ヴァーリとの戦闘後にオーフィスから
何でいないのかと疑問に思うも、俺はすぐに思い出した。今日はイッセーが朱乃とデートする日だった事を。
イッセーと朱乃がいないだけでなく、リアス達がいないのにも納得した。恐らくリアス達は今頃デートしてる二人に気付かれないよう変装+尾行してるに違いない。もし俺が出掛けなかったら、彼女達から一緒に付いてくるように強制同行されていただろう。そう考えると、出掛ける口実を与えてくれたヴァーリに感謝しなければならない。
もうついでに、リアス達の尾行にデートしてる二人は気付いてる筈だ。何しろ元の世界でのリアス達は『変装してます』って分かり易い程にド下手な尾行をしてた上に、嫉妬のオーラまで丸出しだったと朱乃が言っていたから。
それはそうと、この平行世界は俺がいた世界と違って、自分の知る
元の世界では冥界にロキは現れなかっただけでなく、本来やる筈だったシトリー戦でのレーティングゲームも未だに行われてない。更にはディオドラ・アスタロトが、本性を表さずに反旗を翻してない始末。
こうまで俺が知ってる筈の展開の流れが異なってる事に、やはり此処は平行世界なのだと改めて認識した。俺が望んでいた平行世界では無いにしても、な。
今のところの問題は、今も冥界で平気で
もしもこの世界のアイツが元の世界と何ら変わりない外道悪魔であれば、少しばかり手を打っておく必要がある。世界が違えど、俺にとってアーシアは大事な義妹だから何が何でも助けたい。
俺がリビングで寛ぎながらどうしようかと考えている最中、イッセー達が帰って来た。しかも堕天使総督アザゼルや幹部のバラキエル、そして北欧の主神オーディンとロスヴァイセも一緒に。
バラキエルは俺の姿を見て驚くも、別の用事があったようでイッセーと朱乃と一緒に別の部屋へと向かった。あの展開は何となく予想は付いてるから驚きはしないが、後で様子を見るとしよう。
今いるリビングに俺とリアスとアザゼル、オーディンがそれぞれソファーに座っている。
「何故オーディン殿がこの町にいらっしゃるのですか?」
オーディンが駒王町に来た目的は大体想像は付いてるが、俺は敢えて何も知らない感じで尋ねる事にした。
「
「と言うと?」
「あの件で他勢力との関係を、急いで固めておく必要があると実感したのじゃ。特にこの国との神々とは交流すら無かったからのう」
成程。元の世界ではロキがオーディンのやる事を阻止する為に駒王町にやってきたが、此方はそれが無いからスムーズに進んでいるだろう。
「そうでしたか。ならバラキエルもいたのはオーディン殿の護衛なのか、アザゼル」
「ああ。また爺さんの護衛をするよう頼んだのさ。多分
「確かに。娘の朱乃が住んでいる人間界なら尚更、な」
そう考えると、この世界のバラキエルと朱乃は未だに仲直りしてないって事か。
元の世界ではロキとの一戦で二人の関係はある程度修復したけど、肝心のロキは俺が倒しちゃったからなぁ。やはりここは俺が少しばかりフォローしておく必要がありそうだ。
「ねぇリューセー、向こうの世界での朱乃は――」
「リアス、その質問はノーコメントだ。悪いけど少しばかり席を外させてもらうよ」
「あ、ちょっと!」
リアスを引き止めようとするが、俺は即座にイッセー達がいる部屋の近くへと転移した。
☆
『朱乃、赤龍帝と逢引をしていたとはどう言う事だ?』
『私の勝手でしょう? 何故あなたにそれをとやかく言われるのかしら?』
『わ、私は父として……』
『だったら! どうしてあのとき来てくれなかったの!?
『……………………』
俺がイッセー達がいる和室の前に着いた途端、険悪とも言える親子の会話が繰り広げていた。
………予想通り、未だに溝は深い状態のようだ。尤も、朱乃が一方的に恨んでいるだけなんだが。
この世界の親子の関係をどうやって修復させようかと考えてると、バラキエルが部屋から出たようだ。
朱乃からのキツイ言葉が相当効いたのか、俺に気付かずに背を向けてオーディン達がいるリビングに向かい始めている。
「やぁバラキエル、久しぶりだな」
「っ! 貴方は……!」
俺が背後から声をかけると、漸く気付いたようにバラキエルは即座に振り向いて驚くように目を見開く。
「その反応から察するにアザゼルから聞いてるようだな。
「……はい」
「まぁ嘗て
「………………」
人間の高校生である
誘いに乗ってくれたバラキエルは黙って付いて行こうとしたので、俺は現在泊まっているゲストルームへ案内する。
「さて、此処なら朱乃に一切聞かれることは無い。俺はこんな姿でも一応
「……………」
「どうした? 何か悩んでる事があるなら遠慮なく俺に行ったらどうだ」
「……………」
ゲストルームに着いて早々、俺はバラキエルの相談に乗ろうとするが、当の本人が正座したまま口を開こうとしなかった。
このままじゃ埒があかないと思った俺は――
「なぁ、バラキエル。あんまりお前の家庭事情にとやかく言いたくないんだが、いつまで朱乃と険悪な関係でいるつもりなんだ? 漸く話せる機会が訪れたのに、これを逃したら一生不仲のままだぞ」
「っ! これは私と朱乃の問題です!
息子が抱えてる問題を口にした途端、バラキエルはすぐに反応した。
「確かに。如何に
「…………分かっております、
俺の指摘を理解しつつも、それでも口を出さないで欲しいと頭を下げてくるバラキエル。
全く。コイツは堕天使になっても頑固なところは変わってないようだ。
「………はぁっ、分かった。もう俺はこれ以上何も言わない。余計なお節介な上に、無粋な真似をして悪かったな」
そう言って俺はゲストルームを出ようとする。部屋を出てドアを閉める前に――
「だがコレだけは言わせてくれ、バラキエル。お前と朱乃は本当によく似ているよ。意地っ張りなところが特に、な」
「っ!
ヒントを与えるとバラキエルは振り向いてすぐに問い質そうとするが、俺は即座にドアを閉めて退散した。
あ、そう言えばゼノヴィアはまだ宿題をやってるのかな? もしかして宿題に集中する余り、鍛錬の事を忘れてたりして。
少し気になった俺は次にゼノヴィアが勉強している部屋へと向かい始める。
部屋の前に着いた俺はノックをしようとすると、部屋の中から声が聞こえた。
『ここをこうすれば、定理が導き出されますね』
『ロスヴァイセさんって凄いんですね~。人間界のお勉強まで』
『うむ。美しく、頭脳明晰、高い戦闘力。完璧な女性だ。見習いたいものだな』
『い、いえ……それほどでも』
……どうやらロスヴァイセがゼノヴィアとアーシアに勉強を教えてるようだった。
二人が未だに梃子摺っているなら俺が先生役として教えようとしたが、彼女なら問題無いので引くとしよう。
そう言えばロスヴァイセで思い出したけど、この世界で
『そう言えばこの前、主が言ってたな。向こうのロスヴァイセさんには勇者がいたとか――』
『ちょっと待って下さい、ゼノヴィアさん。出来ればその話を詳しく聞かせて頂けませんか?』
…………あ、ドア越しからロスヴァイセの真剣な声が聞こえた。しかも物凄い緊迫したような感じで。あの反応から察するに、此処のロスヴァイセも未だに
だとすれば非常に不味い。もし此処でロスヴァイセに絡まれたら最後、ゼノヴィアと同じくかなり面倒な事になりそうだ。そうなる前に早く退散しなければ。オーディンがロスヴァイセを連れて帰るまで、暫く隠れる事にしよう。
その後、俺が知らない間に朱乃とバラキエルの関係がいつのまにか修復されていたようだ。恐らくイッセーが何かやったんだろうと俺は予想する。何気ない行動で救うのがアイツの凄いところだから、これには
まぁ今はそれよりも――
「聖書の神はどこですか!? 聖書の神は今どちらにいらっしゃるんですか!?」
この世界のロスヴァイセから何とか逃げ切らないと、色々な意味で面倒な事になるのだから。
感想と評価お待ちしています。