12月31日。
いよいよ、今年も終わりか…
夜更かしをするだろうと、昼の3時まで睡眠を取っていた。
オレが外に出て、約一年が経過しようとしている。
たった一年で、随分とオレも変わった。
その変化を与えてくれた人と年を越す。
何かまた、変化がありそうな予感がする。
「行くか」
20時まで、部屋でゴロゴロと過ごし防寒をして家を出る。
玄関を開けると、冷たい風が雪崩れ込んでくる。
扉を閉めたくなるが、我慢し外に出て行く。
「お待たせ」
「いえ、それほど待っておりません」
待ち合わせ場所にて、5分少々待ち清水先輩と合流し、暫く町を歩く。
「年末にもやっている店は結構あるもんなんだね」
「年末は外に出歩かないんですか?」
「そんな事はないよ。ただ、個人で経営する店って、その年でやるときもあるけどやらないときもあるから」
「そうなんですね。ここ入りましょう」
「うん」
オレ達は二人で、店に入る。
おでん屋だ。いくつか注文し、料理が来るのを待つ。
「おでん…好きになったの?」
「そうですね。好きですよ」
思えば、おでんを教えてくれたのは清水先輩だったな。
周りの人達は、お酒を飲み駄弁っている。
オレと清水先輩は料理を多く頼み駄弁る。
23時を過ぎたため、神社に向かった。
「さすがに人が多いね」
人混みの波に身を任せ、神社の中を歩く。
『ゴリッ…ジャリッ』丸い石の上を歩くため、皆の足音がうるさく耳障りだ。お陰で清水先輩の声も聞き取りづらい。
『ゴォーーーン』鐘の鳴る音がする。
「うそ!え、もう年越したの⁉」
清水先輩がそう言った。どうやら先ほどの鐘の音が年を越した合図だったみたいだ。
足音と、清水先輩と雑談していたため、何も知らずに年を越してしまった。
「明けましておめでとうございます」
「はぁ……こんなはずじゃなかったんだけどなぁ~明けましておめでとう」
本当はもっと、何かをして年を越したかったのだろうか…?
その後、お参りを済ませて、神社を後にする。
「はあああああ。やっっっと抜けた」
人混みを抜けたオレ達は、椅子に座り少し休憩する。
「どうでしたか?」
「それはこっちのセリフだよ。でも、まあ、実は私も神社で年を越すのは初めてなんだ。もっと、こう…ね。良い感じで年を越したかったのに…」
「そうなんですか。それでも、オレは誰かと年を越すなんて思っても見なかったことを経験出来て良かったです」
「ホント…?でも、計画通りに進まないから…」
「そんなものでしょう」
「それ…あなたが言う?」
「オレだって、全て計画通りに進むことなんてほとんどありません。誘導して強引に進ませたりしますけど」
「やっぱり、誘導してたのね」
「計画通りに進ませるためには、どんなことだってする。それが勝つために必要なことです」
「ふ~ん。そんなこと私には無理だね」
「それで、どういう年越しを望んでいたのですか?」
オレは率直に聞く。
「...それはもう良いの…ただ…貴方にまた変化を与えられたらって…」
「十分すぎるほどオレは変わってますよ」
「それでも、まだまだ……」
「オレが求めている者は、くだらない日常です。後にこんなことがあったとか、誰かと語り合わなくても、偶に思い出し、過去を懐かしむそんなことです。
今回の年越しも、清水先輩の素の表情を見れて印象的でした。鮮明に覚えています。オレが覚えているんです。
これ以上の変化はないでしょう」
「私は…貴方の思い出の一部になってるのかな?」
清水先輩が卒業するまで、後2か月。
離れていくことに不安なのだろう。
高校を卒業しても、会う事はできるだろう…だが、オレが卒業したら、暫く会えない。
それを清水先輩にも誰にも伝えていないため、知らないはずだ…だから…これはただ、高校を卒業することが寂しいのか。
確かに都会に出るなら、会う回数は格段に減る。
「はい」
「本当に?」
「はい」
「綾隆…」
清水先輩のうるっとした目が合う。
「もう知ってると思うけど…伝えたいことがある」
息を吸い、吐く。
「あなたが好き。これからも一緒に居たい。
だから…付き合ってほしい」
これほど、返事に迷う事は無い。
オレに変化を与えてくれたのは、この人。いつも一緒に居て、話していて楽しいと感じる時もある。
オレはこの人に、かなりの好感を持って接している。
だが…恋愛感情をオレは…まだ知らない。
どうでも良い人なら、オレは付き合っていただろう。
適当に付き合って、行くところまで行って捨てていた。
だが、この人にそんな適当に接するわけにはいかない。
「……分かってる。あなたに恋心がないことは…これは、私が伝えたかった事……待っているから」
すいません、分かりました、はい、ありがとうございます、どれも違う気がする。オレは何も言えず、ただ首を縦に振る。
「さっ!行こう!」
満足したのか、勢いよく立ち上がり、前を指さす。
「日の出、見に行こう!」
やはり、オレを最も理解している人はこの人だな。
オレと関わりのない人なら、何も返事しなかった人と一緒に居たくないだろう。
オレも立ち上がり、清水先輩に付いていく。
海まで距離はあるが、雑談をしながら歩けば、割とすぐ着くだろう。
距離が前よりも縮まったようで、歩いている最中に手を握られた。オレは拒否せず、握り返す。
海に着き、僅か数分で日が顔を出す。
「綺麗」
清水先輩が言ったのか、それとも周りの誰かが言ったのか、オレには分からない。それほど、日の出が綺麗に見えた。
不思議だな。
朝日などいつだって見えるし、これが初めてというわけではない。だが、いつもと変わらないはずの朝日から目を逸らすことが出来なかった。
暫く眺めた後、海辺を離れる。
「今日はありがと」
「こちらこそ、ありがとうございました」
「ふふ…じゃあね」
清水先輩を家に送り届け、オレも家に帰った。
1月4日6時に目を覚ます。
いつも通りの朝、カーテンを開ければ日差しが入ってくる。窓の近くは冷たい空気だが、柔らかい日の光は暖かみを帯びている。
「行くか」
朝食を取り、玄関を開け外に出る。
学校に着き、皆でバスに乗り込む。
バスでは、オレが皆に作戦を伝え、常にミーティングをしていた。
「うぉおお!本物のスカイツリーだーーーっ!デケーーっ!」
東京に着き、日向が騒ぎ出す。
「まずは、宿に荷物を置いてから、猫又先生の紹介でお借りできた体育館で軽く調整だ」
主将が皆に向けて言う。だが、本題は今からだ。
「わかってると思うが、宿で騒ぐんじゃねぇぞ」
少し脅し口調だ。
「「「…ウィっす」」」
「ハイっ皆さん移動お疲れさまでした!」
「「「「アザーーーース!!!」」」」
宿は何十メートルの高いホテル…ではなく、横の小汚く、小さい宿だった。
田中先輩たちが、微妙な顔になったが…
「これ…絶対座敷割らしとかでるやつ!!」
「たんけんしよーぜ!」
「うぇーーい!」
「「「ウっス…」」」
さすが主将…最早言葉はいらないようだ。
「ダラァイイ!!」
「シャアア!」
猫又監督の顔の広さにより体育館を借りられ、軽い練習をすることになった。だが……
「あっ」
「なんかここ、酸素薄くない?」
「ひとかちゃん、まず呼吸しよう」
この人達は、どうやらまた緊張しているようだ。
「心臓小さい組が本領を発揮してるな…まあ、こういうときの為にも、たっつぁんにビール奢ったんだ」
コーチがそう言った。何か策があるのだろうか。それは楽しみだな。
それにしても、緊張はオレには分からないままだ。
「緊張する」
うん。やはり、何も感じない。
「また言ってんの?君には無理だよ」
…
「あーーーお前らに見て貰いたいものがある」
宿に帰り、夕飯を食べたあと、コーチが皆に言った。
「滝ノ上電器店、渾身の…オレスゲードウガだ!!…あやたかいがいの」
最後何て言った?
「今までのお前たちのファインプレー集だ。全員分あるぞ……あやたかいがいは…」
最後何て言ったのだろうか……?
「すげー見てぇ!」
動画を見てみると、一人ひとりにテーマ曲まで付いており、ハイクオリティだった。
確かに、良いアイデアだ。
本番でいつもの動きができなかったら、試合には勝てないからな。
だが、なぜだろう…オレだけ無いのは…
風呂に入ろうか迷っている時に、一年がオレと山口しかいないことに気付いた。
「そう言えば、日向影山と月島もいませんが何処へ?」
「あーあいつらは、走りに行ったゾ」
マジか…月島が?
これは素直に驚いた。
皆は変わり続けているんだな。
オレは…
1月5日。全日本バレーボール高等学校選手権大会。春高バレー。
東京体育館に集まる、全国の強者たち。
その中に烏野も入っている。牛若を倒したためか、少し目立っているようで、様々な高校から視線を感じる。
そして、全国大会ともあり、一般観客も多いようだ。
「相変わらずテンションたけぇな~~本物のスカイツリーは見れたのかな??おのぼりカラス」
そう烏野に声を掛けて来たのは、音駒の主将だった。
「アラアラまさか緊張してますのさーむらさん」
「無駄口の多さこそ緊張の証じゃないかねクローさん」
主将達がなにやら話しているが、聞くまでのないことだろう。
「ヘイヘイへーーイ!!日向へ~~イ」
うるさいのが来た。
「来たな~~オイ~~俺の一番弟子!」
あんたがな…そう心の中で突っ込む。
「と、あやたかぁ~~!今日と言う日は、ぜってぇに勝つぜ!」
「戦うのは今日じゃないですけどね」
「あかあ~し、黙ってて!」
「木兎さん。オレは全国優勝をして帰ります」
「おおぉ~!珍しくやる気になってる!!?よっしゃああああ!負けねェぞ!!んっがっはっはっは!あっ!ツッキー!!ツッキー?ツッキーツッキーツッキー」
あの人は本当に自由だな。
『お待たせいたしました。ただ今より、ジャパネット杯、春の高校バレー全日本バレーボール高等学校選手権大会。開会式を行います』
扉が開く。
吹奏楽の演奏と、会場内のすべての観客の拍手で満たされていた。
開会式はあっと言う間に終わった。
オレ達はアップを取るため、違う体育館に移動する。電車が遅延し、バスで移動することになった。
少し汗をかく程度に身体を動かし、試合が近付いてきたため、会場に移動する。
「便所行ってくる」
「オレも」
日向や田中先輩がトイレに行き、オレ達は荷物当番。
「おっと、すいません、それ、ウチのです」
「あっ…すみません!間違えるところでした」
人が密集した地域だと、こういう間違えもあるんだな。気を付けないとな。
体育館に戻って来て、前の試合が終わりコートに駆け足で入っていく。それほど時間が厳しい。
コートで、アップし『ピーーー!』笛の合図と共に、ネットに向かって走り挨拶をする。
春の高校バレー。
一回戦。
神奈川第二代表、椿原学園 vs 宮城県代表、烏野高校
丸山(WS) 越後(S) 当間(MB)
岩室(MB) 舞子(WS)寺泊(WS)
ーーーーーーーネットーーーーーーーーー
澤村 日向 田中
東峰 月島 影山
『ピーーーー!』
いきなり、影山の弾丸サーブ。
だが、惜しくもアウト。
相手のサーブは、後衛セッターの出てくるところを狙って打ってくる。
当然のように嫌なところを突いて来るな。
繋ぎ、主将がスパイクを打つも、綺麗に上げられる。
「寺泊!」
相手のエースはブロックの上から、スパイクを打つ。
待ち構えているように西谷先輩がいた。だが、威力が強かったため、セッターには帰っていない。
東峰さんがカバーし、田中先輩へトスをするも、相手コートに直接返って行き、叩かれる。
まだ、この体育館に慣れていないのか…
確かに天井が高く、距離感が掴みにくい。
日向影山もアップの時から、まだ成功していない。
こちらも喰らい付いているが、まぐれで点を取れている方が多い。
一度、立て直すべきか…いや、これぐらいは問題ないか。
ミスりつつも何とか点を取り、セット中盤
『スパァン!』
ドンピシャなトスを日向へ。
マイナステンポをようやく決めた。
会場は一瞬静まり返り、歓声が上がった。
「お待たせしてすみません」
チームの主軸である影山が、この会場に慣れた。もう怖いものはないな。
『決まったー!!烏野高校のリーサル・ウェポン!!日向影山1年生コンビの速攻ー!やっと見られましたね!今決めたMBの日向翔陽は身長164㎝しかありません。普通MBは身長が高い選手が努めますが、164㎝は今大会アタッカーでは最低身長です!!』
実況の人が日向について話しているが、ディスってるようにしか聞こえなかった。
日向もしゅんとしてしまっている。
だが、それ以降は烏野ムードだった。
相手も取り返してくるが、烏野の勢いが強く、17-18で背中を捉えた。
「ワンチ」
「ワンチ」
「ワンチ」
「ワンチ」
耳にタコができるくらい聞いたころ、相手の4番寺泊がストレートを打ち、月島ブロックを掻い潜った。
だが…日向がボールの真正面に移動していた。
偶々…いや、分かっていたな。反射ではなく直感。
「ボギュッ!!」
だが、まだ距離感を掴めず、ボールに体当たりをしてしまった。
田中先輩が繋ぎ、東峰さんが最後に押し込み、点を取る。
『烏野高校がブレイク!!同点に追いつきます』
次は、ブロックを躱すフェイントにより、前に落とされる。
だが、日向が前へ出て行く。
「オブッ!」
またも体当たりをする日向。だが、やはり良い位置取りだ。
田中先輩が相手セッターに取らせるように、パスし多彩な攻撃を防ぐ。
そして、東峰さんがブロックに当て、ブロックアウトで烏野の得点。
試合は順調に進んでいる。
24-23
烏野のマッチポイントで相手がピンチサーバーを投入する。
だが…
「何だか…こちらが不安になってきますね」
オレはそう呟いた。相手選手のピンチサーバーは一年でこれが初めての出番何だろう。
山口や木下さんよりも緊張しているのが、まる分かりだ。
「お前にそんな人の心があることを知れてよかったよ」
失礼な人たちだ。菅さんがそう言って、皆が頷く。
「…ありますよ」
「ははは、冗談でしょ」
月島…お前な…
カクカクと錆びたロボットのようにコートへ入って来た14番は、エンドラインに向かって行く。
笛の合図にビクッとして、勢いでサーブを打つ。
アンダーハンドサーブ…だが、『ゴツッ』と音がしてネットの向こう側でボールは落ちた。
「あ~~やってしまいましたね」
「やってしまったな」
「取り合えず、ラッキーでしょ」
「コートチェンジ行くか」
可哀想に。あれは初めての練習試合のときに、日向が影山にやったのと同じだ。怒られるな…
だが、アンダーか…面白いな。
烏野も最後の点には、ふれないように次のセットの作戦会議を行う。
第二セット。
14-12
烏野がリードしているときに、またもあの14番がピンチサーバーとして出て来た。
「コーチ」
オレは観客席を一度見てから、コーチを呼ぶ。
コクッとコーチは頷く。
『ピーーーーー!』
笛が鳴り、今度は落ち着いてサーブを放つ。
今回もアンダーハンドサーブ。
この体育館の天井は通常の体育館よりもかなり高い。それにより影山は少し苦しんだ。
この体育館の天井付近まで名一杯上がったサーブ。天井サーブは、ライトに照らされレシーブする者の視野を邪魔する。
案の定、主将がサーブを取りこぼす。
面白いサーブだ。
『ピーーーー!』
選手交代の合図。
出るのはオレだ。東峰さんと交代しオレがコートに立つ。
「すいません。あのサーブ、オレに取らせてくれませんか?」
「お、おぉ…良いが…」
「なんだよぉ俺が取りたかったのに~」
先輩たちにそう言って構える。
『烏野高校1年生、WS清田綾隆を投入します。
守備強化でしょうかね。どのようなプレーをされるのか楽しみですね』
『ピーーー!』
笛が鳴ると同時に天井にサーブを打ち上げる。
オレの方へ向かってきた。
オレは勝つために様々なバレー選手のプレーを見てきた。
プロだけでなく、ビーチバレーなども見た。
そこで、天井サーブ…ビーチバレーは天井は無いが、空高くに上げているのを見た。
普通の体育館では再現不可能だったため、断念したが…この体育館なら可能だろう。
真似をするなら、実際に受けてみるのが手っ取り早い。
眩しいが、その情報をカットしてしまえばいい。スローモーションとなりボールが落ちてくる場所に移動し、影山の頭上に上がる様にレシーブする。落ちてくるボールは重く、当てるだけで綺麗に影山の頭上に上がった。
そして、そのまま助走に入って行き、『ドォン!!』という音と共に跳ぶ。
『ズッパァアアン!』
相手コートで音が聞こえるのも、随分と聞きなれた音になった。
『ピーーーー!』
会場に静寂を与え、東峰さんと代わりベンチに戻る。
見てくれただろうか…?
これで、多少なりともオレを警戒してくれたのなら上々だろう。
その後、完全に烏野の雰囲気となり、25-16で終わりを迎えた。
セットカウント2-0
烏野高校勝利。
「整列!!」
「ナイスゲーム!!」
OBの方だろうか。
オレ達に必死に声援を送っていた。
観客席に挨拶をし、コートを後にする。
「ねえ!綾隆はどうして試合に出て行ったの?最初は出るつもりないとか言ってたけど」
コートを出て休憩していると、ひとかが質問してくる。
「ああ、あのサーブに触れたかったからと言うのもある」
「他にもあるの?」
「次戦う稲崎の宮侑がいたからな。少し警戒してもらえたらと思ってな」
「見せる必要あったのか?」
菅さんが入ってくる。
「はい。バレーってリズムが大事だと思います。崩してもまだ厄介な奴がいると思わせることができたのなら、ほんの少しリズムがズレます。そのほんの少しが相手の付け入るすきになり、崩すタイミングです」
「なるほど…相変わらずで安心した!オマエ、さっきやけに人間ぽかったからな…」
「人間らしかったらいけないのですか?」
「「「「おまえじゃねーじゃん」」」」
この人たちにはオレが、悪魔か何かに見えているのだろうか…?オレはただの一般的な、何の特技もない高校生だと言うのに…
「綾隆…まだ、一般人の振りをしてるの?」
「手遅れだぞ」
…
日向が、エースの心得Tシャツを買ってくると言い、オレは付き添いを任された。
なぜオレが…
だが、その店の前で日向が固まった。
目の前には日向と同じくらい小さい選手がいた。
二人とも目を逸らさず、相対している。
「あ、星海さんちわっす」
そこへ影山が来て挨拶をする。
「おう影山か、試合は?」
「勝ちました」
「おう、おめでとう」
「あざっす」
「影山の知り合いか…?」
「ユース合宿で一緒だった星海さんだ」
「ユース!」
「お前のチームか」
「そうっす、左のが前話したやつっす」
ん?前に話した…?
「オマエか⁉いや…お前、ポジションは?」
オレに目を向けるも、先ずは日向に詰め寄り聞く。
「MB…っス」
「身長は?」
「16…5㎝」
「164だろ」
「最高到達点は?」
「338㎝」
ギリギリ勝った!って顔に書いている。
「光来君、何してんだよ。もう前の試合終わるよ」
「じゃあな影山」
オレ達も陣地に戻った。
丁度、さっきの星海のチーム、鴎台が試合をしていた。
『ドンッ!』と跳びスパイクを決めていた。
日向は「もっと近くで見たい」と言って前に出て行く。スパイクだけでない。サーブ、レシーブ、どれを取っても日向の上を行く。
『また星海ーーーっ!!止まりませんっっ!!これぞ八面六臂の大活躍!これぞ!!小さな巨人!!』
「日向は2mにもくじけず来たけど、自分と同じ様な条件でずっと自分の上を行く奴が現れることの方がショッキングだったりするのかなって…」
菅さんが日向を心配している。
確かに、それで心折れて辞めたくなるのかもしれない。
だが、それでやめるようなら、今すぐにベンチに下げるほかない。
それに…日向の性格上、まずそんなことはありえない。
オレの分析した日向は…
「おれ…ここに来れて良かった」
日向は嬉しそうに言った。
だろうな。そうでなくては困る。
春高一日目にして40チームが姿を消すことになった。
どこの世界でもそうだ。
弱ければ、生きてはいけない。
次回…来週金曜日、稲荷崎戦!!
白鳥沢戦よりもセット数少ないのに、文字数超えてしもた。
ポテトとジュースは必須!