フルダイブVRMMOを遊んだら女の子にTSしてました! 女の子には染まりたくない、助けて。   作:えこだま

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12 デートじゃない!

 人が1人通れるかという下り階段をぞろぞろと進んでいく。順番はルースさん、俺、和希、星奈、パメーラさん。大柄なルースさんや和希はかなり窮屈そうだ。こういう時小さい体は快適だ。

 そんな事を思いながらしばらく進むと、広場のような場所に出た。とはいえ地下なので日の光は入って来ず、壁に掛けられた松明のゆらゆらとした光だけが唯一の光源である。

 

「暗くて中々雰囲気ありますね。私、こういうのは嫌いじゃないです」

「そうだねー、怖いよね。ムーンちゃんこっちおいで、抱きしめてあげる」

「怖いなんて言ってませんよ。あと隙あらば抱きしめようとするのやめてください」

 

 別に女の子に抱きしめられるのは嫌じゃないが、パメーラさんはなんか危ない気がする。というかもう心の中では呼び捨てでも良いか。

 

「こ、怖い……私無理ぃ……」

 

 そして星奈は俺にしがみつくのをやめて欲しい。太ってると言いたい訳じゃないが流石に体重差で重い。というか、パメーラはこっちを抱きしめてやれよと心の中で突っ込む。

 

「明るくしようか。サンレイ」

 

 和希が魔法を唱えるとまるで日が差したように明るくなり、地下遺跡の趣が何処かへ消えてしまった。

 

「雰囲気が台無しじゃないですか」

「だって暗いの見づらいし」

「まあ、こっちの方が攻略はしやすいからね……進もうか」

 

 うーん、確かにルースさんの言う通りではあるのだが。せっかくのVRMMOだから雰囲気を楽しみたいのもある。

 

「ほっ……良かった……」

 

 まあ、限界になってそうだった星奈も居るし仕方ないか。今度1人で来てみよう。

 一本道なので湧いてくるモンスターを倒しつつそのまま奥へ進んでいくと、宝箱があった。

 

「宝箱ですか。私が開けても大丈夫ですか?」

「大丈夫だよー」

「さっさと開けようぜ」

 

 許可も取れたので宝箱を開けると、文章と地図みたいなものが出てきた。

 

「なんか文章が書いてあるので読み上げますね。『異世界への扉、ここへ封ずる』……だそうで。マップはこの森のようですね」

「異世界への扉ってのはアレだな、別世界に繋がるって宣伝されてたポータルだな。そしてこのマップに示されてる場所、どう見てもミカルフのログハウスの先だよな……」

 

 うん、やっぱり戦うよこれ。全員で顔を見合わせた。

 

「どう見てもボス戦だね。今日はもう遅いし、明日の午後改めて挑むのはどうかな?」

「賛成です」

「賛成だよー」

「それが良いと思います」

「ああ、それで行こうぜ」

 

 全会一致で確認が取れたので、今日は解散となった。

 

 ◇

 

「……で、なんでパフェなんだよ」

「ほら、英気を養おうと思ってさ。こないだここで食べたの美味かったんだよ」

 

 翌日、俺は和希と先日来たデパートへパフェを食べに来ていた。一度報告とかしておきたいのもあったし、単純にもう一度食べたいのもあった。ちなみに星奈には『デート楽しんで来てね!』と茶化されて断られた。そんな訳ないっつの。ちなみに、服はこないだ買ってきたワンピースだ。理由は涼しいから。

 

「しかし、そんなに美味しいか? いや不味くはないんだけどさ、普通だろ」

「そんな事無いって。こんなに美味いじゃん」

 

 少なくとも自分の人生の中では結構な上位に入る。何故この美味しさが分からんのだ。

 

「……なあ、志月。お前まだ食べられる?」

「え? そんなに沢山じゃなければ食べられるけど。どうした?」

「いや、ちょっと気になった事があってな。奢るからショートケーキ食べてくれないか」

「はあ……まあ、別に良いけど」

 

 和希の言っている事が良く分からない。奢ってでも食べてみて欲しい程美味しいケーキなのだろうか。でも和希ってそんなに甘い物好きだったっけ?

 

「ほら、買ってきたぞ。食べてみろ」

「それじゃ遠慮なく」

 

 ショートケーキを口に運ぶ。すると……

 

「なんだこれ、めちゃくちゃ美味い……!」

 

 え、ちょっと信じられないくらい美味しい。どんどん口に運ぶ。すると、途中で和希が話しかけてきた。

 

「なあ、お前さ。女になったから甘い物好きになったんゃないか?」

 

 それを聞いて、フォークが一瞬で止まった。

 

「……そんな事ある?」

「だって志月ってそんなに甘い物好きだった訳じゃないし、ここのケーキだって特別評判が良いって訳じゃない。となると、それくらいしか考えられないだろ」

 

 いや、まさか。そんな事は。けれど和希の仮説も理屈は通っている。

 

「マジかー……凹むわー……」

「でも食べるのな……」

「だって美味しいし……」

 

 女の子に感覚が寄っていっているのは嫌だが、かと言って食べ物の美味しさには敵わない。どうしても食べ進めてしまう。残すのも勿体ないし。

 

「ほら、こう考えよう。男では味わえない美味しさを元に戻るまで味わえるって」

「まあ、前向きに考えるのは良い事だと思うぞ」

 

 ……少し憐れみを感じる表情で言われても説得力がないんだけどなあ。その後完食し、帰路に着く。

 

「それにしてもなあ……こうやってワンピース着て目を輝かせながらスイーツ食べてると、本当に女の子にしか見えないな」

「ブフォッ!?」

 

 和希の発言でつい吹き出しそうになる。

 

「馬鹿野郎、俺は女になったつもりなんてないぞ!」

「素直な感想だし。気をつけないとヤバいかもしれんぞ」

「うー……嫌だなあそれ。気をつけないと」

 

 少なくとも他人に女の子らしいとか言われるのは嫌だ。そういう行動を他人の前でするのは避けないとな。

 

 ……スイーツは1人か持ち帰りだけにしておこう。

 

 ちなみにその後、インしてきた星奈に「デート楽しかった?」と聞かれたので1発ビンタしておいた。




デートじゃない……本当かな?
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