ハイスクールD×D ~特別番外編~   作:さすらいの旅人

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第六話

 平行世界の兵藤家に泊まって数日が経つ。

 

 完全とまではいかないが、イッセー達とはある程度気さくに会話出来るようになっていた。

 

 祐斗はともかくとして、元教会組みのアーシアとゼノヴィアは相変わらず自分を主として敬ったままだが、出来ればそろそろ普通に接して欲しい。

 

 特にゼノヴィアは元の世界にいる自分が以前に仕出かした所為で自責の念に駆られるばかりか、デュランダルを出して自害しようだなんて真似を仕出かそうとした時には本気で焦った。その時は俺だけじゃなく、イッセーたち全員も総出で阻止したが。

 

 挙句の果てには、もし俺が元の世界に戻る時は自分も一緒に連れてって欲しいと懇願してきた。何となく察しながらも理由を訊くと、主に対する背信行為を行った向こうの自分(おろかもの)を成敗したいらしい。お前はDestinyシリーズの英雄エ○ヤと同じ事をする気か、って内心突っ込んでしまいそうだった。

 

 流石にそんな愚かな行為をさせる訳にはいかないので、俺の説得で何とか踏み止まらせる措置として、俺が直々に特訓相手をしようと言った途端、ゼノヴィアは感動の余りに気絶してしまった。大袈裟にも程があるが、どうにか阻止する事が出来たので良しとしておく。

 

 約束通りゼノヴィアの鍛錬の相手をしようと思ったんだが、夏休みの宿題があったようでソレは適わなかった。やはりこの世界の駒王学園も向こうと変わりなく、大量に宿題を出していたようだ。

 

 取り敢えず鍛錬より夏休みの宿題を優先的にやるようにと俺が言うと、ゼノヴィアは泣く泣く宿題を始めたとさ。尤も、宿題に関してはイッセーも凄く嫌そうにやっていたが、な。

 

 あとこれは予想通りと言うべきか、まだ日本に慣れてないアーシアやゼノヴィア、元から勉強が苦手のイッセーが梃子摺っていた。最初は俺が教えてあげようかと思ったが、元神である俺がいれば却って集中出来ないと思って止める事にした。

 

 そして現在。

 

 俺はイッセーやリアス達に「用事が出来たから、ちょっと出掛ける。護衛はいらないし、ミカエルやアザゼル達にも教えなくていい」と言って今朝から、この駒王町を一人で散策していた。因みに今は駒王町の外れにある、森林が生い茂った山にいる。

 

 一人だけで動き、此処に居るのには当然理由がある。何故なら――

 

「そろそろ出てきたらどうだ? 折角誰もいない場所まで来てあげたんだからさ」

 

「やはり気付いていたか」

 

 目の前には禍の団(カオス・ブリゲード)に所属してるヴァーリチームのリーダー、白龍皇ヴァーリ・ルシファーの他、

 

「聖書の神、久しい」

 

 禍の団(カオス・ブリゲード)のリーダーである無限の竜神(ウロボロス・ドラゴン)――オーフィスがいた。

 

「俺が滞在してる兵藤家をずっと見ていたのには最初から気付いていた。いい加減鬱陶しくなってきたから、こっちから迎えようと一人で来たが、まさかオーフィスも一緒だったとは」

 

「こちらは魔力を抑えた上に、かなり遠くから見ていた筈なんだが。どうやって気付いた?」

 

「甘いな、白龍皇。君がどれだけ魔力を抑えたところで、聖書の神(わたし)は二天龍のオーラは即座に探知出来る。嘗て封印した仇敵であれば猶更に、な」

 

 この数日の間、俺はこの町に来て、何の警戒もせず兵藤家で呑気に過ごしていた訳ではない。

 

 実はイッセー達と人間界で合流する前、駒王町全域を見回してた際に感知用のアイテムを使った。と言っても私が即行で作った複数の札で、誰の目にも届かない場所に張っている。勿論、天使や堕天使や悪魔、そしてイッセー達にも気付かれていない。

 

 一応自分でも異質な存在が駒王町に足を踏み込んだら察知出来るが、この町は三大勢力が同盟を結んだ重要な場所でもあり、天使や堕天使や悪魔が足を運んでいる事もあって、すぐに敵か味方かの判断までは流石に出来ない。それ故に特定の対象者を判明させる為、感知用のアイテムを使わざるを得ないのだ。

 

 そして聖書の神(わたし)のアイテムに引っ掛かった第一号がヴァーリだが、オーフィスを連れて此処に来たのは予想外だった。あの幼女はヴァーリと違って、力その物を感じ取る事が出来ない。それに存在感が薄い独特な気配でもある為、アイテムが感知出来なかったのは聖書の神(わたし)の作りが甘かった事にしておこう。

 

「フッ、流石は聖書の神と言うべきか」

 

「それで? 態々テロリストのリーダーであるオーフィスを連れてきてまで、俺に一体何の用かな?」

 

 自分を賞賛してくるヴァーリを無視して俺は本題を訊こうとする。その直後に彼は、すぐに俺の質問に答えるように口を開こうとする。

 

「アーサーから報告を聞いて、貴方が本当に聖書の神であるかを直接確かめたかったんだ。偶々居合わせたオーフィスも確かめたいと付いて来てな」

 

「嘗て聖書の神が死んだのを、我、確かに確認した。それなのに何故、お前は生きている?」

 

 いつも興味なさげに無表情となってるオーフィスとは思えない質問だった。まぁ当然かもしれない。死んだ筈の聖書の神(わたし)がどうして生きているかなんて、オーフィス以外の神だって知りたいだろう。

 

「『次元の狭間』で生まれ育ったオーフィスであれば、すぐに理解出来ると思うが?」

 

「…………成程。我、理解した」

 

「? どう言う事だ?」

 

 次元の狭間と言うヒント一つだけで分かったオーフィスだが、ヴァーリは未だに不明のようだ。教えてあげたいが、それは色々不味いから何も言わないでおく。

 

「ヴァーリ、目の前にいる聖書の神は本物でも、我が知る聖書の神ではない」

 

「……オーフィス、言ってる意味が全く分からないんだが」

 

「別に分からなくても良いよ、白龍皇。だがそれとは別に――」

 

 

 パァァァァァァァッ!!

 

 

「私は本物の『聖書の神』である事は確かだよ」

 

 俺は全身から光を発して聖書の神(わたし)の姿になってそう宣言する。すると、俺の姿を見たヴァーリは急に好戦的な笑みを浮かべた。

 

「そうだな。俺は貴方が聖書の神である事を確かめれば、それで充分だ」

 

「その次は私と戦うのかい?」

 

「当然だ。俺は神である貴方を倒したいとずっと願っていた。それが漸く叶うのだから、戦わない訳が――無い!」

 

 そう言ってヴァーリは背中から光の翼――白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)――を展開しする。

 

「――禁手化(バランス・ブレイク)!」

 

Vanishing(バニシング) Dragon(ドラゴン) Barance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!』

 

 更には禁手である白い全身鎧――白龍皇(ディバイン・ディバイディング)の鎧(・スケイルメイル)も具現化させた。

 

 どうやら此方のヴァーリは、俺がいる世界のヴァーリと全く同じスタイルのようだ。てっきり(イッセー)みたいな特殊な変化(・・・・・)をした禁手(バランス・ブレイカー)を期待していたが、流石にソレはないか。

 

「やれやれ、やはりそう来たか。こうなる事を見越して、誰もいない場所を選んだのは正解だったな」

 

 加えてこの周囲には誰も感知されないように結界で覆っている。ヴァーリとオーフィスが俺と対面した時点で、な。こうでもしないとイッセー達だけでなく、アザゼル達が察知してしまう恐れがある為に。

 

「オーフィス、悪いが手は出さないでくれ。俺一人だけで戦いたい」

 

「初めから手は出すつもりは無い。我、聖書の神が本物であるかを確かめに来ただけ」

 

 オーフィスが参戦しないのは俺も予想していた。普段のアイツは誰かが挑めば仕方なく相手をするだけで、自分から戦う事は一切しない。万が一に備えての対策(・・・・・・・・・・)も用意していたが、その必要が無い事に内心安堵する。

 

「こんな状況で言っても無駄だと思うが一応言っておく。白龍皇、今此処で私と戦っても何の意味も無い。戦うなら君の宿敵(ライバル)である赤龍帝(イッセー)と戦って欲しいんだが」

 

「残念だが今の兵藤一誠では、まだ俺の相手にはならない。更に強くなるまで暫く放置だ」

 

 どうやらヴァーリはこの世界のイッセーが弱い事に相当不満のようだ。ソレに関しては私も同感だが、な。

 

 元の世界にいる俺の弟のイッセーは今のお前より強いぞ、と言ったらどんな反応をするんだろうか。

 

「その間に聖書の神(わたし)と戦うと言う事か。やれやれ、私は赤龍帝の代役ではないのだが」

 

 そう言いながら俺は聖書の神(わたし)の姿から、元の兵藤隆誠(にんげん)の姿に戻る。

 

「まあ良い、こうして白龍皇と対峙してる以上相手をしようじゃないか。さぁ、何処からでもかかって来い」

 

「……一体何のつもりだ、聖書の神。何故その姿に戻った?」

 

 俺がいつでも来いと両腕を広げながらアピールするが、ヴァーリは明らかに不機嫌そうな感じで声を低くして問う。

 

「簡単な理由だ。ここで神の姿で戦えば、この町に何らかの影響が出てしまうどころか、イッセー達は勿論のこと、三大勢力のトップ達に知られてしまう恐れがある。だがそれとは別に――」

 

 俺は余裕の笑みを浮かべながらこう言った。

 

「――今の君を見て、この姿のままでも充分勝てると判断しただけに過ぎない」

 

「それはつまり、俺と本気で戦うに値しないと言う事か?」

 

「そこは君の想像に任せる」

 

「……ならば、その姿に戻ったことを後悔させてやろう!!」

 

 挑発も兼ねた事実を言うと、ヴァーリは相当頭に来たみたいで、すぐさま飛ぶように突進してきた。

 

 攻撃を仕掛ける距離まで近づく彼だが、すぐに姿を消して後ろを取ると、俺の後頭部目掛けてパンチを繰り出す。

 

 俺は一切慌てる事無く――

 

 

 バシィッ!!

 

 

「ほう、中々鋭い攻撃だ」

 

「ッ!?」

 

 後ろを見ないまま、すぐにヴァーリのパンチを片手で受け止めた。

 

「あ~らよっと」

 

「ぐっ!」

 

 その直後、俺はパンチを受け止めたまま、振り回すように勢いよくヴァーリを投げ飛ばす。

 

 投げられたヴァーリは背中を地面にバウンドし、その勢いを利用してすぐに体勢を立て直そうと俺の方を見る。

 

「ッ! いつの間に――」

 

「遅い」

 

 だがヴァーリが体勢を立て直す前から一瞬で接近した俺は、ヴァーリの額にバチンッとデコピンをすると――

 

 

 ドガガガガガガガガッ!!

 

 

「ぐうっっっ!!!」

 

 凄まじい勢いでヴァーリが吹っ飛び、地面が抉るように激突していく。

 

 そして抉られていく地面の進行が漸く止まると、ヴァーリはすぐに空に飛んで体勢をやっと立て直す。

 

『無事かヴァーリ!?』

 

「はあっ、はあっ……何故だ……? 禁手化(バランス・ブレイク)になってる俺が、何故こうも容易く……!」

 

 翼から発する光が点滅すると声の主――アルビオンがヴァーリの身を案じるも、当の本人は今の状況を全く理解出来ない様子だった。

 

 信じられないように此方を凝視してくるが、俺は大して気にせず笑みを浮かべながら、手を自分の顔の近くまで上げて指を動かす。さっさと来いと言う意味の挑発を。

 

「ッ! 貴様ァァアアア~~~!!」

 

『止せヴァーリ! 挑発に乗るな!』

 

 完全に甘く見られてると思ったヴァーリは頭に血が上ったみたいで、すぐ俺の挑発に乗ってしまった。アルビオンがどうにか宥めるも、ヴァーリは気にせず再び俺に突進して行く。

 

 今度は回り込もうとはせず正面から仕掛けるが、俺はオーラの流れを読むようにヴァーリの攻撃を簡単に躱す。その途中、相手の力を半減させる『Divide(ディバイド)』の掛け声が聞こえたが、生憎聖書の神(わたし)には通用しない。神器(セイクリッド・ギア)を作った聖書の神(わたし)が、それぐらいの対策を施さない訳がない。

 

「君ほどの実力者なら既に理解してるだろう? このまま続けても意味が無いと」

 

「まさか! この状況で俺が止める訳がないだろう!!」

 

「そう言うと思った」

 

 攻撃を躱し続けてる俺が降参するように促すも、ヴァーリは止めようとする気配が無いどころか、まだまだやる気だった。

 

 だが今の状況ではどうにもならないと悟ってはいたみたいで、ヴァーリはすぐに俺から離れて距離を取る。

 

「くそっ。相手が聖書の神とは言え、まさかこうも赤子扱いされるとは……」

 

 人間の姿であっても俺は一応それなりの実力で相手をしているんだが、彼にとっては余り気分の良いものではないようだ。

 

 こうも簡単に禁手化(バランス・ブレイク)形態になっているヴァーリの攻撃を躱し続けているのは、俺の好きな格闘漫画の『ドラグ・ソボール』のお蔭だった。普段からイッセーとの修行で『ドラグ・ソボール』のような高速戦闘をやっており、相手がどう言う動きをして、どんな攻撃を繰り出すのかが手に取るように分かる。

 

 漫画と言う娯楽を知った事で、俺は新たに成長するきっかけとなった。転生前の聖書の神(わたし)では考えられない事だが、今では大変誇らしいものだ。神としての能力(ちから)をある程度失っても、それを別のもので補う事が出来ているのだから。

 

「このまま君の気が済むまで相手をしたいところだが、そろそろ終わりにさせてもらおう」

 

「終わりだと? バカを言うな、聖書の神。寧ろここからが本番だ!」

 

 俺が不可解な顔をしてると、ヴァーリは突如あの言葉を口にしようとする。

 

「我、目覚めるは、覇の(ことわり)に――」

 

『自重するんだ、ヴァーリッ! ここで覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を使う気か!?』

 

 予想通りと言うべきか、ヴァーリは覇龍と言う最悪手とも言える手段を使おうとしていた。

 

 確かにアレを使えば聖書の神(わたし)も本気にならざるを得ないだろうが――

 

「悪いけど、此処でそんな危険なモノを使わせる訳にはいかない」

 

 

 カッ!!

 

 

 俺が指先をヴァーリに向けて光の波動を放つと、ヴァーリが纏っている禁手化(バランス・ブレイク)の鎧が突如消え去った。

 

「何っ!? これはあの忌々しいリゼヴィムの――」

 

 

 ドゴッ!!

 

 

「がっ!」

 

 奥の手の一つである『神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)』を発動させた事で、ヴァーリが戸惑いながらある人物の名を口にしていたが、俺は即座に超スピードで懐に入って腹部に肘打ちを仕掛けた。因みに聖書の神(わたし)のオーラ付きの一撃を、な。

 

 それに直撃した悪魔のハーフであるヴァーリには大ダメージだったのか、すぐにうつ伏せとなって倒れて意識を失う。

 

「全く。相変わらず後先考えない奴だ。こんなところで覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を使わないでくれ」

 

『……すまない、聖書の神。今回ばかりは感謝する』

 

「礼は不要だ、アルビオン。ここで白龍皇を死なせる訳にはいかなかったからな。おいオーフィス、悪いけどヴァーリを連れ帰ってくれ」

 

「ん、分かった」

 

 さっきまで座って見物していたオーフィスが立ち上がる。気絶してるヴァーリに視線を向けた途端、奴は転移して姿を消した。

 

「それで? 俺が聖書の神である事を既に確認したお前が未だにいるって事は、まだ他に用があるのか?」

 

「一応確認する。平行世界からやって来た聖書の神、我がいる禍の団(カオス・ブリゲード)に来て欲しい。お前の力、我、必要」

 

 やはり勧誘目的だったか。何となく予想はしていたが、どこのオーフィスも考えている事は変わらないようだ。

 

「残念だがお断りだよ、オーフィス。生憎俺は元の世界でも『禍の団(カオス・ブリゲード)』と敵対してるから、入る気なんて更々無い。じゃあな」

 

「あ……」

 

 オーフィスの勧誘をすぐに断った俺はすぐに転移して姿を消した。

 

 そうでもしないと、この純粋で可愛らしい姿をした竜神さまはしつこく勧誘してくるのが目に見えてる。元の世界でも経験済みである事も含めて、な。




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