ブルーアーカイブ 〜欠片の物語〜   作:眠り狐のK

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夏イベ中編です



14話 『天に華咲く二重奏』中編

 あれから射的屋の店員はヴァルキューレに連れて行かれた。

 

 店のことを調べたところ、ユヅキちゃんの推理通り、強力な磁力で景品台と景品を固定して指定の銃じゃどうやっても取れない設計になっていた。

 簡単に言ってしまえば落とせば景品獲得の射的屋システムで絶対に景品を落とせないようにしてお金を騙し取る詐欺を行っていた。

 小さなお菓子とか、すごく安いものに関しては磁石はついてなかったけど、それでバレないって思ってたのかな。

 駄目だよ、ゲームはフェアにいかなきゃ。

 ズルなんてしてたらこうやっていつかバレて返ってくるんだから。

 

 世界は私たちを見てる。

 良いことをしたら良いことが返ってくるのと同じで、悪いことをしたら悪いことが返ってくる。

 どうかあの店員さんがいい人になれますように。

 

「あ、ミソラちゃん、あれを見てください!」

「ん?」

 

 ふとヒフミちゃんに呼ばれて意識を戻す。

 ヒフミちゃんの指差す先を見てみるとそこには輪投げ屋があった。

 

「ほら、あれです!」

 

 そう言ってヒフミちゃんは景品台を指差す。

 景品台の上には様々なお菓子や玩具が並べられている。

 その中に一つ、圧倒的存在感を放つ景品が――

 

「「ペロロ様夏祭りバージョンだ」です!」

 

 そう、夏祭りverのペロロ様ぬいぐるみ。

 夏祭りverはありきたりと思われるかもしれないが、実は夏祭りverのペロロ様ぬいぐるみは特定の夏祭りの景品でしかお目にかかることのない何気のレアアイテム。

 似たようなものに夏verのぬいぐるみもあるし、一般的にモモフレファンに知られてるのもこちら。

 でも、夏祭りverと夏verではデザインが全く違う。

 

「これは何としてでも手に入れましょう!」

「うん、手に入れよう」

 

 私とヒフミちゃんで横並びになって輪投げに挑む。

 狙うは夏祭りverペロロ様ぬいぐるみ。

 この輪投げは輪っかを10個投げて目の前の棒にいくつ引っ掛けられるかのゲーム。

 引っ掛けられた数に応じた景品が手に入る。

 ペロロ様ぬいぐるみが置いてあるのは『9』が書かれたスペース、つまり輪っかを9個引っ掛けられたら手に入れられる。

 

「……よし」

 

 心を落ち着かせて目の前の棒を見る。

 輪っかを構えて第一投……よし、かかった

 続いて第二等……

 

「あっ……」

 

 2つ目の輪っかは棒の先端付近に当たり枠の外まで飛んでいってしまった。

 これでもうミスはできない。

 その後の第三投、第四投、第五投はうまく引っ掛けられたけど、第六投……

 

「…………」

 

 棒から少しズレて奧に落ちてしまった。

 これで2ミス、ぬいぐるみは手に入れられないことが確定してしまった。

 そして最終的な結果は10分の6、微妙な結果で終わってしまった。

 残念、ちょっと欲しかったな。

 手に入れられるまでやってもいいけど、あまりみんなを待たせる訳にはいかないし、どうしよう……

 そう考えていると、突然隣でチリンチリンッ! と大きくベルの音が鳴り響いた。

 

「おめでとうございます! 9ポイント獲得、9のところからお好きな景品を持っていってください!」

「やりましたよミソラちゃん! これで夏祭りverのペロロ様ゲットです!」

 

 ヒフミちゃんは上手くできたんだ。

 よかった、私は手に入れられなかったけど、ヒフミちゃんが嬉しそうだからいいかな。

 でも、どうせならヒフミちゃんとお揃いがよかったかも。

 

「ミソラちゃん……わかりました、私に任せてください」

「え?」

 

 そんな私の様子を見てなのか、ヒフミちゃんの顔つきが真剣なものになり、そんなことを言い出した。

 そして、獲得したぬいぐるみをユヅキちゃんに預け、輪投げ屋の店員さんに再度お金を払った。

 そこまでしてくれなくてもいいのに……そう思いながらも、止める暇はなく既にヒフミちゃんは第一投を投げ始めていた。

 

 一投目、二投目、三投目とヒフミちゃんの投げる輪っかは次々に棒に引っかかっていく。

 そして見事ノーミスで9つの輪っかを引っ掛けることに成功した。

 狙いは9ポイントのペロロ様のぬいぐるみ、最後はわざと外して見事にゲットしてみせた。

 再びチリンチリンッ! と大きくベルの音が鳴り響く。

 

「おめでとうございます! またしても9ポイント! もう一つ9の棚から持っていってください!」

「はい、どうぞ! ミソラちゃん!」

 

 店員さんからペロロ様のぬいぐるみを受け取ったヒフミちゃんは満面の笑顔で私にそれを差し出してくる。

 

「いいの?」

「当然です! これはミソラちゃんのために取りましたから!」

「むありがとう、ヒフミちゃん」

 

 ヒフミちゃんとお揃い、しかも親友からのプレゼント、これが嬉しくない筈がない。

 

「おぉ〜♪ ミソラちゃんいい笑顔〜♪」

「うん、ヒフミさんといるときのミソラさんはすごく楽しそうだから、僕達も嬉しいよ」

 

 エイリちゃんとユヅキちゃんが微笑ましそうな顔でこちらを見てくる。

 そんなに顔に出てたかな。

 でも仕方ないよね、嬉しいものは嬉しい。

 嬉しいも楽しいも、この感情は誰もが平等に持ってる感情。

 みんなのことが好き、そんな好きな人達からプレゼントを貰えるのだから嬉しくないわけがない。

 

「えへへ、喜んでくれて私も嬉しいです!」

「お姉ちゃ〜ん! 私達の分も持ってきたよぉ〜♪」

 

 いつの間にかエイリちゃんが2枚のお面を持って駆け寄ってくる。

 ほんとにいつの間に買ってきたんだろう?

 さっきまで微笑ましそうに私のこと見てた気がするんだけれど。

 

「はいこれ〜♪」

「ありがとう、エイリ。ルナゴールドとルナシルバー、僕達の色だね」

「でしょでしょ〜♪」

 

 ルナゴールド、ルナシルバー、確かルナキュアに登場するキャラだったかな。

 見たことはないけど小さな子供とかに凄い人気があるアニメなんだよね。

 月から来た謎生物と契約して魔法少女になって侵略者と戦っていくとかそんなアニメだった気がする。

 

「それじゃ、荷物も増えてきたし一旦戦車に置いてこようか」

「うん、そうだね」

 

 せっかくのプレゼントをトラブルで傷つけたりとかしてはいけないのでユヅキちゃんの提案に賛成、戦車まで戻ることとなった。

 

 


 

「ねぇねぇ、次はどこに行く〜?」

「うーん、そうだなー……」

 

 戦車に買ったものとかを降ろした後、私達は再び祭りの中を歩き回っていた。

 今のところ射的屋の件以外で大きなトラブルもなく過ごせている。

 

「ん? 向こうで喧嘩してる?」

「何かあったのでしょうか……?」

 

 そんなことを思っていたら早速トラブルのようだ。

 あそこは……確かりんご飴のお店だったかな。

 近づいていってみると、喧嘩の内容がはっきりと聞こえてきた。

 

「はぁ!? りんご飴だろ!?」

「いーや、ここは譲れねぇ。いちご飴だ!」

 

 どうやらりんご飴を買うかいちご飴を買うかで対立してるらしい。

 喧嘩するのはいいけどこんなところでやらないでほしい。

 やるならせめて誰の迷惑にもならないところで……って、目が合った。

 そして、目が合った不良がこちらに向かってくる。

 

「あんたはいちご飴派? りんご飴派? 当然、りんご飴だよなぁ!?」

「は? いちご飴に決まってんだろ!」

 

 こっちに飛び火が飛んできた。

 正直な意見を言ってしまうと

 

「どっちもそれぞれの良さがあるし、好きな方でいいんじゃないかな」

「そ、そうですよ! 喧嘩しないでみんな仲良くしましょう?」

「うっせぇ! そんな答えは聞いてないんだよ!」

 

 ヒフミちゃんも同意してくれたけど不良達にはこの答えでは納得いかなかったようだ。

 怒りに身を任せた不良は自らの銃をヒフミちゃんに向け――って

 

「危ない!」

「きゃっ!」

 

 間一髪、私がヒフミちゃんの前に出て盾になる。

 銃声と共に放たれた不良の弾丸は私の右肩に衝撃が走る。

 

「大丈夫ですか、ミソラちゃん!?」

「うん、大丈夫」

 

 心配して駆け寄ってくれるヒフミちゃんを制止して不良達の方を見て銃を構える。

 突如、二つの銃声と共に二人の不良が吹き飛ばされた。

 

「先に手を出したのはそっちだからぁ〜♪」

「やり返されても文句はないよね?」

 

 エイリちゃんとユヅキちゃんがそれぞれの愛銃を構えて隣に並ぶ。

 そして、少しの沈黙の後――動き出す。

 最初に動いたのは私。

 やる気満々と言った感じに銃を構えてくる不良三人の脳天に銃弾を撃ち込み気絶させる。

 

「くっ、こいつら!」

 

 不良達も負けじと銃弾を放ってくる。

 飛んでくる銃弾を受けてしまい、身体中に衝撃が走ってくる。

 うん、これくらいなら大丈夫。

 身体が動かなくなるレベルの攻撃じゃなければ無視してしまえばいい。

 飛んでくる銃弾、襲いかかってくる衝撃を無視して次々と気絶させていく。

 

 気づけば不良の数はかなり減ってきていた。

 エイリちゃんとユヅキちゃん、ヒフミちゃんも手伝ってくれてるから割と直ぐに制圧できそうだ。

 店とか他の人への被害もユヅキちゃんが上手いこと防いでくれてたのか最小限に済んでいる。

 

「くっ、覚えてろ!!」 

 

 残された不良達は気絶した不良を連れて逃げていった。

 

「個人で好きなの買えば平和的に済んだのに……」

 




やったねミソラちゃん!
ヒフミとのおそろが増えたよ!

ヒフミちゃんは好きなものの為なら何でもできちゃう子なんです
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