Fate/Cosmic Light   作:双子烏丸

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第十三節 空駆ける一閃

 

 ────

 

「セイバー、本当に……行けるのか」

 

 心配してくれる主さまの言葉。ボクは笑顔で答えます。

 

「もちろんであります。主さまのおかげで元気百倍! 存分に戦えます!」

 

 撃たれた傷口からは血が止まって、何とか歩いて動けるようにはなりました。

 けれど、本当はまだズキズキ痛いし……急所に近い位置のダメージ。消耗が激しいことに変わりません。だからこそ──。

 

「本当に……今度こそ速攻で決めてみせますから。──ライダーっ!!」

 

 向こうからも見える位置に立ち、ボクは言ってみせます。

 

「ようやく出てきたか。待ちくたびれたぜ……いや、そこまで待ったわけでもねぇか」

 

 ライダーの戦意に呼応するように、あいつの魔力で作られた錨が鎖ごとうねります。

 

「面白え! ならやってみるがいいさ! その傷でマジで戦えんならよっ!」

 

「はっ! 思い知らせてありますよ!

 そして主さまも見ていてほしいです、ボクの戦いも──このブレードのもう一つの姿も!」

 

 僕はヨットから宙へと跳躍。同時に自分の太刀であるレプリカ『  』ブレード、略して『R2ブレード』の変形機構をオンにします。

 刀身は縦真っ二つに開いて、マシンのパーツが組変わって別の物へと変形。刀から──ボードの形状に。ボクはそれに飛び乗りました。

 

「刀から……サーフボードに変形したのか?」

 

 主さまもいきなりの事で驚いていました。ボクは得意げに答えるであります。

 

「形は似ていますが、ちょっとだけ違うでありますよ。

 サーフボードは波に乗って海を駆けますが、ボクのR2ブレードはっ!!」

 

 ボード後部に備わったスラスターからエーテル粒子を開放、ボクを乗せて空中を高速飛翔であります!

 これこそR2ブレード航行形態の性能。オリジナル同様に宙に浮いて空だって飛べますし、何なら……。

 

「この! マジかよっ!」

 

 ライダーの宝具『サンタ・マリア号』から繋がる多数の錨は、攻撃目標をボクに定めて襲って来ます。けれど──遅いっ!

 高速飛行で錨と鎖の合間をかいくぐって、懐からエーテル短刀を抜いて数閃、ブッた斬りますっ! ついでにランサーを縛っていた鎖も!

 

「きゃっ!」

 

「一つ貸しにしておくでありますよ、ランサー!」

 

「やるじゃねぇかよ。ならこっちも本気……全身全霊の宝具で対抗してやるぜ。

 全砲門開放! 飛び回るセイバーを撃ち落とせぇ!」

 

 ライダーの船が回頭。側面部の砲門を開き……一斉砲撃! ボクへと砲弾が向かって来ます。当然飛んで避けますよ!

 

「ふふん♪ たかが骨董品のような船の砲撃。真っ直ぐ飛ぶだけの砲弾で仕留めようだなんて、甘いでありますね」

 

「甘いのはてめぇの方だ。確かに時代遅れの外見かもしれねぇが、このサンタ・マリアは俺の宝具……具現化された力そのものだ!

 錨だって自在に動かせるんだ、砲弾だってよぉ!」

 

 飛び避けて後ろに飛んで行ったはずの砲弾、その気配がまた迫って来るのを感じます。振り返るとUターンして再度ボクに襲って来ます。

 今度は真上、上空高くに飛翔であります! けれど、砲弾も追跡を止めずに上へと……。

 

「自動追尾式の砲弾だ! スピードもそれなりにはあるぜ……更にっ!!」

 

 複数の砲弾がそれぞれ別方向から迫り、内一つの砲弾がかなり近い距離にまで来ていました。当然これくらいならまだいくらでも避けられると……思っていた瞬間に、砲弾が急に膨れ上がって爆発を!

 

「くぅ──っ!?」

 

「爆発だってこの通り。

 いくら力を取り戻しても、例え素早く空を飛べたとしても……この一斉攻撃の前にはどうしようもねぇだろ!」

 

 更に続けて放たれる多数の砲弾……加えて錨まで!

 

(この数……捌き切るなんて!? これではライダーの元にたどり着くより前に……!)

 

 自分が無事でいられる保証もありません。だけど、覚悟を決めなくては。

 ボクは迫る攻撃の正面から突撃し、ライダーを狙って一直線に──!

 

「邪魔ですっ!」

 

 行く手を阻む錨は、繋がる鎖部分から次々と切断。道を切り開きます!

 けれど砲弾に関しては……。

 

(近づいて爆発に巻き込まれたらたまりません。砲弾は回避するしかっ!)

 

 上手く高速飛行で掻い潜って。雲を突き抜け──目の前にライダーがいる船が見えます。もう少しでっ!

 

「──!?」

 

 さっき回避した砲弾が旋回して次々とまた迫って来ています。背後だけでなく、左右後ろ、横方向からも。

 船の方からもさらなる砲撃。前からの砲弾と、続けて生成される魔力の錨。ずいぶんぶった斬ったのにまだ作り出せるなんて……船が健在の限りいくらでもって訳でありますかっ。

 

(背後、前方、左右からの挟み撃ち。……それも多数の砲弾と錨による、ボクの回避能力を上回る飽和攻撃。

 覚悟してはいたと言え、これでは……)

 

 あまりにも多数、迫る攻撃。 本当に不味いです……主さまっ!

 

(申し訳ありません。せっかく血まで頂けたと言うのに、駄目かもしれません)

 

 でも、主さまはボクが無事に戻って来てくれるのを信じていますから。──だから最後まで諦めません!

 

 

 

「──竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)!」

 

 

 下の別方向から放たれた音波攻撃が、ボクの周りにあった砲弾を薙ぎ飛ばし、爆発させました。錨も別方向に吹き飛んでライダーの攻撃は全て無効化。

 それはランサーの仕業……彼女はボクを見上げて言いました。

 

「これで貸し借りはナシ! セイバー、今度こそ決めなさいよ!」

 

「悔しいけれど礼を言うであります!

 賭けになるでありますが……ボクの残る力を一撃にかけて──っ」

 

 航行形態のR2ブレードに立ち、エーテル短刀のグリップに持てる魔力のほぼ全てを注ぎ込みます。

 青いエネルギーの刀身は短刀サイズから格段に大きくなり、通常形態のR2ブレードの二倍にまで膨れ上がる巨大な刃へと。

 

 

「この一太刀は主さまのために、立ちはだかる敵は一刀両断! 行くでありますよっ!

 ──オーキッド、ラウンズっ……セイバー!!」

 

 

 『オーキッドラウンズ・セイバー』、主さまのセイバーとして発現させるボクの宝具。

 航行形態、最大速度のR2ブレードの加速に乗り、エーテル短刀のフル出力の巨大刃で一刀両断する必殺技。

 

「!!」

 

 刃を振り下ろす刹那、ライダーは驚愕の表情を浮かべていました。──そして悟ったようにしてかすかな苦笑いを浮かべると。

 

「ったく──しょうがねぇな」

 

 

 

 ボクの一撃は船ごとライダーをぶった斬りました。

 大出力エーテルの刃で横真っ二つに粉砕される帆船。ライダーの体も右肩から両断され、サーヴァントのコアになる霊核も確実に粉砕であります。

 

「坊主、それとも嬢ちゃんか? まぁどっちでもいいか。この俺を倒すなんざ、やるじゃねぇか」

 

「……」

 

 二つに切り裂かれたライダーの体は光の粒子へと変換されて消滅しつつありました。無念げな様子は見せているものの、敗北を喫してさっぱりしているようにも見えて。

 消えゆく中、ライダーは最後に呟く声を聞きました。

 

「俺にチャンスをくれたってのに、すまねぇ……神様。次の召喚こそ……俺は、夢を叶えてみせる……からよ」

 

 

 

 

 それを言い終わると同時に、ライダーの身体はエーテルとして霧散し完全消失しました。

 ライダーのサンタ・マリア号も彼の最後に伴って消滅、戦いは完全に終わりであります。ボクは近くの足場に着地、ボード型の航行形態になっていたR2ブレードも元の太刀型──通常形態に戻して背中にかけようと……その前に。

 

「はっ!」

 

 ボクは振り向きざまにR2ブレードを振るい、背後からのビーム射撃を弾きます。

 

「さすがに二度も同じ手は食わないでありますよ、ライダーのマスターどの」

 

「……ライダーは私の手に余る所はありました。しかし、せっかくのビジネスチャンスを潰されたのは許せませんね……貴方だけでも!」

 

 ライダーのマスター、黄龍とか言いましたか。敗れて逆恨みして銃を向けているみたいですが、全く情けないですね。主さまと大違いであります。

 

「敗者は敗者らしく大人しくしていて欲しいでありますよ。ですが主さまを利用して、傷つけた罪、ボクとしても許せないでありますし」

 

「──ひっ!」

 

 ボクは太刀を握りながら黄龍へと迫ります。あいつってば途端に怯えて、銃を落として膝をつきました。

 

「す……すみません、ついカッとなってしまい。彼方君にも謝罪しますので、どうか……命だけは」

 

「えー、どうしたものでしょうか? ボクとしては万死に値する罪ですし、でも──」

 

「がはっ!」

 

 太刀の柄であいつの腹部をドツきました。ショックで白目を剥いた黄龍はそのまま倒れて、気絶します。

 

「──これくらいで勘弁してやるでありますよ。せいぜい眠っていてください」

 

 完全に気を失った事を確認して、ボクは駆け寄って来る主様の方へと。

 

「セイバー! 無事か!?」

 

 ボクの大切な主様の声。それを聞いただけでも嬉しくて、笑顔で応えるのであります。

 

 

 

「もちろんであります! ボクと主さまの大勝利ですっ!」

 

 

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