ブルーアーカイブ 〜欠片の物語〜   作:眠り狐のK

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のーしでかいたからへんなところありそう(しみじみしじみ


10話 お茶会

 トリニティのとある一室、そこで3人の少女が話し合いをしていた。

 

「して、今回ここに集まって貰ったのは他でもない。我が同志であるカレンより提案があるとのことでこの茶会を開かせて貰った」

 

 三人のうちの一人、金色に輝く長髪を靡かせながらその朱色の瞳で二人を見る。

 

「も〜、リエちゃんってば、本来の喋り方のほうが絶対可愛いのに、またそんな喋り方しちゃって〜」

 

 カレンと呼ばれた少女はその肩まで伸びた紅い髪を揺らしながらその銀色の瞳で金髪の少女、リエを見つめ返す。

 

「む? 我はこれが普通だぞ?」

「またまたそんなこと言っちゃって〜。ルアちゃんからもなにか言ってよ〜」

 

 カレンはそう言って三人のうちのもう一人、金色の瞳に長い銀髪の落ち着いた雰囲気を出している少女に話しかける。

 ルアと呼ばれたその少女は、その手に持ったタブレット端末を操作してその画面をカレンに見せる。

 

「なになに、『ティーパーティーとしてのリエはずっとこれだから仕方ない』って? まぁ〜、そうなんだけどね?」

「んん、それはともかく、提案の話に戻ろう」

 

 リエはわざとらしく咳払いをし、話を戻そうと本来の話題について切り出す。

 

「もぅ、今回はそこまで真剣な内容じゃないんだけどなぁ〜」

「ティーパーティーとしての話なら真剣にいくぞ? 今のホストは我だからな、適当に決めるわけにもいくまい。規則に関わることなら尚更だ」

「あはは……規則に関わるかはともかく、それじゃあ話すね?」

 

 カレンは苦笑いを浮かべながらも話しだした。

 

「みんなは、この前のあの子の話はもう知ってる?」

「あの子……というと最近カレンお気に入りの期待の新人君の話か?」

「うんうん、その黒崎ミソラちゃん! この前は不良に誘拐された中学生を助けたんだって!」

「あぁ、その話なら我も把握している」

『うん、私も知ってる』

 

 リエはその真剣な眼差しを崩さずに、ルアもタブレット端末の画面を見せながら軽く頷いて同意する。

 

「あの子っていい子だよね〜! 普段から色んなところお手伝いしてるんだよ?」

「正義実現委員会に救護騎士団、その他の部活にも顔を出しているそうじゃないか」

『図書館の仕事もお手伝いしてくれて助かってるって図書委員会の子からも聞いてる』

 

 それぞれの話を聞いてカレンは満足気な表情でうんうんと頷く。

 一通りの話を聞き終わると、カレンはその表情を少し真面目な表情に変え、話を続ける。

 

「でね、そういうこともあって、色んな部活から勧誘されてるみたいなんだけど、全部断ってるらしいの」

『今みたいに色んな部活のお手伝いしたいから、かな?』

「ルアちゃんせーかい! 私も正実の子から聞いた話なんだけど、そーいうことらしいの。まぁ、正確には色んなことを学びたいから色んなことがしたいってことみたいなんだけどね〜」

「ふむ……確かに、どこかに所属してしまえば、そこを優先して活動しなくてはいけなくなる。そうなれば今みたいな活動もしづらくなるであろうな」

 

 ルアとカレンの二人はリエの言葉にうんうんと頷く。

 実際のところ、彼女はトリニティの部活を手伝っているという他に、正実の手伝いの一環でブラックマーケットにパトロールに行ってるだの、個人的にゲヘナやミレニアム等にも遊びに行ってるだの、流れてくる噂からだけでもその行動範囲の広さが伺える。

 その好奇心ゆえの行動力だけで言ってしまえばゲヘナの生徒にも負けず劣らずと言ってしまってもいい。

 幸運なのはその行動力のほとんどが善行に使われているということである。

 

「でもさ、やっぱりお手伝いって枠だと出来ない仕事とかもあるじゃん?」

「それは当然であろう? 素人に手伝わせられる仕事には限度がある」

 

 当たり前の事を言うカレンにリエは首を傾げる。

 部活・委員会として活動している内容を部員以外の人間がするのは本来あまりよろしくない。

 特に、正義実現委員会や救護騎士団等、そこの所属だからこそ任せられる仕事というものもある。

 そういうものは、基本的にそのために専門的な知識が必要だったり、その場その場で取るべき行動というものがある。それを、あまり把握できていない素人にやらせてしまうのは、それ自体が失敗を引き起こすリスクになり得る。

 更には、それで失敗した場合に誰が責任を取るのか、なんて話にもなってくる。

 そのため、部員以外の人間にあまり深い部分の仕事までやらせてしまうのは好ましくない。

 

「けど、私としては今回の件もあるし、少なくとも正実の仕事はもっと難しいやつもお願いしちゃってもいいと思うんだよね〜」

『図書館の仕事は専門的な部分もある程度任せてるみたい。私もあの子なら大丈夫だと思うし』

「ルア……」

『だって人手不足だし……』

 

 ルアの話を聞いたリエはルアを少し睨むように見る。

 

「も〜、リエちゃんは相変わらず規則規則にうるさ過ぎ! それに、委員会の仕事を他の子に手伝わせたら駄目なんてルールもないでしょ?」

「カレンは規則にないことだからといって許容しすぎなのだ。少しはリスクとかも色々考えてだな……!」

 

 リエの態度にカレンがジト目を向けながら噛みつくように反応する。

 そして、リエもカレンの言葉に反論を返し、そのまま二人の言い争いが始まりそうになったその瞬間

 

 

 

 

 

トン……トン……

 

 

 

 

 

 ゆっくりと机を指で叩くような音が聞こえた。

 その音を聞いたリエとカレンの二人は黙り込み、音の正体であるルアの方を向く。

 

「え……と、ごめんね、ルアちゃん」

「んむ、私も冷静さが欠けていた」

 

 2人の謝罪を聞いたルアはゆっくりと目を閉じてこくりと頷いた。

 

『こういうことがたまに起こるから、規則のことはリエ担当、規則外のことはカレン担当って決めたんでしょ?』

「うむ、そうであったな」

「あはは……そうだね」

『それじゃ、話を続けよう。二人とも、紅茶飲んで深呼吸』

 

 リエとカレンはルアの言われる通りに紅茶を一口飲んだ後に、ゆっくりと深呼吸をする。

 そして、冷静になった二人は話を続ける。

 

「それで、とりあえずあの子のことは二人共大体わかったでしょ?」

『うん、それで、ミソラちゃんにもっと色んなことをさせてあげたいってことだよね?』

「うんうん!」

 

 ルアの言葉にカレンは肯定を返す。

 

「ふむ……まぁ、元正義実現委員会委員長のカレンと、元図書館と古書館の管理人のルアがそこまで評価しているなら、能力としては問題ないのであろう。しかし、どうするつもりなのだ?」

 

 リエは顎に手を当てて考えるように呟いてはカレンに聞き返す。

 リエとしては、黒崎ミソラにそれだけの能力はあるということは理解した。そして、彼女のためにももっと多くの経験をさせてあげたいというのも理解した。

 しかし、そのために何をしようとしているのかが読めない。

 

 元々、リエ自身には規則に対しての理解が深く、判断力はある。

 故に、トリニティのトップとして、みんなの模範として規則に基づいた行動ができ、彼女自身も規則に関しては厳しく見ている。

 その代わりに、彼女は規則にない部分のこと……簡単に言えば新しい規則を考える事に関しては得意ではない。

 その逆に、カレンは新しい風を吹かせることが得意だ。

 しかし、その代わりに規則に関しては割と適当な部分があり、どちらかというと感情的に動くことのほうが多い。

 そんなこともあり、先程ルアの言った通り、リエが規則を管理し、カレンが新しい提案をするという関係性が出来上がっていった。

 

「それじゃ、ここからが本題だね」

 

 カレンは椅子から立ち上がり、机に両手をついて身を乗り出すようにして二人を見つめる。

 

「二人共…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  あの子のための部活を作ってみない?」

 

 

 


 

 あの後、メリーちゃんとは別れて自宅に戻った。

 結局、夢については何もわからなかったけど、自分自身もほとんど覚えてない夢の話だから別にいいかなとも思ってたりする。

 あれから数日、特に変わったこともないいつも通りの日常に戻っていた。

 

「ん……んん……」

 

 私はベッドから腰を上げて、登校の準備をする。

 いつも通り身支度を整えて、バッグの中に今日使う予定の教科書やノート、筆記用具なんかを詰めていく。

 

「ん……?」

 

 充電していたスマホを手にとって画面を見ると、一つのメールが届いていたことに気づく。

 なんだろうと思い、そのメールを開いてみる。その件名は……

 

「……『ティーパーティーからのお茶会へのお誘いについて』?」

 

 

 


 

「えぇ!? ティーパーティーからお誘いされるなんてミソラちゃんすごいです!」

 

 あのメールを確認したあと、学校でそのことをヒフミちゃんに話してみたら驚かれた。

 そのあたりあんまり詳しくないんだけれど、ティーパーティーのお茶会に誘われる人ってあんまりいないんだっけ

 

「でもどうして突然こんなお誘いが来たのでしょうか?」

「うーん……なにかやらかしたとか?」

 

 といってもなにかやらかした覚えはない。

 強いて言うならメリーちゃんのときの独断行動とかくらいだが、あの件に関しては正実のハスミ先輩から不問にしてくれるって話があったから大丈夫なはず。

 

 となればあとは何があるのだろうか。

 ゲヘナに遊びに行ってることとか……いや、問題を起こしたりはしてないから大丈夫だと思う。となればブラックマーケットに遊びに行ってることがバレたとか?

 

「まぁ、呼ばれたからには行かなきゃだね」

「ミソラちゃんなら大丈夫です! ミソラちゃんは優しくていい子ですから!」

「ん、うん、ありがとうヒフミちゃん」

 

 こうやってヒフミちゃんに褒めてもらえるのは素直に嬉しい。

 

「じゃあ、ちょっと行ってくるね」

「はい! 頑張ってくださいね!」

 

 一体何を頑張るのだろう、と首を傾げてしまったが、とりあえずは行ってみよう。

 

 そういえば、トリニティの生徒会長はどこの分派のも会ったことがない。

 一人は私やメリーちゃんと同じように能力を持ってるなんて噂は聞いたことがあるけど、それ以外の情報は知らない。

 いや、もう一人は元々正実の委員長をしてたってイチカちゃんが言っていたっけ。

 

 とりあえず、どんな人達なのか、どんな話をされるのか、行ってみたらわかるだろう。

 

 こうして、私はメールに示された場所まで歩いていった。

 

 

 


 

 約束の時間、私は呼ばれた場所に辿り着いた。

 正直、ティーパーティーが使ってる部屋とかにも来たことがなかったから、この辺りも初めて見た場所となる。

 見た目としては特に特別感とかもなく、トリニティの他の場所とそこまで変わらない。

 変わっているのは、ティーパーティーの人間しかあまり出入りしないのか、人の声が少なく、他と比べて圧倒的に静かというくらい。

 私は、指定の部屋の扉をノックして部屋に入っていった。

 

「失礼します」

「おっ、来たね!」

 

 部屋に入ると、そこには丸いテーブルを囲む様に3人の少女が座っていた。

 

「じゃあまずはアイスブレイーク! のまえに自己紹介だね! 私は見神カレン! ミソラちゃんのことは正実のみんなから聞いてるよー!」

 

 元気いっぱいに笑顔を向けて手招きしてくれてる人は見神カレンというらしい。

 銀色の瞳に肩まで下ろした紅い髪、身長は自分と同じくらいだろうか。

 頭の上のヘイローは炎の輪のような形をしている。

 その元気な姿は天真爛漫という言葉が似合うだろう。

 

「んむ、我は朝陽リエ、よろしく頼むぞ」

 

 もう一人の特徴的な喋り方をする人物は朝陽リエ。

 長い金髪に朱色の瞳を持ち、両手には黒い手袋をしている。手袋の片方には炎のような模様が描かれていて、そこも特徴的。

 ヘイローの形は日輪を彷彿とさせる形になっている。

 その見ただけでも厳しそうと思わせるような目と、言葉遣いから威厳?のようなものが見える。

 

『私は夜神ルア、よろしくね』

 

 最後の一人、タブレット端末を操作して自己紹介をしてくれている人物は夜神ルア。

 私より一回り小さく、長い銀髪に金色の瞳でこちらを見ている。頭の左側には百合の花を付けており、背中にはその身体を覆い隠せてしまうのではないかと思わせるほど大きな白い翼がある。

 ヘイローは青を纏うように白く、その形は人魂を連想させる。

 意思疎通をタブレット端末で行っているところからして、彼女は喋れないのだろうか。

 

「して、アイスブレイクは必要なのか? 我らは彼女のことはある程度知っているが……」

「も〜、私達は知っててもこの子が私達のことあんまり知らないでしょ? あ、席はここに座ってね? お茶とケーキも用意してるから! このケーキね、リエちゃんが作ったんだよ? すっごく美味しいんだから!」

 

 カレンさんが私の手を引いて招いてくれてるので、言われるままに席に座る。

 ケーキもせっかく用意してくれたので、いただきますと手を合わせてから一口食べる。

 うん、美味しい。

 

「じゃあ私達のこともうちょっとだね話しちゃおっか。私はね、元々正義実現委員会の委員長をしてたんだ~。だからもしかしたら私のことは名前くらいは知ってたかな?」

 

 カレンさんのことは名前は知らなかったけど、委員長が生徒会長になってティーパーティーの一員になったという話くらいら聞いたことがある。

 

「でねでね、ルアちゃんは元々図書館とか、古書館の管理をしててね、それもあって色んな本を読んでるから、色々なことを知ってるんだよ!」

 

 ルアさんのことは図書委員の人からは聞いたことはなかったけど、管理者の欄がに書いてあった名前が横線で消されてるのを見たことがあったから名前だけは知ってる。

 今の古書館はウイ先輩が引き継いで管理してるんだったかな。

 

「それで、リエちゃんなんだけど、こう見えて料理がすごく上手なの! 今度機会があったら食べさせてもらうといいよ!」

「んん、まぁ、機会があればな。カレン、そろそろ……」

「あ、うーん。あんまり時間を取らせるのも悪いっか! じゃあ本題に進むね!」

 

 カレンさんは椅子に座り直してから、本題へと入りだす。

 

「ミソラちゃん、部活を持ってみない?」

「部活?」

「カレン、話が飛躍しすぎだぞ。我が順に説明しよう」

 

 

 

〜〜〜時は遡り〜〜〜

 

「して、どういうことか説明して貰おう」

「どういうことって言葉の通りだよ? あの子のための部活を作って、その仕事の一環としてもっと幅広くお手伝いできるようにするの!」

「あぁ、言いたいことはわかった。だが、どうするつもりだ? 流石に、彼女一人だけの部活を作るわけにはいかないぞ?」

 

 カレンの言いたいことは、ミソラの普段の活動を部活動として正式なものとし、活動させることによって彼女のお手伝いの幅を広げようというのだ。

 ティーパーティー公認という後ろ盾があれば、他の部活も今よりもお願いしやすくなるだろう。

 

 だが、これには問題がある。

 その1つが人数に関してだ。

 部や委員会として活動するにあたって、規定人数というものが存在する。

 既存の部活とは別で新たな部活を作ること自体は可能だが、規定人数に達していない部活を公認するわけにはいかない。

 

 例外として、後々規定人数まで部員を増やすという契約を取り付けてその活動を認めるケースは存在する。

 しかし、他の部活はまだしも、ミソラを基準として作られた部活に他の人間を安々と入部させるわけにはいかない。

 ただ部活の手伝いがしたいだけなら今のミソラみたいに個人でやればいい。

 逆に、下手に権限をつけてしまっては、それ故の問題が発生するリスクともなってしまう。

 

「確かに、リエちゃんの言いたいことも分かるよ? ミソラちゃん以外の子に同じ権限つけて悪用されるリスクが怖いんだよね? まぁ、そこは一旦入部だけさせて今のミソラちゃんと同じようにやってもらって、信頼出来るようになったらっていう形にするとかでもいいけど、そもそも私達から支援するって形で出来た部活で部員集めしろって言うのもなんか違うしね〜」

「うむ、それに、そもそも黒崎ミソラ以外にあそこまで積極的にボランティアしようとする人材が見つかるとも思えんしな」

「ううん、いるよ」

「なに?」

『トリニティ自警団……だね』

「そのと〜り」

 

 トリニティ自警団、彼女らはそれぞれが個人で考え、自らの信念の元活動している団体。

 まぁ、グループで活動している訳ではなくそれぞれが勝手に自警団員を名乗ってパトロールしたり人助けしてるだけなので団体かといえば微妙なところではある。

 

「まさか……自警団を正式な部活にしようとしているのか?」

「そーいうこと! ある程度実績はあるんだし、新しく部員を見つけるより手っ取り早くて信頼も置けると思うんだよね!」

「ふむ……だが、自警団を公認とすることに我々にどんなメリットがある? 我々には正実がいるだろう?」

 

 リエの言葉を聞いた瞬間、カレンは真剣な顔になり、そのまま話を続ける。

 

「……二人はさ、正実の弱点、知ってる?」

「弱点?」

 

 二人は顎に手を置くようにして考えるが、数秒考えた後、首を振る。

 真剣な顔をしているときのカレンは適当なことは言わない。

 そして、その弱点というのはきっと、元々正実のトップにいるからこそよくわかっていることなのだろう。

 

「その弱点はね、正実が私達の傘下にあるってことだよ」

 

 二人の頭の上にハテナが浮かんだ。

 なぜそれが弱点となりうるのだろう? そう感じて数秒、リエがなにかに気づいたように顎に手を当てる。

 

「私達の傘下にある、それ即ち、その活動に政治的な部分も付き纏ってくる。つまり、それ故に行動が制限される……ということか」

「そう、私達の指揮下にいる子達だから、基本的に私達が優先されてしまう。政治的な部分に関わる事件を優先させて、その他の事件が後回しにされちゃうことだってある。そんなときでもいくらか人員を回せるようにはしてるけど、それでも場合によってはやっぱり人手不足になる」

『実際、そんなときに自警団が動いてくれたりしてるもんね』

 

 ティーパーティーの指揮下にあるが故の弱点。

 決して、自分で考えられない訳でもなく、指示がないと動いてはいけないなんてこともない。場合によっては、現場判断で動くこともあるだろう。

 それでも、やはり政治的な部分が、ティーパーティーの指揮下にあるということが邪魔をする。

 

「私達の傘下にあるってことはそれだけで信頼を置けるようになるくらい凄く大きな要素にはなってるけど、だからこそ政治的な部分を考えた選択を取らないといけない。私達の危険と一般の子の危険だと私達を優先しないといけないし、トリニティに危機が訪れたりなんかしちゃったら、多分他の少数の子に人員を当てるのが難しくなっちゃう」

「だから、優先できない方も選べるように自警団を正式に……か」

「それに、トリニティの危機って言ったけど、もしもがあったときは多分、あの子達の判断ってすっごく難しくなるよ」

「もしも?」

「そうだね〜……たとえば、私達3人とも身動きが取れない状態になったとき、とか?」

「は? い……や、そんなこと……」

「ないって言える? 絶対に?」

 

 言い切れない。

 トリニティは生徒会長が3人いるということもあって、一人欠ければ残りの二人が、二人欠ければ残った一人が政治を進めることができる。そんな体制にはなっている。

 しかし、三人共欠けた場合のこと、そんな事は考えたこともなかった。

 

「ま、これは極端な話だけどね。そうならない為に正実の子達もいるわけだし、私達も最悪個人で何とかできる実力はある。でも、正実の子達も優秀だけど万能じゃないし、この先生徒会長になる子達がみんな私達みたいに戦えるとも限らない。だから、そんなときのことも考えて……ってあーもう、ここまで真剣な話するつもりじゃなかったのに〜」

 

 と、カレンは話疲れたのか話を途中で区切って椅子に座り直す。

 

「色々言ったけど、要は正実がカバーしきれない部分の為に自警団の活動を公認するって名目で、ミソラちゃんにもっと色んなことをさせられる環境を作ってあげたいっていうのが私の考え」

「はぁ……相当黒崎ミソラを買っているんだな、カレン。彼女、まだ1年生だぞ?」

「でも、1年生の時点でここまで色んなことをしてくれてる。それなら、この先もっと大きなことをしてくれるんじゃないかって、思うんだよね! 私も初めてあの子見た時もこう……ビビっときたし!」

 

 目を輝かせながら言い放つカレンにリエはやれやれとため息をつく。

 相変わらずの感覚的な考え、先程までの真剣な雰囲気で自分を納得させるだけの理由を述べていた人物と同一とは思えない。

 だが、既に二人の中で答えは決まっていた。

 

『私は、やってみてもいいと思う』

「あぁ、我も異論はない」

「やった! じゃあ決まりだね!」

「いや、まずは本人の希望を聞いてからだからな?」

「あ、うん、そうだね!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「と、いうことで、君の希望を聞くためにこの場を用意させて貰った」

 

 細かい部分は伏せて説明されたが、簡単に言えばそれは、自分のやりたいことをやるための部活に入らないかというお誘いだった。

 

「要は君の普段している部活の手伝いに我らの後ろ盾がついてやりやすくなる、と思ってくれれば良い」

『活動内容としては「自ら考え、治安維持や奉仕活動を行うこと」って定めてある。基本的に、ミソラさんも、自警団も、いつもやってることをやってくれればいい』

「明確に変わる部分って言ったら、普通なら任せちゃいけないような仕事でも、委員長とかの許可があればやってもいい。その代わり、一応私達からの正式な依頼って扱いになるから、万が一問題を起こした場合の対応が変わっちゃうくらいかな。あとは書類上は自警団の子達も同じ部活の仲間って扱いになるくらい! あ、でも、自警団の子達と協力して活動するか個別でそれぞれが頑張るかは任せるよ?」

 

 それは、色んなことをやってみたい自分にとってはありがたい提案だった。

 単純に、やれることの範囲が増える。

 この前のメリーちゃんの件みたいに、正実の正式な仕事という扱いにしなきゃ自分の正しいと思った行動も取りにくいなんてこともなくなる。

 

 最初は、色んなことをやりたい、色んなところに行ってみたい、それだけのことで始めたお手伝い。

 でも、続けていくに連れて、色んな感情を学ぶことができた。

 感謝されれば自分自身も『嬉しい』の感情が増えるし、褒められれば胸がぽかぽかする。

 みんなの『嬉しい』も増えて、自分の『嬉しい』も増える。こんないいことはない。

 ヒフミちゃんが困ってる人のためになにかしてあげたいって言ってるのも、セリナちゃんが怪我をしてる人を癒やしてあげたいって言ってるのも、同じだからなのかな?

 それはともかく、その『嬉しい』が増やせるなら、この提案を断る理由はない。

 でも、一つ気になることがある。

 

「それって、自警団のみんなは望んでるの?」

 

 そう、一つ引っかかったのが、自警団を公認させることに自警団自体はどう思っているのか。

 そもそも、自警団の人間は正実のやり方や雰囲気が合わなかったりだとか、元々団体での活動や縛られるのが苦手という生徒が個人で自警団を名乗って活動をしている。

 

 つまり、自警団という呼ばれ方をしているが、実際のところは団体としてはほとんど活動していないのだ。

 そんな自警団の人間のみんながみんな受け入れられるだろうか?

 一部、自警団員同士で協力したり正実に協力したりしてるような人ならまだしも、ほぼ活動内容が変わらないとはいえ、個人での活動を好む者が入ろうとするだろうか?

 

「それについては心配に及ばない。自警団全員を入部させるわけではないからな」

「そうなの?」

 

 つまりは、希望した人だけ入部させる形なのだろうか。

 

「希望があった子の中で、ある程度の実績を持ってる子を入部させるの! つまり自警団の精鋭部隊って言ってもいいかな! 名付けて『特別自警部』!」

「カレン……その名前、今考えただろう?」

「えー、でも特別って感じがしない?」

「……まぁ、名前のことは置いておいて、自警団員の中でも希望があって部として活動できる生徒を入部させることになる。自警団全員とまではいっていないが、既に確認は取れてある。最低限部としても活動できる人数は集まっているし、大きな不都合は起きないだろう」

 

 なるほど、自警団の人にはもう確認は取ってたんだ。

 それなら、私の出す答えは

 

「受けるよ、その提案」

「よーし! じゃあ新生『特別自警部』始動だね!」

「あ、名前はそれで決定なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、『特別自警部』としての活動が始まった。




どうも仕事の休憩時間に執筆することがほとんどになりつつある人です
今回はティーパーティーの人達に出てきてもらいました。
というより今回のメインはトリニティ自警団が実質的に公認されるってところになりますね
さてさて、これによって原作がどう変わっていくのでしょうか、作者も楽しみです(何も考えてない)

とりあえずいま考えてるのは人選されて組まれてるこの部活にどうやってレイサを突っ込もうかってところだけなんですよ

追記
ルアのヘイローをちょっと変更させて貰いました
音符のヘイローは他に似合う子がいるなと、まぁ、レイサのヘイローも変わってたりするのでいいよね(いいよね)
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