ハイスクールD×D ~特別番外編~   作:さすらいの旅人

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第五話

 聖書の神(わたし)が兵藤家に泊まると言った事でイッセー達は困惑していたが、どうにか承諾してくれた。

 

 因みにサーゼクス達の方は俺の滞在先を聞いて反対しなかった。向こうとしては寧ろ其処に居てくれた方がありがたいと思っているようだ。ミカエルは少しばかり暗い表情をしていたが、そこは心を鬼にしてスルーしておく。

 

 此方の天使長は俺と個人的な話をしたがっていたが、トップとしての後処理があった為、凄く名残惜しそうにサーゼクス達と一緒に別の部屋へと行った。恐らくミカエルの事だから、絶対に時間を作って俺に会おうとすると思う。

 

 翌日、俺はこの世界にある冥界の列車で人間界へ行く事が出来ない為、転移術を使ってイッセー達より一足早く人間界へ向かった。その際にミカエルが兵藤家に着くまでの間は俺の護衛をする必要があると進言してくるも、すぐさま「お前は自分の仕事に専念しろ」と言って断った。

 

 先に人間界へ着いた俺は駒王町を一通り見回すも、そこはやはり自分の知ってる駒王町と何ら変わりなかった。町は変わってなくても、流石に俺の知り合いで協力者になっているオカマのローズさんはいなかったが。多分俺がこの町に存在してなかったから、彼もこの町にはいなかったのだろう。それを知った俺はちょっと残念な気持ちになるも、仕方のない事だと割り切る事にした。

 

 駒王町にローズさんがいなくて少しブルーな気分になってると、イッセー達が人間界へ到着したので、すぐに気持ちを切り替えて合流する事にした。再び俺に会った途端、イッセー達は様々な反応をしていた。

 

 リアスと朱乃と祐斗は複雑そうな顔で、アーシアとゼノヴィアは物凄く緊張した顔、ギャスパーはビクッとしながら小猫の背中に隠れてる始末。そしてイッセーは俺をどう接すれば良いのか分からなく、色々と迷っている様子だった。

 

 そして現在、俺はイッセー達と一緒に兵藤家へ向かっていた。到着すると、そこは元の世界でも同じく、グレモリー家がリフォームした六階建ての豪邸がある。外見だけでなく、室内も全く同じ作りだった為、迷うことなく俺は堂々とリビングで寛いでいる。

 

「お~お~、やっぱり此処も向こうと同じく豪邸だったな。ハッハッハ。これなら安心して泊まれそうだ」

 

「ね、ねぇ聖書の神。やっぱり考え直しません? やはり此処よりも他の所の方が――」

 

「悪いけど今更変える気なんて更々無いよ、リアス。それと今は人間の姿になってるから、その呼び方は止めてくれ。今の俺は兵藤隆誠だからな。出来ればイッセーと同じくリューセーって呼んでくれ。無論呼び捨てで構わないし、その畏まった喋り方も不要だ。何しろ元の世界で俺と君、そして朱乃とは同じ駒王学園の同級生だから、な」

 

「………向こうの私は神相手に一体何をしてたのよ……はぁっ。益々頭が痛くなってきたわ」

 

「私たちが神と同級生だなんて……」

 

 ハッハッハ。そう憂鬱になるなってお二人さん。向こうの君達は聖書の神(わたし)の正体を知っても、今まで通り普通に接しているぞ。朱乃だけは時折聖書の神(わたし)に対して複雑な呼び方をしてるが、そこは黙っておくとしよう。

 

「ところで、この世界の父さんと母さんは家にいないが、どうしてだ?」

 

「えっと……すいません、隆誠――さん。家の両親は今長期旅行中でして、暫く家に戻ってきません」

 

「……そうか、残念だ」

 

 まぁそっちの方が好都合かもしれない。俺が滞在中に何か遭っても困るし。

 

 それはそうと、今の俺にはイッセーにちょっと言いたい事がある。

 

「と言うかイッセー、何だその呼び方は? 人間界に来る前に言ったろ? 俺の事を『兄貴』と呼んで構わないって」

 

「そ、そう言われても……俺はこの世界じゃ一人っ子ですし、親戚にも隆誠って人はいないから流石にちょっと。それも神様相手にそんな失礼な呼び方をしたら、何だか恐れ多くて……」

 

「むぅ……」

 

 確かにこの世界で兵藤隆誠(おれ)は存在してないから、イッセーの言うようにいきなり自分を兄貴と呼ぶのにのは抵抗があるか。

 

 とは言え、世界は違えど普段から接してる弟に他人行儀な接し方をされたら、俺としても少しばかりショックを受ける。兵藤家の兄弟として過ごしていたら猶更に、な。

 

 だが此処は敢えて俺が妥協せざるを得ないから、少しずつ時間を掛けてどうにか打ち解けていくしかない。この世界にいる時間は限られているが、それまでの間、この世界のイッセーから『兄貴』と呼ばれるように努力するとしよう。

 

「分かった。じゃあ今は『隆誠さん』で良い。だけど俺の事を『聖書の神』とか『神様』って他人行儀に呼ぶのは流石に勘弁してくれ」

 

「は、はぁ……ど、努力します。あの、早速で悪いんですけど、質問良いですか?」

 

「おう。何だ?」

 

「あの……隆誠さんは俺を弟と言ってますけど、向こうの俺はどんな風に接してるんですか?」

 

 何もそんな恐る恐ると質問しなくても良いんだが。

 

「どんな風にって言われても、至って普通だよ。それに一種の師弟関係でもある」

 

「し、師弟関係?」

 

「ああ。俺が師匠で、イッセーが弟子だ。経緯について話すと長くなるから省かせてもらうけど、今も俺との修行に毎日励んでいるよ」

 

「………マジかよ」

 

 イッセーが凄く驚いてる顔をしてると――

 

「ずるいぞイッセー!! 私達が敬愛する主と毎日特訓を受け続けているなんて!」

 

「イッセーさん羨ましすぎます!!」

 

「いやいやいや! 違うだろゼノヴィアにアーシア! 俺じゃなくて向こうの俺だからな!」

 

 元教会所属のゼノヴィアとアーシアが揃ってイッセーに詰め寄って抗議してきた。あのアーシアがイッセーに抗議するとは珍しい光景だ。

 

「神である貴方がイッセーと兄弟だけでも凄いのに、師弟関係にもなってるなんて……余計に頭が痛くなってきたわ」

 

「大丈夫ですか、部長?」

 

 頭痛の種が増えたかのように頭に手を置くリアスに、祐斗が心配そうに尋ねる。

 

「君はリアスと違って、すんなり受け入れてるようだな」

 

 俺の発言に祐斗は反応して視線をコッチに向けて、複雑な顔をしながら言おうとする。

 

「僕だって驚いていますよ。聖書の神である貴方がイッセー君とご兄弟で師弟関係な上に、僕らと同じ学校に通ってるなんて……正直言って今でも信じられません」

 

 否定しようとしても、必死に現実を受け入れようとしてるのが祐斗の良いところだ。

 

「ハハハ。残念ながら事実だよ、祐斗」

 

「……あの、貴方は僕の事も名前で呼んでるんですか?」

 

 名前で呼ばれる事に少しばかり抵抗感がありながらも、祐斗は気になるように訊いてきた。

 

「ああ。向こうじゃ俺と君は仲の良い先輩後輩の関係だよ。俺の正体を知っても、今でも尊敬する先輩として見てくれている。因みに向こうの祐斗とイッセーは、お互いに下の名前で呼び合うほど仲が良いぞ」

 

「ええ!? イッセーくんが僕のことを名前で!?」

 

 おや? 祐斗が凄い反応をしてるな。ひょっとして此処のイッセーは、祐斗の事を未だに名字呼びなのだろうか。

 

「え? 何? 俺が木場を名前で呼ぶほど仲が良い!? それは何かちょっと気味悪いんだけど!」

 

 アーシアとゼノヴィアに詰め寄られてるイッセーはこっちの声が聞こえたのか、祐斗を見た途端に顔を顰めていた。

 

「イッセーくん、それはどう言う意味かな?」

 

「って今度は木場もかよ!?」

 

 鳥肌が立つように身体を震わせているイッセーに、祐斗は大変爽やかな笑みを見せながらも青筋を浮かべて詰め寄っていた。

 

 確かにイッセーの反応は祐斗に失礼だが、強ち間違っていない。何しろ二人が名前で呼び合ってるところを駒王学園の女子達が目撃した途端、『エロ兵藤と木場君はやっぱりデキてる!』なんて下らん噂を本格的に広めたからな。事の発端は松田と元浜のバカ二人なんだが、イッセーの方できっちり制裁を下したとか。

 

 因みに現在も祐斗に片思い中である生徒会副会長の真羅椿姫からも、イッセーを最大の恋の強敵(ライバル)と認定されてる始末。尤も、俺も俺で祐斗とデキてるなんて噂が広まってるが、その時は俺からのOHANASHIを受ける事になるが、な。

 

「あと他にも小猫やギャスパーも俺を尊敬する先輩と見てるよ」

 

「ぼ、僕もですか!?」

 

「……向こうの私がどう言う風に貴方と接しているのかが非常に気になります」

 

 ギャスパーは相変わらず小猫の後ろに隠れている。此処でも女装好き+引き篭もり+対人恐怖症なのは変わりないとは。他の平行世界に男らしいギャスパーはいないんだろうか。

 

 そう思ってると、イッセーに詰め寄っていたゼノヴィアとアーシアが俺に尋ねようとしてくる。祐斗は未だにイッセーを詰問してるけど。

 

「あ、あの、主よ! 向こうの私やアーシアはどのように接しているのでしょうか?」

 

「わ、私も気になります!」

 

「言っても良いけど……ゼノヴィア、教えた後に絶対バカな真似はしないでくれよ」

 

「……何故だ? 何か途轍もなく嫌な予感しかしないんだが……」

 

「わ、私は、主に一体どんな事を……?」

 

 俺が警告をした途端、ゼノヴィアとアーシアが急に不安な表情を浮かべる。

 

「じゃあ先ずはアーシアだ。向こうの君は時々俺に祈りを捧げてるけど、それを除けば俺を兄のように接しているよ。俺も俺で君を大事な可愛い妹と見ている」

 

「わ、わ、私が主の妹!? …………はうぅ」

 

「お、おいアーシア!? しっかりしろ! 気持ちは分かるがこれで二回目だぞ!?」

 

 俺が兄代わりをしてると知った途端に失神するアーシア。普段から祈りを捧げてる聖書の神(わたし)が、いきなり兄妹のような関係になってる事に気絶するのは流石に無理もないか。

 

 妹分が倒れようとする直前、ゼノヴィアは空かさずキャッチして介抱しようとする。そこはナイスフォローだと褒めておく。

 

「そしてゼノヴィア。君は俺を一人の先輩として接するように日々奮闘中で、悪魔になっても相も変わらず俺に祈りを捧げてるよ。まぁ俺の正体を知った直後は色々面倒な事になったが……」

 

「え? ……一応、お聞きしても宜しいでしょうか? 私は主に一体何を……」

 

「まだ正体を知らずに人間の兵藤隆誠として接してきた時、俺の事を『悪魔に魅入られた愚かな異端者』と罵倒したり、君が悪魔になった後は俺やイッセーに『私と子作りしよう』と迫ったり……っておいゼノヴィア、大丈夫か?」

 

「む、む、向こうの私……き、貴様は、な、な、何て事を……!」

 

 俺が向こうの当時の出来事を教えてる最中、ゼノヴィアはアーシアを抱えながらも、まるでこの世の終わりみたいに顔が真っ青になっていた。この後に自害しなければ良いんだが。

 

 そして向こうのリアス達とこっちのリアス達についての話は未だに続くも、此処に居る全員が完全パニック状態に陥ってしまったのでもう止める事にした。

 

 向こうでは当たり前の出来事なのだが、此方の平行世界では信じられない内容なのだと改めて理解する。やはり聖書の神(わたし)が存在していない事で、進んでいる(ルート)が異なっているようだ。

 

 これを機に俺は、此処のリアス達に元の世界での話はしないでおこうと誓う事にした。尤も、向こうから質問してきたら答えるけど、な。




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