ハイスクールD×D ~特別番外編~   作:さすらいの旅人

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久々に出す事にしました。


プロローグ

 俺は兵藤隆誠。駒王学園に通う高校三年生の男子で、変態三人組である二年の問題児『兵藤一誠』の兄でもある。これまで生徒会や女子生徒達から度々苦情が寄せられたが、今のところは落ち着いている状況だ。

 

 もうついでにこれは表立って言える事ではないが、何と自分は人間に転生した聖書の神でもある。これを知っているのは弟のイッセーやグレモリー眷族の他、同盟を結んだ天使、悪魔、堕天使の三大勢力や各神話体系の神々、現在戦っているテロリスト集団『禍の団(カオス・ブリゲード)』等々だ。

 

 一般人達に知られないよう、日々密かに犯罪組織と戦いながらも日常生活を送っている中、放課後にオカルト研究部の部室へ来て早々――

 

「よぉリューセー、悪いがちょっと俺の実験に付き合ってくれないか?」

 

「……アザゼル、俺はお前の便利屋じゃないんだが」

 

 駒王学園の教師+オカルト研究部の顧問である堕天使総督アザゼルの実験に付き合わされる破目になり、俺は難色を示すも強制的に転移されてしまった。

 

 

 

 

「それで? 無理矢理拉致してまで、こんな所に連れてくるとは一体どういうつもりだ?」

 

 周囲を見渡しながら問う俺に、アザゼルは心外な顔をしている。

 

「おいおい、拉致なんて人聞きが悪ぃな。俺は単にお前を実験室(ラボ)へ案内しただけだぜ? 安心しな。ここは駒王学園の地下にある俺専用の実験室(ラボ)だ」

 

「地下って……リアスやソーナからちゃんと許可は取ってるんだろうな?」

 

「取ってねぇよ。言ったら絶対反対されるからな」

 

「……あのなぁ」

 

 あっけらかんに言い放つアザゼルに溜息を吐く俺。

 

 いくら駒王学園(ここ)の教師だからって好き勝手やりすぎだ。コイツの無責任なところは今に始まった事じゃないとは言え、彼女達に申し訳ない気持ちになってしまう。

 

「リアス達が知ったら激怒すること間違いないな。俺は俺で今のお前を情けなく思うよ」

 

「何だ? こんな所で説教でもおっぱじめる気か、聖書の神(おやじ)

 

「………この姿でそう呼ぶのは勘弁してくれ。今の聖書の神(わたし)は兵藤隆誠だ」

 

「おっと悪ぃ、そうだったな」

 

 前にあった三竦みトップ会談の際、俺が聖書の神(わたし)である事が知られてしまった。

 

 どうして知られたのかについては省かせてもらうが、その時は本当に大変だった。禍の団(カオス・ブリゲード)の戦闘が終わった後、あの場にいた全員が揃って俺に詰問してきた程だ。

 

 特にミカエルや天使達は人目も憚らず、聖書の神(わたし)の姿を見た途端に涙を流しまくっていた。ついでに教会出身のアーシアやゼノヴィアは顔を真っ青にしながら跪いて、「数々のご無礼申し訳ありませんでした!」って謝り続けていたし。イッセーなんかは余りの展開にポカ~ンとしていて、本当に何を言えば良いのか分からない状態だったとか。

 

 他にも色々と説明しなければいけないところはあるが、凄く長くなるのでそこも省かせてもらう。

 

「まぁリューセーの言いたい事は分かる。確かにこの実験室(ラボ)は俺が独断で作ったものだが、リアス達にそこまでのデメリットはねぇよ。寧ろメリットが大きい」

 

「と言うと?」

 

「此処は禍の団(カオス・ブリゲード)対策の為に作った場所でもある。奴らに対抗する為の発明品作成や、神器(セイクリッド・ギア)のカスタマイズも出来る。イッセーだけじゃなく、リアスやソーナの所の眷族は神器(セイクリッド・ギア)持ちが多い。アイツ等を強化するには最適な場でもあるから、こうして作ったって訳なんだ」

 

 確かに聞いてみれば一応理に適った理由だが――

 

「で、本音は?」

 

「大半は俺の娯楽だ」

 

 やはり主に娯楽目的だった為、俺は再度嘆息してしまった。

 

「じゃあ今回の実験はお前の娯楽なのか? だったら俺は帰らせて――」

 

「待て待て、すぐに帰ろうとすんなよ。今回はどうしてもリューセーに試してもらいたい事があるんだ。『並行世界』に興味ねぇか?」

 

 ………並行世界だと?

 

 すぐに転移して帰ろうとする俺だったが、アザゼルが興味深い単語を言った事で思わず動きを止める。

 

「どう言う事だ?」

 

「おっ。その反応をするって事は、やはり興味あるみたいだな」

 

「良いから早く教えろ」

 

「分かってるって。実はな、この実験室(ラボ)で並行世界の転移装置ってやつを作ってみたんだ。だが俺が試そうにも次元の狭間の力が邪魔してる所為か、転移装置が思うように作動しねぇんだ、これが。そこでだ。聖書の神(おやじ)能力(ちから)を使えば、装置が作動するんじゃないかって閃いてな。堕天使総督の俺にしては単純な考えだと思ってるかもしれないが、これしか思いつかなかったんだ。次元の狭間について知っている聖書の神(おやじ)なら何とかなると思って呼んだんだが、どうだ? 出来そうか?」

 

 ……成程な。次元の狭間は完全な『無の世界』である為、如何に堕天使総督のアザゼルであっても下手に手を出す事は出来ない。アレの生まれ故郷であるオーフィスやグレードレッド程ではないにしろ、聖書の神(わたし)もそれなりに理解している。だからその為にアザゼルは聖書の神(わたし)を呼んだという訳か。次元の狭間から発生する波動(ちから)を抑え込もうとする為に。

 

 確かに平行世界と言う物に興味はある。嘗て天界の長だった頃、独自で次元の狭間を調べてた際に様々な世界を発見したが踏み込む事は出来なかった。あの時は立場があった故に、な。

 

 もし自由奔放に動く事が出来てれば、聖書の神(わたし)は様々な世界を渡って旅をしていただろう。自分の知らない世界があったのを見た瞬間、何の迷いもなく進んでいたと断言出来る。

 

 そして転生した今はやる事があり過ぎて殆ど忘れていたが、アザゼルが平行世界の事を触れた瞬間に嘗ての頃を思い出している。

 

「……その転移装置は何処にあるんだ?」

 

「ははっ。そう言うと思って、もう既に用意してある」

 

 まるでこうなる事を予想していたかのように、アザゼルが指を鳴らした途端、俺の眼前に大きな機械が現れた。恐らくコレが転移装置なんだろう。

 

「随分と大きな装置だな。俺はてっきり小型サイズかと思ったんだが」

 

「いくら俺でも、初めて作る装置にそこまで作れるほどの技術はねぇよ。今のところ(・・・・・)は、な」

 

 今のところは、ねぇ。それはつまり時間があれば小型サイズの転移装置を作れると言う事か。堕天使になったとは言え、何とも頼もしい息子だ。

 

 俺がそう思ってると、アザゼルは早速装置の起動準備に取り掛かろうとする。

 

「んで、俺はどうすれば良い?」

 

「そこにある水晶があるだろ。それの上に手を置いてくれ。そこから次元の狭間による波動が発生するからな」

 

 この水晶か。アザゼルにしては妙な作り方をしてるが、次元の狭間に関してはどうしても必要なモノなのだろう。

 

 取り敢えず俺は言われたとおりに水晶の上へ手を置くと、準備を終えたアザゼルが此方を見てくる。

 

「リューセー、こっちはスタンバイOKだ。いけるか?」

 

「いつでもどうぞ」

 

「よし! それじゃ起動するぜ!」

 

 そう言ってアザゼルが転移装置を起動した直後――

 

 

 バチバチッ! バチバチッ!

 

 

 水晶から妙な振動と力の波動が感じた。

 

 同時にアザゼルでも抑える事は出来ないのにも納得した。確かにこれは聖書の神(わたし)でなければ抑える事が出来ないと。

 

「その水晶から出てくる波動を抑えてくれ。毎回それで装置が途中で止まっちまうんだ」

 

 よく見るとさっきまで起動していた転移装置の勢いが弱くなり始める。この波動の所為で転移装置が強制的にオフにされてるって訳か。

 

「ふむ……こうか?」

 

 聖書の神(わたし)のオーラを水晶に送り込むと、それから発する波動の力が段々弱まっていく。それとは逆に、さっきまで止まりかけていた転移装置が段々と力強く作動し始めた。

 

「よっしゃ! 思ったとおり作動してるな。リューセー、そのまま維持してくれ」

 

「分かった」

 

 次元の狭間から発生する波動を抑える為に、聖書の神(わたし)のオーラを送り続けていると――

 

 

 ビーーーーー!! ビーーーーー!!!

 

 

「っ! 何だぁ!?」

 

 突如転移装置から異常事態が発生したように赤いアラームが発生した。

 

「お、おいアザゼル。これは一体……うおっ!!」

 

 次に俺がオーラを送り込んでる水晶玉から妙な光の粒がいくつか発生し、それが身体に付いた途端、俺の意思とは関係なく両足が浮いてしまう。

 

「な、なんだこれは……!?」

 

「おいリューセー! 今すぐにオーラを注ぐのを止めろ!」

 

「も、もう止めてるって! だが水晶玉が勝手に……っておい!」

 

「なっ!!」

 

 今度は俺の頭上からとんでもない物が発生した。まるで見えない何かがチャックを開くように切り裂かれると、その先には目に悪そうな青白い空間が出現すると同時に、光の粒が付いてる俺を吸い込み始めようとする。

 

「くっ、何て吸引力だ……! この聖書の神(わたし)でも抵抗出来ない、だと……!」

 

聖書の神(おやじ)!」

 

「っ! 来るなアザゼル!」

 

 俺は助けようとするアザゼルに向かってそう叫ぶ。

 

 この空間は尋常ではない力の波動を出している上に、必死に逃れようとする俺がどうにも出来ない状態だから、下手すればアザゼルも巻き込んでしまう。

 

 今のアザゼルは非常に焦ってる所為か、俺の事を親父と呼んでいる。

 

「だがそれだと聖書の神(おやじ)がその空間に飲み込まれちまう!」

 

「俺のことは気にせず、お前は早く装置を止めるんだ!」

 

「くっ! ………仕方ねぇ!!」

 

 俺の言葉にアザゼルは自ら発明した転移装置を光の槍で破壊しようとする。

 

 折角作ったのに破壊するとは、随分と思い切った事をするものだ。多分アザゼルの事だから、壊してもまた作れば良いと思っているんだろう。アイツはかなり前向きな性格であるから。

 

 そして転移装置はアザゼルの光の槍で破壊され、やっと収まるかと思いきや――

 

 

 ゴオオオオオオッ!!

 

 

「な、何っ!?」

 

「おいおいおい!? こりゃマジでやべぇぞ!!」

 

 予想外なことに、俺を吸い込もうとする青白い空間は未だに無くならなかった。それどころか吸引力が更に上がっている。

 

 どうやらこれは少しばかり覚悟を決める必要がありそうだ。今も必死に抵抗している俺と青白い空間の距離がかなり近くて、あと少しで完全に吸い込まれてしまう。

 

「ぐっ……くっ! ア、アザゼル! イッセーやミカエル達に余計な心配をさせないよう、お前の方で上手く誤魔化しておけ!!」

 

「なっ!」

 

「心配するな! 例えどんな世界に行っても、少々時間は掛かるが次元の狭間を使って絶対戻ってくる! だからそれまでの間は――」

 

 頼むぞ、と言おうとした瞬間――

 

 

 ゴウッ!!

 

 

「うわあっ!!」

 

聖書の神(おやじ)ーーー!!!!!」

 

 青白い空間が俺を完全に吸い込んでしまった為、俺は最後まで言い切ることが出来なかった。




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