先輩…もしかして落ち込んでるんですか?」

 

「…」

 

「なってしまった事は仕方ありませんよ。

今回のケガはあれで済んだだけ良かったです。

見たところ後遺症は残らないようですし…

それよりも今ここで負ければ、一番責任を感じるのは主将です。

田中先輩...今まで支えられてきたのに、何も返さず主将の最後の試合をケガでの退場で終わりにしますか?」

 

「っ…ふんっ!!」

 

 自分の頬を叩き気合を入れなおした。

 

「すまんな!綾隆…目が覚めたぜ!ここで負けることが一番ダメな終わり方だぜ!」

 

「良し!行ってこい!」

 

「「「「「おおっ!!!!!」」」」」

 

 オレはコートに入る。

 やることは決まっている。

 主将の穴を埋めるだけだが、荷が重いな…

 主将の凄さはチームの土台を作る。

 プレーならまだ良いが…士気を保つことができるかどうか…オレには無理だ。

 

「烏野には悪いけど一気に取り返す!」

 

 和久南のエースがジャンプサーブを放つ。

 向かってくるのはオレだ。

 だが、オレは普通に取る。

 相手は少し驚いているように見えた。

 

「寄越せ!」

 

 こう言うときの東峰さんは頼もしいな。

 

「東峰さん!!」

 

 見事決めこちらの得点になった。

 

21-18 烏野リード

 

 そして、東峰さんのサーブ。

 

「ナイッッサァァー!!」

 

「よし!!」

 

 相手は腕に当てるも、コート外へ勢い良く飛んでいった。

 見事なサービスエースだ。

 

22-18

 

「もう一本!!」

 

 だが、相手もやられっぱなしではない。

 東峰さんのサーブを綺麗に上げる。

 そして、ツーでこちらのコートに入った。

 

22-19 

 

 次は田中先輩が取り返した。

 もう迷いはないようだ…

 

23-19

 

 ここで、選手交代。

 ピンチサーバーで山口が、月島と交代で入って来た。

 

 あいつ、ガチガチで緊張しているな。大丈夫か?

 

 笛の合図と共に軽くボールを上げ放つ。

 山口はジャンピングフローであり、速度は余りなく、無回転でボールの軌道が変わる。

 ネットに当たり相手コートに入った。

 

24-19

 

 しかし、山口には奇跡だったのだろう…その証拠に顔が青ざめている。

 そして、次のサーブで普通のサーブをして安全にコートへ入れた。

 和久南は完璧な形でスパイカーまで繋ぐが、日向がブロックで阻む。

 

「ワンタッチ!」

 

 ボールは山口の目の前に落ちそうになったが、足が動かないようだ。

 オレが代わりにそのボールを拾って、影山へパス…それを東峰さんにトスをし、東峰さんが決めた。

 

 

 

第一セット終了

 

25-19

 

 ここで主将の付き添いに行っていたコーチが戻って来た。

 

「やまぐちぃぃー!!」

 

 ズンズンとこちらへ向かってきている。その顔はかなりお怒りのようだ。

 

「あのーっ…わ…分かってます!多分本人が一番分かってます」

 

 コーチの前に縁下さんが立ち、山口を庇う。

 山口の目には涙が浮かんでおり、後悔の表情が見られる。

 そして、ベンチに下がって行った。

 

「烏養さん、大地さんは?」

 

「大丈夫だ。

ただ口内の出血と痛みが酷いみたいだ」

 

 田中先輩は少し俯くが、周りから背中を叩かれ…

 

「わかってます!!」

 

 真剣な顔に戻る。

 

「烏野ファイ!オース!!」

 

第二セットが始まった。

 

 どちらも一歩も引かない。

 和久南は守りも上手い粘り強さは音駒を彷彿させる。

 しかし、こちらも前回の試合からかなり守備力を上げている。

 大地さんの穴はデカいが、それはオレがやるべきこと。

 

 途中、日向が和久南のエースを真似て特大ホームランをかましたりもした。

 だが、日向の華麗なフライングやわざとブロックに当てて、態勢を整えるリバウンドをするなど、成長具合が見えた。

 

 そして、オレも役割を果たす。

 和久南のエースがブロックアウトを狙ったものをオレが取り、相手の手札を減らしていく

 そして...

 

24-22 烏野マッチポイント

 

 ファーストタッチが短く、スパイカーたちは助走距離を確保できない。

 だが、それでも日向は強引に跳ぶ。

 超速攻をやる気か…しかし、それは合わなく左手で何とか返す。

 

「日向ぁ!!バタバタしない!良いジャンプは!?」

 

 コート外から、縁下さんが叫ぶ。

 どうやら、主将の代わりは縁下さんがするべきだった。

 

「良い助走から!!」

 

 今度は助走距離を確保し、超速攻で点を取って試合が終了した。

 

25-22 烏野の勝利

 

2-0

 

 試合が終わり、皆がコートを出て行くが、日向は和久南のエースを見ていた。

 

「?何だよ」

 

「あの一番との真っ向勝負勝てなかった。おれより小さな巨人だった」

 

「当たり前だろうが、100年早えこのボゲがっ!!」

 

 影山と日向のケンカが始まった。

 日常に戻ったな。

 

 コートを出て、烏野の陣地に向かい、次の対戦相手の観戦をする。

 三年と田中先輩は医務室にいる主将の元へ向かった。

 山口は一人で「便所いってくる!!」と言い残して、足早に去って言った。

 

「綾隆、お疲れ!試合どうだった?」

 

 座って休憩しているオレの横にひとかが座って聞いてくる。

 試合中はひとかが主将の付き添いに行ったため、こちらの試合内容を知らないのだろう。

 

「何とか勝てた…それで、主将は?」

 

「おめでとう!綾隆は活躍した?

主将は大丈夫だよ!痛み止めも効いてきたみたいだしいもうすぐこっちに来れるみたい!」

 

「いや、主将の代わりはオレには荷が重いな」

 

「あ?お前普通にレシーブしてたじゃねぇか」

 

「…」

 

 影山に聞かれていたか...

 

「も~何でそんなに謙遜ばかりするの!」

 

「綾隆ぁ~レシーブ教えて~」

 

「後でな、まだ今日は次の試合があるんだぞ」

 

「おす!」

 

「綾隆は何でレギュラーで出ないんだ?」

 

 影山がそう聞いて来た。

 

「確かに、綾隆はどこでもできるじゃんか」

 

「オレができることは誰かの真似だ。

レギュラーを取れるほどの何かを持っているわけではない」

 

「そうか?日向よりもブロックもレシーブもスパイクでコースの打ち分けもできんだから、いけると思うがな」

 

「な、なぬ!?」

 

 日向が焦りだす。

 相変わらず、感情が読み取りやすい。

 

「当然だろ、このボケ」

 

「なんだとー!?」

 

「まぁ…オレは外で見て相手の分析をするのが好きなんだ」

 

「「ああ、あの[いやらし作戦]か」」

 

 言い方…

 

「…まあそう言う事だ。

トイレに行ってくる」

 

「「行ってら~」」

 

「行ってらっしゃい」

 

 オレは席を立ち、外へ向かおうとしたが足を止める。

 

「……やっぱ、お前らもついて来い」

 

「「「え?なんで?」」」

 

「私男子トイレにはいれないよ?」

 

「トイレは…嘘だ」

 

「「「???」」」

 

 オレ達は体育館の外へ出て、ある人物が出てくるのを待った。

 

「おーい猛、ミーティングだぞー」

 

 来たか…

 

「……なーんか」

 

「あん?」

 

「最後、スローモーションだった」

 

「?」

 

「あの一瞬に10番と目が合って、俺がブロックアウトでどこを狙ってるのかあいつが分かったのが分かった。ここまで見えたのって初めてだ...ゾクッと来たよ。もう一回...もう一回やらせてくれよ」

 

 チームメイトの前では一切泣かず、辛い顔さえ見せなかった男が上を向いて、号泣している。

 それにつられて、隣の男も涙を見せている。

 オレは烏野がこのチームと戦えて本当に良かったと思った。

 隣にいる三人も真剣な眼差しで見ている。

 烏野に様々な経験をさせてもらった。

 日向の目指すべきところ、山口や縁下さんの成長にも繋がった。

 柱がいないなか、自分たちで考え、行動することができた。

 

 そして、現在勝つという事について学ぶこともできた。

 

 オレ達は二人が居なくなってから烏野陣地に戻った。

 

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