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「──おのれ、よくも」
ある話を知ってしまった私は、急いでライダーが今いる教会の礼拝堂へと向かいます。
天宙市の観光区画には、昔ながらの石造りの教会も幾つかあるのです。区画内の町の景観のため……と言うのもありますが、神を信じる人間が祈る場とする本来の機能もあるみたいです。実際本物の牧師の方もいらっしゃるみたいですから。
(今の時代でさえ神を信じるなど私はナンセンスとは思います。しかしライダーと離れるわけにはいかないもので、普段はすぐ外で待機……ですが)
今はそう言っている場合ではありません。私は早足で教会に入ると礼拝堂の扉を開けました。
「ライダー!」
丁度今、礼拝堂にいるのは彼一人。席に座り両手を組み、頭を垂れているライダーの姿はまさに敬虔な信者と言うべきでしょうか。
「どうした、マスター。神様との祈りの最中に邪魔するなんざ。何の用かは知らねぇが、後にして欲しい」
自身の礼拝の邪魔をされ、明らかに不服な様子のライダー。顔も視線も一切向けず、祈る姿勢のまま告げます。
よほど邪魔をされたくないのでしょうが、私とて急いでいるのです。
「……貴方が祈りを大事にしているのは承知しています。しかし、今はそう言っていられない緊急事態。
彼方君と、サーヴァント・セイバー。あの二人──我々を裏切り、ランサーと手を結ぶつもりなのです」
「ほう?」
これには彼も興味を向け、視線だけは私に向けました。
「ライダーもご存知でしょう? 彼方君の傍には小型盗聴ロボットを仕込ませていることを。
傍受した会話によれば、彼らは今ランサーとそのマスターと遭遇し協力を持ちかけていると言うことです。……冗談ではありません。まさか他者に出し抜かれるとは」
「だから言っただろう。あまり甘く考えると痛い目をみると。
大体裏切るも何も、三日間も猶予を与え判断をすべて相手に任せること自体甘かった。本気で手を結ぶ気ならもっと……うめぇ方法があんだろうに」
余計なことを言いますね、ライダー。
「今更遅いことです。それよりも、裏切ったと言うことなら私達の敵です。
居場所は発信先ですぐに分かります。セイバーもランサーも共々始末してあげましょう」
「ったく、逆に一対二の戦いを仕掛けるなんざ、どうかしてんのか?
言っておくが俺は──」
「心配は無用です。ランサーは他のサーヴァントとの戦闘で負傷し、まともに戦うことは出来ません。未熟なマスターを持つセイバーは言わずもかな……それに彼らが今いるのは、海辺のヨットハーバー。
海が戦いの場であれば船乗りであった貴方なら、力を強力に発揮できるのでは?」
「なるほど……な!」
ライダーは席を立つと私に言いました。
「了解だ、マスター! 敵である以上は叩くだけだ。
礼拝の途中だが神様も許してくれるさ。俺たちが勝利し願いを手にするために……頑張んなきゃだからよ!」
「その意気です。
行きましょうか──私の相棒」
あくまで所詮サーヴァントは道具に過ぎません。心にない言葉をそれらしく言いライダーを従わせて向かいます。
そう、戦いの場へと。