「さて、なんとかトリニティの敷地内まで逃げ切れたっすね。ここまで来れば奴らも追ってこれないはずっす」
廃墟を後にした私達は、そのまままっすぐとトリニティにまで逃げてきた。
今はヒフミちゃんと集合したいつもの噴水辺りのベンチで休憩している。
「みなさ〜ん! お薬を持ってきましたよ〜!」
少し休んでいると、セリナちゃんが救急箱を持って走ってきた。
「セリナちゃん、ありがとうございます!」
「流石セリナちゃん、準備が早いね。私達は後で良いから、先にこの子の治療をお願い」
「わかりました!」
この中で一番ダメージの大きい少女の治療を優先するようにお願いすると、セリナちゃんはそれを了承し、少女の治療に当たる。
「それで、君のことを教えてほしいな」
少女の方に向き直り、少女のことを聞く。
「えっと……わ、私は
「メリーちゃん、だね。どこの学校の子?」
「その……エィン中学校……です」
「そっか、まだ中学生だったんだね」
それからもメリーちゃんのことを聞いた。
今回の件について聞いてみると、トリニティの図書館に行こうとしてた途中で不良たちに拉致されたとのことらしい。
トリニティ生と間違われたのだろうか?
私とかと同じように白い翼もあるし、どこかいいところの子供って言われても違和感ないくらいに可愛らしい子。確かに間違われてもおかしくはない。
真相はどうあれ、無事に助けられることができてよかった。
「あ、そういえば。これ、メリーちゃんの?」
ふと思い出して、ポケットからブラックマーケットで拾った懐中時計を取り出し、メリーちゃんに見せた。
「わ、私のです……!」
「そっか、それじゃぁ……はい。もう落とさないでね」
メリーちゃんに懐中時計を差し出すと、それを受け取ったメリーちゃんは大事そうに握りしめる。
「その、今回落としたのはわざと……ですけど……」
「わざと?」
わざととはどういうことだろうか?
その疑問に答えるかのようにメリーちゃんが話を続ける。
「えっと……この時計には過去を記録する力があって……その、助けを呼ぶため……に……」
「過去を記録する力……?」
「うん……えと、私が見たこととか……体験したことをその時計を使って見せてあげることができるの……」
「そ、そんなことが……」
「うーん、なかなかオカルトチックな話っすね~」
私はあまりピンと来てないが、ヒフミちゃんとイチカちゃんはなんとなく理解できているようだ。
多分、時計に触れた時に見えたあの夢がそうなんだろう。実際に起こった出来事、それを私に見せてくれた。
うん、なんとなくわかった気がする。
「でも、一部の人はそういう特殊な能力を持ってるっていう噂もありますよね」
セリナちゃんの言葉の後、近くから視線を感じたので視線の方向を向くとヒフミちゃんと目が合った。
そういえば私も能力持ちだった。
確かに私も噂としては聞いたことがある。稀に不思議な力を使える生徒が現れることがあるって。
確か、ティーパーティーの一人が同じように特殊能力を持ってるんじゃないかって噂もあったような気がする。
自分自身っていう前例もあるし、そういうアイテムがあってもおかしくはないのだろう。
「でも、そういうの言っちゃっていいんすか? 私達がどうこうしようって気はないっすけど、下手に喋らないほうがいいんじゃ……」
「お姉さん達は話しても大丈夫って思ってるから……えっと……」
「あ、私達のほうが自己紹介まだでしたね。私は仲正イチカっす。イチカって呼んでくれていいっすよ~」
「阿慈谷ヒフミです! よろしくお願いします、メリーちゃん!」
「鷲見セリナっていいます。トリニティで救護騎士団をしてるので、怪我をしたら遠慮なく来てくださいね?」
「黒崎ミソラだよ。よろしくね、メリーちゃん」
私達の名前を呼ぼうとして詰まったところで、そういえばこっちの自己紹介してなかったなとそれぞれが自己紹介を始める。
「えと……イチカさんにヒフミさん……セリナさん……それとミソラお姉さん……うん、覚えた……」
それをメリーちゃんは復唱するように口ずさむ。
「というより何で私だけお姉さん?」
「えと……駄目……でしたか?」
「駄目じゃないけど……」
きゅっと袖を掴んで上目遣いで見られてしまっては駄目とも言えない。元より言うつもりもないけれど。
「ミソラさん、懐かれちゃったっすね~」
「懐かれたんだ?」
理由はわからないが懐かれたらしい。
取り敢えず試しにと頭を撫でてみると、嫌がる素振りもなく気持ちよさそうに目を細めている。
「はい、治療終わりました! メリーちゃん含めて皆さん特に大きな怪我もなかったので、少し日にちが経てばすぐ完治するかと思います」
「うん、ありがとう、セリナちゃん」
「えと……ありがとうございます」
メリーちゃんも小さく微笑みながらお礼の言葉を述べる。
「それで、メリーちゃんはこれからどうするんですか?」
「疲れたから……今日は帰ろうかな……?」
「んじゃ、ミソラさんが家まで送ってあげてくださいっす。帰りに何かあってもいけないっすから」
「うん、わかった」
こうして何故か懐かれた私が家まで送ることとなった。
「ここが君のお家?」
「う、うん……」
あれからみんなとは解散して、私はメリーちゃんを家まで送っていた。
「それじゃ、私はここで……」
「あのね、お姉さん……」
「ん?」
メリーちゃんとも別れて家を後にしようとしたその瞬間、メリーちゃんに呼び止められ振り返る。
「これ……」
1枚の小さな紙切れを差し出され受け取った。
受け取った紙を見てみると、そこにはメリーちゃんの名前と電話番号が書かれていた。
「何かあったら、私も頼ってね……? お姉さんの過去を見て、お姉さんのことは信頼できるって思ったから……」
「過去を……見て?」
過去を見たとはどういうことだろう?
あの懐中時計は人に過去を見せるアイテムだったはず。
「うん……その、私自身にも能力があってね……? 人の過去を見ることができるの……。」
「人の過去……」
「だから……あのとき咄嗟にお姉さんの過去を見ちゃって…………トリニティでいっぱい人助けしてるって知って、お姉さんのこと……信頼できる人なんだって……。その……トリニティに入学する前の記憶が見えなかったのは……初めてだったけど……」
どうやら、私のトリニティでの日常を見て、信頼できる人だと思ってくれたらしい。
過去を見る能力、私が正実や救護騎士団含め色んなところでお手伝いをしてることを知ってる辺り本当のことなのだろう。
でも、最後の部分はどういうことだろう?
「トリニティに入学する前が見えなかった?」
「うん……どうしてかはわからないけど……」
私の過去に何かがあるというのだろうか?
トリニティ入学前の記憶、はっきりとは思い出せないけど、普通に勉強したり普通に友達を作ったり、目立ったものもない普通の学生生活を送っていたはずだ。
特別、何かがあるとは思えない。
「疲れてるから……?」
「うーん……そうなのかも……?」
疲れてるから能力が上手く使えない、可能性としては考えられる。
私の能力とかはその影響は顕著に現れる。
それと同じように、彼女の能力も疲労によって制御が難しくなったりするのかもしれない。
今回みたいな事件だと、その疲労は大きいだろう。もし違ったらその時はその時。
今は、私に楽しいとか嬉しいを教えてくれたヒフミちゃん達と一緒にいたい、それが今の望み。
それに、私のことについては、時間が経ったらいずれ分かると確信している。どうしてかはわからないけど、直感がそう言っている。
「とりあえず、私のことを信じてくれてるっていうのは理解した。だから、これからも頼ってくれていいよ」
そう言って私はスマホを取り出す。
「モモトーク、ある?」
「交換してくれるの……?」
「うん、交換しよう」
「えへへ……ありがとう……!」
モモトークを交換すると、メリーちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
うん、やっぱり笑顔が一番。
「それじゃあ、今日はここで、かな」
「うん……ありがとうお姉さん……♪ お姉さんも気を付けて帰ってね……?」
「うん、ありがとう」
メリーちゃんとはここで別れて私も家に……あ、そういえばもう一つ気になることが
懐中時計に触れた時の記憶、メリーちゃんが拉致されてる姿を見る前に見たもの。
内容はよく覚えてないけど、色々と文字化けしてて覚えててもよくわからなかったような記憶がある。
「最後に一つ聞いていい?」
「なぁに、お姉さん……?」
「メリーちゃんの見る過去って文字化けしてたりする?」
「え…………文字化け? ……なにそれこわい……」
うん、だよね
実は能力者のメリーちゃんです
本編で明確に能力として描写されてるのってセイアくらいじゃな……セイア実装はよ(?)
セイアくらいですよね
他にも能力っぽい力使ってる子はたくさんいますが、能力の扱いはされてないんですよね
メリーちゃんはあまり人と話せなさそうな雰囲気が出てますが、実はそんなことはありません。
確かに、喋るのはあまり得意ではないのは確かなのですが、彼女の性格を知ってる人はほとんど好意的に見ています。
そのあたりは、今後の展開でわかっていくでしょう
メリーちゃんロリっ子みたいな雰囲気出てるけど一応ココナとかイブキよりは年上なんだなぁ
と、あまり話す話題も思いつかないので今回はこのあたりで
次回もよろしくお願いします