ハイスクールD×D ~特別番外編~   作:さすらいの旅人

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第三話

「おやおや、聖書の神(わたし)だと理解した途端に気絶するとは……」

 

 ゼノヴィアとイリナが同時に気絶した事に俺は思わず苦笑しながら、ずっと掴んでいたロキの胸倉を放す。因みに軽く地面に叩き付かれたロキは未だに気絶してるままだが。

 

 しかしまぁ、元の世界であの二人が違った反応をしていたから、これはこれで中々面白い。知らないで自分を罵倒していた事を知った直後、思いっきり土下座していた時より遥かにマシだ。多分今此処にいない、この世界のアーシアも彼女達と同じ反応をするだろう。

 

「ど、どう言う、ことなの……? あ、貴方が本当に、聖書の神であるなら……」

 

「何故、このような場所にいるのですか?」

 

「ん?」

 

 信じられないと言わんばかりに、この世界のリアス・グレモリーとソーナ・シトリーが警戒しながらも俺に問う。気絶しているゼノヴィアとイリナを介抱してるロスヴァイセを除き、悪魔側のイッセー、朱乃、祐斗、小猫、椿姫、匙が警戒感丸出しでいつでも動けるように構えている。

 

「そう警戒する必要はない。別に私は悪魔の君達と戦う気など微塵も無い。冥界に来たのはちょっとした訳ありでな」

 

「……とても聖書の神とは思えない台詞ね。貴方にとって滅するべき存在が、今こうして目の前にいると言うのに……」

 

「ふむ、確かにそうだな。君の言う通り嘗ての聖書の神(わたし)であれば、このように話さないどころか、問答無用で滅ぼしていただろうな」

 

 俺がその気になればリアス達を瞬殺出来るけど、そんな愚かな振る舞いをする気は微塵も無い。世界が違えど、友人関係となってるリアス達を今更殺そうだなんて思いもしないのだから。

 

「だがそれは遥か昔の話だ。さっきも言ったように君達と敵対する気なんてない。まぁ、悪魔の君達に言ったところで簡単には信じてもらえないだろうけど。どうする、リアス・グレモリーとソーナ・シトリー。此処で私と無意味に戦うか、話し合いに応じるかは、君達の判断次第だ」

 

「「………………」」

 

 俺の問いにリアスとソーナは考えるように無言で俺を見ている。

 

 向こうが戦う意思を見せるのであれば、全員を軽く気絶させた後に冥界から脱出するとしよう。人間界にある辺境の地で一時的な居を構え、元の世界にいるアザゼルが再び作った平行世界の装置を使って迎えに来るまで姿を晦ませば良いのだから。

 

 隠れる場所を何処にしようかと考えている最中、二人は途端に諦めたかのように嘆息をした。

 

「………一先ず貴方の言葉を信じるわ、聖書の神」

 

「そちらに敵対意思が無いのであれば、こちらとしても無駄な犠牲を出さずに済みますので。今のところは」

 

 あらら、どうやら戦わない選択肢を選んだようだ。考えて損したな。

 

 尤も、完全に信じてはいないようだ。悪魔の二人からすれば疑念が晴れていないのだろう。

 

 確かに嘗て最大の敵であった聖書の神(わたし)が、悪魔相手に友好的に接するなど怪しい事この上ない。しかし今の状況で下手に敵対すれば確実に全滅すると判断したから、敢えて俺の言葉を表面上信じる事にしたと思う。

 

「ありがとう。その返答を聞けただけで充分だ。私としても君達とは本当に敵対したくないからな」

 

「………さっきから気になっていたのだけど、貴方は初対面の私たちに対して随分親しげに話してくるわね。一体何のつもりかしら?」

 

「ああ、すまない。私は元の世界で君達と友人関係なのでね。もうついでに、そこにいる赤龍帝とも縁がある」

 

「はぁ?」

 

「え? お、俺!?」 

 

 俺が予想外な事を言ったのか、リアス達は揃ってイッセーを見る。突然の名指しにイッセーは自分で指をさしながら戸惑っている様子。

 

「ドライグ。ずっと黙っているようだが、久しぶりに会った強敵(とも)に対して再会の挨拶の一つくらいしたらどうだ?」

 

『………すまないな。何故死んだ筈のお前が生きていたのかが未だに信じられなくてな。声を掛けるかどうか判断に迷っていた』

 

 禁手化(バランス・ブレイカー)状態でのイッセーの手甲にある宝玉から、光の点滅と同時にドライグの声が聞こえる。

 

 俺がドライグと因縁がある事を知ったリアス達はすぐに納得した様子を見せた。

 

「ドライグにしては何やら随分疲れきった感じがするな。もしや……イッセーが何か碌でも無い事でも仕出かしたか?」

 

『ああ、相棒の如何わしい行動にちょっとな』

 

「おいドライグ! お前いきなり何言ってんだよ!?」

 

 疲れた声で吐露するドライグにイッセーが文句を言う。

 

「何だ。此処のイッセーも根っからの変態ドスケベだったか。どこへ行っても変わらないな、お前は」

 

「う、うっせぇ! 何でアンタにそんなこと言われなきゃなんねぇんだよ!? ってか何で俺を知ってるような口振りなんだ!?」

 

 だって元の世界でお前は俺の弟だしな。知ってて当然だ。

 

 けれど此方のイッセーからすれば、確かにそう言ってもおかしくない、か。

 

「私はお前の事を何でも知っているさ、イッセー。例えば……お前が重度と言われるほど女性の胸フェチで、桃園モモって言う巨乳アイドルのファンだろ?」

 

「っ! な、何故ソレを!? ってか胸じゃねぇ! おっぱいだ!」

 

「どっちも同じだろう。他にも兵藤家がまだ改築前の極普通な一軒家だった頃、イッセーの部屋のクローゼットの奥にあるプラモデルの箱の中にエッチなDVDを隠している、とか」

 

「っ!! 何で嘗て俺の秘蔵DVDの隠し場所を!?」

 

 おいおい、此処の世界でも嗜好やDVDの隠し場所は同じだったのかよ。

 

 あとドライグの疲れた声から察して、恐らくあの技もあるのだろう。

 

「ついでに女性の衣服を粉砕する『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』と言う下らん変態技を編み出したろ?」

 

「く、下らねぇって何だ! アレは俺の才能の大半を費やした――」

 

「ちょっと待ちなさい。どうして聖書の神が私のイッセーの事をそんなに詳しいのかしら?」

 

 俺とイッセーの会話に突然リアスが割り込みながらしかめっ面で睨んでくる。あと『私の』って言う部分をやたらと強調していたが、そこは気にしないでおく。

 

 多分リアスの事だから、俺がイッセーの事について詳しい事が非常に気に食わないのだろう。

 

「知ってるのは当然さ。何しろ私はソイツの――――兄だからな」

 

「………は? か、神さまが……お、俺の……兄?」

 

『……………え?』

 

 俺の発言にイッセーとリアス達は一瞬固まったが――

 

「うっそだろぉぉぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!??????」

 

『えええええぇぇぇぇええええええええええええ!!!!!?????』

 

 この周囲に大絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 イッセー達の大絶叫後、俺はリアス達と一緒にサーゼクスがいる本拠地へと案内してもらった。

 

「はぁっ……。ねぇソーナ、私これからお兄さまにどう報告すれば良いのか分からなくなってきたわ」

 

「それは私も同じよ、リアス……はぁっ」

 

 聖書の神(わたし)と言う存在の出現により、リアスとソーナは深い溜息を吐いている。

 

 これは二人から聞いた話だが、どうやらリアス達はロキを足止めする為に編成された部隊のようだった。北欧の主神――オーディンがミョルニルを取ってくるまでの時間稼ぎの為に。

 

 各勢力の魔王クラスがロキと戦ってしまうと、過去の戦争の再来になる恐れがあって、ロキ曰くの神々の黄昏(ラグナロク)となってしまうようだ。肝心のサーゼクス達が過去を恐れて代わりにリアス達に任せるとは……皮肉なものだ。まぁ仕方ないと言えば仕方ないが。

 

 ついでにロキはこの世界で禍の団(カオス・ブリゲード)と協力関係らしい。オーディンが他の神話体系と同盟を結ぶ事が気に食わなかったようで、冥界に来てソレをぶち壊しにするついで、神々の黄昏(ラグナロク)もやるつもりだったらしい。

 

 元の世界とこの世界のロキの相違は禍の団(カオス・ブリゲード)と協力しているか否かだが、それ以外は全く同じとは。どの世界でもアイツのやる事は結局変わりないとは、本当に傍迷惑極まりない奴だとつくづく思う。

 

 まぁこの世界で聖書の神(わたし)と言うイレギュラーが現れてロキを倒してしまった為、奴の計画は物の見事に砕かれてしまったが、な。

 

 因みにそのロキは俺が用意した特殊な鎖でグルグル巻きの蓑虫状態にしていて、後ほどオーディンに引き渡す予定になっている。神の力を一切使えないようにする特殊な鎖だから、例えロキが目覚めた後に抵抗したところで何も出来やしない。

 

 もうついでに、今の俺は聖書の神(わたし)から兵藤隆誠(おれ)の姿に戻っている。人間の姿になった時はイッセー達がかなり驚いていたが。

 

 俺がどうして人間の姿なのかについては、サーゼクス達に会ってから詳しく説明すると言ってあるので、今こうして本拠地に案内されてるって訳だ。

 

 そして本拠地に到着すると、まるで丁度良いタイミングの如く、参戦してなかったアーシアとギャスパーが此方へ向かって来る。

 

「皆さん! ご無事でしたか!」

 

「ご無事でよかったですぅ!」

 

 二人はとても安堵した様子だったが――

 

「お、アーシアにギャスパーじゃないか」

 

「? イッセーさん、そちらの方は?」

 

「だ、誰なんですか?」

 

 俺を見た途端にアーシアはキョトンとしながら尋ね、ギャスパーはイッセーの背に隠れながら少し怯えた感じで見ていた。

 

「あ~、その、何て言えば良いか……」

 

「二人とも、彼については後で説明するから今は何も聞かないで。特にアーシアは」

 

「「はい?」」

 

 リアスの発言にアーシアとギャスパーは全く分からないと言う感じで首を傾げる。

 

 確かに今この場で俺が『聖書の神です』と答えて真の姿を見せた瞬間、この子もゼノヴィアとイリナみたく気絶するだろう。

 

「アーシア、あのお方の正体を知っても気をしっかり持っておくんだ」

 

「アーシアさん、貴女は後で凄い事実を知る事になるわ」

 

「???」

 

 既に意識を取り戻していたゼノヴィアとイリナがアーシアに心の準備をするよう促す。

 

 自分がどんな存在かは自覚しているんだが、何も聖書の神(わたし)を前にして言わなくても良いだろうが。

 

「そこの二人、アーシアを不安にさせる言い方は止めてくれ」

 

「「っ! も、申し訳ございません!!」」

 

 俺の突っ込みにゼノヴィアとイリナはビクッと震えた途端、すぐ俺に頭を下げて謝った。何もそこまでしなくて良いのだが。

 

「よぉ、お前等。無事で何よりだ」

 

 すると、本拠地の出入り口から心配した様子を見せるアザゼルが此方へとやって来る。

 

 アザゼルの他に冥界の現魔王達、北欧の主神オーディン、そして熾天使(セラフ)のミカエルも揃って俺達の方へと歩み寄ってきた。

 

 皆がリアス達の帰還に心から安堵している表情であったが、俺を見て早々に警戒を露にする。

 

「リアス、そこにいる彼は?」

 

 誰もが気になってる事を各勢力トップの代表としてサーゼクスがリアスに訪ねた。

 

「か、彼は……その……」

 

「?」

 

 その質問にリアスは凄く言い辛そうに頬を引き攣らせると、サーゼクスは不可解な表情をする。

 

 アザゼルやオーディンも同様だが、ミカエルだけは少しばかり違う。何やら少しばかり戸惑っているような感じが見受けられる。

 

 彼等の反応に気にしない俺はこう言った。

 

「失礼ながら、場所を変えさせてもらえないかな? 此処で話すのは少々気が引けるので、出来れば誰も聞かれない防音部屋を希望したい」

 

「おいおい、随分いきなりな要求だな。態々場所を変えろだなんて、一体どう言うつもりだ?」

 

「ワシ等を前に中々肝が据わった小僧じゃのう」

 

 俺のリクエストに苦笑するアザゼルに対し、オーディンは若造の俺に不快感を抱いて少しばかり威圧感を出しながら言ってくる。

 

「そうしなきゃいけない理由があるから言ってるんだよ、アザゼル。それとオーディン殿、コイツは貴方に引き渡しておく」

 

「っ!」

 

 そう言って俺が指を鳴らすと、何もない空間から魔法陣が浮き出て、そこからはグルグル巻きになってる気絶中のロキが現れてオーディンの前に差し出す。

 

 突然の事にオーディンだけでなく、魔王達やアザゼルやミカエルが驚愕を露にする。

 

「………ロキがこのような姿になっておるのはお主の仕業か」

 

「不味かったですか?」

 

「……いや、この愚か者をヴァルハラへ連行する手間が省けたわい」

 

「それは何より」

 

 ロキの姿に思わず顔を顰めていたオーディンだったが、持っている杖をトンと地面に当てた。すると気絶してるロキの周囲から魔法陣が現れ、そのまま転移するようにロキは姿を消した。

 

「小僧、お主ただの人間では無さそうじゃのう。ロキをあそこまでやるとは一体何者じゃ?」

 

「だから答える為に場所を変えようと言ってるじゃないですか。それでどうなのかな、魔王サーゼクス・ルシファー殿?」

 

「………良いだろう」

 

 俺の問いにサーゼクスは首を縦に振り、場所を変えてくれるのであった。

 

 

 

 

 

 

「さて、こちらは君の望みどおり場所を変えさせてもらった。そろそろ話してくれるかな?」

 

「勿論」

 

 俺のリクエストを聞いてくれたサーゼクスは、誰も聞かれない防音室へと案内してくれた。

 

 今この部屋にいるのはイッセー、リアス、リアスの眷族達、ソーナ、椿姫、匙、ロスヴァイセ、イリナ、そして各勢力のトップ達だ。

 

「とは言え、一体どこから話せば良いのやら……」

 

「おい、勿体ぶってないで早く答えてくれねぇか。こっちはこっちで色々やる事があるんだからさ」

 

 催促してくるアザゼルに俺は少しばかり苦笑する。

 

「そうだな。そちらは大変忙しい身だから、先ずは手っ取り早く俺の正体を明かすとしよう。アザゼル、お前には後で言いたい事があるから覚悟しておけ」

 

「は?」

 

「ミカエル。先に言っておくが、サーゼクス達の前であまり見っともない顔はしないでくれよ」

 

「はい?」

 

 アザゼルとミカエルに警告をした俺は、両腕を真っ直ぐ伸ばした直後に全身から光のオーラを放出する。

 

「俺が二人に言った理由は――」

 

 

 パアアァァァァアアッッッッ!!!

 

 

「こ、この光のオーラは……!」

 

「ま、まさか……!」

 

 途端に俺の全身から光り輝くオーラが一気に噴き出たことに、アザゼルとミカエル(むすこたち)がすぐに気付く。

 

 そして光が徐々に消えていき――

 

「こう言う事だ」

 

『なっ!?』

 

 聖書の神(わたし)の姿を見た直後、各勢力トップ達は口を開けたまま驚愕する。

 

「お、お前は、聖書の神……!」

 

「か、神……こ、これは、一体……?」

 

 各勢力トップの中で一番に混乱しているのがアザゼルとミカエルだった。

 

 それはそうだろう。何しろ死んだ筈の聖書の神(ちちおや)がこうして目の前に姿を現しているのだから、二人がそうなるのは無理もない事だ。

 

「……い、イッセーさん、今、アザゼル先生とミカエル様が、あの人の事を……」

 

「アーシア、落ち着いて聞くんだぞ。俺もまだ信じられないんだが、あの人は……アーシアがいつも祈りを捧げてる死んだ筈の聖書の神さまなんだ」

 

「………え? あの方が主、ですか? ………………はうぅ」

 

「お、おいアーシア!?」

 

 と、傍で呆然としていたアーシアが俺の正体を知った途端、さっきのゼノヴィアとイリナと同じく失神してしまった。

 

 因みにその二人は――

 

「イリナ、私達はまた、主の御姿を拝見できたぞ……!」

 

「ええ、ゼノヴィア。私もう……このまま死んでもいいかも……!」

 

「「ああ、主よ!」」

 

 前と違って今度は感涙して祈りを捧げていたが、敢えて気にせず無視させてもらう。

 

「聖書の神、だと? どう言う事だ? 先の大戦で死んだ筈の貴殿が何故……!?」

 

 現四大魔王の中ですぐに意識を取り戻したサーゼクスが俺に問う。

 

「今から順を追って説明するよ。先ずは――」

 

 俺は聖書の神(わたし)が存在してる理由、イッセーの兄――兵藤隆誠として転生した事、そして聖書の神(わたし)が別の世界からやってきたこと等々、非常に長い説明を開始する。因みに此処にいる全員は、一字一句聞き逃すまいと、ずっと真剣な顔で聞いている様子だったと補足しておく。

 

 

 

 そしてかれこれ説明して三十分後。

 

 

 

「――と言う訳だ」

 

「……成程。俄かに信じ難い話だが、まさか己の死を予期してシステムに転生するよう施すとは……」

 

「俺としては、聖書の神が平行世界からやってきた事に興味があるな」

 

 魔王サーゼクス・ルシファーと魔王アジュカ・ベルゼブブは苦笑し――

 

「むぅ……。確かにお主が真に聖書の神であれば、ロキをあのような姿にさせたのも納得じゃわい」

 

 北欧主神オーディンは未だに疑いつつも納得し――

 

「まぁ、違う世界から来たとは言え、確かにアンタが聖書の神である事に間違いは無さそうだな。元天使だった頃を思い出すぜ、聖書の神(おやじ)

 

「それでも、神のお姿を再びお目に掛かることが出来て、私は、私は……聖書の神(ちちうえ)……!」

 

 アザゼルは昔を思い出し、ミカエルは各勢力のトップがいるにも拘らずに聖書の神(わたし)の姿を見て両目から涙を流していた。

 

 やれやれ、やはりミカエルは再会した聖書の神(わたし)を見て泣いてしまったか。もうこれで二度目だな。こっちもミカエルも小さい頃から泣き虫だった頃は変わらないようだ。

 

 本当だったら泣いてるところを宥めたいところだが、優先事項があるから後にさせてもらう。

 

「それでだ。平行世界から来た私がどうやってこの世界に来たかについては……そこのアザゼルが原因でな。と言っても、私がいる世界のアザゼルだが」

 

「は? 俺だと?」

 

 俺が平行世界から来た元凶の名前を告げた途端、全員は一斉にアザゼルに視線を向ける。

 

「向こうにいるバカ息子が平行世界に行く転移装置を作ったんだが、それが上手く作動しなかったから、私が持つ神の力を使えば何とかなると思って、半強制的に研究室(ラボ)へ拉致されてしまってな。まぁ私としても、平行世界に興味があったから面白半分で手を貸して、物の見事に転移装置が暴走と言う残念な結果になってしまった。そして私は強制的に不気味な異空間に飲み込まれ、この世界へ来てしまったと言う訳だ」

 

 俺からの説明を聞いた直後、全員はアザゼルに今度は非難の視線を向けた。特にミカエルは少しばかり殺気立っているが。

 

「ふ、ふふふ……。アザゼル、貴方は聖書の神(ちちうえ)を利用したのですか……?」

 

「いやいや、俺は関係ねぇだろミカエル! やったのは向こうの俺だろうが! ってか何で俺が非難されなきゃなんねぇんだよ!? とんだとばっちりじゃねぇか!」

 

 確かにこの世界のアザゼルには何の罪は無い。

 

 だが此処にいる全員は、『確かにコイツならやりかねない』と思っているからジト目になっているのだろう。

 

「そうだな。此処のお前は何の関係も無い話だ。だが私としては、元凶であるお前の顔を見てるとつい苛立ってしまいそうになる」

 

「完全に八つ当たりじゃねぇか、おい! 天使達の模範である筈のアンタがそんな事して良いのか!?」

 

「それはすまない。だが人間に転生してしまった所為か、自分でも思うように感情を抑える事が出来なくなっているのだよ。そこはどうすれば良いか教えてくれないかな? 天使時代に最強の神器(セイクリッド・ギア)を作ろうとしていた、『閃光(ブレイザー・)と暗(シャイニング・)黒の龍(オア・ダークネス)絶剣(・ブレード)』総督さん?」

 

「ぶっ!!」

 

 俺が黒歴史の名を告げた途端、アザゼルは痛恨のダメージを食らうように噴き出した。意味深な笑みをしているミカエルを除く全員が首を傾げているが。

 

 コイツがこう言う反応をするって事は、やっぱりこの世界でも考案してたようだ。(アザゼルにとって最悪な黒歴史である)閃光(ブレイザー・)と暗(シャイニング・)黒の龍(オア・ダークネス)絶剣(・ブレード)を。




修正してる途中で思い出しました。

アザゼルの黒歴史『閃光(ブレイザー・)と暗(シャイニング・)黒の龍(オア・ダークネス)絶剣(・ブレード)』を。

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