ハイスクールD×D ~特別番外編~   作:さすらいの旅人

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第九話

「改めまして、紫藤イリナです。悪魔の皆さん、私、今まで敵視してきましたし、滅してもきました。でも安心して下さい。ミカエルさまが『これからは仲良くですよ』と仰られました。実を言うと個人的にも仲良くしたかったんです。教会代表として頑張ります。よろしくお願いします!」

 

 ミカエルが言っていた通り、天使側からのエージェントとして、紫藤イリナが駒王町へ配属と同時に駒王学園へ入学する事になった。

 

 そして現在、兵藤邸でイリナの歓迎会をやろうと、グレモリー眷族一同+ロスヴァイセ、更にアザゼル+居候の俺が参加している。

 

 イリナの自己紹介にリアス達が拍手をしてる中、俺の隣にいるアザゼルが安堵するように酒が入ったグラスに口を付けていた。

 

「長年争いあってきた仲だ。突然手を取り合えと言えば不満を持つ者もいたが……お前たちが共闘してロキと戦う姿が、結果的に最高のデモンストレーションになった。お前らには改めて礼を言わねばならん。尤も、肝心のロキは聖書の神(おやじ)が倒しちまったがな」

 

「ほっとけ」

 

 意味深な視線を向けてくるアザゼルに俺がジュースを飲むと、リアス達は少しばかり苦笑している。

 

 アザゼルは堕天使側から戦士を出せなかった事に少し悔やんでいたが、堕天使も戦ったと朱乃が呟いた。堕天使の父を嫌っていたあの朱乃が、だ。

 

 その呟きを聞いた俺は、この世界の朱乃とバラキエルも関係が修復されていると改めて認識する。アザゼルもバラキエルに聞かせてやりたかったと温和な笑みを見せる程に。

 

 すると、アザゼルは急に何かを思い出したようにイッセーの方へと視線を向ける。

 

「そういやイッセー。昨日は所用で冥界に行ってたんだが、向こうでお前が大人気だぞ」

 

「え? 俺が?」

 

 イッセーが冥界で大人気? って事は……もしやアレか?

 

「アザゼル、もしかしてそれはイッセーを題材にした番組の事か?」

 

「お? やっぱ聖書の神(おやじ)のいる世界でも同じ事をやってたようだな。後でどんな内容か聞いてもいいか?」

 

「……良いだろう。で、そっちは一体どんな番組なんだ?」

 

「『テロリストから冥界を守った英雄の素顔』というドキュメンタリー番組でな」

 

 アザゼルがそう言いながら指を鳴らすと、イッセーの後ろにある大きめな薄型テレビから映像が出てくる。

 

 その内容は――

 

『おっぱいを突かせて下さい!』

 

「………は?」

 

 画像に映ってるイッセーが登場した途端に卑猥な台詞が出た。余りの展開にイッセーだけじゃなく、俺も少し呆然としてしまう。

 

『主のおっぱい突いて、ここに降臨!!』

 

 禁手(バランス・ブレイカー)したと思われる赤い鎧を纏ったイッセーの他――

 

『な、なら……おっぱい揉むだけでなく……す、吸ったりとかも……!』

 

 葛藤するように呟くイッセーに――

 

『これは、部長のおっぱいの分!』

 

 白龍皇ヴァーリと戦いながら卑猥な台詞を言って攻撃をするイッセーのシーンが映し出されていた。

 

「戦いながら“おっぱい”“おっぱい”言ってるイッセーの紹介シーンが大受けでな。『乳龍帝』と言う愛称で呼ばれている」

 

「ち、乳龍帝!?」

 

 ……ぷっ、くくく……。ち、乳龍帝っておい……。

 

 イッセーが叫んでる中、俺は必死に笑いを抑えていた。

 

「特に子供に大人気で、『おっぱいドラゴン』と言うイメージソングまで製作中だ」

 

「おい~~~!! よりにもよって隆誠さんの前でなんつー恥ずかしい物を見させるんですか!?」

 

 アザゼルとイッセーの台詞を聞いた俺は――

 

「ぷっ! あはははははははは! ち、『乳龍帝』に『おっぱいドラゴン』って……! だははははははは!」

 

 我慢の限界が訪れてしまった俺は、周囲の目を気にしないほど大笑いしてしまった。

 

 それによりアザゼルだけじゃなく、イッセー達も驚くように凝視しているが、俺は全く気にせず爆笑している。

 

「ドライグ、中々愉快なネーミングじゃないか! あははははは!」

 

『ウォォオオオオ~~~!!! よりにもよって嘗て殺しあった聖書の神に笑われた~~~~! ヌォォォオオオオオ~~~~~~!!』

 

 イッセーの片手の甲からドライグの慟哭がリビング全体に響き渡る。

 

 そうなるのは致し方ないだろう。二天龍と称されたドライグが赤龍帝と呼ばれ、多くの者に畏怖されたあのドライグがだ。慟哭するのは無理もない。

 

「よし! 今日からドライグを『乳龍帝』か『おっぱいドラゴン』と呼ぶ事にしよう!」

 

『止めろぉぉおおお!!!』

 

 俺とドライグの会話にアザゼルやイッセー達が唖然とする中、俺は只管ドライグを弄り続けた。と言っても、たった数分程度だが。

 

 

 

 

 

「あ~~、面白かったぁ~。中々ナイスな番組じゃないか、アザゼル」

 

「いや、まぁ……。番組を紹介した俺が言うのもなんだが、聖書の神(おやじ)はマジで性格変わったな。以前の堅物だった頃とは大違いじゃねぇか」

 

「一般家庭の人間に転生した上に、十数年も経てば変わるさ」

 

 天使や堕天使からしたら短い時間だが、人間になった兵藤隆誠(おれ)ではとても長く感じた。

 

 リアスやイッセー達がコッチをチラチラと見てるも、俺とアザゼルは気にせずに会話を続けている。

 

「そういや、聖書の神(おやじ)の世界でもイッセー関連の番組があるようだが、どう言うヤツだ?」

 

「まぁそっちと大して変わらない。イッセーを主役とした特撮ヒーロー番組でな」

 

「タイトル名は?」

 

「『(けん)(りゅう)(てい)』または『ファイタードラゴン』。内容としては、幼い頃から厳しい修行をしてるイッセーが――」

 

『なんだその名前はぁぁああああ!? 「乳龍帝」や「おっぱいドラゴン」なんかより遥かに良いじゃないかぁぁぁぁあああああ!! 今すぐ俺と代わってくれぇぇぇぇええええ!』

 

 俺がアザゼルに教えてる最中、聞き耳を立てていたであろうドライグが再び慟哭する。

 

 ってかドライグ、お前もう赤龍帝としての威厳が完全に無くなってるぞ。リアス達も心底気の毒そうな感じで見てると言うか、完全に憐れみの眼を向けている始末だ。俺の世界にいるドライグが知れば、元の世界に聖書の神(わたし)がイッセーの兄になって良かったと死ぬほど感謝するかもしれない。

 

「興味深い番組だな。よかったら俺達にも見せてくれないか? 勿論オフレコにするからさ」

 

「……まぁ良いだろう」

 

 ドライグの叫びを無視してるアザゼルは、俺がいる世界の番組を見せてくれと催促する。本当はそんな事をしてはいけないが、俺がこの世界で世話になっている以上はある程度妥協しなければならない。

 

 と言うのは建前で、本当はこの世界のイッセー達がどんな反応をするのが見てみたいのが本音なのは秘密にしておく。

 

 そう思いながら、俺はアザゼルの真似をするように指を鳴らすと、大型テレビが再び起動して番組が放映しようとする。

 

 そして――

 

『リーアと!』

 

『ソーの!』

 

『『魔女っ娘姉妹物語!』』

 

 テレビからは魔女服を着た幼いリアスとソーナが決めポーズをしながら番組の宣伝していた。

 

 あれ? 内容が違……って不味い! 間違ってリアスとソーナが主演してる『魔女っ娘姉妹物語』の方を再生させてしまった!

 

「な、な、何なのコレは……!?」

 

 予想外な番組が放送されてる事に、リアスはプルプルと身体を震わせていた。逆にイッセー達は幼いリアスとソーナの登場に固まっていたが。

 

『大好きなゼクス兄さまを守るため!』

 

『大好きなレヴィア姉さまを守るため!』

 

『『魔法少女となった私たちが、悪い人たちを成敗するわ!』』

 

 画面では魔法少女に変身したリーアたん(リアス)とソーたん(ソーナ)が、諸事情で一時的に魔法が使えなくなっている(サーゼクス出演の)ゼクスと(セラフォルー出演の)レヴィアたんを守ろうと、二人に迫る悪の魔法生物を魔法で一掃する。そんな二人を見たゼクスとレヴィアたんは、ありがとうと感謝の言葉を述べながら優しく抱きしめようとする。

 

『ゼクス兄さまと!』

 

『レヴィア姉さまは!』

 

『私たちが守る!!』

 

 華麗な決めポーズをとってるリーアたんとソーたんの姿に誰もが無言となってる中――

 

 

 プツッ!

 

 

「ご、ゴホンッ! す、すまない。どうやら再生するファイルを間違えてしまったようだ」

 

「おいおい、随分面白そうじゃねぇか。サーゼクスとセラフォルーが見たら即食いつくな。聖書の神(おやじ)、頼むからもうちょっと見せてくれよ」

 

 俺はすぐにテレビに映ってる番組を強制終了するように消した。アザゼルだけはもっと見せろと催促してくるが無視だ。

 

「ちょっと待ちなさいリューセー! 今の番組は何!? あなた、向こうの私とソーナに一体何をしたの!?」

 

 番組を強制終了させたが、リアスは即行で俺に詰め寄ってきた。

 

「あ、いや、そのぅ……。前に諸事情でリアスとソーナが幼児化してる時に……俺が殆どお遊びで考案した番組で……」

 

 やばい、この時のリアスには下手な誤魔化しが効かない。でも正直に言ったところで更に怒るのが目に見えてるから、何とか真実を暈していた。

 

 必死にどうしようかと悩んでいる中――

 

「お~、サーゼクス。忙しいところ悪いな。ついさっき聖書の神(おやじ)がお前好みの番組をだな」

 

「ってアザゼル! 何でお兄さまに電話してるのよ!?」

 

 スラフォを使ってサーゼクスに電話してるアザゼルを見たリアスがすぐに標的を変えた。ナイスだアザゼル。俺はその隙に逃げようっと。

 

 

 

 

 

 

 リアスから逃げれたのは良いんだが――

 

『聖書の神、いやリューセーくん。つい先程アザゼルから聞いたのだが、何とも興味深い番組を制作していたそうだね。魔王として、いや、リアスの兄として是非とも見せて頂きたい』

 

『私にも見せてくれないかな~? かな~? ソーナちゃんのお姉ちゃんとして、ものすっごく興味あるんだけど☆』

 

「………お二人さんは何処の世界でも、そう言う事に関して行動早いな」

 

 どこに仕掛けていたのかは知らないが、俺が現在使用中のゲストルームに映像(ビジョン)付き通信機から正装姿のサーゼクスとセラフォルーが現れた。

 

 アザゼルが電話で知らせてまだ大して時間が経ってない筈なんだが……コイツ等のシスコン振りは、どこの平行世界でも相変わらずのようだ。

 

 取り敢えずゲストルームにあるテレビを使って『魔女っ娘姉妹物語』の一話だけを見せると――

 

『ぐはっ! な、何て素晴らしい番組なんだ! おお、リーアたんが華麗な魔法少女に!』

 

『きゃぁぁぁああ! 変身したソーたん超可愛い~~!! こんな可愛いソーたんと共演してる向こうの私が憎い~!』

 

 吐血したり鼻血を吹いたりと、最早キャラ崩壊してるんじゃないか思うほど、見っともない姿を曝け出してる魔王サーゼクスと魔王セラフォルーであった。俺の世界にいる二人も似たような事をしていたが、な。

 

 因みに二人は番組を見終わった後、残りの話数を見せて欲しいだけでなく、更には『魔女っ娘姉妹物語』のDVDとグッズ関連を是非とも自分に売って欲しいと強く懇願された。流石にそれは不味いので、そこは丁重にお断りさせてもらったのだが、二人は諦めず必死に交渉を続けていたが。

 

 

 

 

 

 ~おまけ~

 

 

「えっと、では改めて『拳龍帝』の番組を紹介しようと思います」

 

 ある程度時間が経ってリアスがどうにか落ち着いてくれたので、俺は再びリビングに戻ってイッセー達にそう言った。因みにドライグは未だにいじけているが、そこは無視させてもらう。

 

 大型テレビに向かって指を鳴らすと、画面が再生され―― 

 

『全くもう。無茶し過ぎですよ、朱乃さん』

 

『……申し訳、ありません。あんな大見得を切っておいて、こんな無様な姿を……』

 

『そんなわけ無いじゃないですか。凄くカッコ良かったですよ』

 

『………お世辞でも、嬉しいですわ』

 

『後は俺達に任せて下さい。絶対に勝ちますから』

 

『……不思議ですわ。その言葉を聞くだけで――』

 

 またしても再生するファイルを間違えてしまった。今映っているのはグレモリーVSライザーの非公式レーティングゲームの試合内容となっている。

 

 今度はちゃんと『拳龍帝』を意識して出した筈なのに何でこうなるんだよ!?

 

 またイッセー達に何か言われ――

 

「え? 何これ!? 向こうの俺、朱乃さんにあんなキザな台詞言ったの!?」

 

「あらあら、うふふ! 私がイッセーくんにお姫様抱っこされてるなんて……」

 

 対象であるイッセーが驚くとは別に、朱乃はうっとりしながら見ていた。

 

『生憎、とっくに戦意喪失してる相手と戦う気なんかねぇよ』

 

『っ! わ、私はまだ戦意喪失など――』

 

『それに俺は女の子の涙ってものに弱くて見るに見かねてな。折角の可愛い顔が台無しだぜ?』

 

『か、かわっ……!』

 

『部長ほどじゃないが、レイヴェルみたいな俺好みの可愛い女の子とあんまり戦いたくないがな』

 

『んなっ!?』

 

 今度はイッセーがレイヴェルを口説くシーンを見た事で、リアス達の目が一気に鋭くなった。

 

「イッセー! 貴方、いつの間にレイヴェルさんを口説いていたの!?」

 

「イッセーくぅん、コレは一体どう言う事ですの?」

 

「イッセーさん、私達に黙って酷いですぅ!」

 

「……イッセー先輩、軽蔑します」

 

「いやいやいや! テレビに映ってる俺は俺じゃないですから!」

 

 リアスと朱乃とアーシアと小猫がイッセーに詰め寄っていた。当の本人は知らないと否定してるが、それはその通りだ。

 

 内容はまだ続き、今度はイッセーがリアスとアーシアの前に立ち、敵のライザーに向かってこう言った。

 

『俺の大事な女を傷付けようとした分、きっちりテメェに返してやるよ!!』

 

「ちょ、ちょっと待って! これは私に対して言ったの!?」

 

「わ、私ですよね、イッセーさん!?」

 

「おい~~~! 向こうの俺はなんつーことを言ってやがんだよぉ!」

 

 自分の事では無いにしても、先程からとんでもない台詞を言い続けてる(イッセー)に我慢出来なくなったのか、此方のイッセーは完全に顔真っ赤になっていた。

 

「ぼ、僕が知ってるイッセーくんとは、まるで別人のような気がするね……」

 

「で、でもこっちのイッセー先輩も、凄くカッコいいと思います!」

 

「むぅ……私に対してはないのか?」

 

「向こうのイッセーくんがこんなナンパ男だったなんて、でもこれは意外ね……!」

 

「おい聖書の神(おやじ)、アンタの弟は女タラシに育てたのか?」

 

 見ていた祐斗、ギャスパー、ゼノヴィア、イリナ、そしてアザゼルは思った事を口にしていたのであった。

 

 いや、違うから。単に俺がライザー戦で活躍した(イッセー)が戦った一部を切り取り編集していたら、ああ言うシーンになってしまっただけに過ぎない。




おまけの内容は追加分です。

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