閉じられている瞼の隙間から光が差していた。その明るさに唸り声をあげて寝相をうっていると、近くでスマホのアラームが鳴った。重い瞼をゆっくりと開けると、知らない天井が見えていた。──そーだわ、昨日確かゲゲゲの森に入ってこのツリーハウスに泊まったんだったわ。
上体を起こして、凝り固まってる身体を動かせば骨の鳴る音が聞こえる。流石に床に直で寝転がってたらこうもなるわな、口の中も濯ぎたいし顔も洗いたい。そう思いながら鬼太郎が寝ているであろう場所に視線を向けた。どうやら既にお目覚めらしい。
「よぉ、起きたか」
「貴方、何でここに?」
「それなんじゃがな鬼太郎、どうやらこの矢を射った者について知っておるらしいのじゃ」
鬼太郎の傍に居た目玉のおやっさんがそう答えた。こっちも幾らか質問していきたいが、その前にこの口ん中と顔をどうにかしたい。
「あー、その前に良いか? 顔洗って口を
「それなら梯子を降りた先にある。ちょうどいい、鬼太郎も顔を洗ってきなさい」
「はい、父さん」
この身長では少々手狭な高さではあるが、伸ばさないとやってられない。腰の辺りをボキボキと鳴らし、すだれがあるだけの出入口に向かって歩いて外へと出ようとした途端、誰かと頭をぶつけた。
「あだっ!?」
「痛っ!?」
イッテェ……マジで痛てぇ。口というか歯が痛てぇ。痛みに悶えながらぶつかって来た奴を見ると、向こうとも視線が合った。かなりの美人さんだが、はてコイツ誰だ。
「いったぁ……何なのよ、もう……!」
「大丈夫か2人とも?」
「歯が痛てぇ……あぁ嬢ちゃん、ぶつかって悪かったな」
「えぇ、こっちこそごめんなs──って、なんで人間がここに居るのよ?」
まーこういう反応は出るわな。
「その前に顔とか口を洗わせてくれ、そのあと説明すっから」
「ちょ、ちょっと! アンタ誰なのよ!?」
あとで答えるんだから少し待ってくれよと思いつつ、ツリーハウスを降りてすぐの所にある水場で口をゆすぎ、顔を洗う。で、タオルとか持ってきてなかったので仕方なく着用している服で顔の水気を拭った。
一通りやることやって、再度ツリーハウスへと戻り妖怪達の視線を浴びながら床へと座る。取り敢えず先にやる事と言えば、自己紹介か。なんて思っていたら目玉のおやっさんが質問をして来た。
「では改めて聞こうかの。お主が何者なのかを」
「あいよ。ま、そこの鬼太郎と目玉のおやっさんは一応俺が何なのか知ってるが……改めて正体でも明かそうかね」
自身の体内にある力を活性化させて、姿を変える。額の一部がせり上がるものを感じ伸び切ったと体感したところで、妖力の活性化を止める。
「ま、名乗らせてもらうぜ。俺は
「ほぉ、鬼か……にしては若いな」
部屋の中に居る老婆がそう言った。若いと言われても特には気にしていない、言われる可能性は予想していた。
「そりゃ、生まれてまだ26しか経ってねぇもの」
「若っ!?」
ぶつかってきた嬢ちゃんがこの場に居る妖怪たちの内心を代弁する。そういや妖怪の歳って見た目とは裏腹に長いんだっけか、どんぐらい生きてんだろ。
歳のことはさておいて、次は向こう側の自己紹介に入る。鬼太郎に目玉のおやっさん、子泣き爺と一反木綿に関しては改めて紹介という形になり、次いで猫娘に砂かけ婆、ぬりかべを紹介してもらった。
しかしまぁ、本来都道府県ごとに伝承が伝わってる妖怪達がぞろぞろと居るもんだ。ゲゲゲの森は集合場所か避難場所かなんかか?
そんでもって自己紹介が終わって、次の話題に。俺は持ってきていた2本の矢を机の上に置き、自分が置かれている状況を説明する。のびあがりを追っていた時に式神が祓われ、この矢で狙われたりしたことを一通り言い終えたが、俺を見る目には懐疑心が含まれている者も居た。
「ま、疑わしくもあるだろうし。証拠という訳じゃないが、俺が本当のことを言ってる証明をしようか────【マルバツダタラ】」