ゲゲゲの鬼太郎 異端の半妖   作:Haganed

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人と妖怪と真ん中で

 

 

 

 翌日、抜け切ってない疲れを携えたまま出社する羽目になったせいで、内心あの訳の分からないナニかに対する愚痴を孕んだままだ。マジでアイツ何だったんだ、というか何言ってたのかさっぱり分からずじまいだし……はぁ、面倒な謎だけが増えていく。こうなりゃスイーツフェアでヤケ食いするなりしてストレス発散────。

 

 

「おはようございます、先輩」

 

「ん。あぁ、おはようございます」

 

 

 お、もうそんな時間か。ひとまず切り替えていこう、明日休みとはいえ仕事する必要があるのならやっておかなければ。はぁ、考え事が増える増える。面倒事は増やさないようにしたいんだけどなぁ。

 

 

「何やらお疲れのように見えますが、昨日何かありました?」

 

「んー? いやなに、昨日今日と起きてるあのニュースが何度も出てきて煩わしいなぁってさ」

 

「あのニュース?」

 

「ほら、人が木に変わるってヤツ」

 

「あぁ、そのニュースですか。気持ちは分からなくもありません」

 

「そう? ま、気遣いありがとう。おかげで少しマシな気分になったよ」

 

「そうですか」

 

 

 淡白な返事ではあるが、正直今はこれが有り難い。その淡白な返事をした彼女は自分の左隣の席に座って、仕事をするための準備を始めた。

 

 彼女は今年入ってきた新人の『羽束(はつか) 結衣(ゆい)』。見た目や言動からしてクールビューティの印象があり、人付き合いも業務上が殆どでまあ取っ付きにくそうではあるが意外と表情は豊かだったりする。何でそんな事知ってるのかと言われると、食事に誘われたりする事が多いから。何でだろうな?

 

 それはさておき、始業開始まで少し暇だ。少しあの妖怪についての情報でも整理しておくか、また今日の夜に行くのは確定だし。えーっと、バグズで探し当てた場所があの辺で────

 

 

 

 

 

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 池袋方面にまであの妖怪の魔の手は伸びているみたいだ。このままだと東京の人間全てが木に変えられるのも時間の問題になる。会社の昼休みに外に出て式神を展開させて索敵させてはいたが、半径1kmという広いようで狭い範囲を探し回させても見つかってない。

 

 なので1度、あの赤い木がある場所を精査してみたものの、やはりというか無差別で無作為な形で点在していることもあり、あくまであの妖怪は人間を木に変えるために行動している事だけがハッキリとした。

 

 特に人通りを狙って木へと変えさせているようで、被害規模の拡大からしてさっさと終わらせなければ東京が樹海だらけになる。そうなると生活さえ儘らなくなる、それだけは避けたい。

 

 さてどうしたものかとSNSの最新の投稿を見ているが特別めぼしい物は無く、次は半径1kmの範囲内の索敵をささっと済ませ、トライクで別の地点へと向かってまた展開を繰り返してみることにしよう。

 

 まずは住んでる武蔵野を探ってみるか。一応有り得ない訳では無いだろうが、被害にあったというニュースも無い以上そこまで注意深くする必要は無いだろう。

 

 そして案の定、時間も経ったがあの妖怪の発見報告は無くバグズも祓われること無く戻ってきたので、今度は式神を出したまま次に行ってみるか。あーもう面倒だなホント! バカでかい範囲を探れる奴が欲しい!

 

 

 

 

 

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 男の苦労はさておいて、この事態には男以外にも関わっている者が居る。ゲゲゲの鬼太郎というものと目玉おやじ、そしてこの1件の解決を依頼した犬山まなと呼ばれる少女だ。

 

 ゲゲゲの鬼太郎は昨夜、世間を騒がせる赤い木騒動の主犯たる妖怪のびあがりに種を植え付けられ、自身の肉体を吸血木に変えられていた。しかしそこは幽霊族の末裔、持ち前の不死身さにより木に実をつけさせ、まるで桃太郎みたく実から脱出したのである。

 

 木になった際に取り残された服などを回収する頃には既に月光が降り注ぐ頃となっており、すぐにのびあがりの退治を再開して現在3名はのびあがりの居る工事現場に向かった。

 

 紆余曲折ありながらも、遂にゲゲゲの鬼太郎はのびあがりに痛手を与える事に成功。だがこのまま終わらず、最後の抵抗としてのびあがりは付いてきていた人間、犬山まなを狙って襲いかかる。

 

 

「こっちに来るなー!」

 

 

 その叫び声に応えたのは、ゲゲゲの鬼太郎──ではなく無数の羽音だった。のびあがりに向かうその羽音の正体は、スズメバチの大群。のびあがりの身体に噛み付くとのびあがりは痛みに悶えているかのように身体をくねらせた。

 

 

「【金蛇】!」

 

 

 そしてのびあがりの背後から聞こえてきた、ゲゲゲの鬼太郎では無い男の声。のびあがりが振り向いた途端、鉄の蛇が身体に噛み付き空からやって来る誰かに目玉を殴られた。

 

 飛来してきたそれは、腕に宿した鉄の蛇を消して地面に転がり落ちると体勢を整えてのびあがりに視線を向ける。のびあがりに集っていたスズメバチの大群が男の元へと集まり霧散していったあと、のびあがりは何時の間にか居たゲゲゲの鬼太郎を視界に捉えてしまった。

 

 

「指鉄砲!」

 

 

 指から発射された霊力の弾丸が、のびあがりの目を撃ち抜き爆散。のびあがりは力を失い消えていくと、工事現場に現れた男は大きく息をついて鬼太郎とまなに顔を向けた。そこでまなは、奇妙なものを目にする。

 

 現れた男の額には、天に向かって伸びる2本の角が生えていた。

 

 

 




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