フルダイブVRMMOを遊んだら女の子にTSしてました! 女の子には染まりたくない、助けて。   作:えこだま

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17 ギルドハウスを探せ!

 打ち上げ兼結成会翌日。

 改めて集まったメンバーはリーダーのルースさん、他は俺、和希、星奈、パメーラ。一応まだ増やす予定だが、設立メンバーはこの5人だ。そして今日はギルドハウスを探しにグラン城下街を探す予定だ。

 

「さて、どこから探そうか」

「私は噴水の近くが良いと思いますけど、多分高いですよね」

 

 噴水はグラン城下街の一番大きなランドマークで、ワープポイントでもある。確実に人気になるだろう。

 

 ちなみに、ハウスの平均的な価格は目安として公開されているが、具体的な価格は実装当日、つまり今日まで公開されていない。

 そして運営曰く人気になりそうな土地は価格が高く設定されるそうなので、ワープポイント兼大きなランドマークである噴水近くは間違いなく高い。

 

「私はもっと落ち着いた場所が良いと思うなー。確かに攻略するには便利なんだろうけど、混んで落ち着かなさそうだし」

「確かに。みんなで落ち着くならもっと郊外とかを探した方が良いかもしれませんね」

 

 パメーラの発言に同意する。みんなで集まってわいわいやりたいなら大通りは落ち着かないし。

 

「それじゃ、少し歩いて人通りの少ない所を探そうか」

 

 全員が同意して歩き始める。

 

「こうやってゆっくり歩くのも悪くないね」

「ああ。攻略ばっかしてたからなあ」

「実は私は今の大剣探す時に色んな所見たから結構知ってるんだけど、景色良いといっぱいあるぞ。きっといい所が見つかるはず」

 

 PPOは景観に力を入れているというインタビューこそあったが、まだ攻略優先でゆっくり見られていないプレイヤーはそれなりに居る。なにしろ、フルダイブVR自体が新鮮だからどうしても先に体感とかが先に来てしまうからだ。一度落ち着いたらみんな景色を見に来て欲しいなあと思う。

 

「それなら窓から遠くの景色が見える所が良いかな?」

「そうだな。あと中も2つのグループで別れる事が出来る広さは欲しい」

「あんまり狭いと息苦しいしねー」

「私は仮眠スペースが欲しいかな?」

「なら、広めなのも追加だね」

 

 各々が次々に希望を口にしていく。うーん、俺はどうしよう。

 

「ムーンちゃんは決まった?」

「いや、あんまり思いつかないというか。大体の要望はみんなが言っちゃいましたし。そうですね……」

 

 色々頭を巡らせる。俺が今欲しいもの……完全に個人的な要望になっちゃうけど言うだけ行ってみるか。

 

「えっと、完全に私が欲しいだけなんですけど、そこそこの広さの庭みたいなスペースが欲しいです」

「庭? 理由を聞かせてもらっても良いかな」

「はい。クラフトするのって自分の土地が無い場合、レンタルスペースを借りないと駄目らしいんです。だから、ギルドでクラフトスペースが確保出来ないかなーって」

 

 ギルドにスペースを作れればわざわざ土地を借りる必要がない。とはいえ割とわがままである。

 

「庭、良いな。クラフトしてない間は別の用途で使っても良いんだよな?」

「もちろん大丈夫」

「だったら庭でバーベキューとかやったら楽しそうじゃない?」

「私はムーンちゃんが欲しいならなんでも良いよー」

「そうだね。多目的スペースとしても使えると考えたらありかな」

 

 約1名の戯言を除いて各々良い感じの使い道を考えているようだ。もしかして意外と行けるかもしれない。ここで推しておくべきと本能で察した俺は更に続ける。

 

「実は、趣味のクラフトスキルを無駄にしないように装備も作ったりしようと思ってるんです。もし庭を用意してくれたら割安でクラフトしますよ」

 

 そして自身の容姿を使った渾身の美少女スマイルを作る。正直自分でもどうかと思うが、今は使えるものは何だって使いたい。

 ルースさんは気持ち笑顔が増した……気がする。

 星奈には結構刺さったらしく、可愛い! とテンションが上がっているようだ。

 パメーラはなんか気を失ってるので省略。

 和希は……

 

「おい、なんでそんな気持ち悪いものを見るような顔をする」

「いや、だってそりゃ……なあ。お前いくら欲しいからって、プライドとか無いの?」

「無い」

「即答かよ!」

 

 目の前にある物を手に入れるチャンスがあるならなんでもするべきである。例え少しの尊厳を失っても。

 

「というかその目は若干傷つくわ。そりゃまあ言いたい事は分からなくもないけどさ、明らかに引いてるみたいな目はやめてくれ」

 

 やってる事がやってる事とはいえ、和希に気持ち悪がられるのは流石に嫌だ。ここは言っておかなければ。

 

「すまん、悪かった。俺が無神経だった。今後は気を付ける」

 

 分かればよろしいと言って庭会議へ戻る。どうやら俺と和希がやりあってる間に結論が出たらしい。

 

「で、どうですか?」

「うん、良いかな。郊外なら庭付きでも予算内に収まりそうだし、せっかく買うなら良い所買いたいよね」

「やったあ!」

 

 俺はガッツポーズを決めた。正直ミカルフを倒した時より嬉しい。これで今後の快適クラフトライフが保証された。

 

 ◇

 

 かくしてギルドハウスを求めていくつか内覧をしながら郊外まで来ると、良い感じの物件が見つかった。値段は予算がそこそこ余るくらい。

 5人なら贅沢に使えるくらいの広さで、今後メンバーが増えても最高で15人くらいは過ごせそうだ。窓からは左手が陸になっている海岸を眺める事が出来る。そして広々と作業したり、集まってパーティーをしたりも出来そうだ。

 立地も少し歩けば商店街へ辿り着けるので悪くない。みんなも同じような事を考えたようだ。

 

「もしみんなが良ければ、僕はここが良いと思う」

「さんせーい!」

「うん、ここなら落ちついて過ごせそうだね。景色も良いし」

「そうだな。打ち上げとかここでやっても楽しそうだ」

「私もここなら大満足です。クラフトが捗りそう」

「決まりだね」

 

 こうして全会一致で購入する事に決まった。さっそくルースさんが購入の為NPCに話しかけた、その時。

 

「「すみません、このハウスを購入したいんですけど」」

 

 ……他のギルドとかち合ってしまった。

 

 ◇

 

 幸いにも相手も落ち着いた5人組の方々だったので、平和に話し合いが行われる事になった。

 

「こちらに譲って頂けませんか? とても好条件なんです。譲ってくれたらお金をいくらかお渡ししますよ」

「お金には困ってないんだよな。素材を融通したりするのはどうだ? 現段階だけど結構なレア素材を集めてるぞ」

「うーん……そこまでレア素材が欲しい訳でもないので」

 

 相手は準攻略ガチ勢のようで、こちらの要求と噛み合っていない。

 だが俺は突破口を見つけた。攻略最優先という事は、クラフトなどには手が回っていない可能性が高い。つまり、ここは俺の出番だ。最大限の営業スマイルを作って近づく。

 

「あの、ちょっと良いですか?」

「うん? どうしたんだい?」

「私、クラフトをしようと思っているんです。もし譲ってくれるなら、一度全員分のクラフト代を無料にしますよ」

「なるほど……確かにそれはありがたいが……」

 

 予想通り相手のギルドにはクラフトをやるプレイヤーは居ないらしい。ここで更に畳みかける。

 

「それから、全員分の希望のアクセサリーとギルド家具をクラフト代と材料費、どちらも無料で提供しますよ」

 

 ネットの反応を見る限り、アクセサリーや家具は魅力的だが自分で作るのは……という層が多い。おまけで無料のアクセサリーと家具が貰えるのは悪くないだろう。材料費も余った予算で多分足りる。

 

 そして、最後の極めつけ。正直さっき和希に引かれた時よりヤバいが、ギルドの為なら止むを得ない。

 

 一歩近づき、上目遣いで、懇願するような表情で。

 

「どうしてもここをみんなの家として使いたいんです。譲ってくれませんか……?」

 

 ◇

 

「あー、疲れた!」

 

 交渉後購入した真新しいギルドハウスの床に寝転がる。

 結果的に、相手が折れた。『こんな嬢ちゃんにお願いされたら仕方ない』そうだ。やっぱり美少女パワーすげえ……使う毎に大事なものを失っていってる気がするが。

 

「これはムーンちゃんのお手柄だね。ありがとう」

「ふふふ、もっと褒めても良いんですよ。というか褒めてください」

「ムーンちゃん、凄い!」

「ふははははは!」

 

 うん、凄く気分が良い。頑張った甲斐があるという物だ。

 

「ああ、自慢げなムーンちゃんも良いなあ……」

「ふふ、今だけは機嫌が良いから許そう」

 

 そんな風にしていると、和希から謎の視線を感じた。

 

「どうした、顔になんか付いてる?」

「いや、あれからこんなに笑ってる所見てなかったからさ。とりあえず安心したっていうか」

 

 ……言われてみればそうかもしれない。やっぱり良く見てるなあ、和希は。いつもそばに居てくれて嬉しいと思う。

 

「いつもありがとな」

「気にすんな。親友だろ?」

 

 そう言ってグータッチをした。

 

「男の友情って良いよね……」

「カリンちゃん、あの2人は男女だけど……?」

「ああいや、ほら、態度がね! ムーンはヤマトに対して男の子っぽいから!」

「あー、確かにね。それにしても、男同士の友情が良い……ね」

「私腐ってないよ!?」

「いや、まだ私何も言ってないんだけど」

 

 なんか、雰囲気を台無しにする2人組が後ろで騒いでいる。星奈、俺知ってるぞ。お前が腐った同人誌持ってるの。

 

「ま、こういうのも悪くないかな」

「どうした?」

「なんでもない!」

 

 さあ、何はともあれギルドは無事設立。そして俺のクラフトライフも開始だ!




ついに女の武器を使い出した志月。この先大丈夫なのか。
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