ハイスクールD×D ~特別番外編~   作:さすらいの旅人

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第十一話

(お? 漸くイッセーとディオドラの戦いが始まったか……)

 

 イッセー達が神殿に向かって数十分ほど経ってる中、俺は神殿の方へと意識を向けながらもオーディンと一緒に旧魔王派の悪魔共を蹴散らしていた。

 

 因みに神殿の奥ではイッセーとディオドラの力がぶつかりあってるが、ディオドラの魔力がイッセーのオーラに圧されている。恐らく今頃は完全にキレたイッセーがディオドラをボコボコにしてるだろう。

 

 オーフィスの蛇を得て強くなったと思い上がった阿呆が、怒りMAX状態の赤龍帝に勝てないのは既に分かりきっていた。世界は違えど、俺の弟がディオドラ如きに負けるなんて断じてあり得ない。

 

「う、うわぁぁぁ~~! またきたぁぁあああ!!」

 

「何じゃ、つまらんのう。そんなんでワシを討つのは千年早いわい!」

 

「に、逃げろ! これ以上の戦闘はっ!」

 

「俺達がそんな簡単に逃がすと思うか? そっちから先に仕掛けといて、不利になった途端に逃げようなど都合の良い展開にさせる訳がないだろう」

 

 こちらも戦闘もあと少しで終わりそうだ。

 

 自慢のグングニルから放たれる魔力波で消し飛ばすオーディン、勝てないと諦めて逃走しようとする悪魔達を追跡用の光の剣と槍で仕留める俺。このまま行けば、俺とオーディンの圧倒的勝利(ワンサイドゲーム)になるのは時間の問題だ。

 

 最初は数で有利だと思っていた悪魔達だったが、オーディンと俺の猛攻にどんどん数を減らされた為に段々と戦意喪失気味になってきていた。けど、だからと言って手を抜く気は無い。

 

 コイツ等はリアス達を殺す為に襲撃したのだから、自分達も殺される覚悟で来てる筈だ。例え生半可な覚悟で来たとしても、俺は目の前にいる連中を滅す事に変わりはないが、な。

 

聖書の神(こぞう)、残りはワシがやる。こんなに早く終わってしまっては運動にもならんわい」

 

 これ以上敵が減らされたら困ると思ったのか、オーディンは俺にそう言ってきた。

 

「ではお言葉に甘えて」

 

 残りの有象無象をオーディンに任せようと、俺は構えを解いて再び神殿の方へと視線へ向けた。

 

 探知してみると、ディオドラの魔力が小さくなっており、イッセーのオーラは以前に大きいままだった。加えて二人の力の衝突が既に収まってる。状況から察するにイッセーの勝利と思って間違いないだろう。

 

 さて、アーシアの方は………彼女から感じる魔力と同時に聖書の神(わたし)が作った腕輪の反応もあった。どうやらイッセーは俺に言われたとおり、アーシアを救出してすぐに腕輪を付けさせたようだ。

 

 今のところは順調と言うべきか。後は何事も無くイッセー達が無事に戻ってくれば……………良いと思ったが、急に探知済みだったアーシアの反応が消えた。その直後には強大な魔力を持った悪魔を感知する。

 

 この悪魔の魔力は俺の世界にいた奴と全く似ている。俺の大事な妹分のアーシアを次元の狭間へ送った全く持って許しがたい存在の一人。

 

「シャルバめ、やはり来たか……」

 

 神殿の奥にいる旧魔王の一人――シャルバ・ベルゼブブの名を口にする俺。

 

 世界は違えど、この世界のアーシアも次元の狭間へ送るとは……怒りと殺意が再び湧き上がってきそうになる。

 

「おい! 今の内にあの人間を狙え! 隙だらけだ!」

 

「仲間の仇だぁぁ~~!!」

 

「死ねぇぇぇええーー!!」

 

 俺がシャルバに対して負の感情を抱いてる最中、何人かの悪魔達が俺を狙おうと突撃してきた。

 

「邪魔だ」

 

 

 カッッッッッ!!

 

 

『ガァァアアアアァァァ~~~!!!!』

 

 だが俺はそんな事を全く気にせず、一瞬で神の姿になった直後に『終末の光』を使い、突撃してくる悪魔達を消し飛ばした。

 

「な、何だアイツは!? 急に姿が変わったぞ!」

 

「……お、おい待て。奴の姿に見覚えがある……アレは……まさかアイツは!」

 

「聖書の神!? 何故死んだ筈の聖書の神が生きている!?」

 

 俺――聖書の神(わたし)の姿を見た悪魔たち全員が動揺し始める。だが俺はそんな事を全く気にする事無くオーディンに話しかけようとする。

 

「オーディン殿、すみませんが後の事はお任せします。私は急遽やる事が出来ましたので離脱させて頂きます」

 

「ん? それは構わぬが、どこへ行くつもりじゃ?」

 

「ちょっとばかり『次元の狭間』へ」

 

「何じゃと? 何故そんな所へ……おい聖書の神(こぞう)! せめて理由を話してから行かんか!」

 

 オーディンに行き先を告げた聖書の神(わたし)は次元の狭間へ向かう為の転移術を使い、そのまま姿を消した。

 

 

 

 

 

 

「ふぅっ。一先ず大丈夫だな。よかったよかった」

 

 次元の狭間へ来て早々、聖書の神(わたし)はアーシアの確保に成功した。周囲から発している無の力に当てられた為か、今は気を失っている。

 

 此処は宇宙と同じく無限に広がってる場所なので、アーシアをすぐに見つけるなど決して容易ではない。だが聖書の神(わたし)はすぐに発見出来るよう、アーシアに腕輪を付けるようイッセーに頼んだ。

 

 アーシアに付けてる腕輪は、簡単に言えば探知用の発信機代わりになっている。コレのお蔭でアーシアが次元の狭間のどこに飛ばされても位置が分かったから、聖書の神(わたし)がこうして確保出来たのであった。

 

 因みに聖書の神(わたし)のいる世界でのアーシアは、この世界と違ってヴァーリ達に運良く救出されていた。救出されるまでの間は聖書の神(わたし)が事前に施した探知用とは別の腕輪で、次元の狭間から発する無の力を守るだけで精一杯だった。あの時の聖書の神(わたし)は旧魔王の一人――クルゼレイ・アスモデウスと戦ってて救出する事が出来なかった為に。

 

 さっきも言ったように、世界は違えどアーシアは聖書の神(わたし)の大事な妹分。だから兄分である聖書の神(わたし)が助けにいかなければならない。世界からどんな抗議をされようとも、こればっかりは何が何でも変えさせてもらう。以前に守ると誓っておきながら、助けにいく事が出来なかった聖書の神(わたし)の償いでもあるから。

 

「さて、さっさと冥界へ戻って……ん?」

 

 冥界へ戻る為のゲートを開こうとしたが、突如冥界側から禍々しい力を感じた。その力の発生源はイッセーからだ。

 

 この力は……もしや『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』か。だけど余りにも中途半端過ぎて、全く安定していない。恐らく暴走状態に陥っているだろう。

 

 この世界にいるイッセーは未だに使う事が出来ないほど未熟な筈だが、それを使えるようになったのは……恐らくアーシアを失った悲しみだけでなく、シャルバへの果てしない憎悪によって強制的に発動させたのだろう。

 

 あっちの(イッセー)は俺が理想とした禁手(バランス・ブレイカー)になったが、こっちでは危険な『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』か。どちらにしろ、早く手を打たなければイッセーが死んでしまう事に変わりはない。とにかく急いで戻るとしよう。

 

 この時に私はイッセーに意識を向けていた事で気付いてなかった。後方にいるヴァーリ達がこちらを見ていた事に。

 

 

 

 

 

「おいおい、赤龍帝と一緒にいた金髪の姉ちゃんを抱えてた奴は誰だったんだ? 俺っち達に気付かないでどっかに行っちまったけど」

 

「あのお方は聖書の神ですよ、美猴」

 

「おいおいマジかよぃ、アーサー!? そんな奴がどうして次元の狭間にいたんだ!?」

 

「………あの様子からして何かあったな」

 

「何かってなんだよ、ヴァーリ」

 

「さぁな、それは俺にも分からん。だが一つ言える事は、こちらに気付かないほどの異変を感知したんだろう。俺達も予定変更して冥界へ行くぞ」

 

「何故冥界へ行くのですか?」

 

「冥界にいる兵藤一誠の異変を感知した途端、聖書の神が急に慌てるように姿を消したからな」

 

 

 

 

 

 

「全く。思った通り暴走状態になっていたか」

 

『リューセー(さん)!? アーシア(先輩・さん)!?』

 

 次元の狭間から冥界へ戻り、(イッセーとアーシアを除く)リアス達一行と合流すると、目の前にある神殿が無残に崩壊していた。その中央には『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』によって禍々しい姿をした赤い龍――赤龍帝(イッセー)が周囲に魔力弾を撒き散らして破壊活動をしている。

 

 そんな中、気絶してるアーシアにお姫様だっこしてる俺を見たリアス達が驚くようにコチラを見てる。

 

「どうして貴方がアーシアを!? それにその姿は……」

 

「腕輪を付けたアーシアが次元の狭間へ飛ばされたのを感知したから、すぐ救出しに行ったんだよ。あそこへ行くには神の姿にならないと上手く制御が出来ないのでな」

 

「腕輪って……じゃあイッセーに頼んだのは――」

 

「ご明察。アーシアに万が一の事を考えて付けさせたんだ。今は無の力に当てられて気絶してるが、命に別状はない」

 

 空中に浮いている岩場へ場所を移しながら俺は簡単な説明する。

 

 何か言いたげ表情な一行だったが、一先ずアーシアが無事であることに安堵していた。俺が抱えてる妹分を渡すと、主のリアスは涙を浮かべながら優しく抱きしめていた。大事な眷族であると同時に妹分に思ってる彼女ならではの行動だ。それは俺も痛いほどに伝わってくる。

 

「それよりもイッセーの方だが……随分禍々しい姿になったものだ」

 

 俺がそう言うと、リアス達はハッとするように覇龍化したイッセーの方を見る。未だに破壊活動を続けながら、慟哭の雄叫びをあげている。

 

「あんな中途半端な状態で覇龍化していれば確実に死ぬ。アレは発動してるだけで、体力はオーラは勿論のこと、命までも容赦無く奪うほど危険な物でもあるからな」

 

「元に戻す事は出来るの!?」

 

「あるにはある。だがそうする前に、先ずはイッセーを力付くで大人しくさせなければダメだ。嘗ての聖書の神(わたし)だったら容易いが、人間に転生した今では、覇龍化したイッセーを簡単に戻す事は出来ない」

 

 アレを完全停止させるには『神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)』を使えばいいのだが、中途半端な状態であっても、覇龍化によって完全暴走してるイッセーに使っても通用しない。覇龍化してる今のイッセーは恐らく『透過』も使えてる筈だ。だから今のイッセーに『神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)』を使っても効果は無い。嘗ての聖書の神(わたし)なら赤龍帝の『透過』を気にせず強制解除出来たが、な。

 

「だったらアーシアを無事を私が伝えれば!」

 

「無駄だ。あんな状態になってる今のイッセーに何を言っても届かない。間違っても一人で行こうだなんて気は起こすなよ、リアス」

 

 リアスの行動を事前に阻止する俺の発言に、彼女は何も言い返さず押し黙った。恐らく俺が止めなかったら、間違いなく単身でイッセーの元へ向かおうとしただろう。

 

「本当なら今のイッセーと互角に戦える誰かに頼みたかったが……」

 

「でしたら僕がやります! イッセーくんを足止めするくらいなら!」

 

「私も行きます、主よ!」

 

 俺の発言に祐斗とゼノヴィアが進言する。

 

「止めておけ。今のお前達では足止め出来ないどころか、すぐに殺されてしまうのがオチだ」

 

「「っ………くっ!」」

 

 事実を言われた二人は言い返さず悔しそうに手を握り締めながら歯を食いしばっている。何も出来ない自分に腹を立てているんだろう。

 

 本当なら『神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)』の準備に取り掛かりたいが、やはりその前に俺が覇龍化イッセーの相手をしなければ――

 

 

 ピシッ! パキパキッ!

 

 

 ん? 何だ? どこかから何か割れる音がしたような気が……。

 

 

「うわぁぁぁあああああ~~~~~!!!!!」

 

 

 真上からどこかで聞き覚えのある声と一緒に何かが此処へ落ちてくる。

 

 そして――

 

 

 ドォンッ!

 

 

『きゃあっ!』

 

『うわっ!』

 

 何かが落ちてきた衝撃によって岩場が傾きかけた為、リアス達が驚きの声をあげている。勿論俺も驚いているが、それでも声はあげてない。

 

「っ~~~! あんのクソ空間! 俺を思いっきり叩き落しやがって!」

 

『………えっ?』

 

「おいおい、まさか……」

 

 岩場へ衝突した事によって、落ちた対象者が粉塵で覆われて見えなかった。

 

 ソレが声を発した途端にリアス達は唖然とし、俺はまさかと思いながら注視してると――

 

「って、兄貴じゃねぇか! 冥界にいたのかよ!? それに……何で(うち)にいる筈のリアス達も冥界にいるんだ?」

 

「やはりお前だったか、イッセー」

 

『イッセー(くん・先輩)!?』

 

 粉塵の煙が晴れると、そこには冬用の制服を来た兵藤一誠がいた。言うまでもなく、俺の世界にいる実の弟であるイッセーの方だ。




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